
○資本論 第2巻、第3巻に挑む前に読んだ解説本(2冊)
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『マルクス 資本論』佐々木隆治(2018)
・1970年代頃から、ソ連型「社会主義」の行き詰まりが明らかになっていくにつれ、「マルクス主義」は徐々に影響力を失っていく。
・マルクス主義者の多くは、転向した。
・フランス現代思想家
ドゥールズは「マルクスにもう一度立ち返らなければ」と
デリダは「マルクスなくして未来はない」と評価。
○お~、そうなんだ~。現代思想を少しかじって、またマルクス本を読むという流れは良かったのかも。
・「マルクス主義」としてではなく、マルクスその人のテキストとして読む。
・社会を変革する力を、理念にではなく、現実の人々の生活のうちに見出そうとする。
・『資本論』は、私たちが当然だと考えている経済学の見方を根本から変えることを読者に要求する書物。
○そこまでの読み方は、まだ自分にはできてないな~。
・「商品」を買って生活するという、今では当たり前の社会の在り方は、資本主義以前には存在していなかった。
・物がもつ、人間の欲求をみたすことができる有用性のことを、使用価値という。
○このあたりの「有用性」や「使用価値」のあたりは、研修評価にもつながっていくかも。Utility?Usefulness?もっと勉強していこう。
・商品がもつ2つの要因:使用価値と価値
・人間に代わって、物象が社会的力を持ち、物象の運動によって人間たちが制御されるという転倒。
・物象化による転倒が、労働問題や貧困、環境破壊、経済恐慌など様々な矛盾を生み出す。
・貨幣流通は、商品流通の結果でしかないにも関わらず、
商品流通が、貨幣流通の結果として表れる。

・売買のイニシアチブは、つねに貨幣の側にある。
・市場に貨幣を流通させることによって、商品流通を活性化することができるかのような幻想。
・「リフレ論(貨幣を大量に供給することにより、人々のインフレ期待を高め、経済活動を活性化させる)」の誤りが、現実によって完膚なきまでに証明された。
○これって、アベノミクスの時(2013年~)の3本の矢の「異次元の金融緩和」でやろうとしていたこと?
・労働者たちが販売するのは、決して労働ではなく「これから労働することができる」という労働能力以外のなにものでもない。
・労働は、彼が資本家に自分の労働力を売り、資本家に何らかの仕事の遂行を命じられた時にはじめて行われる。
○この辺りは、新卒のポテンシャル(潜在可能性)とも通じるかも。彼らから買っているものは「労働力」であり、それは「訓練可能性」とその後の「期待労働能力」を買っているということなのかも。
○この「資本家」が今は見えづらいのでは。会社の中にいると、上司や経営者はいるが、彼らは資本家ではない。資本家の多くは、外にいる株主。その人たちの姿が見えづらいからこそ、あまり疑問に思わずに、労働力の販売ができているのかも。
・資本は、生産手段の「浪費」を防ぐために、労働力に負荷をかけ、労働力を消費する。資本主義的生産の転倒的性格を示す典型的事例。
○人間が資本に使われる。改めて、資本とは何なのか?
・新自由主義的諸政策の本当の目的は、経済成長ではなく、社会保障なども含めた労働者の実質的な取り分を減少させることにより、剰余価値率を高め、利潤率の低下を補うことにある。
○小泉・竹中時代(2001年~2006年)に行われていたこと(派遣の解禁等)は、これってことなんだろな~。
・バブル崩壊に先立って、利潤率が低下し、続いて利潤が頭打ちになり、それからバブル崩壊が起きている。
・資本は、自然力を使いつくそうとする。コストを払う必要もない。
・自分の生活な範囲を超える労働を強制されている。
・資本が労働力の購買によって、賃労働者に剰余労働を強制し、剰余価値を絞り出している。
○このループから抜け出すためには、やっぱり会社(資本家の所有物)に「雇われる」賃労働者の立場から脱することが必要になるのでは。
・蓄積が独立変数、賃金の大きさは従属変数。
・資本主義とは、巨大な暴力無しには決して成立しえない極めて特異な生産システム。
・「労働者が、自分の生産手段を、私的に所有しているということは、小経営の基礎であり、小経営は、社会的生産と労働者自身の自由な個性との発展のための一つの必要条件である」
○お~、この「小経営」をミニ起業とするなら、色々希望が見えるかも。その場合のミニ起業家の生産手段は、おそらく「個人の頭と手足」。竹田ランチェスター流に言うと、お金で粗利を作るのではなく、人で粗利を作るタイプの仕事かな。
・小経営の時代には、マルクスの時代にも想像がつかなかったような、人々との連帯の可能性、アソシエーションの可能性を手に入れる。
・『資本論』は、もっともラディカルな資本主義批判の書。
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『資本主義を読破する』鎌倉孝夫・佐藤優(2023)
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