【木曜日22-9】「転移」文献

参考文献

【木曜日22-9】「転移」文献

○転移のルーツを辿る旅(2)

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Thorndike & Woodworth (1901) The Influence of Importance in one mental function upon the efficiency of other functions.(I.)

・125枚の様々な形(四角形、三角形、円、変わった形)の紙がある。
・これらの紙を使った実験を行った。

・両方の機能において、Identical element 同一要素がないと、mysterious transfer of practice 謎めいた転移という実践は起こらないのではないか。

・One has not been transferred to the other. 一つが別のに転移したとは言えない。

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Thorndike & Woodworth (1901) The Influence of Importance in one mental function upon the efficiency of other functions.(II.) The estimation of magnitudes.

・違う主題に対する訓練の効果が、それぞれ違うことが見て取れる。
・一つの機能が、他の機能を向上させることを、転移として説明する必要はない(?)

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Thorndike & Woodworth (1901) The Influence of Importance in one mental function upon the efficiency of other functions.(III.) Functions involving attention, observation, and discrimination.

・正確さよりも、速さのほうが、より向上していた。

○う~ん、まだ読み解けてない。他の書籍での解説を読んだ方が理解が早いかも。(IIIのみ、有料だった。14.95ドル)

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Barnett & Ceci(2002) When and Where Do We Apply What We Learn? A Taxonomy for Far Transfer.

・転移は少ししか起こっていない(Detterman, 1993)

・Thorndike(1901、1906)とJudd(1908)の議論
・Juddは、特定の事実、スキル、信念よりも、広範な原理と一般化を教えるべきと考えた。
・identical elements 同一要素と、generalizede schemes 一般化シェマの議論。

・教育における形式陶冶の哲学を支持するエビデンスは無い(Detterman,1993)
・Near transfer 近転移に関してのみ、転移は成功していると言える。

・Content(What)内容と、Context(When,Where)文脈という2軸を提示したい。

・Taxonomy for far transfer

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『心理学と教育実践の間で』佐伯・宮崎・佐藤・石黒(1998、2013)

第4章 学習の「転移」から学ぶ~転移の心理学から心理学の転移へ 佐伯

・転移(Transfer)とは「ある一つのことの学習が、別のことを学習をするのに役立つこと」をいう(Hilgard & Bower, 1966)。

・転移をどのように考えるかは、カリキュラムをどのように考えるかと表裏一体の関係にある。

・ブルーナーは「教育の過程(1961)」で、教科の「構造」を中心において、学習者の洞察や発見を促していく「螺旋型」のカリキュラムを提唱した。これが「教育の現代化」運動の始まりとなった。

・同書で、ブルーナーは2つの転移を区別する。第一は、訓練の特殊的転移(Specific transfer of training)であり、これは行動主義心理学が扱ってきた転移である。

・第二の転移は、非特殊的転移(Nonspecific transfer)であり「原理や態度の転移」だという。この第二の転移が生じるのは、学習者が教科の構造を習得した時だと、ブルーナーはいう。

・「あとで生じることへの備え」は、言語学では「プロレプシス(Prolepsis)]と呼ばれる(Rommtveit 1979)。ストーンらは、この「プロレプシス」こそが、ヴィゴツキーの言う「最近接発達領域」におけるコミュニケーションの構造だとしている(Stone 1993)

・「備える」ことから、何の苦もなく「転移」は生起し得るのである。

・知識は実践活動の中で「頭の外」への実践活動を通して転移している。
・「頭の中のこと」に閉じ込めて、人間行為の説明をしようとしてきたこと自体が間違いだったというわけである。
・手続き的知識にせよ、宣言的知識にせよ、私たちは何とかしてそれを発展させるべく(転移させるべく)何らかの「形に表す」方策を試みる。

・赤ちゃんは「教えてもらう」と気構えたとたん「自分で考えてみる」ということを停止させる(「考えない」スイッチを入れる)ことについては決定的な実験がある(Whiten, Horner,& Marshall-Pescini,2005)

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『学習と教育の心理学』市川伸一(1995、2009)

・進化の進んだ高度な種ほど、内発的動機付けは高いと言えそうです。一見、何のためになるのかわからないような遊びや探索的な行動を自発的にとることが多くなる。

・一見無駄なことを学習しておくというのは、一種の貯蓄や保険としての価値がある。

・学習動機の2要因モデル

・ロッタ―(1996)は、統制の所在(Locus of control 定訳はまだない)という概念を提出した。

・20世紀初頭からの行動主義的学習理論
 1950年代後半からの認知心理学
 1980年代半ば以降の状況論

・知的行動を探求する立場

・般化(Generalization)と、分化(Differentiation)

・かなり異なる状況でも、ある学習が他の学習に影響を与えることは「転移(Transfer)」と呼ばれる。

・19世紀までのヨーロッパでの学校教育では、ラテン語やユークリッド幾何学が、カリキュラムの中で大きな比重を占めていた。これらは、大人になってから直接的に仕事や生活に役立つというわけではない。しかしこうした学習を通じて、頭が鍛えられ、思考力や判断力がつくと信じられていたのである。このような考え方を「形式陶冶」と呼ぶ。

・一方、教育では、直接使える知識、技能を教えるべきであるという考え方を「実質陶冶」と呼ぶ。

・これらは「訓練志向」と「実用志向」という学習動機に対応している。

・学校教育は、全体としてみれば、形式陶冶をベースにしていると言える。

・学習に費やす時間が一定であるならば、集中学習より、分散学習のほうがはるかに効率が良い。

・先行オーガナイザー(Advance organizer)は、後続する情報を体制化してとりこむための枠組みとなる。

・授業設計または教授設計(Instructional design)は「教育目標を効率的に実現するための教育システムの最適化」という教育工学的な発想から近年でてきた考え方。

・測定(Measurement)は、対象の状態の記述であり、とりわけ対象のもつ何らかの特性に対して数量的な表現を与えることをさして用いられる。

・信頼性(Reliablity)とは、同じ対象について測定を繰り返した時に、どれくらい安定した測定値が得られるかということである。
・妥当性(Validity)とは、測定しようとする属性を測っているかどうかに関する概念である。

・評価(Evaluation)とは、測定と重なる部分もあるが、一般には何らかの価値づけを持った判断を含んでいる。

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「脳科学の数学教育への応用の可能性とその限界」黒田・岡本(2006)

・陶冶とは、一般に教育作用中で子供の知的形成と関わる側面を育成することを意味する言葉として用いられるが、この陶冶には、形式陶冶と実質陶冶がある。

・形式陶冶の中心的な概念に学習効果の転移があるが、これは学習した事柄について、それを学習した文脈とは異なる文脈で利用することを意味した言葉であり、いわば「応用」にあたる。

・(形式陶冶において)法則や体系の源は、行動し思考する「人間」の側にあるとする。
(実質陶冶において)法則や体系の源は、「実在」の側にあるとする(横地1958)

・形式陶冶における学習効果の転移の問題は、19世紀後半から20世紀初頭にかけてのアメリカでの第一次産業革命と科学技術志向の動きと連動したものとして登場。

・大量の労働力の必要性が、教育の効率化と短縮化の発想を生み出した。

・ヘモグロビン濃度変化の計測値から現段階で明らかにできることは、学習過程をヘモグロビン濃度変化によって、その一部を記述することができるということである。

・(右脳と左脳といった単純構造によって)学習と脳との関連性を論じることには、それほど生産性がない。

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投稿者:関根雅泰

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