コーチング&リーダーシップ開発研究会②

東大大学院

2016年2月8日(月)10時~17時@東大
コーチング&リーダーシップ開発研究会②を実施。
今回は自分の担当文献が無いので気楽です。
第2回目の今回も、10本の文献を共有します。
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(・要約 - 研究会で出た意見)
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Executive Coaching: A comprehensive review of the literature
 S. Kampa-Kokesch & M.Anderson (2001)
・エグゼクティブコーチングに関する研究の批判的レビュー。
-60年代末~70年代初頭「人間性回復運動」と、そのメッカで
 あった米国西海岸のエスリン研究所が果たした役割について
 あまり触れられていない。http://tinyurl.com/gwu52jd
-ヒッピー文化とコーチングの関係
-自分は「そのルーツとは違う」と言いたいコーチもいる
-エグゼクティブコーチは「口が堅くて、聞いてくれて、話もできる」
 そういう人は、銀座のバーのママのよう。
-「弱みをさらけ出せる人が身近にいない」というのが欧米では。
-宗教がもっていた「ざんげを受ける」という機能が
 セラピーや心理療法になっている?
-依頼主であるスポンサーの目線が、Exコーチングにはある。
 それが「人間性回復運動」との違いかも。
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An investigation of personal learning in mentoring relationships:
content, antecedents, and consequences
M. Lankau & T. Scandura (2002)
・メンタリング関係を測定する尺度を開発。
・メンターの存在とメンター機能は、個人的学習、職務満足、役割あいまいさ、
 離職意志の先行要因となり、離職意志は個人的学習の結果要因であった。
・メンターによる精神支援は、プロティジェの学習に相関がない。
-日本でコーチングが広まりだしたのは、2003年に「クローズアップ現代」
 で、日産自動車で全管理職向けにコーチング研修が行われていると
 放送されたことが一つのきっかけ。
 http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_1788.html
-精神支援は、メンターではなく、上司に期待したい。
-誰がメンターになるとよいのか?
 属性が近い人(共通点がある)が良いという研究もある。
 関係性が作りやすい為。
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Psychological safety and learning behavior in work teams
A. Edmondson (1999)
・製造業での51の職務チームを調査。
・「チームの心理的安全」が、学習行動に関係していたが、
 「チーム効力感」は関係していなかった。
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-文脈的サポートは、組織の風通しの良さや情報共有の度合をさしている
-この文献は、元々組織学習研究から。個人と組織の間の「チーム」を
 分析単位とし、量的調査を行ったのが、この研究の独自性。
-生存不安を高めて、学習不安を低めることで、学習を促進する。
 「このままじゃ死ぬよ」「でもお前なら学べるよ」と。
-日本では表だって、面子をつぶさない代わりに、裏で根回しをする。
-欧米では「人に対して弱みを出すことに抵抗がある」
 だから「心理的安全」が必要。
-職場≠チーム 双方とも定義は「目的が共有され」「対人相互作用あり」
-「もち型」組織=職場 「おにぎり型」組織=チーム
  http://bylines.news.yahoo.co.jp/nakaharajun/20160209-00054241/
-今は「ピラフ型」組織が増えているかも
-チームに「なっていく」
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The impact of managerial coaching on learning outcomes
within team context: an analysis
M. Hagen & M. Aguilar (2012)
・プロジェクトの困難さが、チームリーダーの学習成果に最も影響を
 及ぼしていた。
・コーチングの専門技術と、チームエンパワーメントは、メンバーの
 学習成果に最も効果を示した。
・210のシックスシグマチームのメンバー(212名)と
 リーダー(167名)からデータ収集。
-「学んだぞ」と本人が知覚したかどうかを聞いている
-交互作用もありそう。
-Managerial coachingは、日本だと新しさを感じない。
 コーチングによって、部下が学んだといわれても、当たり前のような。
 日本では、一応部下育成も仕事に含まれている。
 アメリカだと部下育成という観点が無いのか?
-Managerial coachingやDevelopmental coachingは、
 「素人(現場の上司)」が行うコーチング
-コーチングの専門家は、コーチングには専門技術が必要で、
 プロフェッショナルであると言いたい。
-アメリカでは、部下の精神疾患をケアする期間を短くする
 目的でコーチングが導入されたという背景もある。
-資格をもっているコーチとそうでないコーチがいる。
 当然、資格を持っている人たちは、それをアピールしたい。
-「俺は独自だ!」と言っているコーチングも、
 「一言でいえば、問いかけることでの学習支援」では。
-2005年の国際カンファランスでも「○○コーチング」が
 たくさんあったが、違いは分かりにくい。
-「ミートソース」「カルボナーラ」と言っても、皆「パスタ」
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Leadership coaching, leader role-efficacy, and trust in subordinates.
A mixed methods study assessing leadership coaching as a leadership
development tool
G.Ladegard & S. Gjerde (2014)
・2期の探索的研究。6か月のコーチングプログラムを受けた群と受けない群。
・Leader role-efficacy(LRE)と、Leader’s trust in subordinates(LTS)は、
 実験群ではあがった。LTSがあがると、離職意志は下がる。
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-リーダーの部下に対する信頼感が上がる理由は?なぜ
-権限委譲=部下への信頼 と捉えているのでは
-部下の離職意志が下がっているというのは、リーダーが
 「部下を信頼しよう」と思っているのは伝わっている。
-日本では、事業部長レベルから、コーチをつけることはあるかも。
-管理職に対するコーチング研修で、部下との関係性が改善される
 という結果は出ている。
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A personal perspective on professional coaching and the development
of coaching psychology
A. Grant (2006)
・コーチング心理学は、行動科学の応用。
 最近では、学術分野の一つとなってきている。
・2000年にシドニー大学で、コーチング心理学の大学院課程が設置された。
-「コーチング心理学」は、一般的な言葉ではないかも。
-「日本支援対話学会」ではコーチングを学問的に研究 http://adsoj.org/
-「コーチングの全て」「コーチング心理学ハンドブック」という
 2つの本が出ている。
-psychologistだと、不必要に長い時間をかけているように感じられる
 という弊害はある
-Brief セラピーは、より短い期間で関わる。
-クライアントが選んでいるのでは。ビジネス的背景をもつコーチ、
 臨床心理士の背景をもつコーチ。
-心理学の中では「コーチング心理学」とは語られない。
 成人教育の中ならある。
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The effect of a coaching education program on coaching efficacy
L. Malete & D. Feltz (2000)
・コーチングの有用性に対するコーチング教育の効果を、
 実験計画法(2×2 プレポス+統制・実験群)において測定。
・結果、コーチング教育によって教育されたコーチのほうが、
 有用性を高く評価した。コーチとしての自信がついた。
-コーチング準備教育のバラエティ。
-「動機付け面接 Motivational Interview」もコーチングに近い。
 重い腰をあげられない困難を抱えた人の支援法。
 ミラーが作った。これは資格にはしない。コミュニティーであると。
 (その流れ MINF http://infominf.wix.com/minf )
-国家が管理する(資格付与)のはおかしいのではないか、という
 カウンターカルチャーの側面もある。
-1980年代以降、コミュニティー型が、ビジネス型になってきた。
-資格で守るのか、アマチュアリズムで守っていくのか。
-コーチをどう育てるか?
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Coach effectiveness training: a cognitive-behavioral approach to
enhancing relationship skills in youth sport coaches
R. Smith, F.Smoll, & B.Curtis (1979)
・リトルリーグのコーチたちが、
 トレーニングプログラムに参加した群(18名)
 と参加しなかった群(13名)に分けられた。
 参加したコーチのほうが、ガイドラインに則った行動が見られ、
 選手から高く評価され、選手はチームへの魅力度をより強く感じていた。
・自尊心の低い子供に対してのほうが、コーチのトレーニングの有無が
 影響していた。
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-自尊心の高低が影響するのは、社会人でもありそう。
-文化の影響は、大人になってからのほうが大きい。
-日本の少年野球のコーチは「怒りまくり」
 コーチング的に接してもらったことはない。
-この研究では「チームが強くなって無い。勝ててない」
-リクルーティングで強い選手を採るのもカギ。
-短期的には勝てても、長期的にはスポーツが嫌いになって 
 やめるケースもある。
-チームの発達段階によって、コーチのやることも違う。
-敵チームのコーチに文句を言わせることで、
 そのチームをバラバラにする。
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Feedback orientation, feedback culture, and the longitudinal
performance management process
M. London & J. Smither (2002)
・フィードバックを長期的なパフォーマンスマネジメントのプロセスの一つとして
 理論化する。
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-多くの論文を引用し、自分の論点をサポートしようとしている。
ただ、相対する研究を出していないので妥当性は分からない。
-フィードバックは、個人、組織、時間の3要素を加味して検証すべき。
-研修により、コーチング的接し方を知る受講生が増えてくると、
 フィードバック文化も変わってくる。
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The evaluation of two key leadership development program
components: leadership skills assessment and leadership mentoring
S. Solansky (2010)
・メンターが、コーチング的にふるまうことと、メンティーとの時間を
 とることが、メンティーがオープンに話すこととの間に、正の関係があった
・360度フィードバックの「他者評価」のほうが「自己評価」より高めに出た。
-メンタリングをすれば、同じ効果がでるわけではなく「コーチング的に
 ふるまう」「時間をしっかりとる」ことが大事。
-どんな経験であろうと、目標設定、フィードバック、ふり返りがあれば
 リーダーシッププログラムになるのでは。
 http://www.tate-lab.net/mt/2015/08/1461.html
-就職活動の面接では「自身のリーダーシップ経験を語れ」と言われる。
 実際、働き出すと、リーダーシップ発揮場面は限られる。
-「主体性」とは、会社に入って「主体的に空気を読め!」
 「リーダーシップ」も「リーダーシップを発揮して、言われたことをやれ!」
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◎参加者の感想
-コーチングを外側から見る良い機会になっている。
-コーチングにヒッピーの流れがあったことが驚き。
-誰にコーチングされるかによっても違いそう。
-資格とコミュニティー。
-皆から意見を引き出すような文献の選び方が素晴らしい。
-企業内で受けた研修と大きく違っていた。
 コーチングの世界は広い。
-人を成長させるのは大変。
-何故コーチが必要になってきたのか、考えたい。
-コーチングは、語学学習と相性がよさそう。
-現場実践にどっぷり浸っているので、視野が広がる。
-全ての論文が「コーチングいいよね」になっている。
 「コーチングが上手くいかない事例」も見ていくべきでは。
-下々へのコーチングについても考えたい。
-コーチングは、WASP文化に反対するもの(カウンターカルチャー)
 と相性が良い。コーチングは「万年野党」
 資格としてきっちりまとめようとするのは、実は矛盾がある。
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次回、第3回が最終回となります。
今回も素敵な参加者に恵まれ、意見交換も盛り上がっています。
最終回は、懇親会もあるので、そこでじっくり話せるのが楽しみです。
参加された皆さん、今回もありがとうございました!
(朝一番に会場に来て、セッティングをしてくれた斉藤さん、
 時間管理をきちっとしつつ、多様な意見を引き出してくれた舘野さん、
 今回もありがとうございました。)
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中原先生のブログ 「コーチングとは一体「誰のもの」なのか?」
http://www.nakahara-lab.net/blog/2016/02/post_2556.html

投稿者:関根雅泰

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