「日本企業の人材形成~不確実性に対処するためのノウハウ」小池和男著

お薦めの本

「日本企業の人材形成~不確実性に対処するためのノウハウ」小池和男著

1997年に書かれた本。
●本の趣旨
・OJT(実務訓練)に焦点を当てる。
・日本の人材開発方式のもっとも重要な特徴は、長期の人材開発。
 これは他国に対する競争力の源泉のひとつ。
・実務経験OJTが人材形成の根幹。

●知的熟練
・ひとに教えるノウハウが、
 知的熟練(問題に対処できる、変化に対応できる)の重要な要素。
・9年程度の学校教育が、知的熟練形成の基礎となりうる。
・今後増加する不確実性に対処する知的熟練の持ち主をさらに多くする必要がある。
 そのための技量形成の核心は、はば広いOJTである。
●OJTの見える化
・OJTは見えにくい。
・測る指標は、従業員の「経験のはば」と「経験の深さ」
・OJTを個々の労働者のキャリア(長期間に経験する関連の深い仕事群)と
 してとらえる。個々の仕事への訓練を重視しない。
・キャリアの構築には、断然一企業内が有利。
・「フォーマルなOJT」を設定することで、見える化を図る。
・フォーマルな(形ある)OJT =
 1)指導員が指名されている 2)成果のチェック項目が設定されている
・ただ、フォーマルなOJTも、OJTの一部でしかない。
 高度な技能の形成は、インフォーマルなOJTにこそ求められなければならない。
●OJTとOffJT
・はば広いOJT = 職場内の大半の仕事を経験、隣のしょく場も。
   序列方式(易→難)ローテーション方式(持場間移動)による。
 大企業で普及している。1950年代なかごろからローテーション方式が出現。
・深いOJT = 職場会合での討議、報告書の提出、トラブル対応 など
・OJTを補うのが、OffJT(研修)。実務経験を整理し体系化するためのもの。
・OJTが要であり、OffJTは結局基礎レベル。
 不確実性に対処するプログラムを研修で提供することはできない。
・職場で働く技能を身につけるには、その職場で働くしかない。 
 仕事を教える学校や教習所はない。
・経験5年以降の専門分野のOffJTコースがない。
●部下指導
・監督者にもっとも必要とされるノウハウは、その職場の仕事のノウハウ。
 それがないと、いかに仕事を遂行するか、いかに改善するか、
 自分の部下を指導できない。
 仕事上のノウハウは、研修では得られない。職場での経験から獲得するほかない。
○今までは、「上司>部下」(上司の方が「知識・技術」を部下より持っている)
 と分かりやすかったかもしれない。
 今は、「上司<部下」というケースもある。(IT系や専門職に強い傾向)
 部下の知識・技術の方が、上司より優っている。
 そういう場合の上司の打つ手は?

投稿者:関根雅泰

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