「研修開発ラボ」10周年を機に、中原先生との出会いを振り返ってみました。

企業内教育担当者向け

「研修開発ラボ」10周年を機に、中原先生との出会いを振り返ってみました。

ラーンウェル代表の関根です。

2023年10月30日(月)ダイヤモンド社様主催「研修開発ラボ」がスタートしました。

2014年から始まったので、今年で10周年です。
(8月には、10周年記念特別セミナー「企業研修10年史」も開催しました。)

10年続けてこられたのも、これまでの参加者の皆さん、ダイヤモンド社の広瀬さん、田村さんを始めとするご担当者の皆さん、共に登壇して下さっている講師ビジョンの島村さん、ラーニングクリエイトの鈴木さん、そして、なんといっても、最初のきっかけを作って下さった立教大学 中原先生のお陰です。

改めて、感謝の気持ちを込めて、中原先生との出会いをふり返ってみたいと思います。

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●2006年

ダイヤモンド社から書籍『企業内人材育成入門』が出ました。

「企業内人材育成入門~人を育てる心理・教育学の基本理論を学ぶ」
https://www.learn-well.com/blog/2009/01/post_211-2.html

私は、2005年に独立して、2年目。この本を読んだときに、「黒船が来た!」と、大げさでなく思いました。

(中原先生のインタビュー記事で、ダイヤモンド社の広瀬さんも触れて下さっていますね。)

それまでの研修業界は、いわゆる「KKD:カン・経験・度胸」が、幅を利かせる世界でした。
そこに、若い研究者の先生方が、「科学知」を武器に、乗り込んできた感じです。

「これは、勉強しないと・・・」

と、焦りました。

そこから、『企業内人材育成入門』に載っている他の本を読んだり、東大で中原先生たちが開催されるイベントに参加するようになりました。

「企業研修の先にある未来」@東大
https://www.learn-well.com/blog/2007/04/post_21-2.html

「経験からの学習」@東大
https://www.learn-well.com/blog/2007/05/post_52.html

それでも、まだまだ、「こんなんじゃ足りない。もっと勉強しないと・・・」と焦ってました。

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●2007年

独立前からのうちの奥さんとの約束の一つが「独立したら、家族で海外旅行に行こう!」というものでした。

独立2年目の5月、アメリカのアトランタで開催されたASTD(現ATD)に、奥さん、長女、次女の3人で行くことにしました。私と奥さんは、アトランタから比較的近い、ミシシッピー州の大学に留学していたので、久しぶりのアメリカ南部訪問です。(母校にも行ってみました)

ASTDのセッションの合間に、ランチを食べようと、歩いていたら、前のほうに、背の高いアジア系男性がいます。

「・・・なんか見たことあるな~」と思っていたら、なんと中原先生でした!

中原先生は、当然、私のことは知りません。こちらが一方的に存じ上げているだけです。

「こんな機会はめったにない!」と勇気を振り絞って、ランチに誘ったら
「あ、いいですよ」と軽いノリで、ランチに付き合ってくださいました。

中原先生のブログ記事
http://www.nakahara-lab.net/blog/2007/06/astd2007.html

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●2008年

この年も、家族でASTDに行きました。お金はかかりますが、仕事と家族への投資は必要と考えていたからです。

ASTDで最後の基調講演に行こうと移動していたら、なんとなく見覚えのある人があるいていました。背がすらっと高いアジア系の男性です。

(もしかして・・・)と思って近づいてみると、東京大学の中原淳先生でした。

「あ、関根さん、どうも。」

事前にメールでASTDに行くことはお知らせしてあり、先生からも「向こうで会うかもしれませんね」とメールを頂戴していたので、「やっぱりお会いしましたね」という感じでした。

基調講演に行く前の、10分ほどの立ち話だったのですが、とても貴重なお話を聞かせて頂くことができました。

「新人へのOJTが上手くいっている職場では、指導員一人が教えていない」という話を投げかけると「それは、確かにそのとおり」といって、いくつかの説を教えてくださいました。
・Developmental Network(発達的ネットワーク)ヒギンズ
・Reciprocalcity(互恵性)
・世代継承性 エリクソン

中原先生は、「能力開発は、個人の能力・キャラだけではなく、職場の環境が大切である」というメッセージを伝えるべく新刊を著されているそうです。

この中原先生とのお話もあって、私の方でも「指導員が一人で教えていない」ネットワーク型OJTについて調べるようになりました。

新人を指導するOJT担当は、一人で指導していない
https://www.learn-well.com/blog/2008/06/post_96-2.html

OJT担当が周囲を巻き込んで新人を指導育成している事例
https://www.learn-well.com/blog/2008/07/ojt_3.html

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●2009年

人材開発に関する体系的な知識を得るためにも、中原先生の研究室に入りたく、東京大学大学院入学を目指し、準備を始めました。

2010年4月に東大大学院に入ります(予定)
https://www.learn-well.com/blog/2009/03/20104.html

中原先生に、その決意を伝えに、研究室に行ったら、エクセルでつくられた書籍リストを渡されました。

「関根さん、うちに入りたいなら、これぐらいは読んでくださいね」

見ると、200冊ぐらい、細かい書籍のタイトルが並んでいます。

私の負けず嫌い魂に火をつけて頂いたので、そこからガンガン本を読むようになりました。

宣言! 2009年1月9日
https://www.learn-well.com/blog/2009/01/post_208-2.html

中原先生は、そんな私の様子もきちんと見て下さっていて、時折、ブログのコメント欄に、
「よく頑張ってますね」といった励ましのメッセージを残してくださいました。

そんな先生の励ましと周囲の皆さんの手助けのお陰で、何とか東大大学院に入学できました。

東大大学院 一次試験 合格発表
https://www.learn-well.com/blog/2009/08/post_266.html

東大大学院 二次試験 合格発表
https://www.learn-well.com/blog/2009/09/post_271.html

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●2010年~2013年

東大大学院M1(修士1年)として入学し、3年間で修士号を得て、卒業しました。

修士論文は「新卒社員の組織社会化を促す社会化エージェントの役割分担に関する実証研究」です。新卒社員の組織適応を上手に促していたOJT指導員は「1人で教えず周囲の協力を得ていた」ことが、定量研究で実証されました。

修士時代は、楽しくもあり、苦しくもあり、今思えばあっという間でした。お世話になった先生方やゼミメンバーの皆さん、そして快く送り出してくれた家族に感謝です。

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●2014年~

中原先生の書籍『研修開発入門』が、ダイヤモンド社から出版されました。

研修開発入門-会社で「教える」、競争優位を「つくる」 | 中原 淳 |本 | 通販 | Amazon

ダイヤモンド社の永田さんから、「関根さん、この本を、研修にしてくださいよ」というご依頼を頂き、作成したのが「研修開発ラボ」のプレセミナーでした。

本リリース前の仮版ということで、企業の人事教育担当の方々にご協力頂き、プレセミナーを受講し、フィードバックをもらうという機会を作ってもらいました。

(下記ページの写真は、2014年のプレセミナー時のものです)
https://jinzai-lp.diamond.co.jp/lab/

その時に参加されていたお一人が、元ソフトバンクの島村さん(現講師ビジョン)でした。その後、島村さんは独立され、今では「研修開発ラボ」のメイン講師として関わってもらっています。

更に、ラーニングクリエイト社の鈴木さんも加わり、現在の「研修開発ラボ」は、「島村・鈴木・関根」という「サ行」の講師の3名体制で、運営されています。

中原先生には、公開ゼミナール時に登壇頂き、各参加者の課題に、ガチで向き合ってもらっています。

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●2015年~

この3名の講師陣は、中原先生の慶應MCC「ラーニングイノベーション論」でも、登壇させて頂いていて、現在は「研修デザインの実践」というパートを担当させてもらっています。(パートナー講師の栗原さん、汐中さんにもご支援頂いています)

このように、大学院卒業後も、中原先生とは定期的にお会いする機会を頂いてます。また、中原先生が立教大学大学院に移られた後も、ご厚意で、院ゼミに参加させてもらったりしていました。

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そんなある日(2019年11月下旬)中原先生から、こんな一言をもらいました。

「関根さん、最近、アカデミックな背伸びしてますか?」

また、カッチーン!と私の負けず嫌い魂に火が付き、

「はい!背伸びします!」

と、そこからアカデミックな文献を読み、ブログに抜き書きをあげていくという活動を、2019年12月から、毎週木曜日に行うようになりました。これはお陰様で今も続いています。

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●2022年~

アカデミックな背伸びとして「研修評価」に関する先行研究をまとめ、中原先生、島村さん、林博之さん(『対話型OJT』2020の共著者)と共に、ダイヤモンド社さんから『研修評価の教科書』という本を、2022年に出版させて頂けることになりました。

それもこれも、中原先生が、火をつけてくれたお陰です。

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更に、最近(2023年10月)中原先生から、次のような言葉を頂きました。

「関根さんは、次は何をやるんですか?」

お~! また燃える一言ありがとうございます!

次何をやるかについては、2023年11月22日の立教大学大学院 中原ゼミでの発表時に、ご報告したいと考えています。

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こうやって、中原先生との出会いから今までをふり返ってみると、中原先生は、私にとっての「ファイヤースターター(火打石)」なのかもと思いました。

・こちらの負けず嫌い魂に火をつけて、新たな挑戦に向かわせてくれる。

・一度ついた火が消えないように、時折、風を送り、励ましてくれる。

・燃えきったら、頃合いを見て、また次の火をつけようとしてくれる。

大人になって、50代を超えると、なかなかこういうことをして下さる方はいません。本当に、ありがたいことです。(私が、中原先生にしてもらったことは、自分の後輩達に返していきます。)

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その反面、ファイヤースターターも、それだけでは火がつきません。飛び散った火花が燃え移る「火口(燃えやすいもの)」が必要です。

中原先生のあおり(火起こし)に、上手く乗っかって、火をつけるためには、こちらの準備も必要です。

その準備の一つが、私にとっては、常に論文や本を読み、アカデミックな空気に触れることなのかもしれません。私は、研究者として博士号や大学教員への道は目指しませんが、探求者としての実践は続けていこうと思っています。

「ファイヤースターター」中原先生、いつもありがとうございます! 感謝しています!

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投稿者:関根雅泰

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