10年度「OJT指導員研修」アンケート結果

2.OJT担当者向け「教え上手になる!」研修

2010年度も複数社様で約500名を対象に
「OJT指導員研修」を実施させて頂きました。
そこで得られた情報を差しさわりの無い範囲でご紹介します。

(データ分析協力:Learning & Culture Innovation 株式会社*
 *弊社と守秘義務契約を結んでいるコンサルティング会社です。)
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1.研修参加者
●回答者基本データ
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2009年度は、約1000名の方に受講頂きましたので、
2010年度は、約半分の参加者数となりました。
2009年度までの新卒採用数と比べて、
2010年度の新卒採用数が減ったことが大きく影響しました。
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2.OJT指導「未経験者」が「期待」していること
今年初めて新入社員へのOJT指導を担当する方々が、新人指導をすることに
対してどんな「期待」を抱いているのかを聞きました。
通常業務があって忙しい中、新人の面倒をみることになりますので、
そんな彼らが期待していること、彼らにとってのメリットとは何なのでしょうか?
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彼らのほとんどが「自己のふり返りができる」「指導力を身につけられる」という
期待をもって、新人指導に取り組もうとしています。
(この回答は、08年度、09年度も同じような傾向です)
これは東大の中原先生、神戸大の松尾先生が、富士ゼロックス総合教育研究所と
共同で行った「他者とのかかわり」に関する研究結果とも合致しますね。
「後輩を指導することが、本人の内省につながる」
「内省支援が、本人の成長感に寄与する」
(詳細は「リフレクティブマネジャー」光文社新書)
また、中原先生が「職場学習論」で示唆している
「下位者からの学習効果」への期待とも考えられます。
~2年目の社員が新人や部下を持つことで
 「伸びる=能力向上」が図られる可能性
 部下が職場に配属されれば「自分の仕事を引き継がな」くてはならないため、 
 色々な仕事を「棚卸し」することが求められる。また「新人に教えるとき」
 には「はっと気づく」ことがあることもある~
                中原淳「職場学習論」2010 p101
OJT指導員は、新人を指導することで、自身の内省(ふり返り)が促され、
それが本人の成長を促す。
大変ですが、OJT指導員になれるということは、本人が更に成長し飛躍する
大きなチャンスなのかもしれませんね。
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3.OJT指導「未経験者」が「不安」に感じていること
成長するチャンスとはいっても、初めて新人を指導するOJT指導員は、
当然「不安」も抱えています。
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「忙しい中両立できるか?」「(初めてなので)教え方が分からない」
という不安を、ほとんどの未経験者が抱えています。
(この回答は、08年度、09年度も同じような傾向です)
新入社員が配属される前か直後に、彼らが抱えるこうした不安を解消する
機会を提供することは大事なことだと思います。
その手段の一つが、集合研修です。
通常業務で忙しい彼・彼女らも、自分の不安が解消される研修であれば、
参加には積極的です。
研修を受けることにより
「不安が解消された」「気持が前向きになった」
という効果が見られるようです。
https://www.learn-well.com/blog/2009/04/ojt_4.html
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4.OJT指導「経験者」が「苦労」したこと
研修参加者の中で、今までに新人へのOJT指導員を担当したことがある
「経験者」に「どんな苦労がありました?」と聞いています。
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「忙しい中での両立」「教え方」に苦労したという意見が大半です。
(この回答は、08年度、09年度も同じような傾向です)
自分の業務もあって忙しい中、年齢も価値観も違う新入社員と向き合う
OJT指導員。
そんな彼らが「工夫」してきたことには、次のようなものがありました。
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5.OJT指導「経験者」が「工夫」してきたこと
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指導員は、様々な工夫をしています。
多くは、指導員「個人」レベルでの工夫なのですが、
周囲を巻き込む「職場」レベルでの工夫もあります。
新人指導が上手くいっている職場で見られる「ネットワーク型OJT」
職場全体そして他部署も巻き込んだ新人指導です。
(「ネットワーク型OJT」の詳細については、下記をご参照ください。)
「日経ネット 連載記事 PDF」
  https://www.learn-well.com/blog/2011/12/pdf.html
「関根の講演ムービー」
  http://learn-well.com/ojt09movie.html
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7.参加者が研修に「期待」していること
通常業務で忙しい対象者が、集合研修に何を期待しているのでしょうか?
彼・彼女らが「学びたいこと・得たいこと」は何なのか?
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「教え方」について学びたいという意見がほとんどです。
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経験者は「新入社員のモチベーションの維持・向上のさせ方」に関する意見が
目立ちます。
これは、彼・彼女らの経験の中で、新入社員のモチベーションが下がる場面に
出くわしてきたからということでしょうか。
(この回答は、08年度、09年度も同じような傾向です)
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8.研修で「学んだこと・気づいたこと」
上記期待を持って研修に挑んだ参加者が、研修に参加したことで「得たこと」
「学んだこと・気づいたこと」は何なのでしょうか?
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2010年度「OJT指導員研修」受講者に特に目立った回答は、
「効果的なほめ方・叱り方」を学んだという回答です。
これは前述した「OJT経験者」の「研修への期待」に「新入社員の
モチベーションの維持向上」というものがあり、そこへの対応として、
2010年度研修内容に一部修正を加えた結果かもしれません。
ある事例に基づき、OJT指導員役、新入社員役となってロールプレイをします。
「こういう新入社員に対して、あなただったら、どう対応しますか?」
実際にやってみると様々な気づきがあるようです。
(事例作成は、KKCの斎田氏にご協力頂きました。
 非常に現実感のある事例と言うことで、参加者の方からもご評価頂きました。
  http://www.kkc.biz-web.jp/index2.html
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9.研修に「参加して良かった」
研修直後に聞いた結果です。
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「経験者」は、「ふり返りができたこと」
「未経験者」は、「不安が解消されたこと」を評価してくれています。
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OJT指導「経験者」であっても、研修に参加して「学んだこと・気づいたこと」は
多いようです。
これは彼・彼女らが、実際の経験を、ふり返り(内省)照らし合わせをしながら
研修に参加しているからだと言えます。
集合研修(Off-JT)の意義の一つは、通常業務を離れて
じっくり考えられる点にあります。
研修内では、彼・彼女らの経験をふり返る機会を意図的に作っています。
そのためかもしれませんね。
(この回答は、08年度、09年度も同じような傾向です)
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10.今回の研修は「今後に役立つ」
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研修で学ぶ内容が「実践的」で「現場で使える」「後輩指導に役立つ」と
感じて頂いているようです。
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(この回答は、08年度、09年度も同じような傾向です)
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11.意見・要望・感想
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「経験者」「未経験者」ともに、研修内容には満足頂けたようです。
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09年度アンケート結果ブログにも書きましたが、
これらの結果はつまり、D.カークパトリックの研修効果測定の4段階で言う所の
「レベル1:Reaction 反応」「レベル2:Learning 学習」で
高い評価を頂けたということです。
今後は、
「レベル3:Behavior 行動」「レベル4:Result 結果」
を見ていくことになります。
「結果」は、定性的なものとして「新人の成長」があると思います。
(現在、東京大学大学院で私が関わっているプロジェクトの一つ
 「2年目社員の業務能力向上」に「指導員のどのような行動が影響したのか」
 という調査は、この「結果」を見る一つの参考になるかもしれません。
 分析結果が出次第、改めてご報告します)
これらの「結果」に向けて、指導員の「行動持続」を
支援していく必要性が出てきます。
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一つの仕掛けは「新入社員フォローアップ研修」です。
ここで、指導員の行動の様子を新入社員に確認したり、
指導員に研修内容を思い出させる働きかけができます。
「OJT指導員研修」で多くを学び「よし、現場でやろう!」と思っても、
通常業務に追われ忙しい中ですと、ついついおろそかになり忘れてしまいます。
新入社員が「フォロー研修」に参加することを契機として、
指導員自身にも「指導員研修」で学んだことを思い出してもらうのです。
そのための働きかけの一つとして「新人への手紙」があります。
新入社員には内緒で、指導員に「新人への手紙」を書いてもらうのです。
・新入社員の頑張っている点、ほめてあげたい点
・指導員自身の反省点
・新入社員に今後期待していること
これらを書くことを通して、指導員研修で学んだことを思い出し、かつ
新入社員について改めてじっくり考える時間をとってもらいます。
この手紙を受け取った新入社員の喜び、感動は大きいです。
号泣する子も出てきます。
(ある研修では、泣き過ぎて、過呼吸になった新入社員も出ました。)
「新入社員フォローアップ研修」については、別の記事でご紹介しますね。
(「新入社員フォローアップ研修」参加者の声をまとめました。
  やはり「OJTからの手紙」に対する声が多いです。 ↓ )
  https://www.learn-well.com/blog/2009/12/post_91.html
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12.考えられる対象者
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「幅広く」とありますが、研修運営者として感じているのは、
この研修(OJT指導員研修)に、もっとも適した参加者は、
・初めて指導員として新入社員の面倒をみる 
・若手社員(20代~30代)
だと思います。
本研修で前提としているのは、
・会社から任命された「指導員、チューター、OJTリーダー」が、
・1~3名程度の新入社員(高卒、短大卒、大学卒、院卒)を
・一定期間(半年~1年間のOJT期間)で、
どう指導育成していくのかというものです。
そのため、複数の部下を長期にわたり、指導しているマネジャーの方ですと、
若干物足りなさを感じると思います。
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以上、2010年度「OJT指導員研修」参加者約500名の声をご紹介しました。
2011年度も、複数社様で今年に引き続いて「OJT指導員研修」を
実施させて頂く予定です。
2011年度のOJT指導員の声も、差しさわりの無い範囲で
今後ご紹介していきます。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
(研修実施の機会を下さった各社教育担当の皆さま、そして
 研修に参加して下さった参加者の方々、ありがとうございました。
 最後にデータ分析に協力下さったLCIの内田社長、ありがとうございました。
  Learning & Culture Innovation 株式会社 http://www.lci-h.co.jp/ )
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●ご参考
 2008年度 「OJT指導員研修」アンケート結果
  https://www.learn-well.com/blog/2008/08/400ojt.html
 2009年度 「OJT指導員研修」アンケート結果
  https://www.learn-well.com/blog/2009/11/ojt_7.html 
 2010年度 「OJT指導員研修」途中報告
  https://www.learn-well.com/blog/2010/06/2010.html
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投稿者:関根雅泰

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