「事業承継研究会」@立教大に参加しました。

立教大学院

「事業承継研究会」@立教大に参加しました。

ラーンウェル代表の関根です。

2023年2月15日(水)~16日(木)10時~17時、「事業承継研究会」@立教大に参加しました。(お誘い下さった斉藤さん、辻さん、中原先生、ありがとうございます!)

差しさわり無いと思われる範囲で、どんな内容だったのかを共有します。

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2月15日(水)

朝9時頃の立教大学池袋キャンパス

10時~

●斉藤さんからの説明

●自己紹介

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10時20分~

○辻さん

Kaye, K. (1998). Happy Landings: The opportunity to fly again. Family Business Review, 11, 275-280.

・ファミリービジネスの成功は「承継すること」だけではない。家族のメンバーそれぞれにチャンスをもたらす場合には事業を手放すというのも成功である。

・プーマとアディダスは兄弟で喧嘩別れしてできた。

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・家と職場での親子関係。
・2代目は切り分けようとしているが、創業者はごっちゃになる。親というより、社長として見ている。相撲部屋に弟子入りした息子みたいなイメージ。
・メンバーシップが多重。役割があいまいになり、コンフリクトが生まれやすい。親としては尊敬できるが、経営者としては・・・
・関係維持での工夫は、社長の話を聞くこと。
・親としてのかかわりを少なく、経営者としてのかかわりが中心。
・パラドキシカルリーダーシップ。矛盾をいかに併せ持つか。役割葛藤。
・スリーサークル 家族会議の重要性 家系図を出す 
・先祖のお陰でという話をしたり。
・歴史を知らないと、事業を継承できない。
・破壊的な行動をしている人を、組織から出すことも難しいのでは。
・経営してない人には現金。株は渡さない。
・欧米だと、資本と労働者が分かれている。日本だと、労働者も家族意識。社員の為という意識を経営者も持っている。事業売却への嫌悪感。社員を切る。
・会社もファミリー、メンバーシップ。家族が2つある。濃い家族と、薄い家族。

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○Koさん

Sharma, P., Chrisman, J.J., & Chua, J.H. (2003a). Succession planning as planned behavior: Some empirical results. Family Business Review.

・信頼できる後継者の引き継ぐ傾向が、後継者育成に関連するすべての活動の実施率に有意な影響を与えることが示された。つまり、後継者育成は、現職のプルよりも後継者のプッシュによって行われる可能性がある。

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・プロフェッショナル経営者として、次の経営者に引き継いでいく。
・創業社長の抵抗感は? 仕事一筋の創業経営者だと抜けられない。
・信頼できる後継者とは? 有能さ、人間性?
・引き継ぎたいと思える人がいて、その人も引き継ぎたいと思ってくれている。
・Prospensity 特性のようなもの
・「自分より良さそうな未来が見えた」から、経営を引きつごうと考えた。
・後継者がどんな行動をとるかによって、承継計画も決まる。意図的にプッシュしない行動をとる場合もあるのでは。
・会社として、個人としての発達。退任後の自分に向き合う。
・創業者は、事業は骨の髄まで、自分のもの。
・創業者のキャリアを考える必要がある。
・事業の承継支援は難しい。「お前ら、俺を辞めさせたいのか」
・やめるのではなく、次に挑戦してもらう。

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○Naさん

Garcia-Alvarez, E., Lopez-Sintas, J., & Saldana Gonzalvo, P. (2002). Socialization patterns of successors in first- to second generation family businesses. Family Business Review,15, 189-203.

・すべての社会化プロセスに共通する2つの異なる段階が存在することがわかった。
・第一段階は、創業者の子孫に共通する家族の社会化であり、価値観の伝達と教育から構成される。
・第二段階は、ビジネスの社会化であり、創業者の後継者候補にのみ適用される。

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・自分と違うことをしてくれそうという観点は無かった。
・創業者は「自分を超えてみろ」という目線でみる。
・創業者は、自分でひこうとしない。良かれと思って。強固な持論が出来上がっている。
・引き際は、自分で引かないと、下にいる後継者が上がれない。
・第三者が引導を渡さないと。「いい形で継がせたい」
・株主、金融機関という言ってくれるステークホルダーもいない。周りが意見しづらい。
・自分のコピーを、創業者は求めているのでは。
・大塚家具の事例は、世の中の事業承継を逆行させた。

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11時20分~

●グループディスカッション 

・成功は、承継することだけではない。
・創業者に対して「裸の王様」と言われる機会がないと。
・経営がうまくいかないというのが一番のFB。
・信頼の種類、深さにたどり着けないのでは。

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11時35分~ 休憩 ~ 11時50分

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11時50分~

○Iさん

Dyck, B., Mauws, M., Starke, F.A., Mischke, G.A. (2002). Passing the baton: the importance of sequence, timing, technique, and communication in executive succession. Journal of Business Venturing, 17, 143-162.

・承継を4×100の駅伝になぞらえて,「順序(sequence)」「タイミング」「バトンタッチのテクニック」「コミュニケーション」の4つが重要である。

・しかし,タイミング(後継者が走り出すのが早すぎた),バトンタッチのテクニック(後継者は現職が会社のコントロールを手放すのを待っており,現職は後継者が会社の責任を取るのを待っていた),コミュニケーション(現職,後継者ともにお互いを尊重するコミュニケーションがとれていなかった)の点で,深刻な問題が生じていることが明らかになった。

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・駅伝のメタファーは面白いが、スポーツと経営は違う面もある。駅伝のメタファーを使う理由は?

・このプロセスで一番ポイントになるところは?つまずきやすいのは?

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○Haさん

Miller, D., Steier, L., & Le Breton-Miller, I. (2003, forthcoming). Lost in time: Intergenerational succession, change, and failure in family business. Journal of Business Venturing.

・後継者の側に過去への執着が強すぎるか、過去を拒絶しすぎるか、あるいは過去と現在が不調和に混ざり合っているかのいずれかである。私たちは、これらの非常に一般的なパターンを、Conservative保守的、Rebellious反抗的、およびWavering優柔不断と呼ぶ。

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・後継者が小さい成功を積み重ねて、信頼を勝ち取ることが重要。
・3つのパターンが、否定的なニュアンス。そうでない場合もあるのでは。
・不安定な創業者からの鬱の連鎖もあるのかも。
・上手くいかなかった事例が多かった。
・親子の感情に起因している。大人になり切れてない。
・先代と後継者セットの研修を行ったことがある。父と息子が背を向けているところもあった。
・ビジネスの言語で、ロジックだけで話せないのでは。家族とだと、別の言葉も必要になるのでは。2つの言葉が混在している。
・反抗的、優柔不断な人との関係性は?
・13社が、どういう業界だったのか。保守的なパターンがむしろはまっているのは、どういう業界なのか?
・「赤福」安定した業界で、改革的な後継者だったが、また先代社長に戻った。

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○Sさん

Fiegener, M., Brown, B., Prince, R., & File, K. (1996). Passing on Strategic Vision: Favored modes of successor preparation by CEOs of family and non-family firms. Journal of Small Business Management, 34(3), 15-26.

・非同族会社のCEOは、後継者の準備を社内で行うよりも「アウトソーシング」することを好む傾向がある一方、同族会社のCEOは、CEOと後継者、後継者と事業のステークホルダーの間に人間関係を築くことを重視し、より直接的なアプローチで後継者育成に取り組んでいる。

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・同族は内部、非同族は外部重視? 育成に関してはそう。
・ネットワークに関しては、同族だと「息子をよろしくね」だと、えこひいきに見られるので、外部を重視。
・外に出すことで、後継候補が、どう評価されるのかを見る。
・「評価者は自分」という創業経営者が多いのでは。
・生得的なもの、獲得的なものもある。
・先代のやり方が正しい!と思われていると、そのプロセスを開示することもないのでは。
・同族だと、親子関係、家族関係なので、実際もっと泥っとしているのでは。
・綺麗にやっている会社の上澄みのようにも見える。
・子供の教育の延長として、後継者育成を行っているのでは。

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12時55分~

●グループディスカッション

・成功例だけでなく、失敗例から学べることが多い。
・承継する側が重要。
・先代にものを言いにくい。だからこそ、サードプレースで、真面目に話せる場が必要な気がする。
・ロジカルとエモーショルが混在しているからややこしい。

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13時15分~14時15分 昼食

「ハヤシ&カレー」@松本楼

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14時20分~

○Igさん

Davis, P., & Harveston, P. (1998). The influence of family on the family business succession process: A multi-generational perspective. Entrepreneurship Theory and Practice. 22(3), 31-53

・個人、グループ、組織レベルで分析

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・家族とビジネスのパーパスがすり合うよう。それが創業家が事業に関わる意義では。
・ファミリーはいかにビジネスっぽくするか。ビジネスは、いかにファミリーっぽくするか。心理的安全性もそう。
・ファミリーを、ファミリーたらしめているもの。
・海外だと、ファミリーカンファレンスをやっている。

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○Saさん

Bjuggren, P., & Sund, L. (2001). Strategic decision making in intergenerational successions of small- and medium-sized family-owned businesses. Family Business Review, 14, 11-24.

・世代間承継問題の分析にディシジョン・ツリー(決定木)を用いる。一つの結論は、同族会社の家族内承継を容易にする法制度を社会が提供することが重要、ということである。

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・法整備の問題は日本でも言われている。
・生前の承継をした方が、税制が有利になるようになっている。
・資産の承継はやりやすくなっている。
・家族の関係が壊されないのか。家族の中での意味づけも変わってくるのでは。
・こう判断したら、こうなるなと先を読んでいる経営者は少ない。
・単純に合理化すると、このディシジョンツリーのようになるのかも。

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○Haさん

Morris, M., Williams, R., Allen, J., & Avila, R. (1997). Correlates of success in family business transitions. Journal of Business Venturing, 12, 385-401.

・ファミリービジネスの成功の決定要因を3つのセットで構成したモデルを提案する。①相続人の準備レベル、②ファミリーメンバー間の関係性、③ファミリービジネスの経営者が行っている計画と統制活動のタイプである。
・移行のプロセスに家族関係の良好さが最も影響する

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・合理的にやればうまくいくのに、そうならない阻害要因は何なのか?
・やるべきことは分かってないのに、なぜできないのか?
・上手くいってないケースは、サンプルから漏れている。
・承継が上手くいっても、結果が出てないこともある。

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○Oさん

Smith, B., & Amoako-Adu, B. (1999). Management succession and financial performance of family controlled firms. Journal of Corporate Finance, 5, 341-368.

・後継者が同族であると公表されると、株価は 3 日間(-1~+1日)で 3.20% 下落した
・一方、社内外に関わらず親族以外の人が事業を継承した場合、大幅な下落はなかった

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・事業承継後のインパクトを、どの段階で測るのか?
・成功、失敗を、どのタイミングで決めるのか?
・経営権の承継に、5年はかかった。ファミリービジネスだと、株主がいない。ただ、社内には社員という厳しい目がある。将来性が無いと思われたら、辞めてしまう。ビジョンには賞味期限がある。到達できないと、この経営者だめじゃんと見限られてしまう。
・社員は良く見ている。相続の仕方も見ている。実権をどっちが持っているのか。
・創業者、承継者、社員にとって、事業承継のエンドポイントに、時間差があるのでは。
・創業者は、上手く承継させたと考える。
・事業承継の成功原因を、誰に帰属させたいか。
・創業者は、承継を成功したと見たいが、後継者には不満がある。
・事業承継は、終わらない。

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15時40分~55分

●グループディスカッション

・後継者がいない会社の事業を、譲りうけている。事業承継というか、M&Aというか。
・2代目は、ハレーションが嫌がる。
・「こういう会社があったら買いたい」と、普段から発信しておく。
・ファミリービジネスは、フレームワークがありそうで、なさそう。
・2代目と見られないコミュニティの貴重さ。

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16時~ 休憩~ 16時10分

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16時10分~16時40分

●関根の発表「個人事業主・小規模企業の事業承継」

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16時45分~

●中原先生 ラップアップ

・事業承継の成功とは?
・Well-beingの変化を見る。

・役割葛藤が多い。どうトレードオフに対応するか。
・パラドキシカルマネジメント 

・Happy landingのランディングとは。

・創業者の引き際。なぜ引けないのか?
・事業は自分そのもの。会社は自分の子供。
・創業者の喪失感、もがき。

・創業者依存のパラドックス。
・なぜ、引き際をデザインできないのか。

・創業者の「不死性」immortality

・後継者側からのプロアクティブ行動もあるのでは。

・駅伝のバトンメタファーは、妥当なのか?
・バトンが本当に手放されているのか。

・両者が、ビジネスに徹することができない。
・ビジネス、ファミリーの言語。多言語話者。

・親の子供へのかかわり方。
・親としては、しつけモード。子供は、ビジネスで関わってほしい。

・企業は、2つの成分でできているのでは。事業、家族 

・承継の全体像を把握できているのか。

・合理的に語れる部分が3割あるが、非合理が7割。
・前向きに、合理的に、計画しろ!は、そうだけど。

・事業承継がスムーズであっても、事業承継が成功したとは限らない。

・親を通して、自分が語られる。2代目は。
・同族企業の子供。

・なんで、創業者は、そんなに自信あるのか? 成功しているから、自己肯定感が強い。
・「自分が世界を作ってきた」

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2月16日(木)

10時~

●グループディスカッション 1日目のふり返り

・ビジネスとファミリーの言語が入り混じる 仕方ないし、それでやりくりするしかないのかな。

・企業成分、家族成分がある。同じ会社のメンバーだから、やってよ。

・言語 家族が入れ子状態。中小は家族的。経済学的視点が目新しい。社会化。
・家族の中の発達と、家族経営が関係。

・事業のアイデンティティ。
・有形、無形資産。お客さんは、BSには載らない無形資産。

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○辻さん

Gagne et al.(2019). Family Business Succession: What’s Motivation Got to Do With It?. Family Business Review, 34

・カナダのファミリービジネス89社を対象とした12年間の縦断研究では、後継者の自信と現職経営者の支援があることの認識が、後継者の事業継承に対する内発的動機づけを予測し、それが12年後の事業継承の成功の有無を予測することが明らかになった。

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・12年の縦断研究だから、もう少し色々な項目をとっても良かったのでは。
・バトンタッチの時期も、会社によって違うのでは。
・50歳以上の上が何歳かの記述がない。
・内発的動機付け。生まれながれにして、後を継ぐという認識。
・ここに書いてあるような内発的動機付けは、当てはまらなかった。後継者が持つ選択肢がどのくらいあるのかにもよる。
・親父の知り合いが、お年玉をくれて「お父さんの後を継ぐんだぞ!」と餌付けをされた。

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○Koさん

Steier, L. (2001b). Next-generation entrepreneurs and succession: An exploratory study of modes and means of managing social capital. Family Business Review. 14, 259-276.

・社会資本の移転の4つの異なる様式がデータから浮かび上がった:無計画で突然の継承、急いだ継承、自然な没入、計画的な継承と社会資本の意図的な移転である。さらに、ソーシャルキャピタルを管理する方法として、既存のネットワーク構造の解読、ネットワーク関係の取引内容の解読、重要性の判断、正当性の獲得、最適な役割の明確化、委任と分業による関係の管理、最適なネットワーク構成の追求とネットワーク構造と内容の再構築という7つの手段が浮かび上がってきた。

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・引き継いだSCは、後継者を縛る足かせにもなるのでは。
・事業承継とは、引継ぎのチャンスでもあるが、リセット機会でもある。
・人脈は引き継いじゃったら大変だが、引き継がないという選択もある。
・しがらみを切るチャンス。
・キャピタルとして管理するなら、意図的に切ることも必要になる。
・だまそうとする悪いネットワークを、いかに見極めるか。
・後継者の正統性を、どう創業者が示すのか。後継者もプロアクティブに引き継いでいく姿勢。その二つが必要では。
・SCを引き継がせようという創業者の意志は感じる。創業者から見た独自性を持つ会社は引き継がせようと。
・競争優位性が、ネットワークの中に埋め込まれている。

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○Mさん

Chrisman, J., Chua, J., & Sharma, P. (1998). Important attributes of successors in family businesses: An exploratory study. Family Business Review, 11, 19 – 34.

・カナダの 485 のファミリー企業からの回答者は、後継者の最も重要な属性として、誠実さとビジネスへのコミットメントを評価した。 結果は、家業が古く、その企業での回答者の勤続年数が長いほど、これらの属性がより重要になることを示した。

・積極性、リスクを冒す意欲、および独立性は低く評価された。家族経営の企業が急進的な変化を起こすことに熱心な後継者を望んでいないことを示唆している可能性がある

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・性別と出生順は、日本だと重視される。
・誠実性とコミットメントを重視するということは、保守的なのでは。
・オーナーは、変革してほしいのか、現状維持なのかによって、後継者の選び方も変わるのでは。
・「絶対えらんじゃいけない後継者」は?
・『企業倒産の予防戦略(1984)』も参考になるのでは。

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11時20分~

●グループディスカッション

・SCの論文は面白かった。
・切りたいネットワークは無いが、もしあったとしても、自分で切っていく。
・しがらみを切る良いチャンス。

・30年だと長い。5年ぐらいで承継できると楽なのでは。

・引き継ぐ人の属性。女性のほうが上手くやっている。
・創業者と異性だから、全く別のことをやってもらう。
・夫が死んで、事業を引き継いだ妻も多い。
・女性店長のほうが安定感ある。

・創業経営者は、いつごろ引継ぎを考えるのか?
・自分が承継した年齢を参考にするのでは。
・創業社長が病気したり、同級生が亡くなったり。
・「自然な引継ぎ」もある。

・承継候補が複数いた場合は、どう選ぶのか。
・タニタは、三男が承継する。

・誠実さはベースとして必要。

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11時40分~ 休憩 ~11時50分 

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○Nさん

Rubenson, G., & Gupta, A. (1996). The initial succession: A contingency model of founder tenure. Entrepreneurship Theory and Practice, 21(2), 21-35.

・本論文は、組織と創業者の間の相互作用を概念化するために役立つ基本的な継続性モデルの開発によって、組織における重要な最初の継承というマイルストーンに関する理解を向上させることを試みている。

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・ファミリービジネスで、ガバナンスを効かせようとすることはあるのか?
・上場なんてとんでもない。経営権を取られてしまうという、創業経営者。
・「自己肯定感」は良いことだと思っているが、それが強いことが悪いこともあるのか。
・本当に、自己肯定感が強い人は、人の話を聞けるのでは。
・フィードバックされない人達。
・同業の先輩経営者の言うことなら聞くかもしれない。
・皆「うちは特殊だから」という。
・社外取締役として、創業者に引導は渡せない。
・衰えは感じているし、新しい変化を起こせるとは思ってないという自覚はある。認めてもらうためには、成果を出すしかないのかな。

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○Iさん

Kammerlander et al.(2020). Organizational Ambidexterity in Family-Managed Firms: The Role of Family Involvement in Top Management. Family Business Review, 33

・同族企業の経営トップへの関与と探索・深化・組織の両利き性との間に曲線的な関係があることを主張する。さらに,これらの(逆)U字型の関係は,同族CEOの家族中心的な非経済的目標に影響されることを提案する。
・同族経営者のFCNE目標(Family-Centered Non-Economic goal)「家族の調和はビジネスの意思決定において重要な目標である」,「家族の社会的地位はビジネスの意思決定において重要な要因である」,「私のビジネスは家族のアイデンティティと密接に結びついている」

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・家族の調和、社会的地位、アイデンティティは、確かに同族経営では重視している。
・高いFCNEだと、サントリー? 低いFCNEだと、トヨタ?
・外からだと、FCNEは分かりにくい。
・キッコーマン 創業7家から、後継者が出ている。
・このグラフ、良く分からない。セリフにしてほしい。

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○Saさん

Sharma, P., Chrisman, J.J., Pablo, A., & Chua, J. (2001). Determinants of initial satisfaction with the succession process in family firms: A conceptual model. Entrepreneurship Theory and Practice, 25(3), 17-35.

・ステークホルダー理論をはじめ、組織論、行動論、経済学の各理論を駆使して、文献から得られた知見を統合した概念モデルを構築した。

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・誰の満足度? 家族。
・家族だと、満足している人もいれば、しらけている人もいるのでは。
・承継時の満足度が、のちの経営にも影響する。
・家族だけでなく、社員から見て、今回の承継がどう見えているのか。
・満足よりも、納得のほうが。
・家族の組織開発は、誰がするのか? おかん。
・ファミリービジネスでのODは、家族にまで入り込む必要があるかも。
・後継者の右腕集団。創業者と1対1だと負けるので、後継者集団を作る。

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○Yaさん

Kaye, K. (1996). When the family business is a sickness. Family Business Review, 9, 347-368.

・(親子での)ビジネスの共有が両世代のライフサイクルの発達を妨げている場合、そのような家族が一緒にビジネスをすること自体が不健全。
・親の自我の発達が不十分な場合、(子どもの)正常な個性化が、親とその子どもを不安にさせ、ビジネスが依存症のように機能すると論じる。
・筆者は起業家の子どもたちを「ファミリー・ビジネスの囚人」(Kaye, 1992)と表現した。

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・家族関係の根本治療が必要。コンサルはそこから逃げない。
・ファミリービジネス依存症になるのは誰? 親、子、家族全体。
・ファミリービジネスから離れられないから、依存症になるという流れもあるのでは。
・家族療法そのもの。
・子に離れてほしくないから、ファミリービジネスに引き留める。
・ファミリービジネスの「ビジネス」への注目が当たってきたが、「ファミリー」の問題が氷山モデルの下になるのかも。
・処方箋は、組織開発と似ている。ファミリーという組織を開発する必要性。
・セラピスト的なアプローチ。
・家族が安心して話せる環境を作る。
・「うちはいいわ~」
・「家族の状態どうですか?」と訊いてもらった方が、受け入れやすいかも。
ビジネスは上手くいっている。家族関係はうまくいってるとは言えない。
・承継というタイミングで、家族療法というのはありかも。

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●グループディスカッション

・新しい視点。セラピスト。
・ビジネス以外の共通点。家族の話ならできる。(例:孫、墓)
・家族で話せる環境を作ることが大事。
・承継を考える上で、家族関係が重要と伝えないと、入りづらい。
・家族療法の手法を用いながら、ひそかに働きかける。

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13時30分~ 昼食 ~14時30分 

「薬膳ヌードル」@台湾茶とベジフードのTSUMUGUカフェ

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○T先生

Stavrou, E. (1998). A four factor model: A guide to planning next generation involvement in the family firm. Family Business Review, 11, 135-142.

・モデルは「家族」「事業」「個人」「市場」の4要因によって構成される。この4要因によって、ファミリービジネス内の世代間関係を構築することができる。

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・関与が高すぎるとダメだし、なさすぎるのもダメ。適度な関与がどのくらいなのか?
・成熟期にあるのか、そうでないのかで、後継者の入社も変わってくるのでは。
・砂場時代から、親から教育は受けていたと思う。近所の人たちとの接し方。
・18歳~28歳は、親とはあまり話したくない年齢では。
・30歳で、実家に戻るまでは、好き勝手やらせてもらっていた。
・外部企業での経験をしながら、ファミリービジネスの話を、その間にすべきなのか。
・戻る前提で、外部企業を経験するのは、出向みたいな感じかも。
・外部で働く期間は、5年ぐらい? 戻るのは、30歳前ぐらいというイメージがありそう。

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○Kiさん

Danes, S., Zuiker, V., Kean, R., & Arbuthnot, J. (1999). Predictors of family business tensions and goal achievement. Family Business Review. 12, 241-252.

・米国において414のファミリービジネスの家計管理者(家事を主に行う人)と事業経営者(経営を主に行う人)に調査した結果、
①家計管理者は、事業管理者よりも高いビジネス上の緊張と高い目標達成度を認識していた。
②両者ともビジネス上の緊張のレベルが高ければ高いほど、ビジネス目標の達成度は低くなった 
③家族の健康スコア(APGAR)が高い場合、ビジネス上の緊張は低くなったことがわかった。

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・家計管理者 Household manager 
・「私は家事もやって、仕事もやっているのに」という不公平感。
・家族の健康度 APGARスコア 
・チームが機能しているのかを測る尺度に似ている。
・仕事上と家庭上のストレスは切っても切れない。役割多重性。

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○Kuさん

File, K., & Prince, R. (1996). Attributions for family business failure: The heir’s perspective. Family Business Review, 9, 171-184.

・破綻したファミリービジネスの相続人 749 人を対象としたこの研究は、不十分な相続計画が、不十分な後継者計画よりもファミリービジネスの破綻と関連することが多いことを実証している。

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・相続税を払えなくて潰れた? いきなり破綻する理由が分からない。
・破綻した相続人に聞いているので、自責ではなく、他責にしているのでは。「俺のせいではなく、親がきちんと準備してなかったからだ」と。
・地域の金融機関は何をやっていたのか。業績良い企業がつぶれ、雇用も失ってしまった。
・事業承継の概念は? 所有権と経営権を分ける。
・株は最後に手放す。創業者は、オーナーの立場でいたい。
・株式を承継できないことが、会社の倒産につながる? 

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○Miさん

Hubler, T. (1999). Ten most prevalent obstacles to family-business succession planning. Family Business Review. 12, 117-121.

・本論文は、著者の実践経験からファミリービジネスの後継者育成における困難を引き起こす10の要因と、対応する方向性を紹介しています。著書はセラピストでもあるので、心理的側面やシステム的側面に注目しているのが特徴的です。

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・キャリコンが、中小企業で求められている。話を聞いてほしいというニーズがあるのかも。
・簡単なものから、順々に並んでいる。
・氷山の下には、こういうことがあり、それが原因でこじらせているのでは。
・どの位置から、ファミリービジネスを語るかが難しい。
・合理的でない世界。
・3割は合理で説明できる。7割は非合理。
・孤独な経営者は、愛に飢えているかも。
・コントロールを手放せないのはよくわかる。
・事業承継=相続税 だったが、最近ようやく、人材・マネジメントに目が向き始めている。


・経営におけるスピリチュアリティ。

「この著者が、斉藤君に見えてきた」by中原淳
「チーンがアヤシイんだよ!」

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15時55分~ 

●グループディスカッション

・人間性むき出し。従業員から見たら、家族カウンセリングに入ってほしいと思うかも。
・「ほぐしや」「よどみ」をとる

・創業者の歴史を紐解くのは大事かも。
・創業者は自分のことが見えない。「自分の怒っている姿」を見せる。

・ファミリービジネスは、情緒的な側面が多い。そこへの光の当て方には工夫が必要。

・80年代は、レーガノミクス。Japan as No.1の時代。

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16時15分~ 休憩 ~16時25分

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●中原先生ラップアップ

・学術の世界では、横断では足りず、縦断研究が必要になってきている。
・「社会関係資本(ひとの関係)」の移転。戦略的切断。リセット機会。
・HEXACO 6つの因子で人のキャラが決まる。Darkside triadを発現してしまう。後継者にしてはいけない人間は誰なのかが分かるかも。
・家族だけでなく、社員、右腕も満足した方がよいのでは。満足度が、承継後の成功を規定するのか?
・ファミリービジネスの成功は? 家族の側から見た場合、Well-beingというのはありかも。
・相続計画で、倒産するまでの間に、色々な要因があるのでは。
・ファミリービジネスの家族要因にだけ着目するのも面白い。

・問題の構造:事業=創業者のアイデンティティ・自分の創った世界 それをフィードバックする鏡がない。

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16時45分~

●ふり返り

・最後の10の話が好き。創業者の愛の欠如。

・兄弟経営者の部下だった時を思い出した。彼らは、家族の言語で話す時があった。

・(後継者である)自分がどうあるべきかを考える必要がある。

・在宅ワークにも通じるかも。親が働く姿を、子供が見ている状況。ビジネスとファミリーがぐちゃっとしている。

・ファミリービジネスは、深くて大変そう。うちは、小さく、承継せずに、譲承(JoJo)がいいかなと。それを考える機会を頂けた。
・鏡がないわけではなく、自分の姿が、美しく映る鏡がある世界を、作ってしまうのかも。「自分の姿がきちんと映る鏡」をどう作って行くか。

・学び続けないと、すぐすっからかんになる。

・外面ではなく、承継の内面に触れている。承継は、従業員や地域にも影響するはず。

・事業承継、ファミリービジネスは、やっぱり難しい。非合理な部分がある。
・気に入ってもらえないと、売ってもらえない。誠実性とコミットメントをきっと見られていた。

・2代目から3代目への事業承継を従業員の立場で見ていた。

・創業経営者は、合理だけでは割り切れない。

・ファミリービジネスに、ODで挑戦するのはありそう。

・事業承継は、誰の課題なのか?

・どこにスポットライトを当てるか?
・事業承継は、沼。難しい。「触るな危険」「落ちたら死ぬよ」

・日本の課題解決につながる。堀りがいのある沼。

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参加された皆さん、企画して下さった斉藤さん、辻さん、中原先生、ありがとうございました!

夕方の立教大学池袋キャンパス

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●中原先生のブログ

創業者が「事業承継」に失敗するとき、いったい「何」がおこっているのか?:自分のつくった「世界」に、自分を映す「鏡」がない!? | 立教大学 経営学部 中原淳研究室 – 大人の学びを科学する | NAKAHARA-LAB.net

投稿者:関根雅泰

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