青学 集中講義「海外勤務研究」

授業

2012年9月9日(日)午前9時~午後4時
中原先生の青学での集中講義「海外勤務研究」に参加しました。
論文メモと授業の様子を、さし障りのない範囲で共有します。

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①Black, J. S. and Mendenhall, M. and Oddou, G.(1991) Toward a
comprehensive model of international adjustment : An
integration of multiple theoretical perspectives. Academy of
management review Vol.16 No.2 pp291-317
・国内での組織社会化研究と、海外での適応研究をレビューし、
 それらを統合したフレームワークを提示。
 (「経営学習論」p218参照)
・予期的適応→赴任先での適応
・制度的社会化戦術は、低い役割革新に、
 個人的社会化戦術は、高い役割革新につながるのではと予想。
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②Black, J. S. and Mendenhall, M. and Oddou, G.(1990) Cross-
cultural training effectiveness a review and a theoretical
framework of rthe future research. Academy of management
review. Vol.15 No.1 pp113-136
・実証研究をレビューし、異文化研修の有効性を主張。
・異文化研修の理論的枠組みとして、バンデューラの
 「社会的学習理論(SLT)を提示。
 Attention→Retention→Reproduction
・SLTを教育の組み立て方として提示。
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③Takeuchi, R., Shay, J. P. and Li, P.(2008) When does dicision
autonomy increase expatriate managers adjustment. Academy of
management Journal Vol.51 No.1 pp45-60
・現地での自治の程度が、適応に正の効果がある。
  本社からの統合プレッシャーと、本社の海外派遣経験が、
  その効果に影響を及ぼす。
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④Spreitzer, G. M. et al (1997) Early identification of
international executive potential. Journal of applied
psychology. Vol.82 No.1 p6-29
・経験から学ぶ能力が、海外勤務者には重要。
・「Prospector」という尺度を開発。
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⑤Caliguri, P, M. (2000) Selecting expatriates for personality
characteristics : a moderating effect of personality between
host national contact and cross-cultural adjustment. Management
International Review. Vol.40 No.1 pp61-80
・Openness と Sociability 
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⑥Stahl, G. K. and Caliguri, P.(2005) The effectiveness of
expatriate coping strategies : the moderating role of cultural
distance, position level and time on the international
assignment. Journal of applied psychology. Vol.90 No.4 pp603-615
・文化距離が離れている(ドイツ→日本)場合、「問題焦点型
 コーピング」を使うことが、適応により強い効果を示す。
・自分が経験してきたコーピング対策があるのでは。
 (こういうときは、こう対処する)
・看護士は、患者の死に対して、コーピング対策をとっているのかも
  しれないが、それを言語化するのは難しい。
 どうやって学んできたのかも言語化が難しい。
・日本人は、問題焦点型よりも、
  情動型コーピング対策を多く使うのでは。
・コーピング対策の多くは、行動レベル
 本人の内面での「意味づけ」レベルのコーピング対策は見えない
・日本での滞在期間が長ければ、外国人マネジャーも、
  情動型コーピングを用いそう
・文化的に全く違う環境だと、最初からあきらめがついて、
  コーピング対策をとるのかも。変に似ている環境だと
 「これくらい分かるだろう」という甘えが発生するのかも。
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⑦Schneider, S. C. and Asakawa, K.(1995) American and Japanese
expatriate adjustment : a psychoanalytic perspective. Human
Relations Vol.48 No.1 pp1109-1127
⑧Nicholson, N. and Imaizumi, A. (1993) The adjustment of
Japanese expatriates managers in Britain. British Journal of
Management. Vol.4 pp119-134
・精神分析における人格形成の課題を、
 駐在員の適応に当てはめて説明。
・依存と自律で説明できるのでは。
・日本人は適応が上手い民族なので、注目されていた 1980年~
・アメリカ人マネジャーが、日本に来て上手くいかない
 変えようとするが上手くいかない
・東浩「アメリカと日本の育児」
  アメリカ:教え込み型 日本:しみこみ型
 
 日本の母親がやってきた「しみこみ型」の育児こそ、
 「The OJT」の原点なのでは。
・しみこみ型なので、自分が学んできたことを、言語化して
  教えるのが難しいのかも。
・日本人マネジャーは、適応度は高いが、幸福感が低い。
・適応を、時間に応じて変化するプロセスと捉える。
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⑨Yamazaki, T. and Kayes, C(2007) Expatriate learning :
exploring how Japanese managers in the United states.
International Journal of Human Resource Management. Vol.18 No.8
pp1373-1395
・日本で、「概念化」「省察」学習モードだったマネジャーが、
 アメリカに来て「具体的経験」「試行」モードに変わる。
・何故、変わったか。周りがそうだから
・アメリカ人マネジャーが、日本の状況を学ぼうとしない事例
  3年の赴任期間の最初1年で「部下が言うことを聞かない」
  「自分のキャリアに傷がつく」とアメリカに戻ってしまう
・日本人だから上手くいったのでは
・1980年代 アメリカが自信を失っていた時代
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⑩Yamazaki, Y. and Kayes, D. C.(2004) An experiential approach
to cross cultural learning : A review and integration of
success factors in expatriate adaptation. Academy of management
learning education. Vol.3 No.4 pp354-79
・海外勤務は強烈な経験 経験学習が関係するのは、
  ある意味、自明。
・組織開発で有名なケースウェスタンリザーブ大学 Kolbもいた?
・批判理論:自分の立ち位置を疑う Assumption(前提)を疑う 
 例)批判教育学、批判経営学
・批判的内省 と 普通の内省 の違い
  普通:例)仕事の改善 批判的:そもそも・・・
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●中原先生
・揺れ続ける振り子 研究法
 ~1990年 量 (客観的・主観的×)
 1990~2000年 質 エスノグラフィー、エスのメソッド
 2000年~ 混合研究法 Mixed approach 
       混合のさせ方が大事
・Storyfulな実証研究を目指している
 量:Computation(確率論的計算)A×B(相関)A→B(因果)
 質:Story  
 Primary One shot:量
 Secondary 深堀:質
・量 例)上司内省志向×上司業務支援→能力向上
      という命題があっても、だから何?
 それに答えられるよう、
 リアルなフィールドでのInterpretation
・解釈するためのナレッジベースを、週2~3回のインタビュー
 を通して得ている
●ディスカッション
・選抜基準をどう作るか 
 「うちの社員は海外に行ってすぐ戻ってくる。これを防止したい」
・先行研究、インタビュー、経験者の報告書からヒントを探る
  異動時の周囲の評価、
・実務家の多くは、先行研究の読み込みまではしない。
・調査をする場合
 1)概念定義 例)適応とは何か?不適応とは?
          それが分かれば対象者を選べる
 2)既存データの活用 
   -Demographic要因(学歴、業務経験、家族構成等
   -個人特性(採用時のデータ、SPI等)
  
 3)適応、不適応のプロセス把握(予測できる可能性)
・能力 2軸:自己/他者評価  絶対/相対評価
●まとめ
・今後の「経営学習」の方向性
1)ダイナミックな変化への対応
  -移動(Mobility)個人
  -動態的組織(境界があいまいになってくる)
  -多層性(一つの組織だけでは生計が立てられない)
2)Interaction analysis
 今まで:個人特性A → 個人特性Y
 今後: A × B → Y (2要因~)
 
     階層線形モデル 組織×個人→個人特性Y
 どういう個人が、どういう組織にいるのかで変わる。
3)実践性のある研究
 場を作りながら、現場に関わっていきながらの研究
 Action research 
 教育実践の世界では当たり前の光景 経営学では少ないのでは
・新結合 例)経営×芸術 
・リアル書店では、分野外の書棚を見る そこでの流行りが、
  自身の専門ではまだ無いとすれば、そこが穴かも。
●ふり返り
・自分の研究に役立ったところ:
  海外勤務研究の知見を、組織社会化研究に活かせそう
・今後の研究
  社会化される個人、適応する個人に関する研究だけでなく、
  組織を社会化する、革新を起こすような個人に関する研究
  (組織個人化)
・新しい風を期待されての中途採用 
  受入側は、ローカルルールを覚えて早く即戦力になってほしい
  そのギャップ
・Feldman(1985)相互作用 実証研究はほとんど見当たらない
  新人が入ることで、受入側にどのような影響が起こるのか
  実証すると面白いかも
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今回も刺激的でした。参加者メンバーにも恵まれ、楽しかったです!
どうもありがとうございました。

投稿者:関根雅泰

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