【木曜日23-27】資本主義本(2)

木曜日

○資本主義の次の世界を創っていくために、「ガンディー経済学」本(新書1冊、教養書1冊、論文1本)

===

『グローバル資本主義の終わりとガンディーの経済学』 森永卓郎(2020)

・根本的な原因は、資本主義の抱える矛盾が表面化してきたこと。

・資本主義の崩壊後に、我々はどうしたらよいのか。私はこれからの世界を救うのは、ガンディーの経済学ではないかと考えている。

・ガンディーが、貧困や格差をなくすためにどうしたらよいのかを考え抜いた結果、たどり着いたのが「近くの人が近くの人を助ける」という「近隣の原理」だった。

・日本の富裕層は、目立たないように息をひそめている。
・資本は、労働力を近くに住まわせたい。東京への人口集中。

・資本主義が自滅するきっかけは、バブルの崩壊になるだろう。
・新型コロナウイルスが、バブル崩壊の引き金をひいた。

・現代の地震は、平安時代と対応している。

・政治家や評論家は、2つのタイプに分類される
 1)平和主義かつ平等主義の人=社会主義 利他主義
 2)主戦論かつ市場原理主義の人=資本主義 利己主義 自己責任

・どこまでの範囲の人の幸福を考えるのかというバランスの問題
・ほどよいバランスこそが、ガンディーの経済学

・消費や投資を通じて「近くの人を助ける」ことから取り組む。
・その地域に雇用が生まれ、地域経済が回り出す

・まず身近な人から助ける。
・それもお金を寄付するという形ではなく、身近な人が生産した商品を買うという形で支援を広げていく。

・顔の見える相手には対しては、おのずと倫理が働く。

・小規模分散化という方向性は、資本主義、特にグローバル資本への一種のレジスタンス。

・文化・教養のレベルを上げていく政策をとって行けば、住民は集まってくる。

・自国通貨を持つ国は、財政が破綻することは無い。

●参考:森永さん@ときがわ自然塾

===

『ガンディーの経済学~倫理の復権を目指して』A.K.ダースグプタ著 石井一也監訳(2010)

・「あの世について考える必要はない。この世で自分の義務を果たせばよく、あの世はあの世である」

・「知足(Contentment)が、幸福なのです」

○Contentment 満足、充足、安堵、足るを知る

・隣人の原理

・全人類が共有し、全ての宗教に共通する教えは、人は隣人をいたわり気遣わなければならないということ。
・近接関係(Proximity)の度合いに基づく義務には、序列がある。

・最も近くの隣人を犠牲にして、遠くの人に尽くすことは許されない。
・直接の隣人に奉仕することで、奉仕の連鎖が広がり、世界を締め出すのではなく、包み込むであろう。

・インドで作られた製品を使用する道徳的義務がある。

○近くの人、顔が見える相手が作った商品、サービスを買う。

・「利他主義と利己心は、商業において融合されうるもの」

・「労働者が尊敬されずに軽蔑される国は、衰えてしまう」

・「人間は、より低次の生き物の支配者であると述べることは、傲慢な想定である」

・共産主義体制が、個人的な能力、とりわけ企業家的、経営者的能力の重要性を考慮することができなかったということは、同体制に対するガンディーの主な批判点の一つであった。

・有産カーストが、自らの資源を用いて貧者の最小限の福祉を提供する義務。
・この義務に相関するのは、地位の低い土地なしカーストが、公平な方法で資源配分するようエリートに要求する権利

○小作人と地主の関係で、道徳的な「農士」を育てるという考えとも通じるかも。

・教育という言葉の語源的意味は、「引き出すこと drawing out」である。
・教育とは、ある種の「開くこと」すわなち潜在的能力を開発する試みである。

・(イギリス式の)教育システムは、家庭と学校の間に完全な分離をもたらすのに一役買った。

・「ナイ―・タリム(新しい教育)」は、3つの基本原理に基づく基礎教育
 1)母語(英語ではなく)で行われる
 2)読み書きよりも、職業的志向をもつ
 3)財政的に自立している

・ガンディーは、J.デューイ、M.モンテッソリ、毛沢東と、類似性がある。

・ガンディーの主要な関心は、生産の分散化にあり、統制は危険であると考えていた。

・自尊心を獲得することが、生産活動と消費活動の目的である。

●監訳者あとがき

・「大量生産 mass-production」ではなく「大衆による生産 production by mass」を標榜したガンディーの技術論は、自然の制約の中で、人間が簡素ではあっても、長く存続するための一つの英知であったが、私達はそこにこそ学ぶべきものを見出しうるのである。

・「近代」の資本主義と社会主義を超克する潜在力を、ガンディー思想に見出す余地は多分に残されているのである。

○この監訳者(石井一也)の論文を読んでみよう!

===

石井一也(2007)

グローバル化時代におけるガンディー思想の意義
 ~アマルティア・K・センによる批判を超えて~

file:///C:/Users/info/Downloads/KJ00004726058.pdf

・ガンディーは、近代文明の特徴は、物質主義と精神性の軽視にあるとみていた。

・イギリス古典派経済学は、帝国主義を正当化する議論へと発展。
・「一国が他国を支配することを許す経済学は、非道徳である」ガンディー(1968)

・チャルカー運動と受託者制度理論を通じて、ガンディーが目指していたのは、「(インドの70万の村落が)おおかた自給自足的になる」ことであった。
・自然の中に人間の身の丈に合った「共同組合的社会」を再建する。

・ガンディー主義的 経済学者 エルンスト・F・シューマッハー

・特権的な人々が、必要物を自発的に削ってゆかなければならない。

・将来世代のことも考えながら、より少ない資源を分け合って、より簡素な生活に満足を見出す方向に転換できるかの岐路に立たされる時代

・裕福な人々の「必要物の削減」を著しく行い、「小さな経済」へと大きく旋回する以外に「近代」の矛盾を打開する道はないはずである。

===

●参考:シューマッハー「Small is Beautiful」

===

投稿者:関根雅泰

コメントフォーム

ページトップに戻る