【木曜日25-44】「構造主義」本

木曜日

【木曜日25-44】「構造主義」本

○積読になってた入門書(2冊)

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『寝ながら学べる構造主義』 内田樹(2002)

・よい入門書は、「私達はなぜそのことを知らないままで、今日まで済ませてこられたのか」を問う。

・「自分の知らないこと」を本に書くのはあり。

・つねにあるイデオロギーが「常識」として支配している「偏見の時代」を生きているという発想法そのものが、構造主義がもたらした最も重要な切り口。

・マルクスが指摘したのは、人間が「どの階級に属するか」によって「ものの見え方」が変わってくるということ。
○ここまでちゃんと読み切れてないな~。そういうことだったんだ。

参考:マルクス本

・技芸の伝承に際しては、「師を見るな、師が見ているものを見よ」ということが言われる。

・ソシュールが、思想史的には、構造主義を始めた人だとされる。

・「私の持論」という袋には、何でも入るが、そこに一番沢山入っているのは、実は「他人の持論」である。
○だから「読んでなくても、堂々と語れる」のかも。すでに、聞きかじった知識でも「私の持論」という袋に入っているから。私というフィルターを通して、他人の持論について語っている。

・構造主義とは、様々な人間諸制度(言語、文学、神話、親族、無意識など)における「零度の探求」である。

・知と権力は、近代において、人間の「標準化」という方向を目指してきたというのが、フーコーの基本的な考え方。

・人間の身体は、政治的な技術によって「加工」することが可能。
・「体操」の導入。操作可能な身体、従順な身体を造形。

・身体の支配を通じて、精神を支配する事こそ、この政治技術の最終目的。
・権力は、必ず「身体」を標的にする。
○恐ろしいな~。コロナの時もそうだったのかも。外出規制、ソーシャルディスタンス、マスク着用等、身体への働きかけ。それに拍車をかけたのが、マスコミ(特にテレビ)だったな~。

・「体育坐り」は、日本の学校が子供たちの身体に加えたもっとも残忍な暴力の一つ。
・「手も足も出せない」「息を殺している」姿勢。教員による無自覚な、子どもの身体へのいじめ。
・文部省が1958年に、この姿勢をとらせるよう通達。日本の戦後教育が行ったもっとも陰湿で残酷な「身体の政治技術」の行使の実例。
○体育坐りをしていた自分も無自覚だったし、させてる方も無自覚。皆に気付かれずに、本人も気づかぬうちに、従順な身体と精神を造りだせてしまうってことかも。恐ろしいな~。

・フーコーが指摘したのは、あらゆる知の営みは、それが情報を取りまとめてストックしようという欲望によって駆動されている限り、必ず「権力」的に機能するということ。
○これ、まさにGoogleが目指していることだし、だからこそ、今Googleが、こと商売に関しては、権力者になってしまっているのかも。Google検索に乗らなければ、そもそも存在すら許されない、認められない状態になっている。

参考:Googleのミッション https://about.google/intl/ja_ALL/company-info/

世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること。(To organize the world’s information and make it universally accessible and useful.)

・本を読んだせいで、ものの見方に変化が生じる。

・「テクスト」とは、「織りあげられたもの」のこと。
○仏教の「経営」の定義にも通ずるかも。「経=織物の経糸(たていと)」(松波先生のCDより)

・読者の誕生は、作者の死によって贖わなければならない(ロラン・バルト「作者の死」)

・レヴィ=ストロースが、マルクス主義とハイデガー存在論で完全武装したサルトルの「実存主義」を粉砕。
・文明人と未開人は、その関心の持ち方が違う。
・西欧的知性の思い上がりに対する厳しい自制。

・親族構造は、近親相関を禁止するために存在する。
・近親相姦が禁止されるのは、女のコミュニケーションを推進するためである。

・人間は、自分が欲しいものは、他人から与えられるという仕方でしか、手に入れることができない。この真理を人間に繰り返し刷り込む。
・あらゆる集団に妥当するルール
 1)人間社会は、同じ状態にあり続けることができない
 2)私達が欲するものは、まず他者に与えなければならない

・隣人愛や自己犠牲といった行動が、人間性の「余剰」ではなく、人間性の「起源」である。

・他者とことばを共有し、物語を共作すること。それが人間性の根本的条件。
・「コブとり爺さん」の教訓は、「この不条理な事実をまるごと承認せよ」という命令のうちにこそある。

○この本、面白かった!千葉雅也先生の本を読んだ後だったからかも。本って、読む時期と、読む順番はあるな~。

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『はじめての構造主義』 橋爪大三郎(1988)

・マルクス主義によれば、人間社会は歴史法則によって支配されている。この法則は絶対的(科学的真理)だから、動かすことができない。

・構造主義は、人間や社会の在り方を、歴史(西欧思想の色眼鏡)抜きに直視する方法を発見した。
・構造主義は、比較方法論によっている、相対化の思想。構造主義が現れて以来の思想を現代思想と呼ぶ。

・料理の三角形:生のもの/焼いたもの 火にかけたもの/燻ったもの 腐ったもの/煮たもの
・母音三角形と子音三角形:

・親族は、女性を交換するためにある。
・近親相姦が否定されてはじめて、人々の協力のネットワーク(つまり社会)が広がっていくのだ。
○確かに、近親相姦がされてしまえば、閉ざされた家族内のみとなり、社会として広がっていかない。

・人間は、交換する動物。

・神話分析は、テキストを破壊してしまう無神論の学問。

・構造主義に一番縁が深いのは、数学。
・構造とは、数学の中に隠れている秩序。

・ユークリッドの「幾何学原本」に載っている公理
 1)どんな2点の間にも、一本の線分がひける
 2)線分を、好きなだけ延長できる
 3)好きな点を中心に、好きな半径の円を描くことができる
 4)直角はどれも等しい
 5)直線外の一点を通って、その直線に平行な直線を、1本だけひくことができる

・非ユークリッド幾何学

・ジャンケンの構造

・ヨーロッパ世界が、「クラインの四元群」にたどり着くまで、2000年かかった。
 オーストラリアの原住民の人々は、それと同じやり方で大昔から自分たちの社会を運営していた。

・アインシュタインは、観測結果は、観測者の運動に左右されると考えた。
・レヴィ=ストロースは、主体の思考の手の届かない彼方に、それを包む集合的な思考の領域があることを示した。それが神話である。
○この辺って、松波先生の仏教思想にも通じそう。もっと勉強してみよう。

・デリダの本領は、構造主義の刺戟を存分に吸収して、哲学に新たな展開を見せたところにある。これをポスト構造主義という。ジル・ドゥールズ、フェリックス・ガタリといったあたりになってくる。
○この辺から、千葉雅也先生の本につながってくるんだろうな~。

○この本も面白かった! 入門書が2冊とも面白いって、めったに無いかも。(だいたいどっちか外れる)

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投稿者:関根雅泰

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