「こころの情報学」

お薦めの本

「こころの情報学」
  西垣通

○情報と心の関係。特に神話の意義と、オートポイエーシス理論と
 アフォーダンス理論の関係の話が面白い。

(・引用/要約 ○関根の独り言)
●情報から心を見る
・情報という概念に着目することで、これまでの既存の学問の枠内では
 隠蔽されていた部分に光が当たった。
・本書では情報と心の関係に着目
・心を情報処理機械と等値するという見方が情報化社会では支持されつつある
・情報とは「どれが起きたかを教えてくれるもの」
・意味内容を無視した情報を「機械情報」と呼ぶ
・最広義の情報は「パターン(差異)」である
 広義の情報は「生命現象に関わるパターン」
・狭義の情報には、認知、指令、評価の3つの機能がある。
・パターンすなわち「形」に着目することが、情報を学問的に語る第一歩
・情報は生命とともに誕生した
・生物の特徴として「自分で自分をつくる」オートポイエーシスがある。
○オートポイエーシスについて説明せよ、というのが
 東大大学院の小論文試験ででていたな。
 西垣先生の本を読んでおいてよかった。Nさんのおかげ。
 ありがとうございます。
・情報の本質的特徴は、歴史性、時間的累積性である。
・生物は、環境世界との相互作用の中で時々刻々、せっせと情報系を
 作りかえている、いわば「情報変換体」のような存在なのである。
・生物にとって、意味のあるパターンこそ、情報。
・言語情報の織りなすプロセスが、心。
・情報化社会は、記号の意味作用の安定という条件の上に成立する社会。
○う~ん、俺の理解不足だけど、よくわからないなー。
 いずれわかるようになるのかな。
・近代化情報技術を生んだ西洋文化の伝統においては、
 記号の意味作用の規範化は、キリスト教信仰と結びついている。
 「正しい言葉の意味」を与えるのは神なのです。
○このあたりは、アメリカ留学時代の経験や、聖書の勉強、
 文化人類学で学んだことから、何となくわかる。
 西垣先生の別の本でもでていたけれど、この情報と西洋文化の話は、
 おもしろいよなー。
●機械の心
・思考を行うとは「言葉をしゃべる」ことで外部表現される。
○その人が考えていることは、しゃべってもらうか、
 書いてもらうかしないと、わからない。
・コンピューターに文脈や状況を判断させようとすると
「フレーム問題」にぶちあたる。
・ヒトは自然に問題を構成できる。今問題となっていることは
 何かを一瞬に選びとれる。機械にはできない。
・人工知能研究者のウィノグラードは、人工知能の研究を続けても
 決して「言葉をしゃべる機械」など実現できないと主張。
○この人もすごいよな。自分が研究してきたことで、
 何ができないかの限界が見えてくる。当初は絶望的になったのでは。
・記号の普遍的な「意味」というものが天下りで(たとえば神によって)
 きちんと定められ、秩序づけられているという暗黙の前提があるのだと
 考えざるを得ない。
 こういった西洋の知の伝統をふまえて、最先端コンピュータ科学である
 人工知能研究はある。
●動物の心
・遺伝情報によって生物個体が生まれるのは、まぎれもなく情報の働きの一つです。
・脳の中に記憶されている情報と外界から入力された素情報(知覚への刺激)
 とが相互作用し、そこに意味のある情報が発現する
・動物学においては、動物に「意識」があるという議論は長い間タブーと
 されてきた。動物を研究するときは、あくまでもその「行動」に
 着目すべきであり、客観的に観察できない「意識」や「主観」などを
 扱うのは科学的でないという主張があった。これは行動主義と呼ばれる。
・認知心理学では、言語に着目している。
 ヒトの主観的内面は直接測定できないが、言語によって表現された内容は、
 一定の客観性をもつと考えられるから。
・カラスの車利用行動は、周囲に波紋のように伝播していった。
・動物も他者の行動から「もし自分だったら」という予測を働かせている。
・学習にはなにより「動機」が必要。
○動機がなければ、学ぼうとしない。確かにそうだよな。
・人類学者のダンバーは、類人猿の毛づくろいこそが、ヒトの言語誕生の
 源流にあると主張。
 群が大きくなる中で毛づくろいにかわるコミュニケーション手段として
 登場したのが「音声言語」だと。
 互いの親密さを確かめるための「ちょっとしたおしゃべりやゴシップ」を
 目的として音声言語は誕生。
●ヒトの心
・現実から離れた時空間での出来事については、聞き手が格や時制などを
 示す文法要素に頼って内容を解釈する度合いが高まる。
 複雑な文法をそなえたヒトの言語は、フィクションから生まれたといってよい。
○これはおもしろいなー。確かにそうなんだろうな。
 3才の娘が、家に帰ってきてから話す保育園の状況は、過去形と現在形が
 ごっちゃになる。6才の長女が「したってことでしょ」「するじゃないでしょ」
 と直すこともある。
・ヒトはなぜ神話のような複雑なフィクションを作り上げたのか。
・非力で虚弱な肉体をもったホモサピエンスの唯一の武器は、
「予測し計算する頭脳」であった。その能力は同時に「未来への不安」と
 いう副産物を生むことになった。
○ほんと、そうだよなー。暗闇を怖がるのは、暗闇の中に何かいるのでは、
 と考えてしまうところにあるんだろうしな。
 考えなければ、怖さも感じない。
 幽霊かと思ってみれば枯尾花 だっけ。
・歌や踊りを伴う儀式において、繰り返し朗唱される神話を通して、
 ヒトは情緒的一体感を手に入れる。神話の形成を通じて、ヒト特有の心が
 形成されていったのではないか。
○神話っておもしろいよなー。特に、世界各地の神話に共通する部分が
 あることがおもしろい。
 いざなぎといざなみの話で、桃や櫛を使って逃げるところ。
 英雄が赤子のときに川に流されて運ばれてくるところ。
 他にもいろいろあるだろう。
 文化人類学「インドヨーロピアン」でシャン・ウィン先生が、
 首締めや水責めで殺されるモチーフを教えてくれた。
 共通するモチーフが、ヒトが大陸を移動することによって広がっていった。
 マンガの「宗像教授」の話も、日本と海外の神話の共通点を取り上げる
 ことが多いな。
・神話は土俗的共同体をまとめあげるフィクション。
 共同体の構成員が守るべき掟の根拠を与える。
○新入社員が職場の掟を学ぶ際の、神話やストーリーに注目してみても
 おもしろいかも。
 ヒトが共同体のルールを学ぶのは、神話を通してだとすれば。
・神話を語る資格があるのは、共同体の中の特別な人物。
・米国の心理学者ギブソンが提唱したアフォーダンス理論。
 「周囲の環境世界が動物に提供するもの」がアフォーダンス。
・あらゆる動物は、環境世界の中を動き回りながら生きている。
・本当に情報は外部の環境世界のなかに実在するのか。
・アフォーダンス理論とオートポイエーシス理論の対立。
・従来の知覚モデル(外部からの光刺激を情報処理して認知的行動がとられる)
 への批判から、上記2理論は生まれた。
・アフォーダンス理論は直接知覚(発見)オートポイエーシス理論は
 歴史的認知(発明)という正反対の結論に至った。
○アフォーダンスでは、外部環境世界にある情報に、動物が気づくという考え方。
 オートポイエーシスは、動物が知覚刺激を元に自分で意味を作り出す。
 そう考えていいのか。
・アフォーダンス理論は、オートポイエーシス理論の弱点を補強する。
・オートポイエーシス理論は、動物の認知行動の時間的側面、
 アフォーダンス理論は、空間的側面に着目。両者は補完しあう。
・ただ、ギブソンは「環境世界にあらかじめ情報が実在し、
 その一部を知覚(抽出)すれば意味が入手できる」という誤解を招いてしまった。
○このあたりの話はおもしろいなー。両理論をしっかり理解できていないけれど。
 まずはアフォーダンス関連の本を読んでみよう!
・アンダーソンは、近代国民国家(アメリカ合衆国)は、
 いわば印刷物(新聞)のつくりあげた「想像の共同体」にすぎないと看過した。
・行動の文脈から切り離された抽象的、論理的思考は、近代化以前の人々には
 単に「不必要なもの」だった。
●サイバーな心
・「身体性の復権」こそが、近代工業化社会から、情報化社会をわかつ最大の特徴。
・マクルーハンが予言したように、マルチメディア・インターネットへの
 コンピューター工学の流行の推移は、身体性への復権が生じたといえる。
・情報化社会とは、端的には「情報が商品となる社会」
○そうなったからこそ、俺は研修講師として情報を提供することで、
 商売ができているのかも。
・バーチャルリアリティーは、アフォーダンスの観点から見ると、異常な世界。
・ヒトの脳神経系は、環境世界のアフォーダンスと密接に協調している。
 仮想現実システムは、通常のアフォーダンスを与えない環境世界を
 人工的に作り出すことで、ヒトの脳神経系をかき乱す可能性もある。
・イメージ情報を扱う技術は貴重。ただそれを安易に「身体性の回復」に
 結び付けると誤解を招く危険性がある。
○任天堂のWiiとかはどうなのかな。
 身体を使って、バーチャルリアリティーの世界で遊ぶ?
・「サイバーな心」は、主として今の子供や若者に宿るものと考えられる。
 中高年はすでに心の基本的部分ができあがっている。
・機械情報が集中するのは、若者や子供たち、つまり市場の中の誘導しやすい
 消費者に他ならない。
○企業が善と信じて市場開拓をしようとする中で、こういう弊害が起こってくる。
 こういうことに気づかせるのも、研究者の役割なんだろうな。
 企業活動をしている中の人間だと、こういう批判的なものの見方が
 できなくなるかも。
・動物は本来、環境世界から整合的なアフォーダンスを受け取りながら、
 少しずつオートポイエティックに自己を形成し成長していくもの。
・現在我々を取り巻く機械情報の量は、ヒトの処理できるレベルをとっくに
 こえている。そんな中で子供たちは一種の「思考停止」という手段で
 自己防衛しているようだ。
○これは怖いよなー。テレビ、ネット、雑誌等からあふれでてくる情報。
 情報を遮断しておくことも大事なのかも。
 なるべく自然環境の豊かなところで子供たちを育てたいと、
 「プチ田舎」ときがわ町に引っ越してきたけど、それはやっぱりよかったのかも。
・一部の若者や子供たちがふたたび「聖なる身体」を求め始めている。
・周縁的な要素が社会を活性化する。
・周縁という概念が、規範化された機械情報の洪水による窒息状態からの
 解放を示唆する。
・情報とは「事務的、機械的」に処理するものであって、
 我々の生活に深みを与えてくれるものとは受け止められていない。
 知恵とちがって。

投稿者:関根雅泰

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