【木曜日23-05】「廃業」文献(3)

木曜日

【木曜日23-05】「廃業」文献(3)

○公庫さんのパネル調査3部作を含む5冊。(研究書5冊)

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三井他(2013)『日本の中小企業研究 2000-2009』第1巻 成果と課題

・「中小企業の研究」は、いまや世界中できわめて一般的かつ普遍的なものになった。
・収益性、成長性を前提としない小(マイクロ)企業や家族経営をとりあげる傾向も。

・中小企業が環境適応するための「シンカ」の方向性としての「深化」「伸化」「新化」。
・中小企業経営の特徴は、規模が小さいことを活かした経営の質、とりわけ顧客満足を創造する「スピード」と、他者にはない「独創性」を追求することで、高業績を上げる「小さな大企業」に変身し得ることにある。

○俺なら、小さな大企業より、小さな「一流企業」を目指したいな。

・在日コリアンが、大きな役割を果たした京都の繊維産業や、パチンコ産業。

・顧客の「つぶやきを聞き取る」ことが需要発見の手がかりとなる。

・自己雇用(Self-employment)の内「自営部門的」な自己雇用者(自営業者、家族従業者、内職者等)の減少が、日本は先進国の中でも顕著な傾向にある。

・中小企業の労働政策の中で、取り上げられることは少ないものの、重要な問題に「安全衛生」等の労働環境政策がある。

・中小企業にとって最も重要な経営資源である人材に関し、レビュー対象期間では、意外なほど研究家成果が少ない。

・欧米では、BSCが、中小企業でも導入、活用されている。

●参考:BSC本

・インターネットが、日本で一般に利用されるようになったのは、1995年に検索のためのブラウザーを搭載したOS、Windows95の発売を端緒にしている。
・ネットの利用者数は、1999年において、2706万人(21.4%)に過ぎなかった。
・2000年代初頭に、ADSL。2003年以降に、光ファイバー回線が急速に普及した。
・ネットが敵的な変革をもたらしたのは、2003年以降と考えられる。

○そういえば、俺もメルマガやホームページを始めたのが、2003年だったな~。

●参考:2003年~2005年のサラリーマン時代から独立直後に発行していたメルマガ

https://hiki-kigyo-college.com/2023/01/25/mail-magazine/

・「学習地域」と呼ばれる多様な主体間における「学習」が企業および知識、産業創造と革新につながる場。
・「学習する地域」としての長野県諏訪・岡谷地域の研究
・「地域ぐるみ」の学習が、大きな役割を果たす。

○「学習する地域」としてのときがわ町、比企郡を作っていけたら。Learning County Hiki! 
 おそらくは「学習する個人」が集まり、「学習する地域」になっていくんだろうな~。

・「まちづくり」なる言葉は、人びとを魔法にかけ、現実を忘れさせ、夢に酔わせてしまう絶大な効果を持っている。
「まちづくり」は、魔力に満ちた概念である。批判を寄せ付けない、疑問を抱くことを回避させる力を持っている。

○ほんとそうだよな~。俺もときがわカンパニー設立初期(2016年~18年)は、魔力に酔わされていたかも。

・まちづくりと小売商業は併存できないのではないか。
・かつての中心市街地の再生を願うのは、昔を知る人や商業者の単なる郷愁。

・企業を、起業、成長・発展、経緯者交代(事業承継)、廃業といった企業のライフステージで見る。

・創業に対する流動性制約と政策金融という問題に対して、近年の研究は、それ以前に比べ、否定的なものが多い。
・起業における流動性制約という概念に懐疑的な論文の代表として、Hurst=Lisaudi(2004)がある。
・自己資金でいかに開業できるかが起業予定者にとってはポイント。

・多変量解析を用いた多くの論文から得られた結果:
 1)起業時の企業規模が小さいほど、その後のパフォーマンスは良く、
 2)高齢(40代以降)の起業は、パフォーマンスが悪い一方
 3)開業業種における経験は、パフォーマンスにプラスに働く

○「小さく始めて、大きくせずに、長く続ける」の裏付けとなる研究結果と言えるかも。
○その反面、公庫さんのパネル調査だと「開業時の規模が大きい(従業員多)」ほうが、存続率が高いというデータもある。

・事業承継というテーマが、中小企業研究の俎上に載せられたのは、2000年代に入ってからである。
・これまで法律学者や弁護士、公認会計士や税理士の「専管分野」であった本分野に、経済学者や経営学者も些かの貢献ができることとなった。

○参考文献に上がっていた「企業倒産の予防戦略」読んでみよう!

・ポーターらによる「クラスター論」
・クラスターでの負のスパイラルやロックインといったデメリットの解消が、イノベーション創出につながる(高橋2003)

・「第3次産業」は、Clark(1940)が提示した用語。

・中小企業の7割以上が、小企業である。
・仕事や心の豊かさに対する満足度の高い小企業が、経済社会にどのような影響を与えるのかという研究は深まっていない。

○ここだよな~。俺が知りたいのは。

・OECD全体の自営業者比率は、17.7%から17.4%に推移する中で、日本は、16.6%から12.3%に低下した。

・2000年代前半のベンチャーブームを冷却化させた直接のきっかけは、2006年初頭のライブドア事件であった。

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●公庫さんのパネル調査本 第1コーホート(2001年~2005年)

樋口・村上・鈴木(2007)『新規開業企業の成長と撤退』

・2001年に開業した企業を対象に、2005年にかけて5回のアンケート調査を実施。
・日本で初めて行われた本格的なパネル調査(縦断調査)と言ってよい。

・廃業には2つの形態がある:
 1)私的整理 2)法的整理:破産と特別清算
・本章においては、廃業を「理由の如何を問わず、事業活動を停止したこと」とする。
これは、私的整理と、清算型倒産(事業の解体)を廃業とする中小企業庁(2002)の定義と同じ。

○俺が、70代ぐらいで行う「廃業」も、私的整理、清算型になるな。

・2005年末まで存続した企業は、1803社(82.7%)廃業した企業は、335社で(15.4%)であった。

・開業2年後の存続割合は、70%程度という国が多く、開業4年後の存続割合は、50~60%程度という国が多い。
・日本の新規開業企業の4~5年後の存続割合(80%)は、総じて高い。

・存続企業では、量的にも質的にも、人材を確保することに苦労。
・廃業企業では、販路開拓や資金繰りといった廃業に直結する苦労に直面。

・参入企業が多い市場で、事業を始めた場合、廃業確率が高まる。
・規模が小さな企業の廃業確率は高い。規模の小さい企業のほうが廃業を決断しやすい。

・FC加盟企業は、廃業確率が高かった。
・開業時の年齢が高いほど、廃業確率が高まる。1)変化に対応する柔軟性が失われる 2)体力的な理由

・斯業経験年数が短いほど、廃業確率が高まる。
・管理職としてのマネジメント経験は、社長業には必ずしも役立ってない。

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・新規開業企業は、開業後も雇用を創出している。
・ハイテクとは直接関係がない、労働集約的な業種で、多くの雇用が創出されている。
・雇用を増加させた経営者は、管理職を経験している、または年齢が若いという特徴がある。

・地域特性の影響がみられず、ひとたび開業すれば、立地条件による不利はほとんどない。
・一般的に、開業直後の時期に、退出が多い(liability of newness)
 製造業の場合、およそ3割が、1年以内に退出。4年目以降になると安定する。
・三大都市圏と、それ以外の地域の企業の間で、新規開業企業の存続の確率に、有意な差は無い。
・同業者が多い地域ほど、存続の確率が高い。同業者との情報交換や業種に特有の経営資源のプールなど、産業集積の正の効果が、第三次産業においても、新規開業企業の存続に重要な意味を持つ。

・10年強の斯業経験を経て(30代)開業するのが、最も一般的かつ、存続に有望な形といえるのかもしれない。
・月商については、初回の289万円から、最終時点では500万となっており、時間とともに売り上げ規模が拡大。
・開業時規模と生存率の正の関係に疑問を投げかける研究もあり、(Wagner1994他)確定的な結論が得られているわけではない。

・国民生活金融公庫から、徐々に民間金融機関に借り入れがシフトしている。
・少額融資は、政府系金融機関にふさわしい分野である。
・斯業経験や自己資金が乏しいことが、女性の廃業割合を高く見せかけている。男女差ではない。

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・事業が軌道に乗るまでの期間は、平均で26.7か月(約2年)である。
・予想月商「未達成企業」がとった4つの対応:
 1)規模を縮小する 2)事業から撤退する 3)新たなニーズに合うよう商品を変える 4)周知活動のやり方を変える

○一倉定先生に言わせれば「顧客に聞け!」だろうな。

・開業後のパフォーマンスの決定要因に関する2つの伝統的立場:
 1)受動的学習モデル PLM:Passive Learning Model (Jovanovic 1982)
    パフォーマンスは、生産コストの高低によって規定される
 2)積極的学習モデル ALM:Active Learning Model(Ericson and Pakes 1995)
開業直後のパフォーマンスが悪くても、的確な投資や学習によって、利益を増加させることができる

・開業後の経験によって、起業家は自身の能力を高めることができるという折衷的な見方もある(Stam et al.2006)
・一般消費者を対象とする事業の場合は、初期条件が。事業所を対象とする事業では、開業後の取り組みが重要と考えられる。

○B2Bの場合、開業後の取り組みが重要というのは、よくわかる。いかに信頼を積み重ねていくかで、仕事量が変わってくる。

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・好調企業グループでは、多角化志向型に取り組んだ企業の割合が高い。

○俺の場合は、開業10年ぐらいに、Aで失敗し、今(開業19年目)は、B,C,Dをやってるかな。
 開業5年以内でやったことをふり返ると、Cだったな。

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・ベンチャー企業ではない「普通の企業」の開業にも光があたるようになった。

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●公庫さんのパネル調査本 第2コーホート(2006年~2011年)

鈴木(2012)『新規開業企業の軌跡-パネルデータにみる業績、資源、意識の変化』

・2006年開業企業を、2010年12月末まで追ったパネル調査。

・新規開業が果たしうる役割:
 1)雇用の創出 2)成長企業の苗床 3)競争の促進

・開業時の平均年齢は、41.9歳。中央値は、40歳。

・組織エコロジー論:
 1)新しさの不利益 Liability of newness
 2)青年期の不利益 Liability of adolescence
 3)小規模の不利益 Liability of smallness

・学習を通じて自らの能力が低いと認識すれば退出、高いと判断すれば市場にとどまる(Jovanovic 1982)
・人的資本が高いほど、廃業確率は低い。

・廃業は、自発的 Voluntary と、非自発的 involuntary(倒産 bankruptcy、強制的 compulsory)の2つに分類。

・Gimeno et al.(1997)の「閾値モデル Threshold model」 
 代替的な雇用機会が多く、事業を継続することによって得られる心理的収入が低く、職業変更によるスイッチングコストが小さければ、閾値は上昇し、廃業確率が高まる。
・Schary(1991)の「順序モデル sequential model」 意思決定が段階的に行われる。

・経営経験は、プラスの影響もあるが、自信過剰や成功体験の一般化によるバイアスの影響を受けやすいというマイナス面もある。

○LWという会社を10年経験して、立ち上げたTCという会社での初期は、マイナス影響があったな~。自信過剰。

・過去の学習を応用する結晶性知能は、60歳くらいまでに上昇。
・新しい情報を学習したり、新しい環境に適応したりする流動性知能は、20歳代をピークに低下する(Kanfer and Ackerman 2004)

・多くの先行研究では、青年期の不利益が示すように、廃業した企業の割合は、開業後徐々に高まり、その低下していくという逆U字型を描く。
・(本調査における)全廃業に占める自発的廃業の割合は、約4割と必ずしも低くはない。

・ドイツの廃業率(1995年~2000年)は、年12.6%。日本の廃業率(1996年~1999年)は年5.6%。

・開業後の業績に対しての学習の役割:
 1)開業時の効率性を重視する「受動的学習 passive learning」(Jovanovic 1982)能力が低いと判断した起業家が退出。
 2)開業後の効率性の向上を重視する「積極的学習 active learning」(Ericson and Pakes 1995)起業家は事業活動を通じて能動的に学習し適応していく。

・月商が大きく変化するのは、2~3年目までと言える。
・2008年以降の不況の影響を特に強く受けたのは、対事業所サービス業であった。

・月商増加率に対して、唯一有意に作用する自認能力は「マネジメント能力」であった。

・情報の非対称性が低いとみられる人(直接の知り合い)を採用したほうが、質的不足は解消されやすい。

・拡大意欲は、ガゼル企業になるための必要条件。

・資金制約と業績との間の相関に懐疑的な見解もある。存続と相関するのは人的資本であり、資金制約との関係は見せかけに過ぎないという(Cressy 1996)

・非金融機関としては、3F:Founder創業者本人、Family家族・親族 Friend友人・知人

・多数の顧客との取引は学習機会を増やし、業績を向上させる(延岡1998)
・特定の顧客への依存は、退出のリスクを高める(Storey1994)
・先行研究の多くは、取引分散のメリットを支持する。

○これは、そうだよな~。1社への依存度が、2~30%を超えると危険と聞くし、俺も実際その時期はやばかった。とはいえ、初期段階は、少数の顧客しか作れないから、そこからいかに、顧客数を増やし、1社への依存度合いを減らしていくかだよな~。

・顧客からのアドバイスが売上増加率を高める(Robson and Bennett,2000)

・存続要因と成長要因は異なり、成長を左右するのは、開業後の取り組みであった。

・自営業主の満足度の説明要因は、1)時間的な自由度 2)経済的豊かさ 3)仕事のやりがい であった(八幡1998)
・本データでは、収入満足度は低く、やりがい満足度は高かった。

・開業後の姿について、現実的な期待を事前に形成することが重要。
・開業のマイナス面も含めて、先輩経営者の率直な体験談を聞くことも一案。

○RJP(現実的職務予告)の一環として、脅かしすぎないよう、伝えることは確かに必要。特に「向いてない人」が起業しないためにも。

・週に6日働くとすれば、1日10時間。

・起業家は「自分に保険をかける」つまり自らがコントロールできる要因を増やそうとより長く働くことが指摘されている(Parker2009)

○長く働くことで、事業がうまくいくなら、やっぱり長く働くよな。ランチェスター経営竹田先生の「長時間労働の勧め」もあるし。必勝の3,200時間。

・私生活満足度において、配偶者については総じてプラスの心理効果が指摘されている。
・子供については、誕生の喜びと育児責任の不安という相反する効果がみられる(色川1999)

・企業を経営することにはより大きなストレスが伴うものの、それを埋め合わせるだけの威光や職務満足があり、その結果、私生活満足度が高まるのかもしれない。
・事業を拡大したいとする開業者は、私生活を犠牲にして働いているようである。

○ここだよな。家族との時間を大切にするためにも「ミニ起業家」は「小さく始めて、大きくせずに、長く続ける」ことを重視。大きくしようとしなければ(=従業員を増やさない)家族時間と仕事時間のバランスはとれる。

・事業活動を通じて得たヒントをもとに学習を積み重ね、次なる差別化策を早い段階から考えていくことが欠かせない。
・とるべき行動に関する正しい回答を与えるのではなく、より妥当な解にたどり着ける可能性を高められるような支援の在り方。

○正解を注入する「導管モデル」ではなく、納得解を本人に考えてもらう「対話モデル」が、ミニ起業家支援には必要。経営者なのだから、最終的に決めるのは本人。本人が「これでやってだめなら仕方ない」と納得できるぐらいの案を考えられるよう手助け出来たら。
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●公庫さんのパネル調査本 第3コーホート(2011年~2015年)

深沼・藤田(2018)『躍動する新規開業企業ーパネルデータで見る時系列変化』

・2011年に開業した企業3046件を5年間継続して観察。第3コーホートとしての取り組み。
(第1が、2001年開業企業。第2が、2006年開業企業)

・開業の翌々年に、廃業割合が高まる。
・もともと規模拡大を望んでいない新規開業が多い。

・月商(毎年12月)の推移

・事業が3年目には安定。

・1日あたりの就業時間

・セミナーや講演会、交流会や会合への参加は、業績との間に関係がありそう。(黒字企業のほうが参加している)

・差別化の度合いが強くなると、存続率が高くなる。
・価格以外の要素で、差別化を図ったほうが、よい結果が得られる。

・前年の業績が、翌年の廃業に大きく影響している。前年が赤字基調であった場合、翌年の廃業率が上がる。
・セミナー、講演会、交流会、会合への参加は、廃業率を下げる効果がある。

・29歳以下の女性経営者の廃業が多い。

・売上は、開業2~3年目に大きく伸びるが、その後の伸びは、小さくなる。
・事業所を主な顧客、販売先とする企業のほうが、一般個人を対象にする企業より、売上を伸ばしていける。

・月商の平均

・B2Bの業種でパフォーマンスが良い。

・新規開業企業は、社会の変化によって生まれた新たな需要(医療・福祉業、情報通信業)を先んじてとらえているといえる。

・経営者の仕事は、従業員が働きやすい環境を整えること。

・業績の浅い企業のほうが生産性が高い。新規開業企業の参入が、産業全体の生産性向上に寄与する。
・新規開業企業の生産性の高低を決定づける最大の要因は、経営者の能力。

・経営者は、1週間のうち、5.7日は働いている。

・新規開業企業の生産構造は、労働集約的。労働投入量が増えると、年商も増加する。

○ランチェスター竹田先生の言う通り、「長時間労働こそ、弱者の社長がすべきこと」なんだろう。特に、開業初期で強みが分からないときは、長時間働くだけで、売上につながる。もちろん、間違った努力にならないよう、きちんと戦略を考えることが前提だけど。

・経営者の家事負担の増加は、企業の生産性を下げる。特に開業後期のTFPに影響する。

・小さい企業においては、日本政策金融公庫のプレゼンスが高い。
・信用保証協会の保証が、民間金融機関等からの借入に貢献。

・2011年3月の震災の「売上」以外の影響として「原材料、商品、燃料の不足」「自粛ムード」があった。

・災害被害の大きい地域を中心に、開業が増えることが知られている。
・災害という特殊な環境によって「向社会的行動(援助、同情、共感等)」の意識が強まったこと、
 起業志望者のネットワークの変化が作用するためと考えられる。(品田2013)
・プル要因、プッシュ要因のみならず、利他性を動機とした開業の増加。

・震災開業企業 経営者の高いモチベーション「人の役に立ちたい」

・15日以上仕事を休んだことを「休職」と定義。
・2011年から2015年までに休職した企業が、71件(5.1%)あった。
・女性経営者が、11.2%。男性は、3.8%。

・経営者が休職しても、事業を継続できる態勢づくりを、日ごろから進めておくことが大切。

○弊社の場合、既存のお客様への研修・サービスの提供については、パートナー講師にお任せできる。新規開拓の営業は、私がやらないと止まる。月末の支払いは、専務にお願いできるから大丈夫。なので、休職での影響は、新規顧客の開拓数減ぐらいかも。

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猪木・大竹(2001)『雇用政策の経済分析』

・「整理解雇の4要件」を満たさないと、解雇権の乱用として無効となる。
・時期によって柔軟に判断基準が変化してきた。

●第2章 自営業減少と創業支援策 玄田・神林

・自営業は、高齢者に多くの就業機会を提供している。
・自営割合は、高所得および低所得階層の両方で高く、中流階層で低い。

・自営業の8割近くは、商人・職人世帯が占めている。

・リスク回避的な個人ほど、自営業を選択しない(宮里2000)
・自営業収入は、加齢に伴って、収入は増加する傾向。

・中高年者(40~50代)の開業は、相対的に困難になりつつある。
・経験の蓄積が収益に結びつきにくくなっている。できるだけ若い段階で創業したほうが、成功する確率は高まる。

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・企業のなかで公平性を維持していく方法2つ:
 1)退出(Exit)のオプションを用意すること
 2)中立的で明確に設定された発言(Voice)の機構を準備すること

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●第5章 職業訓練・能力開発施策 黒沢

・人的投資への公的介入を必要とする理論的根拠:
 1)資源配分の公平性の確保:不利な立場にある人々の職業訓練、能力開発を受ける機会を公的に支援
 2)市場の不完全さや外部性の存在:市場に任せていては、効率的な人的資本投資が行われないから介入

・労働者の一般的能力は、訓練した企業よりも、外部企業で低く評価される。
・転職前の企業によって施された企業内訓練が、転職後の企業での生産性と賃金をともに高める。正の外部性をもたらす可能性あり(Bishop1994)

・米国において、職業訓練の中心的役割を担っているコミュニティカレッジにおいても、最近は企業向け契約訓練の編成などが盛んにおこなわれるようになってきている。

・労働者の能力を、その採用時に、求人側が知ることは難しい。
・職業能力評価の基準が、社会的に樹立されることが望ましい。

・米国政府は、国をあげて実験的方法によるデータ収集に踏み切っている。

○紹介されていた 尾高(1993)「企業内教育の時代」は読んでみよう。

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・企業も強い拘束性に耐えうる人だけを、活用の対象とするころが合理的であった時代は終わりを告げつつある。

・まず均等度を高め、それからファミフレ度を高めるというシナリオをとる企業が多い。

・雇用助成金政策による過度の介入は、むしろ逆効果の面が大きい。
・本来は、別個の社会政策で行わるべき政策が、一般財源の制約の中で、豊かな財源をもつ特別会計の雇用保険にシフトした。

・日本では、最低賃金の実質価値が、1970年代後半から1990年代中頃にかけて一貫して上昇している。
・地域別最低賃金が、パート賃金決定に及ぼす影響は限定的であった。大都市においては、パート賃金は、最低賃金より20~30%高い。

・労災保険の保険料は、全額企業から徴収されているので、国民自ら負担しているという意識がやや薄い。

・1994年の年金法の改正により、厚生年金の支給開始年齢が、2001年度から段階的に65歳まで引き上げられることが決定。
・60歳までの定年延長と、65歳までの継続雇用の促進。これらの高齢者雇用対策の効果として、定年延長が最も効果をあげており、継続雇用による雇用はそれほど増大していなかったことが分かった。

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投稿者:関根雅泰

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