【木曜日24-15】マルクス解説本(1)

木曜日

○まずは、マルクス解説本で全体像をとらえたい(3冊)

===

『マルクス For Beginners イラスト版』 E.リウス(著)・小阪修平(訳)(1978)

○名古屋のジュンク堂で出会った。

・食わず嫌いが一番悪い。

・いたるところで人々が毛嫌いしている言葉がある。マルキスト、社会主義、アカ、唯物論者、共産主義者など。

・マルクスには、すべての人に訴えかけるものがある。

・社会保障、有給休暇、労働組合、奨学金制度、その他多くの勝利が、マルクスからの贈り物だ。

・ヘーゲルによれば、人類は闘争と戦争と、革命を通じてのみ進歩し発展する。

・マルクスは、エンゲルスと、1844年に出会った。

・マルクスの作品が目に触れ、学ばれ、議論されるようになったのは、1917年ロシアでのレーニンの勝利によってである。

・マルクスは、1883年3月14日、65歳で亡くなった。

・この100年以上のあらゆる革命運動に、マルクスは影響した。

―――

・自然現象を説明する為に、人間は神様をつくりだした。

・哲学は、宗教的な信仰の批判として始まった。

・宗教が最初に発明したのは、死後の世界、「彼岸」への信仰だった。

・ソクラテスは、すべてをからかった。

・アリストテレスは、経済の仕組みが社会的な不平等をひきおこすことを最初に理解した人物。
・人生の目標は幸福にあると考えた。

・「信仰」とは、すべての科学的な知性の否定を意味していた。

・唯物論的哲学者は、科学をあまりに信頼しすぎた。

・ドイツ観念論が、マルクスの勉強の出発点だった。

・哲学者たちは、これまで世界を様々に解釈してきたにすぎない。だが重要なことは、世界を変革することである(フォイエルバッハ テーゼ11)

―――

・形而上学(メタフィジックジック)では、ものごとは変化しない。

・弁証法は、反対意見の中の矛盾を明るみに出すための討論のシステムだった。
・宗教は討論を認めなかった。

・弁証法の観点に立てば、永遠なもの、変化しないものはない、それにも関わらず、ヘーゲルは社会と自然の進歩を否定した。ここが最大の矛盾だった。

・資本家は労働者がどうなっても頭を悩ましたりはしない。
・多数者の労働が少数者の資本へと変形する。

・資本家の富はいっそう大きくなり、労働者の存在はいっそう貧しくなる。

・金を手に入れるために、自分自身の肉体と魂を、すなわち労働力を売らなければならない、これが疎外であり、搾取なのだ。

・プロレタリアとは、資本家や機械のいうがまま、なすがままになっている人間のこと。
○プロレタリアにも、資本家にもならないのが、資本を基に事業を行わない(資本を持たない、資本を持てない)ミニ起業家なのでは。この可能性について、もっと考えていこう。

・マルクスは、一生をプロレタリアの哲学をつくり出すことに費やした。

・資本主義の下で恩恵に浴するのは、生産手段の所有者だけだ。
○それが極端に進んでしまったのが、新自由主義の体制。

・毎日資本家のふところを肥し続けているのは、労働者の日々の労働。
・利潤は双方の側に流れず、つねに一方の側にしか流れない。これは不公平だ。

・マルクスによれば、労働者のための道はただ一つ、団結。

・資本には労働者が必要。だが労働者には資本なんかいらない。労働者にとっちゃ体が資本だ。

・男は家族内でブルジョアであり、女はプロレタリアートを代表する。

・マルクスは、社会を生産様式に従って、5つの段階に分ける。
 1)原始共産制社会 2)奴隷制社会 3)封建制社会 4)資本主義社会 5)社会主義社会

・資本主義によっては、労働者の生活の問題はけっして解決されない。
・労働者は、政治的意識に目覚めなければならない。

―――

●訳者

・まず勧めたいのは、若きマルクスの本である。「ヘーゲル法哲学批判序説」「経済学・哲学草稿」「ドイツ・イデオロギー」「共産党宣言」
○この4冊を読んでみよう!

・「資本論」は、読者に格闘してもらうほかはない。わけがわからぬまでも、文庫版の第2分冊あたりまでは、読み通してみることをお勧めする。

・概念の海の中でおぼれたり、拒絶反応を起こすまえに、まず単純にわかることの力強さと大切さをリウスは教えてくれる。

○ほんとそうだよな~。リウスさんの本は、留学時代に学んだサリバン先生の世界史を思い出させてくれる。学ぶ楽しさを教えてくれた授業の一つ。

https://www.facebook.com/photo/?fbid=3036788623046344&set=a.252482128143688

●参考:「私の人生に影響を与えた7冊」

https://www.facebook.com/masahiro.sekine.9/posts/pfbid0kisEh7QadTWKsousPH83tffpzREj1YxqoupdwbquCGJC3PzGvUkocSq1wgPpTgRpl

○この本と、最初に出会えてよかった。マルクス本を一通り読んだ後、また戻ってこよう。そうしたら、より頭の中が整理されるかも。

===

『マルクスのかじり方』 石川康宏(2011)

○タイトルが秀逸!

・「マルクスは、この社会を生き抜く自信を与えてくれる」

・経済の発展はけっこうだけど、みんなの貧困はなんとかしなくちゃ。

・「自己」は、「人々の幸福」のために働くときにだけ「完成」する。

・人がおぼれるのは重力があると思い込んでいるからで、その思い込みを頭から追い払えば、人がおぼれることはなくなる。こういうものの見方を「観念論」と呼んだ。
・現実に重力はある。現実こそが観念をつくる大もとなのだと考えるのが「唯物論」

・経済の変化が、歴史を作る「動機」の根本にある。

・資本主義の「運動法則」をとらえる。そのためには「資本論」の第一部を最後まで読み通すことが必要。

・変化や発展への沢山の元気が資本主義にはある。
・もうけを目的にすることで、反対に社会に迷惑をもたらすところもある。

・生産手段をみんな(社会)のものにする。

・学びの基本は、なんといっても独習。
・本は「読めるもの」だけでなく「読めるようになりたいもの」もぜひ手元に置く。その気持ちの背伸びが、成長への大きな励ましになってくれる。

・マルクス主義=科学的社会主義

・マルクスは、資本主義を、一時的な存在としてとらえている。
・人間社会は、資本主義で終わりではなく、より進化した成熟した社会に変わっていく。

・マルクスは、どんどん自分の思想と行動を発展させる。自分で自分を成長させている。

・大きな見通しは、生活のために働かなければならない時間が次第に短くなり、各人の自由時間が増えていくということ。

・1936年にフランスの労働運動が、世界で初めて年2週間の有給休暇を勝ち取る。

・恐慌は、周期的に発生する過剰生産にもとづく経済の混乱であることを明らかにした。

・マルクスも「すべてを疑え」といったが、判断の他人任せにするなということ。

・学びについては、目指す量をはっきりさせることが大事。
・年に本棚1冊分の本を買う。30冊×6段=180冊。2日に1冊のペース。
○俺は、年に200冊のペースだから、まあ良しかな。これからも読み続けよう!

===

『マルクスは生きている』不破哲三(2009)

○「マルクスのかじり方」で、石川先生が勧めていた本。「マルクスのことを、これほど多面的に深く研究している人はめったにいない」

―――

第一章 唯物論の思想家 マルクス

・3つの質問(地球の存在、脳の助け、他人の存在)にイエスと答えるなら、立派な唯物論者。

・戦争中は、禁制の思想だったマルクスの思想。

・マルクスは、「弁証法」の方法をもって、世界を見ている。

・社会と歴史を「科学の目」で見る大きな土台を作った。
 1)社会の土台は、人間の経済生活にある
 2)経済関係の段階的な発展が、歴史の時代を区分する
 3)社会を動かす主役は「階級」である

第二章 資本主義の病理学者 マルクス

・なぜ貧困と格差が広がるのか?

・封建社会での年貢の取り立てと違って、資本主義の搾取は、その仕組みも姿もはっきり見えない。

・資本家は、賃金分に相当する時間をこえて、労働を続けさせる。その時間帯に生み出された価値は、まるまる資本家のものとなる。これが「剰余価値」

・「生産のための生産」が、資本主義の合言葉になる。ここに資本的主義生産のもっとも根源をなす病理をみた。

・派遣労働は、1999年の法改定で「原則自由化」の規定が織り込まれて以来、すべての産業に急速に広がった。

・「大洪水よ、わが亡きあとに来たれ」結果に責任を負わない利潤第一主義の無責任さ。

・フランスの労働者にとって「有給休暇」は、今でも闘争で獲得した大事な社会的権利。

・「ルールなき資本主義」

・物をつくりすぎて社会全体が苦しむという災害:恐慌

・新自由主義は、1991年のソ連の崩壊をチャンスとして、資本主義万歳論を旗印に、世界資本主義の支配的な流れとなった。利潤第一主義を野放しにすることを主張した。

・地球温暖化を引き起こした元凶は、資本主義的生産様式とその利潤第一主義にある。

・資本主義社会では「社会的理性」が、災害の起こった後で働きだすのに対し、共産主義社会では「社会的理性」はことが起きる前に働く。

第三章 未来社会の開拓者 マルクス

・資本主義の社会悪
 1)生産者の貧困 2)周期的な災害:恐慌 3)資本の破壊力

・すべての害悪は、生産手段が資本の手中にあるという資本主義的生産の根本的な仕組み帰着する
・生産手段を社会の手に移す 「生産手段の社会化」

○生産手段を「頭・考え方」と見ることはできないか? 岩尾先生の言う「価値創造(経営思考)の民主化」のように。

・社会主義と共産主義は、未来社会を表現する同じ意味の言葉で、内容の区別はない。

・多くの人々が置かれた環境に支配され、その能力を埋もらせたまま、生涯を終わる。
・マルクスは「労働日の短縮」こそ「人間の力の発達の根本条件」だと。
○労働とは別の所に「発達」がある? 労働する(働く)ことで発達する力は無い?

・実際の変革の時期に、それにあたる世代の人々の探求にゆだねざるを得ない。
○これは、地域もそうだよな~。グランドデザインで縛ったら、後から続く人のやる気をそぐ。

・社会主義や革命を他国に押し付けることは許されない。

・ソ連は「覇権主義という歴史的巨悪」であり、社会主義とは無縁な人民抑圧型の社会であった。
○マルクスに対する拒否感は、やっぱりソ連の存在が大きかったよな~。西側から見た「悪の帝国」

・ソ連の歴史
  1917年の革命後、レーニンが指導した初期の時代
  1930年代、スターリンの指導に移って以後の時代

・スターリン個人の意思でことが決せられる個人専制の体制に変質。

・日本共産党は、ソ連からの干渉攻撃を、1950年代と60年代の二度にわたって受けた。

・ソ連で破綻したのは、マルクスの精神を捨て去った覇権主義や専制主義であり、マルクスの未来社会論ではない。

・マルクスと言えば、ソ連型社会主義を頭に浮かべるといった誤解は、広く存在している。
○俺もそうだよな~。

・もしマルクスがソ連社会の現実と行動を目撃する機会があったら「これがマルクス主義の未来社会ならば、私はマルクス主義者ではない」との言葉を繰り返しただろう。

===

投稿者:関根雅泰

コメントフォーム

ページトップに戻る