J.フィリップス教授:研修プログラムの直接的効果を示すために

ASTD 2008 参加報告

Show the Impact of Learning and Development:
Techniques to Isolate the Effects of Programs
 研修プログラムの直接的効果を示すために
June 2, 2008 16:00-17:30  Jack Phillips, Ph.D.
(・はセッション内で印象に残った内容 ○は関根の独り言)
○ROIまで含む研修効果測定で有名な J.Phillips教授の講演。
○60代ぐらい? 想像していたより若々しかったです。

・Phillipsの「Evaluation Framework(測定の枠組み)」は下記5つ
 Level1.Reaction & Planned Action (反応と計画行動)
-measures participant satisfaction(参加者の満足度)
 Level2.Learning & Confidence (学習と自信)
 
      -measures changes in knowledge, skills, and attitudes
      (知識・技術・態度に関する変化)
 Level3.Application & Implementation(適用と実践)
      -measures changes in on-the-job behavior or actions
      (仕事中の振る舞いや行動における変化)
 Level4.Business Impact(業績への影響)
      -measures changes in business impact variables
 Level5.Return on Investment(投資収益率)
      -compare project benefit to the costs
・上記5つは、研修実施前の「Initial Analysis(事前分析)」ともつながってくる。
 Payoff Needs(5) → Business Needs(4) → Job Performance Needs(3)
 → Learning Needs(2) → Preference Needs(1) → Project(研修等)
 → Reaction(1) → Learning(2) → Application(3) → Impact(4) → ROI(5)
○Phillips教授の会社では、研修の効果測定を
 1ページものの資料で顧客に提供している。
 その中には、Results(結果)として、Level1~5の数値結果のほか
 「Intangible Benefits」として従業員の満足感、コミュニケーション、
 協働、チームワーク、多様性の認知 などが例としてあげられていた。
・今回の講演のテーマである
 
 「Techniques to Isolate the Effects of Programs」(研修の効果を個別に測る)
  として、次のテクニックをあげていた。
 A.Control group (研修を受けないグループを作り比較する)
 B.Trend line analysis(潮流分析)
 C.Forecasting(将来予測)
 D.Participant, Manager, Senior Mgr Estimates
 (参加者、上司、経営陣による評価)
 E.Customer Input(顧客からの評価)
 F.Expert Input(専門家からの評価)
・彼自身、それぞれのテクニックは「弱く」完全に
 研修そのものの効果を測るには不完全と述べていた。
・上記のテクニックの中でも、Dの「参加者・上司による評価」が
 一番多く使われているそうだ。(その次が「研修非受講グループの設定」)
○欧米系の企業では、経営陣から研修の効果測定がうるさく求められているのだろう。
 今回の講演で使われたケーススタディーの中でも、各部門の責任者が業績の向上を
 自部門の功績であると経営陣にアピールしようとしている話があった。
 その一つとして、HRD部門としても研修の効果測定を通して、
 自部門の存在価値を経営陣に示す必要があるのだろう。
 (今回のASTD講演や書籍にも「経営陣が望んでいること」と
  いったテーマが散見された)
○日本においては(外資系企業以外)そこまで研修の効果測定を
 経営陣が求めてくることは少ないかも。
○今回のASTDの基調講演者 P.Lencioni氏の言葉を借りれば、
 「チームとして結果が出ればよい」のかも。
 つまり、自部門の功績をアピールする手段としての効果測定は
 組織全体がビジネスゴール達成に向けてチームワークを発揮しているような
 組織においては不要なのかも。
○研修の効果測定をしっかりと行うために
 研修前の事前調査(現状とあるべき姿の明確化、研修はあるべき姿実現のための手段)
 → 研修中の非受講グループの設定(研修を受けないグループを作り、比較する)
 → 研修後の調査(参加者、上司、顧客による行動変容評価)などは必要かも。
○この講演は、大きな部屋をとっていたわりに、聴講者が少なかった。

投稿者:関根雅泰

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