新人教育をアカデミックに語ろう!(3)セミナーを実施しました。

3.新入社員に関する講演・セミナー

2014年3月27日(木)14時~17時@こどもの城 904
満員御礼の24名の方々にご参加頂き、標記セミナーを実施しました。
今回は「埋もれているお宝の再発見」ということで、
新人教育に関して、まだあまりビジネスの世界で
知られていない研究知見を中心にご紹介しました。

1.オープニング
2.新人教育の学術的位置づけ
3.組織からの働きかけ(導入研修・OJT)
4.新人からの働きかけ(振る舞い・影響)
5.クロージング
セミナーでは
・組織社会化戦術としての新人導入教育
・社会的社会化戦術としての現場OJT
・上司によるマイナスの影響
・制度的戦術と新人の能動性
・新人によるOCB:組織市民行動
といったテーマで参加者の皆さんと意見交換しました。
今回のセミナーは、こちらからの情報提供という側面もありましたが、
私自身、今後の研究のヒントにしたかったテーマもありました。
それが「職場メンバーがOCBをする理由」です。
新人育成においては、上司、指導員、そして職場メンバー(同僚)
のかかわりが重要であることが、明らかになってきました。
指導員一人で新人指導を抱え込まず、周囲の協力を得る。
これは、弊社が行う「指導員研修」でも伝えていることです。
ただ、現時点でわかっていないことは、
「なぜ、周囲が新人指導を手伝ってくれるのか?」という点です。
指導員は、上司から任命されたから、
仕方なくでも新人指導をせざるを得ない。
では、公式な任命もなく、自分の負担が増えるだけの職場メンバーが
なぜ、新人指導を手伝ってくれるのか。
研究の世界でいう「OCB:組織市民行動」をとってくれる
理由は何なのか。
それが、今回のセミナーで私がヒントがほしかったことでした。
そこで、上記を参加者に伝えたうえで、意見交換をして頂きました。
その際に出てきた意見が、こちらです ↓
===
◎指導員以外の他者が、新人指導を手伝ってくれる理由:
 (OCB:組織市民行動を行う理由)
・新人指導の手伝いを頼まれることでの自己肯定感
・人的ネットワークを広げる機会
・上司へのアピールにもつながる
・優越感
・貸し借りの文化
・雑用ではなく、マイナータスクも信頼関係構築に必須
・頼られることでプライドがくすぐられる
・指導員が新人指導に忙殺されていると、自分の仕事にも影響がでる
・利害関係
・いずれ自分が指導員になった時のための予行演習
・「あいつは俺が世話してやった」といずれ言うために
・教えることで優位に立てる
・自分も教わってきたから、恩返しの気持ちで
・もともとそういう素養がある社員に対して、指導員は協力を依頼する
・指導員の新人指導に対して批判的、懐疑的な他者が、新人指導に
 介入してくる
・教えたがり
・「指導員への遠慮」「指導員でない自分が新人を指導するのは
 越権行為」等は、他者がその仕事をしたくないから断る際の言い訳
・組織市民行動とCitizenshipとついているのは「権利」意識の表れ
「なるほど~」と思える話や
「そんなダークな…(笑)」という話もでて、盛り上がりました。
今後の研究の大きなヒントとなりました。ありがとうございました。
===
◎アンケート結果(許可を得て転載)
●学んだこと・気づいたこと
・新人研修やOJTでやられていることに、学術的な研究が色々と
 なされていることが面白かったです。
 
 これらの知見を臨床場面(会社員)の我々にわかりやすく説明して
 頂いたのでありがたいです。また我々の実感値をもっと研究に
 反映させていければよりよい論文になるとおもいました。
・新人教育の原理、原則を再確認することができました。
 世間一般でよしとされているものを裏付けるものもあれば、
 そうでないものもあり、改めて教育という分野に謙虚に取り組む
 きっかけにもなりました。
・新人を久しぶりに受け入れるにあたり、最新の学説に基づくものを
 学べました。
 特に、周囲の人たちの影響(上司、先輩、仲間)は大きく
 今後の成長に関わることを知ることができたことは良かったです。
・新人が入ってくることで、ステークホルダーの受ける影響が
 異なること。また一言でOJTや新人の受け入れと言っても、
 様々な人の様々な思惑が働くのだと思いました。
・企業や教育の現場で経験したことだけですと、知識がただ積まれて
 いく感じでしたが、アカデミックな知見からスッキリ整理すること
 ができました。
・OCBを「教育勅語」と並べて整理してみようと思いました。
・入社1年、3年までが本当に大切であることを再認識しました。
 中堅、ベテラン、有能社員、エース社員が、若手時代をどのように
 過ごしていたのか、どんな上司の元で仕事をしていたのあ、
 社内で知らべてみる価値があると感じました。
 逆にぶら下がり社員の若手時代を調査するのも有効かもしれません。
・専門用語は聞きなれないものが多く、充分に理解できたわけでは
 ないですが、エビデンスのある研究成果として納得できるものが
 多かったです。
 色々な研究テーマ、研究の方法があるのだと勉強になりました。
・新人教育は特定された誰かがやるものではなく、色々な人が、
 色々なかかわりをすることが効果的なことがわかりました。
・新人に対する先輩、上司の関わり方も重要であると同時に、
 新人自身の行動(ふるまい)が大切であるということ。
・各種研究データや書籍も紹介され、知的に勉強になりました。
 (が、たくさんありすぎて飽和状態です(笑))
・「同質の他者」が鍵であるという結果は、意識的に仕組化できそう
・アカデミックな部分(統計データから得た情報)を知った上での
 意見交換は非常に有用なものだったと思います。
 特に上司の影響に関しては実体験も重なり、深く納得しています。
・関根さんの研修の進め方を勉強させて頂きました。
 多彩な参加者一人一人のユニークさに注意を払い、パーソナライズ
 されている点が、参加者として嬉しいことと思いました。
 日本ではまだあまりされていない家族をインボルブされていることが
 とても素晴らしいと思います。
 専務さん、部長、課長、係長さん、Thank you very much!
●参加してよかった 
・新人教育を学術的に学ぶことができた
・他社の教育担当者の方と接点をもつことができた
・新人教育にまつわる理論、考えをコンパクトに知ることができた
・若手とのかかわりを一つ一つ整理することができた
・漠然と感覚的に思っていたことが整理できたので、企画を作る際
 にも説得力のあるものができそうです。
・現場、実務で経験からくる知見を、研究成果と照らし合わせること
 で、色々な学びや気づきがありました。
・新人の研修ベンダーとして、新人側と教える側(人事の研修とOJT)
 の両方の視点で、新人の育成を考えることができた
・新人指導についての奥深さから、新入社員だけでなく、どの研修も
 同じく協力者視点、新卒社員視点から考えられた。
・アカデミックな知見はもちろんだが、同業の方との意見交換は
 非常に参考になった。今後の研修企画にとても役立つと思う。
・昨年よりさらにPower upされましたね。より楽しく学べました。
●セミナーは今後に役立つ
・「新人教育」「OJTのあるべき姿」を考えていく上での
 よりどころを見つけることができた。
・今後のプログラム開発等に活かせる
・配属業務を行っている社員に受けてもらうことが
 より有効だと思いました
・POフィット、PJフィットは、中途キャリア教育にも役に立つと思った
・所属長、指導員に対して、新人育成の大切さを伝える際にヒントに
 なるものが多かった。
●ご意見・ご要望・ご感想
・内容の質が高いだけでなく、アットホームなセミナーで楽しく
 参加することができました。ありがとうございました。
 今後の要望として、やや駆け足でしたので、量を絞るか、時間を
 増やすか、参考文献等ご教授頂けますと幸いです。
・本日は貴重なお時間をありがとうございました。
 もっと勉強をしたくなりました!
・参加者の席の位置も配慮頂けたことが非常に良かったです。
 同じ悩み、事例を共有できました。
・とても和やかな雰囲気で(今まで参加したセミナーで一番だと
 思います)有意義な時間でした。
 お子様たちの力もとても大きいですね!!ありがとうございました。
・本日はありがとうございました。
 部長さん、課長さん、係長くん、お仕事お疲れ様でした!
・私の娘も春から小学生です。夏休みに関根さんを見習って
 (娘に仕事を任せて)セミナーを開きたいと思いました。
・これだけ沢山の先行研究を関連付けて、説明して頂けたことで
 全体像がよくわかりました。ありがとうございました。
・一年に一度といわず、もう少し頻繁にあると良いと思います。
 ありがとうございました。
・本日はありがとうございました。このような勉強会は非常に
 ありがたいです。また次の機会も楽しみにしております。
・普段考えないテーマなので、とても新鮮でした。
 ありがとうございました。
・「研修の転移」という一言に興味をひかれました。
 特に仕事経験のない新人が配属前に受ける研修の転移とは
 何を示し、どの程度の影響力があるのでしょうか?
・「制度的」で「付与的」な戦術とは、
 例えば具体的には何でしょうか?
・制度的戦術が上手くいっている事例(具体的な企業の取り組み)の
 紹介などがあると嬉しいです。
・学術論文など研究成果のシェアはとても有用な情報と思いますが、
 実際のケーススタディーがもう少しあるとRelateしやすかったかと
 思います。
・気になったこと。指導員以外の方の関わりで、新人配属直後から
 複数人が関わってよいものなのでしょうか?
 配属当初は、指導員一人、配属後○ヶ月くらいから、複数人が
 関わっていくとよい、などありましたら教えてください。
===
参加された グローバルナレッジネットワーク社の田中淳子さんが
ブログに詳細を書いてくださいました。(ありがとうございます!)
http://blogs.itmedia.co.jp/tanakalajunko/2014/03/3-f0ff.html
また、フェイスブックに書いてくださった呉さんは、
~今日は動機として「新入社員導入研修に役立つ情報」を獲得しよう
 と参加したのですが、話の基盤は「組織社会化」についてであり、
 「組織市民行動」にも焦点があたっていて、おもしろすぎて興奮が
 とまりませんでした(笑)。~
と嬉しいお言葉を残してくださいました。(ありがとうございます!)
===
参加者から頂いたご質問や提案については、別途参加者宛メールで
ご回答しようと思っています。
皆さんからの要望も多いので、
来年の開催も前向きに検討しようと思います。
(長女が小6最後の春休みで、中学生になったら手伝ってくれるか
 わからないので…)
ご参加くださった皆さん、手伝ってくれた会社メンバーのみんな、
ありがとうございました!
子供たちの様子: http://papa888.exblog.jp/19626055/

投稿者:関根雅泰

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