
○1年ぶりに、マルクス・エンゲルス関連本に挑戦(1冊)
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『資本論 第2巻・第3巻 入門』D.ハーヴェイ(2016)
・マルクスを解釈するという行為は、常に持続的で未完のプロジェクト。
○こう言ってもらえると気が楽になる。
・本書の目的は、『資本論』を読んでもらうこと、である。
○この目的は達成されるだろう。俺も第2巻、第3巻に挑む心持ちができた。
・第1巻でマルクスは、資本が野放図に剰余価値を追求することが、労働者にとってどのような意味を持つのかに焦点をあてた。
・第2巻は、かなり退屈な書物。道徳的憤激は、第2巻には見られない。
○確かに、第1巻にはそういう怒りとか憤りが見えたよな~。
・第2巻は、資本の運動、資本が経過する変態を扱っている。
・第3巻は、マルクスが現実の恐慌(1848年と1857年)の分析に最も接近した巻。
・マルクスがめざしたのは、真に科学的である経済学であった。
・人類が手に入れることのできる解放の可能性は、他人(資本家)のために剰余価値を生産しなければならないという社会的必然性によって歪められ支配されるということ。
・その結果は、人類がそれ自身の潜在的な能力や創造的力から普遍的に疎外されることである。
・運輸費が高い地域においては、その地元の諸産業は、規模が小さくても、競争から保護されている。
・マルクスは、流通過程を、貨幣、生産、商品という3つの異なる観点で見ている。

○これを見てもよく分からない・・・
・まずもって貨幣が存在し、その後で貨幣が資本として機能する。
・貨幣は、究極の「物神(フェティッシュ)」かもしれないが、資本家にとっては、究極の目標。
参考:貨幣本
・シェフィールドでは、1980年代の3年間に製鉄業で約6万人もの雇用がうしなわれた。
○この場所、26年5月に、イギリス評価学会の国際会議参加で行く予定。少し調べてみよう。
・急速な技術変化の時代においては、生産資本家でいるよりも貨幣資本家でいる方が良い。
・資本家の消費2種類 1)個人的消費 2)生産的商品(再投資)
・共産主義たるもの、最終的には資本‐労働の階級関係を廃絶しなければならない。
○仮に、資本主義→共産主義→グローバル資本主義という流れで来ているなら、この後は? 東洋OSの世界になっていかないものか。
・資本があらゆるものの時間の加速化を激しく追及する利用は、費やされる時間が短ければ短いほど、資本はそれだけ速やかに剰余価値を取り戻すことができるからである。
○確かに「速める」からこそ、Busy-nessなのかも。
○AIは、時間を速くしそう。あえて遅くすることに価値が出てくるかも。
・資本主義的生産の連続した流れを維持することが必要不可欠だとするマルクスの主張。
・固定資本の厄介な点は、資本は何よりも運動する価値であるにも関わらず、固定資本がまさに固定されていることにある。

・『資本論』全体を通じてマルクスが意図していることっは、商品交換の物神性を暴露して、それを乗り越えることであり、「両足で立った」世界を理解することである。
・資本にとっては、運動の連続性、円滑さ、流動性を保つことが非常に重要。
・貨幣にとっては、資本としての独自の役割が存在する。
・流通は、あらゆる毛穴から、貨幣を発汗する。
・資本主義が実際には「他人の金」でもって動かされている。
○株式会社はそうだけど、小さな個人事業主やオーナー企業はそうではない。そこって、見落とされてる?
・「わが亡き後に洪水は来たれ」政策から救ったのは、労働日の長さを規制する国家の介入であった。
・ロスチャイルドが、金というカトリシズム(貨幣制度・重金主義)を信じていたのに対し、ペレール兄弟は、紙幣(信用制度)を信仰した。
・基軸の階層的構造。

・高利の悪と、公正な利子率の正当性
・金本位制に復帰する可能性はほとんどない。世界経済は、信用経済の地平に立脚。
・「国家‐金融結合体」が、固有の生産様式としての資本が台頭する上で重要。
・信用制度は、「略奪による蓄積」にとっての主要な手段になる。
・貨幣・信用制度の階層構造

・資本家の中のこの階級の行動様式ー「他人の金」を用いて詐欺的で投機的ないかさまをすること、産業資本家をも搾取することは、マルクスから厳しい批判の対象とされている。
・第2巻の大部分は、第3巻の草稿が書かれた後に執筆された。
・回転の速さは、収益率に影響を与える。
・資本は、移動の費用と時間を最小化し、移動に対する空間的消費を減らす為に、力の及ぶ限りなんでもするだろう。
○だから、資本主義は地理的に拡大せざるを得ないということかな。
・ビジネスのあり方が、個人企業家による活動から、「他人の金」を使って行うものへと変貌を遂げたことは、資本の運動の仕方に大きな影響を与えることになった。
・総産出量=不変資本(c)+可変資本(v)+剰余価値(m)
・レオンチェフ型の投入産出行列

・中央集権的な計画化における主要ツール
・第1巻では「どうして」終わりなき資本蓄積に向かうのか。
第2巻は「どのようにして」資本は持続的に蓄積することができるのか。
・資本の流れが、長期にわたって攪乱されつづけるならば、資本は死ぬのである。
・恐慌の開始に先立って労働者階級の収入の上昇が、常に存在するとする、マルクスの議論が正しいとは思わない。
・「労働力は、彼の財産であるが、彼の資本ではない」
・マルクスは現在「人的資本論」と呼ばれている経済学的見解とまったく無関係であると言えるだろう。
・不比例性恐慌は、要するに不可避だということ。
・マルクスは、信用制度を「あらゆる異常な形態の大本」として分析。
・マルクスの抽象的分析を、地上の問題にひきつければひきつけるほと、マルクスがますます理解しやすいものになる。
○こういう読み方ができれば、もう少し理解できるようになるんだろうな~。
●訳者解説
・第2巻は資本の流通過程を対象。
・運輸交通手段や通信手段の発達と拡張は、資本主義の蓄積運動と回転にとって、決定的な意味をもつ。
・輸送が(ストライキによって)ストップされれば、資本はどうしようもない。
○コロナの時はどうだったんだろう。移動がストップされた時、資本の回転も止まったはず。このあたりについて触れている本も読んでみたい。
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参考:
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