「組織社会化」本『人材開発研究大全(抜粋)』

企業内教育担当者向け

2020年3月25日に実施するオンライン研修「先行研究に学ぶ!新人適応支援の原理原則」のために、改めて読んだ「人材開発研究大全」です。
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「組織社会化」に関連する章を抜粋して載せています。

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第3章 企業の視点からみた「大学時代の経験の効果」
・中原(2014)は、選抜ツール研究を概観した上で、個人の将来の業績を予測するために最も有効なのは「実際に仕事の一部に従事させること」だとしている。
・本研究の結果から「授業外のコミュニティを持っている学生」「大学生活が充実している学生」ほど、(入社後に)プロアクティブ行動をとっているという結果が見られた。
・大学と企業での経験は切り離されたものではなく、関連が深いものなのである。
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第4章 学校から仕事へのトランジション
・本研究では、企業でのキャリアの躍進を、組織の中で革新的な行動がとることができること、つまり「個人の革新行動」と定義した。
・個人が革新的な行動をとるには「信頼の蓄積」が必要であり、その前提として、組織社会化の進展、つまり組織になじむことが重要である。
・組織の中で個人が革新的な行動をとるには、前段階として、与えられた仕事をその期待通りかそれ以上にこなすことができる業務能力を有していることが必要なのである。
・個人が革新的な行動をとるにはその基盤として、組織社会化と業務能力の向上が必要であるといえる。
参考:
『高校・大学から仕事へのトランジション』
https://www.learn-well.com/blog/2020/03/post_509.html
『活躍する組織人の探求:大学から企業へのトランジション』
https://www.learn-well.com/blog/2016/10/post_476.html
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第8章 入社後の初期キャリアに対する就職活動の影響
・「就職活動を通じた変化」は、入社3~5年目の「仕事への自信」と「満足・定着意思」の両方に正の影響を及ぼすことが分かった。その影響は「第一希望の企業に入社」できたことよりも大きい。
・「就職活動を通じた変化」がんかえれば、企業側が初任配属で様々な配慮をしたとしても、それを好意的に受け止められず、OJTの効果が上がりにくかったり、職場における「居場所」が確保しずらかったりといった状態に陥る。
・就職活動で「自己探索」と「環境探索」を行うことで、働くことに対する意識のポジティブな変化が起こり、その結果、入社予定希望に対する満足度に影響を及ぼしていると考えられる。
・「就職活動を通じた変化」につながるよう支援していくことが求められる。
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第9章 組織社会化研究の展望と日本型組織社会化
・「組織への参入者が、組織の一員となるために、組織の規範・価値・行動様式を受け入れ、職務遂行に必要な技能を習得し、組織に適応していく過程」(高橋1993)
・高橋(1993)による定義は、多くの組織社会化の定義を集約してまとめあげているという点で、組織社会化に関する定義の最大公約数として適用することが可能である。
・図3
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・ネガティブな側面も含めた、現実に基づく職務情報を正確に提供するRJP(Realistic Job Preview)は、若年層の早期離職を抑制できることが、メタ分析でも実証されている(Phillips 1998)。
・我が国においては、職務(Job)だけでなく、組織全体についての現実的な事前説明(Realistic Organization Preview)や、組織内でのキャリアパスについての事前説明(Realistic Career Preview)が必要であり、情報範囲の拡大が求められる。
・Schein(1988)では、社会化に対する個人の反応を「反抗」「創造的個人主義」「服従」の3つのタイプに分類している。このうち、タイプ1と3は、社会化の失敗を意味している。
・タイプ2の反応を作り上げることが、多くの組織の方針。組織は職場における重要な価値観や規範は受入れ、そこは上手く順応するが、その中でも自分らしさや自分の信念に基づき、創造的な思考や行動をとることができる個人が「創造的個人主義」である。
・図6
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・個人を上手く組織に社会化させることは、個人だけではなく、組織にとっても有意義である。
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第10章 OJTとマネジャーによる育成行動
・OJTとは「職場において行われる訓練」であり、通常は1対1の指導の形態をとる。
・OJTを、単に知識、スキルを移転する行為としてではなく、個人が経験から学ぶことを支援する行為として、そして、オープンタスクに従事する人材を指導するために、問題解決を支援する活動として、OJTを位置づけなければならない。
・OJT研究の起源は、第一次世界大戦時に造船所で実施されていた職業訓練方法にさかのぼる。アメリカの技術者C.アレンは「見せる→説明する→やらせてみる→チェックする」という4ステップからなる指導法を考案した。
・クローズドタスクの場合は、演繹的OJT
 オープンタスクの場合は、帰納的OJTが、行われることが多い。
・優れたOJT担当者ほど、経験から学ぶ能力を伸ばす形で、部下、後輩を指導していることが分かった。
参考:
OJT研究会(2014)
https://www.learn-well.com/blog/2014/07/ojt_6.html
OJTに関する英語本
https://www.learn-well.com/blog/2014/07/ojt_5.html
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第11章 OJTと社会化エージェント
(これは、私と中原先生で書いた章なので、カット)
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参考:
「面と線でとらえる新人教育~OJTと組織社会化の知見を参考に」(関根2014
「効果的なOJT指導員制度の設計・運用ポイント~「プレマネジメント経験」という観点から(関根・三澤2017
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第12章 OJT指導員の支援行動
・指導員の支援行動を「最終的に、新人のエンパワーメントをはかる(ことがらをなす力をつける)何らかの意図をもった新人の行為に対する働きかけであり、その意図を理解しつつ、行動の質を維持、改善する指導員の一連のアクションである」と定義する。
・指導員の「組織コミットメント」は、新人の「業務遂行」能力に対する「委譲・人脈拡大」という指導員支援行動の効果を押し上げる働きがあった。
・新人への権限の委譲は、失敗をともなうことも多いと思われる。指導員の組織コミットメントが、この覚悟を後押しする一つの要因となっている可能性がある。
・人脈形成を重視している人の組織コミットメントが高い。
・指導員「指導」という支援行動が、新人の業務遂行能力を減退させてしまうという結果になった。着実に能力を獲得している新人に対して、指導といういわば一方向的な支援行動をとり続けることは、新人の自律性や能力獲得を阻害する(恐れがある)。新人に対しては、能力や時期に見合った支援行動を提供することの重要性がうかがえる。
・指導員の経験を転機と位置づけ、指導員に任命されたキャリア中期の社員の組織コミットメントを高めることができれば、それが支援行動と融合し、プラスの結果につながる可能性が考えられる。
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第14章 新人研修
・新人研修の効果は、仕事に関する知識やスキルを習得させることではない、それよりも、新人が仕事をしていくための心理的準備や会社への愛着を醸成させるためのメンタル効果の方が重要である。
・なぜ、新人は、会社への愛着や仕事への満足感を研修によって醸成することができるのであろうか。それが「知覚された組織支援 Perceived OrganizationalSupport:POS」という概念で説明できる。
・組織サポート(HR施策)は、若年ホワイトカラーの組織コミットメント、成長感、職務満足、離職意思の低減に、ポジティブな影響を及ぼしていることが分かった。
・その中で最も多くの成果変数に影響を及ぼしていたのが「能力開発」であった。
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・新人研修の効果は、POSを感受させ、組織に対する愛着や忠誠心を醸成させ、長期的に定着させる意識を醸成させることを目的とすることが有益である。
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第16章 中途採用者の組織再社会化
・鴻巣ほか(2011)によると、中途採用者の社会化が高く実施されているほど、中途採用者が組織内において、革新行動を担う傾向がある。
・中途採用者が、組織参入時に抱える困難、学習課題には「人脈学習課題」「学習棄却課題」「評価基準、役割学習課題」「スキル課題」という異なる4つがあることが分かった。
・前職と現職が同職種の人の方が「学習棄却課題」を抱える。
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第18章 元外国人留学生の組織社会化
・社会化とはまさに主体の経験からの学習(経験学習)の過程にほかならない。
・上司による精神支援と文化面の支援が十分に得られない場合、技能的社会化は果たせたとしても、文化的社会化を果たせない状態になることが予想される。
・日本人上司の支援を得やすい個人は、異文化間ソーシャルスキルにおける「間接性」を発揮していた。
・経験学習行動が、技能的社会化にも文化的社会化にも影響を及ぼしていた。
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参考:
オンライン研修「先行研究に学ぶ!新人適応支援の原理原則」を実施しました。
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●講師ビジョン 島村さんからのメール
関根さん
こんにちは。ブログ拝見しました。今回も感想を共有させてください。
(参考になった点①)
・OJTを、単に知識、スキルを移転する行為としてではなく、個人が経験から学ぶことを支援する行為
(感想①)
・どうしても知識や、スキルをどう教えるのかという技術的なことに、目が行きがちなのを踏みとどまらせてくれるような気がしました。OJT担当としては、まず、新人に1年間を通じてどのような経験をさせるのかという計画を立てることが大切ですし、その経験から多くを学ぶように支援するOJTとしての関わりが大切だと感じます。最初は、新人が経験学習サイクルを回せるようになるのを帆走し、最終的には、新人本人が経験学習サイクルを回せるようになるのがゴールだと感じています。
(参考になった点②)
・新人研修の効果は、POSを感受させ、組織に対する愛着や忠誠心を醸成させ、長期的に定着させる意識を醸成させることを目的とすることが有益である。
(感想②)
・私が新入社員だった時に、組織に対する愛着や忠誠心は、上司や先輩の営業同行をさせていただく際に、行き帰りでの会話で営業の仕事を通じて自社の良さについて色々教えてもらう中で、だんだんと育まれていったような気がします。リアルでもオンラインでも上司や先輩との仕事の話を通じて、自社の良さの話などを伺う中で醸成されるのだとするとオンラインでの対話、チャット、メール、映像などあらゆる手段を通じた密なコミュニケーションがこれからの時代にはより求められるなと感じます。
(参考になった点③)
指導員「指導」という支援行動が、新人の業務遂行能力を減退させてしまうという結果になった。着実に能力を獲得している新人に対して、指導といういわば一方向的な支援行動をとり続けることは、新人の自律性や能力獲得を阻害する(恐れがある)。新人に対しては、能力や時期に見合った支援行動を提供することの重要性がうかがえる。
(感想③)
これは、私が質問術という本を書いたきっかけでもあるのですが、教えすぎると新人本人が考えなくなってしまうということを体験したことがあります。OJTが新人から離れた後、2年目になった元新人が主体的に動けなくなるという現実がよくありました。OJTに年間を通じて頼り過ぎてしまった弊害です。
質問や問いを通じて、新人に考えさせることが大切なのですが、これについては、時期に見合った支援行動の重要性がよく言われます。
私は、質問には感想を聞く質問だったり、気持ちを聞く質問だったりと色々な種類の質問があるので、新人の能力や時期を問わず、どんどん質問をして考えて発言させる機会を初期の段階から増やしていくことが大切だと考えています。
以上です。今回のブログも大変参考になりました。
小池都知事の発表後、新人研修実施の最終シナリオが変更され、自宅から新人研修を受ける企業が増えてきたようです。
在宅勤務しながら、組織社会化をどのように進めていくのか?
在宅勤務しながら、業務をどのように教えるのか?
在宅勤務しながら、どのように主体性を伸ばしていくのか??
在宅勤務しながら、どのように会社に愛着を持たせるのか?
このようなことを考えるきっかけを頂きました。今回も貴重な情報をありがとうございます!
(島村さん、ありがとうございます!)

投稿者:関根雅泰

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