
○日本で歩いていた人たち:松尾芭蕉、葛飾北斎、歌川広重に関する本(7冊)
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『おくのほそ道』 松尾芭蕉 角川書店(編)(2001)
・旅にあって苦労する修行の句が大半を占めている。
・日光山は、霊威あらたかな修験道の山で、山そのものが神体であった。
・当時の旅は、足が一番大事。「夏山に足駄を拝む首途かな」
・俳句は、世界一の短詩。
・『The Narrow Road to Oku』ドナルド・キーンによる英訳
・「不易流行」は、俳諧の本質。
・不易性と流行性とが互いに調和し、統合しあってこそ、俳諧は芸術としての生命を獲得することができる。
・「おくのほそ道」の旅以来、芭蕉は「不易流行」という俳諧理念を口にし始める。
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『知られざる北斎』 神山典士(2018)
・コレクショニズムという名の征服欲。
・文化による世界制覇。美を通して、日本を飲み込む。
・浮世絵という名の黒船の来襲。
・19世紀末を境に、西洋画の作風が、日本風に変わっている。
・ジャポニズムが、パリで起きたのは、1872年ごろ。
・林忠正のビジネスは「価値の質的転換」をはかったもの。実用価値から交換価値へ。
・忠正の業績で傑出しているのは、日本の美術のコンテクスト(文脈)を、西洋に正しく提示したこと。
・「万博は、国家間の競争であり、一国の文明度を競う平和な戦いだ」
・江戸末期、北斎は、小布施の高井鴻山の招きで、250キロを踏破して、4回通ったと言われている。
・小布施のまちづくりにスタートはあっても「終わり」はない。常に新しいテーマを見つけた新しいプレーヤーが現れ、新しいサポーターと共に、チャレンジャーに名乗りをあげる。
○これいいな~。比企ら辺もこういう状態を目指したい。
・通常の観光地は、何かを目的に、人がやってくる。小布施では、住民たちが快適に過ごす結果、それに憧れて観光客がやってくる。「結果観光」という言葉。
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『葛飾北斎 冨嶽三十六景を読む』 正真解説 有泉豊明(2014)
・多くの解説者たちは、北斎の意図した間違いに騙されてきた。
・北斎は嘘つき。絵としての完成度をあげるためには、嘘でも平気で突き通す。
・北斎苦心のいくつもの大きな間違い、でたらめなどは、当時の人々の好んだ明るいユーモア、おどけ、滑稽などの北斎の絵画的表現ではあるまいか。
・誰でも登れる(諸人登山)富士塚と呼ばれるミニチュアの人口富士山を描いている。
・ぱっと見ただけでは誰も気づけない大きな間違い、でたらめを巧妙に仕掛けている。

○これいいな~。笑える。
・天下泰平の世の続く当時は、このような明るい知的なユーモアが好まれた。
・北斗七星
・平和な時代が延々と続き、人々に閑ができると、終日釣りに精を出す「釣馬鹿」なる馬鹿が出現し、さらに、その釣りを飽きず眺めて暮らす「それを見る馬鹿」なる大馬鹿も自然発生した。

○これいいな~。
・冨嶽三十六景には、当時の江戸の人々の好みであったおどけ、滑稽、言葉遊び、駄洒落、謎々などのユーモアがふんだんに描き込まれている。
・正真解説(精神科医説)有泉豊明
○この落ちもいいね~。
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『北斎と数学』 新藤茂(2024)
・数学は、最も自由な学問。
・人間の思考は「違いがわかる」よりも「共通性がわかる」ほうが、発達段階が上。
・北斎螺旋(新藤螺旋α)と、江戸曲線(新藤曲線β)

○この著者、凄いな。
・数学は、宇宙を記述するためにある、人間が創り出した芸術である。
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『北斎漫画、動きの驚異』 藤ひさし・田中聡(著)小林忠(監修)(2017)
・漫画とは、漫ろ(そぞろ)に描いた画、筆のおもむくままに描いた画という意味。
・北斎自身もよく歩いた。頑健だった。
・自身が動くことで、物の多様な姿も観えてくる。
・浮世 いっそ浮いて流れる今を楽しんで行きよう
・万物を平らに見渡す目。
・それまでに見てきたものを、身体の中に蓄えておいて、それを引き出して描く。
・大阪(西)の洪庵に対して、江戸(東)の北斎。
・旅をすると、すごく儲かった。昔の旅人は、仕事をしながら歩いていた。
・「神奈川沖浪裏 Great Wave」は、西洋の思想にぴったり合う。自然と戦う人間、その向こうに神という三位一体が、劇的に表現されている。
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○「すみだ北斎美術館」25年の夏休みに、行ってみよう!
1,000円札の北斎の名画が期間限定公開! 芸術鑑賞と美食体験ができる「すみだ北斎美術館」とアフタヌーンティー「冨嶽三十六景」がオススメ(HugKum) – Yahoo!ニュース
巡るアフタヌーンティー。Vol.15【メズム東京、オートグラフ コレクション】『冨嶽三十六景』をテーマに据えたジャポニズム
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『北斎と広重 冨嶽三十六景への挑戦』 小山周子・岩崎茜(編著)(2024)
・浮絵や洋風の風景画の制作背景として、江戸の人々からのより新しいものを求める好奇心や探求心があった。
・広重の団扇絵からは、北斎への憧れと対抗心がうかがえる。
・広重は、旅をテーマに、旅情豊かに描くという新境地を見事に成功させた。
・自らその場で見た富士山を描き出す。現地の写生をもとにするという点を重視。
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『謎解き浮世絵叢書 歌川広重 保永堂版 東海道五捨三次』 (2010)
・道を描いている。
・鑑賞者が、東海道の旅を疑似体験する。
・徒歩の旅とは、すれ違いの連続。
○広重の絵も観たいな~
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