【木曜日27】ミンツバーグ本(1)

木曜日

【木曜日27】ミンツバーグ本(1)

○H.ミンツバーグ教授の本。もっと早くに読んでおくべきだった。今まで読んでいなかったのが恥ずかしい。

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『マネジャーの仕事』(1973、1993)

・本書は、マネジャーが自分自身についてもっとよく知る手助けになればという想いで書かれている。

・マネジャーは、本当の所、何をしているのだろうか?

・自分の部署に公式的に責任を負っているマネジャーの職務記述書を作り上げる。

・筆者自身が行った5人の経営者の研究も職務活動学派に入る。

・マネジャーの職務は、終わりなき性質(オープンエンド)のものだ。
・活動を特徴づけるのは、短時間、多様性、断片的。

・ものごとを表面的にすませてしまうことは、マネジャーの職業病である。マネジャーは、自分の皮相性をよく了解していなければならない。

・マネジャーは、3つの集団とコミュニケーション関係を維持している。上司、部外者、部下である。

・マネジャーは、2つの自由度の基準を持っている
 1)新しいことに着手する意思決定を下すことができる
 2)自分の責務を利用することができる

・マネジャーの役割

・ドラッカーとは全く逆の主張になる。

・交渉が、マネジャーの職務の中枢である。

・マネジャーは、組織のシステムが不完全であるがゆえに必要。

・企業家的役割の後に、リーダーシップ役割の周期が来るという、変革と安定の周期的パターンは、どの階層のマネジャーの職務にも見られるようである。

・マネジャーの職務の8タイプ

・今までの所、マネジャーの仕事に関する科学はない。

・本質的にマネジャーの仕事は、コミュニケーションからなり、その道具には5つの基本メディアがある。郵便、電話、臨時Mtg、予定に組まれた会議、現場視察である。

・マネジャーの行動に対して、もっとも敏感なのが部下である。

・教育可能性のある管理スキル8つ:
 1)ピアースキル
 2)リーダーシップスキル
 3)コンフリクト解決スキル
 4)情報処理スキル
 5)曖昧さのもとでの意思決定スキル
 6)資源配分スキル
 7)企業家的スキル
 8)自己反省のスキル

・本書の最大の特徴は「役割(Role)」からマネジャーの仕事を分析していることである。

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『MBAが会社を滅ぼす~マネジャーの正しい育て方』(2004、2006)

●MBAなんていらない

・マネジメントとリーダーシップを同義語として用いる。

・かなりの量のクラフト(技)に、しかるべき量のアート(直観等)、それにいくらかのサイエンス(科学)が必要とされる仕事、それがマネジメント。

・ビジネスへの情熱はあるのに、経営する意志のない人。MBAの学生にはこういう人が非常に多い。

・マネジメントとは、マーケティング、財務、会計など、もろもろの業務機能の総和ではない。
・ソフトスキルは、MBA教育にうまく適合しない。

・マネジメントには責任が伴う。

・そもそも大学とは、物事をじっくり考え、実体験から一歩引いて、経験から学ぶ場だ。

・優秀なマネジャーは、聞き続け、見続ける。

・「自信-能力=傲慢」MBA取得者の名だたる傲慢さは、弱さ(能力なき自信)のあらわれ。

・煎じ詰めれば、企業は基本的に2つのことしかしていない。モノをつくること、そしてモノを売ることだ。

・マネジメントスタイルの三角形

・MBAの主たる問題点である利己的個人主義。感情を理解する能力の欠如。

・多数乱戦業界でこそ、起業家が活躍できる。
・起業家には、データなしで、行動する勇気が必要になる。

・ウェブ型の組織では、コントロールではなく、コラボレーション。上司と部下の上下関係ではなく、同僚や外部パートナーとの双方向の関係が欠かせない。大事なのは、指揮命令より、理解し助け合うこと。

・リーダーシップとは人々がもともと持っているポジティブなエネルギーを引き出すこと。決定を下すのではなく、手本を示すこと。

・ナルシスト型リーダー(例:エンロン)による法的堕落。法律には反しないが、市民感覚に照らすと許しがたい行為。
・企業が負わないコストは、私たちが負担することになる。

・「環境を変えよ。人間を変えようとするな。」バックミンスター・フラー(建築家)

・偉大な教育の場では、地理的に極めて狭い場所に、熱心な思想家が集っているものだ。

・ビジネス教育が最もうまくいっているのは、間違いなく日本だ。

●マネジャーを育てる

・マネジメント教育とマネジャー育成の位置づけ

・マネジメントを学ぶのは、泳ぎを学ぶのと似ている。

・OJTは、日本のキャッチフレーズになっている。
・ジョブローテーションが中核を担った。

・計画的人事異動(ジョブローテーション)と、メンタリング、モニタリングは、最も一般的なマネジャー育成の方法であり続けるだろう。

・表面的な娯楽と化しているマネジャー育成コースが多い。
・学習者は参加者とは呼べない。受け身の消費者でしかない。

・クリティカルフュー(重要な少数)のためのプログラムが必要。

・リーダーシッププログラムの4種類:
 1)人間的成長重視型 
 2)フィードバック重視型
 3)理論重視型
 4)スキル構築重視型

・特定の有力者の後援に大きく依存しているプログラムは、その庇護者がいなくなった場合に、きわめて弱い。

・学習とは、実践することではなく、実践について内省することだ。

・日本の大企業は、マネジャー養成を外部の学位授与プログラムに任せない。採用した人間を、社内で基礎からみっちり教育する。
・日本企業では、様々な育成方法を組み合わせている。究極の企業内大学と言えるかもしれない。

・マネジメント開発と教育の形態

・マネジメント教育の定石
 1)対象は、現役マネジャーに限定すべき
 2)教室では、マネジャーの経験を活用すべき
 3)優れた理論は、マネジャーが自分の経験を理解するのに役立つ
 4)理論に照らして、経験をじっくりふり返ることが、学習の中核をなす
 5)コンピテンシーの共有は、マネジャーの仕事への意識を高める
 6)教室での省察だけでなく、組織に対する影響からも学ぶべき
 7)以上のすべてを、経験に基づく省察のプロセスに織り込むべき
 8)カリキュラムの設計、指導は、柔軟なファシリテーション型に変える

・マネジメント教育における経験に基づく省察

・関与型のマネジャーは、キュア(治療)よりもケア(世話)を好む。

・IMPM(国際マネジメント実務修士課程)のようなアプローチをもっと普及させたいと思い、この本を執筆した。

https://impm.org/

https://www.cba.ynu.ac.jp/international/IMPM/indexj.html

・50対50のルール:授業時間の半分を参加者に譲り渡して、自分たちのテーマについて話し合わせる
・プログラムの成功度は、参加者がどの程度、ファシリテーターの役割を担うかで測定できる。

・目指すべきは「物事の根底にある単純性」に到達する事。

・日本的なリーダーシップのスタイルは「背後に退いたリーダーシップ」だ。

・興味深い概念とふんだんな経験に触発されて、自分の内面をのぞき込むという行為には、非常に大きな意義がある。

・言葉が分からないと、おのずと周囲の人間の非言語コミュニケーションを熱心に観察するようになる。

・変化した人間を、変化していない環境に送り込むべきではないとよく言われるが、それが日常茶飯事なのだ。

・数字はあくまで目安であり、なんの証明にもならない。
・学習とリーダーシップに関して言えば、コストはともかく、効果を数字で表現する事はできない。

・GEのJ.ウェルチは、ワークアウトの成果を数字で測ることを拒み続けた。数字で評価しようとすれば、ワークアウトが死んでしまうというのがその理由だった。うまくいっているかいないかは、勘で分かると、ウェルチは述べていた。

・教育は人気投票ではない。
・企業の継続率は、プログラムの成功度を測る指標の一つと言える。

・今は「どうすればお役に立てますか」と申しでることが役割だと思うようになった。

・残された課題の一つは、教室で学習した内容の職場への移転、つまりインパクトである。

・MPMでは、マネジャーを計算型、ヒーロー型から、関与型の「静かなマネジメント」を好む。

・しっかりした思考の訓練を積むこと。

・実務がきっかけになる研究が面白い。

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投稿者:関根雅泰

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