【木曜日22-2】人材育成の未来本_220113

木曜日

○人材育成の未来を考える際に参考になる本

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『シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成』安宅和人(2020)

・2019年2月に、人間の能力を、キカイは超えた。

・データ×AIシステムを回す。学習優位を築くためにも、さっさとどんな分野でも始めた方がいい。

・天然のDtoAコンバーターが地球生命である。

・未来(商品、サービス)=課題(夢)×技術(Tech)×デザイン(Art)

・単に、定年という仕組み以外で、人を吐き出せない、生産性を上げるための基本的なマネジメントができていない、またこれまでの仕事で上手く価値を生み出せなくなった人達のスキル再生ができないという、日本企業の組織運営課題。

・第二、第三の波で勝つ

・日本は妄想では負けない。この国は3歳児ぐらいから、この妄想力を半ば英才教育している珍しい国。

・価値創出の3つの型:
 1)N倍化(大量生産) 2)刷新(A→B) 3)創造(0→1)

・量的拡大のハードワークができるスケール型人材を生み出すことだけに注力してきた日本の人材育成モデルは、根底から刷新が求められている。

・人としての魅力(Charm)

・(日本の教育選抜過程においては)「覚える力」を圧倒的に重視してきた。今まで生み出そうとしてきた能力の大半は、本来キカイのほうが得意な能力だ。マシンとしての教育。

・学ぶ側が教える側に回るカスケード的な展開。

・「引っかかること」を優先する。
・若さこそが、毎日目減りしている希少な資源。

・(アントレプレナーシップ素養を)時折、実際に事業を起こした人と接し、肌感覚からでも学ぶのが望ましい。簡単な馴染みがあるかどうかだけでも、将来的に何をどういう風に当たったら良いかを掴む大きな助けになるからだ。

・国のような公共機関が行う取り組みの中で、最もROIの高い取り組みのトップが、教育・人材開発(People development)であり、それに次ぐのが、科学・技術開発である。

・(寄付は)富を再配分する優れた仕組みであり、税を補完するメカニズムになる。
・流れるべきところに、お金が流れていくだけで、社会は改善される。

・このままいけば、この国はシニア層と過去にお金を使いすぎて衰退を止められなかった初めての大国として歴史に名を刻むことになるだろう。
・日本の歴史上、もっとも強欲で身勝手なシニア層のいた時代だったと後世の人に言われてしまうことになりかねない。

・東京は、2100年には、夏に40度を軽く超す。台風は、風速90mに上がる。

・SDGsの17のゴールには、1)才能と情熱を解き放つ(9項目) 2)持続可能な空間を作る(6項目) 3)力と方法をもつ(2項目)というかたまりがある。

・都市集中型の未来に対するオルタナティブとしての「風の谷」

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●参考:安宅和人さんの講演 「AI×データ時代における日本の再生と人材育成」

●参考:安宅和人さんの別の本 

『イシューからはじめよ──知的生産の「シンプルな本質」』(2010)

・「何に答えを出すべきなのか」についてぶれることなく活動に取り組むことがカギ。
・「悩む」=「答えが出ない」という前提のもとに「考えるフリ」をすること
・「考える」=「答えが出る」という前提のもとに、建設的に考えを組み立てること
・「イシューIssue」とは、2つ以上の集団の間で決着のついていない、白黒がはっきりしていない問題
・自分だけがもつ視点で答えを出せる可能性がないか。
・分析=比較、比べること
・理解=2つ以上の情報がつながること
・デルブリュックの教え「ひとつ、聞き手は完全に無知だと思え。ひとつ、聞き手は高度の知性をもつと想定せよ。」

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『人材覚醒経済』鶴光太郎(2016)

・問題の根源:無限定正社員システム

・無限定正社員というレンズから見た日本の雇用システム
 1)メンバーシップ制
 2)企業別労働組合
 3)後払い賃金
 4)遅い昇進
 5)頻繁な配置転換、水平的なコーディネーション
 6)解雇ルール
 7)家族システム(片働き、専業主婦)

・「メンバーシップ型人事」から「ジョブ型人事」への転換は、従業員の「色」を自由に塗り替えることのできる「使い勝手が良い人事」から、個々の従業員の「色」を適切に組み合わせなければならない「面倒くさい人事」への転換を意味し、人事部の裁量権の縮小につながるだろう。

・ベビーシッターなどの「たまのサポート」よりも、夫の火事、育児参加、親との同居、保育園利用といった「日常的なサポート」が妻の就業に好影響を与えることが確認されている。

・ICTを活用した在宅勤務(テレワーク)において、1日の労働時間が8時間の範囲内である場合には、それが午後10時から午前5時の間に行われたとしても、労基法37条の深夜労働の割り増しの適用対象外とすべきである。

・正社員の大半が、キャリアの途中でジョブ型に転換することで、後払い式の賃金システムが見直されることになる。

・過去20年間程度の日本企業(特に大企業)の大きな変化として、企業と従業員の信頼関係の弱まりがある。

・2000年にノーベル経済学賞を受賞したJ.ヘックマン氏による非認知能力に着目した研究。認知能力が学力テストで測れる能力だとすれば、非認知能力とはテストなどで測れない能力で、個人的形質と関係している。

・ヘックマン氏は、T.カウツ氏との論文で、認知能力と非認知能力を、認知スキル(Cognitive skill)と性格スキル(Character skill)と呼び変えている。

・性格スキルを分析する上で、Big Fiveという分類が広く受け入れられている。
・特に「真面目さ(Conscientiousness)」が、様々な人生のパフォーマンスを最も広範に予測している。

・性格スキルは、認知スキルに比べ、後年でも伸びしろがある。
・青年期こそまだ伸びしろのある性格スキルを高めていくべき。

・(徒弟制度の下では)仕事をさぼらない、他人とうまくやる、根気よく仕事に取り組むといった貴重な性格スキルを教えられていた。

・大企業を中心に新卒一括採用が行われているが、これはどのような職務ができるかということよりも、性格スキルにより焦点を合わせた採用といえるかもしれない。

・性格スキルの向上を、人材育成の柱の一つに据えるべきであろう。

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『日本人の勝算』 D.アトキンソン(2019)

・24歳以下が、2030年には、18%まで減少する。残る82%(25歳以上)を、どう教育するかが課題。

・「いいものをより安く」は、人口増加が大前提。Low road capitalism 「価格の競争」
・「よりいいものをより高く」 顧客は自分のニーズにより合っているものに、プレミアムな価格を払ってくれるという信条。High road capitalism 「価値の競争」

・輸出をしたいという意思のほうが重要で、それが生産性の高さの秘訣。

・小さい企業の多さが、日本の生産性の低さの最大の原因。
・企業の規模と生産性の間には、強い相関関係がある。規模が大きくなるほど、生産性が高い。

・生産性を向上させる効果が最も期待され、実施されているのが、継続的な最低賃金の引上げ。最低賃金と生産性の間には、強い相関関係(0.84)が認められる。

・日本は人材評価が高いのに、最低賃金が低く、生産性も低い。

・Entrepreneurismと生産性の間の相関関係は、0.91ときわめて強い。

・社員教育によるスキルアップと生産性向上の相関係数は、0.66なので、極めて大事な要素。

・過剰になった大学のキャパシティーを使って、高齢化するビジネスパーソンの再教育を行うべき。
・教育の対象は、子供(24歳以下が18%)ではなく、大人(82%を占める25歳以上)である。

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●参考:D.アトキンソンさんの別の本

『新・生産性立国論』(2018)

・人口減少時代に必要なのは、変化を受入れ、変化を楽しみながら「生産性」を持続的に向上させていくこと。
・日本人は「事後対応」が世界一得意。
・生産性=1人当たりGDP(労働者給与・企業利益・税金・金利)
・生産性が低いのは、サービス業。
・無能なのは「経営者」人材の配置と使い方を間違えている。
・生産性をあげるために、企業数の削減、最低賃金の段階的引き上げ、女性の活躍が重要。
・これからの時代は、雇用を増やすことではなく、給料を上げることが社会貢献。

『新・所得倍増論』(2016)

・日本が世界第2位の経済大国になったのは、人口が多かったから。
・観光大国になるためには「自然、気候、文化、食」の4条件を満たす必要があり、日本は4条件を全てを満たしている稀な国。
・人口増が人口減に転じたのは、1990年代に入ってからであり、これは「失われた20年」が始まった時期。経済成長が止まった大きな要因は人口減という仮説を裏付ける証拠の一つ。
・海外との生産性ギャップのかなりの部分は、女性の賃金の低さで説明できる。
・女性に任されている仕事が、そもそも付加価値の低いものが多いのではないか。
・社会福祉の恩恵にあずかろうとする一方「大切なのはお金だけじゃない」「利益や効率性ばかりを追求するのはいかがなものか」と言うのは厳しい現実の中で生きていないから言える「妄言」。

『新・観光立国論』(2015)

・日本のすごい点は、1億人以上の人口を有しているのに、先進国になっていること。殆どの先進国の人口は、約3000~6000万人に集中。
・既にある観光資源の魅力を引き出し、観光客が求める事をやる。
・オーストラリア、ドイル、カナダが、観光支出額ランキング上位3位の「上客」
・日本に必要なのは「質の高い観光客」の声に耳を傾けること。
・観光客を支払う料金でランク付けするのは、差別ではなく「多様性」を受け入れているということ。
・ニセコの冬のスキー。夏のラフティング。
・日本の文化財には「説明」が必要不可欠。
・外国人観光客を飽きさせることのないコースをいくつもつくることによって「今回も日本を回り切れなかった。またきたい」と思わせることが極めて重要。

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『人と仕事の未来』 日経BP社(2018)

・最適化の動きとして、エキスパートの多重活用(複数組織への知見提供)が図られていく。
・生き残ろうとする組織は、多様化を容認し、それに合った人事管理、報酬制度を用意していくだろう。

・個人または少人数のマイクロ企業が、2028年に向けて増えていく。
・大企業に勤める社員が、外に目を向ける。

・企業は、20代~30代前半の若手に向けて、経営者用の教育プログラムを提供する。
・フリーランス向けのキャリア形成を支援するサービスや、所得保障などのセーフティネットを提供するサービスの市場が活性化する。

・深いデータを取得できた企業が勝つ。
・医療、ヘルスケアに関連するサービスの成否を左右するのは、行動変容ノウハウであることに、多くの関係者が気づき始めている。

・一人で在宅勤務する働き手が増える事で、逆にチームで働くことのメリットが浮き彫りになる。
・Workplace as a Service 
・「そこに通いたくなる」魅力的な機能。「居ると、健康で、創造的になるオフィス」

・オフィス、自宅、遠隔で働く社員、外部協力者を「チーム」としてマネジメントする必要性が高まる。
・「どうすれば自社でフリーランス人材をうまく組み入れられるか」を考える流れに入っていく。
・フリーランスのスキルの購入相手は、会社というよりは、プロジェクトになる。

・同じ職種のプロフェッショナルが集うギルド的なグループが、後進の教育を担う。

・仕事をするうえで、人は感覚のほとんどを、視覚と聴覚に頼っている。

・バブル入社世代が、60代を迎え、定年退職し始める2020年以降、ナレッジ継承システムの需要が高まる。
・ベテラン作業者のノウハウを、どのようにして再利用できる形にするか。
・コンテンツを面白く仕上げるというセンス。

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『会社がなくなる!』丹羽宇一郎(2021)

・2000年以降、株主への配当金が増えている。
・本当に会社を成長させるためには、社員の給料の手取りを増やすこと。人々の収入を増やし、新しい需要を掘り起こす。そうしてお金を回す。

・「株主第一主義」は、新自由主義を掲げ、ノーベル賞を受賞したM.フリードマンが『資本主義と自由』で提唱したことに始まる。

・経営者は、自らの心を磨き、自律自省の精神を持ち続ける必要がある。
・資本主義は、道徳・倫理をそのシステムに内蔵していなければ、自ら依って立つものまで食い尽くすほどの凶暴性を宿している。

・これから2~30年は「大企業の中小企業化」が進み、ある臨界点に達した所で再び「中小企業の大企業化」が始まる。

・貧しい国では「パンはペンより強い」が、豊かな国では「ペンはパンより強い」。これは歴史の摂理。

・日本の平均賃金は、OECD加盟国中22位。平均より、100万円以上も少ない。

・日本が世界に誇るべきは、教育を受けた人材の層の厚さ。
・中国が、中間層すべてを日本の教育レベルまで引き上げようとすれば、おそらく20年では済まない。

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『日本の構造~50の統計データで読む国のかたち』 橘木俊詔(2021)

・年間労働時間 日本:1644時間、アメリカ:1779時間、ドイツ:1386時間

・世代間の不公平をそれほど気にしない。それは避けられない不条理。
・日本は、アメリカに次ぐ第2位の貧困率。貧困大国と称しても過言ではない。

・東京一極集中する理由は「集積の理論」で説明できる。
・資金は豊富にあるが、企業の投資が進まないので、景気はなかなかよくならない。

・日本は、国民に手厚い福祉を提供しておらず、したがって経済を最優先する政策を採用している程度が強い。
・国民がどれだけ経済効率を重視するのか、あるいは平等志向を尊重するのか、その比率の大小によって、その国の賃金、所得格差、地域間格差、教育格差などの程度が決定する。
・日本は、自由主義、資本主義を是とする人が多数派(すなわち自民党政権の継続)なので、今後も種々の格差は縮小せず、むしろ拡大する可能性があることが予想できる。

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投稿者:関根雅泰

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