AOM (米国経営学会) 3日目 「LMXとOCB」

AOM 2013 参加報告

2013年8月11日(日)AOM 3日目スタート!
9時から、AOMプレジデントの講演があります。
(その前に、表彰等もあったので、講演は10時スタートでした)
130811a.JPG
AOM2013年のプレジデントは、Ming-Jer Chenという中国の方です。
http://aom.org/About-AOM/Presidents-Archive/Presidential-Gallery.aspx
講演のタイトルは「Being Ambicultural」
参加者の中を歩き回り、ユーモアまじえて質問し、笑いのある講演でした。
「Ambicultural」をどう訳していいか悩みますが、
「両側、双方の文化を知ろう」といったメッセージだったと思います。
この場合の両側とは「West西」と「East東」です。

2011年のAOM年次大会のテーマが「West meets East」だったそうです。
http://annualmeeting.aomonline.org/2011/
中国の哲学と西側の社会科学の両方のいいところから学ぼう。
そして、AOMそのものもAmbicultural organizationになろう。
それがプレジデントのメッセージだったと思います。
ただ、現状は「The East-West Divide 東西の分裂」状態であり
次のようなことを、我々は考えるべきではないかと訴えていました。
・Globalization vs Global Americanization
 グローバリゼーション vs 世界的なアメリカ化
・China Threat vs Colonization of China by Western MNCs
 中国の脅威 vs 西側多国籍企業による中国の植民地化
・Management theory & practices are culture specific or universal?
 マネジメント理論と実践は、文化特有なのか、万人的か?
こういうことを、アメリカ組織の中枢にいる人が発言するのが面白いですし、
そういう人をトップにすえているアメリカ組織も面白いですね。
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今日から「Paper sessions 研究発表」が始まります。
今日(8月11日)は、主に以下のセッションに参加します。
 LMX:Leader-Member Exchange リーダー/メンバー社会的交換理論
 Social Exchange 社会的交換理論
 OCB:組織市民行動 
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(・文献からの要約 講演内容 ○関根の独り言)
11時15分~12時30分 @ Dolphin Resort in Salon A3
『Personality, Environment, and Role Development』
プロジェクターで映写せず、口頭での説明となりました。
事前にPaper論文を読んでおいたほうがよさそうです。
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●Rethinking the Benefits and Pitfalls of LMX: A Dissonance-Based
Environmental Moderator Perspective
・LMXは、いいことづくめではない。
・LMXが高いために、部下のストレスが高まるケースもある。
 そこには環境要因がある。次の3つのケースの場合、上記が起こりうる:
 1)組織の変化 2)倫理的問題 3)危険な状況
・逆にLMXが低い部下は、上記環境で上司から何かを指示されても無視する。
・ただ、LMXが低い部下は、上記環境で「点数稼ぎ」のために、
 あえて上司の指示を聞くこともあるかも。
○LMXは、上司と部下との社会的交換関係。
 これは「垂直的交換関係」とほぼ同じと考えていいのかな?
○「上司に目をかけられる」と「部下も一生懸命働く」これが
 LMXが高い状態と考えていいのかな。
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●Subordinates’ Performance and Persoality as Predictors of
Leader Rated Leader-Member Exchange
・部下のPerformance業績、Locus of control統制の所在、
 self-efficacy自己効力感が、上司のLMXに影響する。
・時間の経過によって、上司のLMXは変化する。
 低いLMXの部下も、その後の向上が見られれば、高いLMXとなる。
・LMXが、Consequences結果として、
 部下のPerformanceに影響するという研究はある。
 本研究は部下のPerformanceがAntecedents原因として、
 LMXに影響すると見る。
○優秀そうな部下であれば、上司も良い接し方をする、
 無能そうな部下であれば、上司の接し方もいい加減なものになる、
 って感じかな。
○ただ「部下にするなら・・・」という目で見たら、やっぱり業績あげそうで
 自分に自信をもっていて、他人のせいにしないような奴がいいと上司なら
 思うだろうな。
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●The Curious Case of the Curvilinear Relationship Between
Role Clarity and Supervisor Satisfaction
・これまでの研究では「役割の明確化」と「上司に対する部下の満足度」は
 Linear直線の関係で捉えられてきた。
・本研究では、そこにCurvilinear曲線の関係があることを明らかにした。
・Organizational Support theory組織支援理論?(Eisenberger et al.1997)
・「役割の明確化」が低い状態であると、部下はストレスや不安を感じる。
 しかし、あまりに細かく役割を規定(Micro-management)されると、
 部下は自主性を発揮できず、上司から信頼されていないと感じる。
○細かく指示し過ぎると、部下が委縮する。
 かといって放任し過ぎだと、上司に能力がないと見られる。
 ある程度、部下の期待役割を明確にしたうえで、あとは任せるのが、
 マネジメントの基本ということかな。
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昼食を食べた後、夕方のセッションのペーパーを読む。
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16時30分~18時 @ Dolphin Resort in Salon A4
『Learning and Absorptive Capacity』
こちらもプロジェクターを使ってのプレゼンは無く、
発表者を囲んでのラウンドテーブル形式。
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●The Relationships Between Core Confidence, Causal Attributions,
and Performance
・Confidence自信/信頼は、希望、自己効力感、楽観主義、回復力といった
 4つの兆候の核となるもの。
・Entity beliefs 固定的知能観 こちこち 
 incremental beliefs 増大的知能観 しなやか
・失敗を「低い能力」と見るか「学習の機会」と見るかは上記知能観で決まる
・個人の自信の程度が、パフォーマンス結果を
 その個人がどう受け止めるかを決める。
・上司は、部下がうまくやった時は、その部下個人の能力と結びつけ、
 失敗したときは、学ぶ機会が得られたと励ますべし。
○引用されていたドゥエックの本
 https://www.learn-well.com/blog/2009/09/post_275.html
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●Leadership and the Creation of Human Capital: Stewardship
Theory at the Relational Level
・Stewardship 執事?みたいなリーダー?
○論文を読んでも、今いちよくわからなかった。
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●Helping to Learn and Learning as Reciprocation: A Social Exchange
Perspectives on Firm Performance
・「OCB」は「チーム学習」を通じて、チーム「パフォーマンス」に影響する。
 
・「上司の支援」と「チームの心理的安全」が、OCBが実践されるために必要。
・これまでの研究では、何故OCBがチームのパフォーマンスを向上させるのか
 そのメカニズムが解明されていなかった。
・本研究では、Social Exchange theory社会的交換理論に基づき、
 「チーム学習」がそのメカニズムとなると仮説を立てた。
・組織における「学習」は、知識、技術、新しい物の見方の
 社会的交換により起こる。
 従業員が同僚に仕事を教えることで、適切なやり方を学んだり、
 忙しそうな同僚を手助けすることで、他のやり方を学んだりする。
○チームの仲間を助ける(OCB)ことで、自分や相手が学び、
 その結果、チームの業績が上がるというのは納得がいく。
 ただ、「心理的安全」が「OCB」の先行要因になっていたけれど、
 逆の矢印もあるかも。「OCB」があるから「安心」できるとか。
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●Team Organizational Behavior’s Impact on Absorptive Capacity and
New Product Success
・Team OCBは、NPD:New Product Development新商品開発と
  ACAP:Absorptive Capacity吸収能力の双方に、正の効果をもつ
・Team OCBは、ACAPを通じて、間接的な影響を、NPDに対してもつ。
・OCBが何故効果を発揮するのか、その理由をつきとめる必要がある。
 (Podsakoff et al. 2009)
・ACAPには4つの能力が含まれる:
 1)Acquisiton 獲得 2)Assimilation 同化
 3)Transformation 変容 4)Exploitation 活用
○「Team OCB」が、なぜNPDパフォーマンスに影響するのか、
 それは「ACAP吸収能力」が、OCBによって高まるから、というのは、
 「チーム学習」の研究と似ていて面白い。
 OCBは、組織の学習能力(新しい知識、技術、見方の獲得)に影響し、
 その結果、チームのPerfomanceに影響を及ぼすというのはありそう。
○これは、指導員が周囲の協力を得ながら新人指導を進める
  「ネットワーク型OJT」の考え方ともつながりそう。
 職場ぐるみでの新人指導を円滑に進めるために、
 OCBが起こりやすい環境を作る。
 そのためにどうしたらよいか、もう少し考えてみよう。
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発表後、「どうしたらJournal論文誌に載せられるのか?」という話し合いに。
・信頼できる手法を使う
・多様なデータ源を使う(Self-reportだけでは足りない)
・博論がピークで後は書けないという状態にならないよう
18時ごろ終了。 

投稿者:関根雅泰

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