
〇選挙前~選挙中~第1次政権の様子(2冊)
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『トランプの真実 トランプ・ファミリーとホワイトハウスの素顔』ダグ・ウィード(2020)
○選挙前、選挙中、政権第1期(2016年~2019年)コロナ前の状況。『大統領を育てる』『大統領の子どもたち』の著者が執筆。トランプさんに肯定的な本。
●日本語版まえがき
・(監訳者が)本書を出版した理由は、日本のマスコミはトランプ政権の真実の姿を伝えず、反トランプ本だけが氾濫しているからだ。
・トランプのポピュリズムとは「経済ナショナリズム」であり、敵はグローバリストである。
・グローバリストは、右派も左派も、国境を廃止することを目標としている。
・この右派左派両方のグローバリストと戦っているのが、経済ナショナリストのトランプである。
●本論
・「あの個性的なビジネスマンには、偉大な大統領になれる素質がある。なぜなら、型にはまらない考え方をするからだ」R.F.ケネディ Jr.
・北朝鮮は、あまりに多くの大統領が、あまりに長い間先送りにしてきた問題。
・オバマがもう少し長く大統領でいたら、間違いなく開戦に踏み切っていたはずだ。
・2018年6月12日、トランプと金正恩は、シンガポールで会談した。史上初の米朝首脳会談である。
・シンガポール会談以降、核実験はもう行われていない。ミサイルが日本上空を飛ぶこともない。
・オバマの「戦略的忍耐」政策は、何もしないことの言い訳に過ぎなかった。
・トランプは、金にとって、亡き父に代わる新たな父親的存在。
・(トランプの)本業はあくまで、偉大なメンターだった祖父(トランプの父)から学んだ不動産開発。
・「私が大事にするのは、愛する人たちや一緒に働く人たちの意見です。それ以外の人の意見は、すべて雑音でしかありません」イヴァンカ・トランプ
・「いよいよ、誰が真の友なのかがはっきりするぞ」
・トランプは「ブルーカラー・ビリオネア」
・J.W.ブッシュとB.オバマが、アメリカを経済破綻へと導いた。そのおかげで、トランプが経済復興を実現すれば、彼の業績はさらに際立つだろう。
・アメリカは、政治屋ではない人物を、型破りな人物を、そしてマスコミの言葉狩りに制約されずに、少しは本音を言う人物を渇望していた。
・国中のメディアのほとんどは、人々の現実の生活からかけ離れたところにいる。
・「義父(トランプ)が、人の意見を聞くのがどれほど好きかはもうご存じですよね。聞き上手です。才能だと思います。」ラーラ・トランプ
・「自分の発言や行動に後悔することだってある。遊説の旅は、私自身をも変えてくれたんだ。もっといい人間になることを誓うよ」D.トランプ
・沈黙の有権者を、ネットワークニュースは、存在自体を否定。
・「本当の父は、とても共感力が高い人」「いい気になったり、傲慢になったりしないよう、気を付けていた」イヴァンカ・トランプ
・「泣いている人たち(ヒラリーの支持者)私たちが声をかけるべきはあの人たちだ。これからも大丈夫だよと言ってやらなきゃならない」D.トランプ
・アメリカのエリート層の見下したような支配に、心底嫌気がさしていた多くの人々の心をつかんだ。
・ハーバード大学の調査では、これほど否定的な報道を体験した大統領は、他にいない。
・(トランプのやり方の一つが)人に権限を与え、たとえ反対にあったり、他の人のほうがもっとその資格があると思われたりしようが、自分の選んだ相手に素晴らしい仕事をさせることだった。
・2019年夏の時点で、トランプ政権は、600万人の雇用を創出した。
・就任2年目に、経済は4.2%の成長を記録している。
・経済がどう動くか理解している人間がいるとしたら、それはビジネスマンである。
・規制緩和は、毎年新たな成果をもたらす。財政刺激的な策を行えば、それは単に一度きりのことでしかない。
・サプライサイド経済学。供給側での革新。
・企業は、アメリカ国内にいることで、多大な戦略上の利点が得られるようになった。
・国家安全保障と、経済はつながっている。
・実業家だったトランプは、人を雇うのも、解雇するのも早かった。そのやり方を大統領になった今も軽ぞk氏、効果を上げている。
・100人以上のアメリカ人が、世界各地で人質になっていた。
・トランプが政界に入ったのは、アメリカの貿易赤字と安全保障に長年不満を抱いていたからである。
・ディープステートは「深層国家」と訳される。リベラル派のエリートネットワーク。トランプのような草の根保守を敵視している。
・ここ40年近くを見てみると、アメリカが新しい戦争に関わるのを避けた大統領は、トランプしかいない。
・アジア人移民は、移民先で商売を始める傾向にあった。彼らはレストランや店を出し、ゆくゆくは共和党に投票するようになった。
・アフリカ系やラテン系の移民は、生活保護を求める傾向にあり、彼らは生活保護の受給を確保するために、民主党に投票する傾向が強かった。
・トランプの最も重要な政治的切り札の一つは、白人の福音派キリスト教徒との関係だ。
・「神は、彼に特別な目的を与えたのではないかと感じた」ポーラ・ホワイト牧師
・アメリカの大学は、悪名高いほどに、リベラルだ。
・「異なる言語とは、人生に対する異なる視点だ」
・トランプファミリーほど、ひどい目にあった大統領ファミリーは、最近の記憶では存在しない。
・歴史が、メラニア・トランプの復習を果たすのである。
・トランプは、SNSを利用してアメリカの政治を決定的に変えた。
・アメリカ人は、いつも食事代を払う成功した父親。
・大統領は、バランスという考え方を持ち込んだ。
●参考:トランプ革命に後戻りなし「父さん(アメリカ)をこれ以上頼るのはやめてくれ」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD304I60Q5A430C2000000/
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『炎と怒り トランプ政権の内幕』マイケル・ウォルフ(2018)
○トランプさんに否定的な本。
・それぞれのかたちで「ドナルド・トランプの下で働くこと」になんとか意味を見いだそうと奮闘してきた人たちの姿でもある。
・《統一場理論》を好む独学者を自任し、カリスマ的人間が歴史を動かすという歴史観を持っている
・この世界には国境が必要だ、あるいは境界線があった時代に戻るべきだというメッセージである。つまり、アメリカが偉大だった時代に戻るべきだという主張だ。トランプはそのメッセージの発信者となっている。
・「中国がすべてだ。ほかは問題じゃない。中国とうまくやらなければ、ほかのどれもうまくいかない。
・ドナルド・トランプは大統領にはならないだろう。いや、おそらくそもそもなるべきではないのだ。そして、都合のいいことに、ならないことに確信があったため、なるべきではないという点についてまでは深く考える必要がなかった。
・ドナルド・トランプと彼のささやかな戦士たちは、このように〝炎と怒り〟をもって敗北する準備を進めていた。よもや、勝つなどとは思っていなかったのである。
・億万長者、いや百億万長者を自任するこの大統領候補は、選挙運動に私費を投じようともしなかった
・年長の四人の子どもたちにとって、トランプは留守がちな父親だった。
・トランプは、三度の結婚を通じてついに結婚生活の極意を体得した、と友人たちに語っている。他人は他人、自分は自分。「好きなように生きよ」というわけだ。
・もっとも、夫が実際に大統領になることは、メラニア自身にとっては恐怖でしかなかった。トランプが大統領になったら、周到に守り抜いてきた静かな生活が脅かされることになる。
・トランプは妻に言い聞かせた。一一月になれば何もかも終わる。どうせ勝てっこないのだから――そう厳粛に請け合った。
・政治の世界で成功を収めるには、誰とつながるかがほぼすべてだからだ。
・トランプと側近がもくろんでいたのは、自分たち自身は何一つ変わることなく、ただトランプが大統領になりかけたという事実からできるだけ利益を得ることだった。生き方を改める必要もなければ、考え方を変える必要もない。自分たちはありのままでいい。なぜなら自分たちが勝つわけがないのだから。
・トランプの精神構造上、自分自身を仔細に検討することなどとうてい無理だという。同時に、他人に自分のことを洗いざらい知られることにも彼は耐えられない。
・敗北こそが勝利だった。 負けても、トランプは世界一有名な男になるだろう――〝いんちきヒラリー〟に迫害された殉教者として。
・2016年11月8日 当日に関係者一同が思い描いていた〝八方丸く収まる〟ともいうべき結末である。敗北は彼ら全員の利益になるはずだった。
・トランプを大統領にふさわしい人間と見る者は一人もいなかった。彼には政治の儀礼や作法を重んじようとする気などなく、さらにいえばほんのわずかの自己抑制さえできないからだ。
・「とにかくなんでもいいから、やってみよう」トランプは強面のタフガイではない。「トランプは温かい心を持った大きなサルだ」というバノンの揶揄には、少しばかりの称賛も含まれている。
・トランプには野生の勘が備わっていると思わせるところがあった。それこそがトランプの強みだった。人間力といってもいいだろう。トランプは他人を信じ込ませることができたのだ。
・しかしながら、『トランプ自伝』を書いたのはトランプではない。共同執筆者であるトニー・シュウォーツによれば、トランプはこの本の執筆にはほとんどタッチしておらず、最後まで読み通してすらいないらしい。ポイントはおそらくその点だ。トランプは書き手ではなく登場人物だ。主人公であり、ヒーローなのである。
・トランプには良心のやましさという感覚がない。
・二人は不気味なほど似ている。一つ違うのは、クリントンは表向きを取りつくろっていたのに対して、トランプはそうではないこと。
・政治とはネットワークビジネス、すなわち人脈がものをいう世界
・事実、バノンには政治的なこと以外にも大きな問題があった。極端なまでに整理のできない男だったのだ。一つのことに心をとらわれると、それ以外のことはすべてどうでもよくなってしまう。マネージャーとしては史上最悪かもしれなかった。
・「ミーティングは一時間だが、そのうち五四分間は彼(トランプ)の話を聞かされることになる。同じ話を何度も何度もね。だから、君は一つだけ言いたいことを用意しておけばいい。タイミングを見計らってその言葉を投げるんだ」
・勝者だというのにメディアから嫌悪され、中傷される。
・当時、よくクシュナーのもとを訪れるようになっていた賢者の一人がヘンリー・キッシンジャーだった。
・(ディープステート)〝闇の国家〟とは、情報網による政府の陰謀を指す左翼と右翼の概念
・トランプは選挙期間を通してずっと、当選後はいっそう強硬に、アメリカの情報機関は役立たずの嘘つきだと批判していたからだ。つまり、CIA、FBI、NSC(国家安全保障会議)をはじめとする一七の情報機関をまとめて敵に回していたのである。
・クシュナーは、新政権の仕事として、何より先にCIAに歩み寄るのが賢明だと考えたのである。
・セールスマンにとって最も重要な資質とは、世界の見方を絶えず自分に都合よく変えて、とにかくセールスを続けることである。
・トランプの挙動はつねにストレートで行き当たりばったりだった。
・バノンの見解はこうだった。(一)トランプはけっして変わらない、(二)トランプを無理に変えようとすれば、彼のスタイルが制約されることになる、(三)いずれにしてもトランプの支持者は気にしない、(四)いずれにしても、メディアがトランプに好意を寄せることはない、(五)メディアに迎合するより、メディアと敵対したほうがいい。
・同一の現象でも人によって見え方が違うことを心理学用語で《羅生門効果》というが、トランプの周辺ではしばしばこの現象が見られた。
・政権移行期間の初めのころ、バノンはトランプ陣営のメンバーにデイヴィッド・ハルバースタムの『ベスト&ブライテスト』(二玄社)を読むように勧めていた(ジャレッド・クシュナーは、この課題図書に実際に取り組んだ数少ない人間の一人であるらしい)。
・一九六〇年代のエスタブリッシュメント、すなわち現在トランプとバノンが果敢に闘いを挑んでいる相手の前世代についての教訓話。
・トランプはバノンがいちばん最近に出会った金持ちなのだ。それが大事だった。相手が金持ちであれば、誰であれ受け入れてうまく付き合っていくのが起業家というものである。
・はたしてバノンは選挙期間中、見事にトランプ陣営の手綱を握り、考え方の不一致はあったにせよ、一つの政治的見解に陣営を導くことに成功した。勝利への道は、フロリダ、オハイオ、ミシガン、ペンシルベニアの白人労働者階級に向けて経済と文化に関するメッセージを発信することである。
・バノンが考える政府の戦略は〝衝撃と畏怖〟だった。重要なのは、交渉よりも威圧であった。
・これまでバノンは、大統領令の本質を深く掘り下げて考察してきた。合衆国では、行政命令では国を動かせないことにはなっていたが、やろうと思えばできないことはない。皮肉にも、大統領令の力を押し広げたのが、議会多数派の共和党の頑なさに業を煮やしたオバマ政権だった。
・トランプの勝利によって、バノンは自分たちの自民族中心主義的な本性を高らかに宣言するのをためらう必要はなくなったと確信する。
・合衆国の移民政策を根底から覆すような大統領令が、連邦政府のほとんどの人間の目を通さずに、その存在すら知らされないまま発せられようとしていた。
・一月二七日金曜日、入国禁止令に署名がなされ、即時発効された。リベラル系メディアは嫌悪感と怒りを爆発させ、移民コミュニティには恐怖が広がった。主要な空港では動揺した人々の激しい抗議活動が起き、政府全体が混乱状態に陥った。
・最初の女性大統領になるのはヒラリー・クリントンではない。イヴァンカ・トランプだ。それがイヴァンカの野心だった。
・最初はみなこのディナー(トランプとの)に加わりたがるが、数カ月と経たないうちに誰にとっても避けるべき苦痛な仕事になっていったという。
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