Positive Organizational Scholarship

AOM 2013 参加報告

Positive Organizational Scholarship
Kim S. Cameron, Jane E. Dutton, Robert E. Quinn編著(2003年)

○POS(ポジティブ組織研究)に関する初期の本。
 POSの全体像とどんな研究がPOSなのかが分かる。

 大学院ゼミで、この本より新しいの(2011年)を輪読した ↓
 2011年 冬学期 中原ゼミ 英語文献 POS(1)
  https://www.learn-well.com/blog/2011/11/2011_1.html
 2011年 冬学期 中原ゼミ 英語文献 POS(2)
  https://www.learn-well.com/blog/2011/12/post_353.html
 今回、AOM(米国経営学会)で、POS関連のセッションが多いことと、
 自分もPOSのワークショップに参加するので、目を通してみた。
 読んだのは、目次と概要および執筆者をみて興味をもった所のみ。
 (・要約 ○関根の独り言)
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Ch.1 Foundations of Positive Organizational Scholarships
・POSの関連領域:ポジティブ心理学、コミュニティ心理学、
  OD(組織開発)とAI、市民行動、CSR
・POSは「新鮮なレンズ」である。
・POSは、価値中立では無い。
===
Ch.2 Positive Organizational Studies: Lessons from Positive Psychology
・ポジティブ心理学は、M.セリグマンが、APA(アメリカ心理学会)の会長で
 あった1998年に提唱。
・メタな教訓として:
 1)ポジティブ社会科学は、一般受けはしやすいが、
   研究者には受け入れられにくい
 2)領域を支援するインフラ(学会誌やハンドブック等)を作れ
 3)領域を引っ張っていくシニアリーダーを見つけよ
 4)ジュニア研究者を歓迎せよ
 5)知見を発信せよ
 6)悪い仲間には気をつけよ(ポジティブ好きで、科学軽視な人達)
 7)エリートで凝り固まっちゃだめだよ
 8)先行研究をしっかりと、その上でオリジナリティを
 9)理論と調査を大事に
 10)特殊なものばかりに目を向けちゃ駄目 
 11)調査と実践に最適な場所を見つけよ(それは恐らく職場)
 12)縦断的研究を
 13)ポジティブな従属変数を
===
Ch.3 Virtues and Organizations
・VIA(Values in Action)で分類されている6つのVirtues(徳):
 1)Wisdom & Knowledge 知恵と知識
 2)Courage 勇気
 3)Love 愛
 4)Justice 正義
 5)Temperance 節度
 6)Transcendence 超越
・組織レベルの徳:
 1)Purpose 目的
 2)Safety 安全
 3)Fairness 公正さ
 4)Humanity 人間性
 5)Dignity 尊重
===
Ch.5 Positive Organizing and Organizational Tragedy
・ポジティブな組織化は、エラーや間違いの存在を受けいれる
 ネガティブな組織化は、知恵を過小評価する
・確実性と失敗は並列の関係。
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Ch.8 Investing in Strengths
・強みに投資した方が効率が良い。
 弱みは訓練で減らすことができるかもしれないが、効率性は低い。
・実験群に対するプレ、ポスト調査を実施
・優秀なマネジャー達は、強みの開発に焦点をあてている
===
Ch.9 Transcendent Behavior
・行動(B)は、人間(P)と環境(E)の関係で示される
 EとPがBに影響する。(E,P→B)
・超越行動(B)は、EとPに影響を及ぼす(B→E,P)
・功利主義におかされた考え方と低い自己効力感が、超越行動を妨げる。
===
Ch.11 Positive Emotions and Upward Spirals in Organizations
・Broaden-and-Build theory 広げて築く?理論
 ポジティブな感情は、人間の思考と行動の幅を広げ、それが積み重なること
 で、人間的、社会的資源が築かれていく。
・Specific action tendencies 特定行動傾向? 
 伝統的な上記概念は、ネガティブ感情の機能について説明している。
・ポジティブな感情の例:楽しさ、興味、誇り、満足
・ポジティブな感情は「Upward spirals 上向きのらせん」を作っていく。
 ポジティブな感情は、その個人をより柔軟性があり、統合された人間に
 変容させていく。
・311の事件後、ポジティブな感情は、うつ状態を防ぎ、耐える力をもつ
 ことに役立っていた。
・ポジティブな感情を、T1時点で持っていた従業員は、T2時点で、
 上司や周囲からの社会的支援を受けていたことが明らかになった。
・仕事でポジティブな感情をもっていた営業担当者は、より顧客に対して
 親切な対応をしていた。
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Ch.12 Positive and Negative Emotions in Organizations
・組織研究は、ネガティブな状態(不安、燃え尽き、対立、差別、不満等)
 に焦点をあててきた。
・感情も極端に示されるとネガティブなものとして受け止められ、
 中くらいの示し方であれば、ポジティブなものと受け止められる。
・感情は、リアクション(反応)によって起こるのみでなく、
 予想することで起こることもある。
・ネガティブな感情が、ポジティブな効果を持つときもある。
・オランダ人の営業は、恥という感情がネガティブな影響をもったのに対し
 フィリピン人の営業の場合、恥はそれほどの脅威とはならなかった。
・組織との同一化が進むほど、ポジティブな感情が生み出され、それが
 組織市民行動につながっていく。
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Ch.13 New Knowledge Creation in Organizations
・従来ネガティブに捉えられてきた「失敗や依存」が、新しい知識創造を
 促進している。
・Nonaka & Takeuchi(1995)は、拘束的なルーチンを壊し、個人に
 自治を与えることが、新しい知識を創造するとした。
・組織においてポジティブな価値とされてきた「有能さ」や「自立」が、
 ネガティブな結果となることもある。
・有能さを重視すると言うことは、「失敗は許さない」ということかも
 しれないし、自立は「他人に依存するな」という意味をもつかもしれない。
・新しい知識を創造するのは、実験(試行錯誤)である。
 失敗を受け入れることが、知識創造につながる。
・help-seeker周囲に助けを求める人ほど、新しい情報、専門性、技術を
 獲得する。
・周囲に依存していると「自分には力が無い」と思いこんでしまう。
・男性より女性のほうが、周囲に手助けを求める。
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Ch.15 Toward a Theory of Positive Organizational Change
・組織開発においては「Deficit based inquiry 欠損探索(問題解決型)」
 に当てられてきた
・Appreciative Inquiry(強み発見型)では、組織を「関係のネットワーク」
 と捉え、組織の「ポジティブな核」に触れることを目指す。
・4つのステップ:Discovery、Dream、Design、Destiny
・1990年代のエルサレム訪問で、ダライラマ法王は、各宗教のリーダーが
 お互いを理解すれば、世界はよりよくなると発言。
 それを受けて、リーダーが集まるミーティングで、AIの手法が使用された。
 その結果、2000年にUnited Religions Initiativeが創設された。
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Ch.16 Authentive Leadership Development
・Authenticity真正、本物は、「本当の自分をもち、かつそれに基づいた
 行動をとる」(自分に嘘をつかない)
・リーダーの中にポジティブさをもたせたTriggerきっかけがあるはず。
・Authentic Leadership Development Modelを提示。
・冷笑的で政治的動きが盛んな組織では、マネジャーも皮肉屋的な見方を
 するので、360度フィードバックの効果が薄れる(Atwaterら2000)
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Ch.18 A Theory of Relational Coordination
・「high quality connection 高質なつながり」は、
 高質なコミュニケーションと高質な関係の2つからなる。
・組織デザインは、高質なつながりを創り出す働きを持つ。
・組織デザイン:Boundary Spanner、Supervisor、Routines
・Boundary Spanners 境界に橋をかける人は、情報をフィルターし、
 関係をマネジメントし、高質なつながりを創り出す。
・相互依存的な仕事においては、Supervisorsによる活発な関わりが
 必要になる。
・伝統的な組織デザインでは、Routinesは、人々のつながりを代替する
 ものとして使用されるが、つながりを促進させるものとしても利用できる。
・組織デザインには、情報の流れを促進させるだけでなく「高質なつながり」
 を創り出す働きも期待できる。
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Ch.19 Finding Positive Meaning in Work
・Work 仕事は人々の人生において何らかの重要な役割を果たしている。
・お金は、動機づけの中心としての力を失いつつある。
・Work as a Job 職としての仕事 
 Work as a Career キャリアとしての仕事
 Work as a Calling 使命としての仕事
・Callingと捉えている人は、自身の役割を超えて働こうとする。
 彼らは組織のトップパフォーマーであり、それは職種をこえて存在する。
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Ch.20 Fostering Meaningfulness in Working and at Working
・仕事は意味の源である。
・意味ある仕事は、ポジティブな組織の中心といえる。
・Meaning creation 意味創造 = Sensemaking 
・「私は誰か?」というアイデンティティに関する問いが、意味創造の根本。
・Meaningfulness in Work 「仕事の中での有意味」は、
 Role 役割:What I am Doing に関係する。
 Meaningfulness at Work 「仕事場での有意味」は、
 Membership メンバーシップ:Where Do I Belong に関係する
・上記二つが、アイデンティティ:Who am I に影響し、それが、
 Meaningfulness 意味ある仕事:Why Am I Here に影響する。
・「意味ある仕事」とするために組織にできることが大きく2つある:
 タスクと役割を充実させる、メンバーシップ関係を充実させる
・ディズニーでは、集中的な厳選採用と社会化実践、およびコミュニティー
 プログラムにより「意味ある仕事」という意識を従業員にもたせている。
・Transcendence超越は、個人よりも更に大きなものとつながっている感覚
・「仕事の中での有意味」より「仕事場で有意味」の方が作りやすい。
 まずは、職場環境を整えることが「意味ある仕事」につながる。
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Ch.21 Positive Organizational Network Analysis and
Energizing Relationships
・Energizing Relationships 元気をくれる関係 
 De-Energizing Relationships 元気を減らす関係
・目に見えない「ポジティブな関係」を、ネットワーク分析は見える化する。
・他者を元気づける人は、より良い業績をあげていた。
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Ch.22 Empowerment and Cascading Vitality
・従業員は、エンパワーされることで、エンパワーの仕方を学ぶ。
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Ch.23 Developing a Discipline of Positive Organizational Scholarship
・ポジティブな現象の重要性
・Heliotropic 向日性 は、全ての生物がもつ指向。
 ネガティブさを避け、ポジティブさを得たい。
・POSにおける今後の6つの課題:
 1)分析レベル
 2)測定
 3)因果関係
 4)促進
 5)時間
 6)新しい概念とその関係
・Baumeisterら(2001)は、人間にとって「Bad 悪い」ネガティブなことの 
 ほうが、「Good 良い」ポジティブなことよりも強い影響をもつとした。
 一つのネガティブな出来事を乗り越えるためには、多数のポジティブな 
 出来事が必要になる。
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○AOMでPOSのワークショップに参加する当日朝までに目を通せた。
 これで自分に課した夏休みの宿題の一つが終了!
 今日のワークショップでも色々学びたい。

投稿者:関根雅泰

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