第八号 「研修内容を現場で実践させるには?(2)」

教育担当者向け 【成果につながる営業教育】

皆さん、こんにちは。関根です。
さて、「成果につながる営業教育」第八号のテーマは、
前号に続いて「研修内容を現場で実践させるには?(2)」です。
前号で研修内容を現場で実践させるには、「研修室」で納得感のある営業研修を提供すること、「職場」で研修内容を忘れさせないようにすること、「客先」で研修内容を使わせてみること、だということを確認してきました。
また、現場で研修内容が実践されない最大の理由は、研修内容が普段の仕事とリンクしていない為であるということを確認しました。そこで今回は、研修内容と日常業務を連動させる為にどうしたら良いかを見ていきます。
研修内容と日常業務を連動させるには、その会社の営業戦略、現場のシステムへの組み込み、現場のマネージャーによる指導が必要になります。
1.営業戦略
研修を研修として終わらせない為には、会社として「この研修で言っていることが出来れば、営業戦略実現につながる」という認識を持つことが重要になります。成果を出すためには、確かに営業活動の「量」と「質」の管理が必要である。それを実現する一番の近道が、今回の営業教育である、といった会社の理解、「営業戦略実現の手段としての研修」という位置づけにするのが、ベストです。
ただ、「そうは言っても、研修部門で出来ることは限られているし、全社的に巻き込んで研修をやるのは難しい」という方も多いでしょう。しかし、会社の戦略実現の手段としての教育という位置づけにしない限り、本当の意味での研修の定着化を図ることは難しいですし、中長期的な成果である会社の売上貢献という成果に結びつけるのは難しいです。
その為に私たち研修会社も、研修部門だけでなく、営業企画部や推進部の方と会うようにしています。また、会社によっては、直接経営トップと会って、営業教育に関してディスカッションをします。会社によって、と書いたのは、それが出来るのは、私の経験の範囲では「外資系企業」が多かったからです。日本の会社では、何故かトップに会うことが難しいです。本当の意味で社員教育に一番関心を持つべきなのは、経営者であるにも関わらず。
ある会社の例では、差別化が難しい製品を扱っていて、価格勝負に持ち込まれるといった課題がありました。そこで会社として「ソリューション営業」を実現しよう、付加価値サービスをつけて売っていこう、といった方針が打ち出されました。ただ、現場からは「ソリューション営業?良く聞くけど、具体的に何をやればいいの?現場はそんなかっこ良くいかないよ。もっと泥臭いんだよ。」といった反応が出ました。また「付加価値サービス」を取り違えて、お客さんへの無料奉仕といった形で更に忙しくなったというケースが出てきました。
そこで、その会社のトップから「ソリューション営業を実現できるよう営業教育を行え!」というかけ声の下、成果につながる営業教育がスタートしました。最初は現場を知るために営業担当者、マネージャー、お客さま数十名に対するインタビューから始まり、ソリューション営業(問題解決策を提案する営業)を実現させるために「営業の質を高める」研修、現場でマネージャーが研修内容に基づき指導できるよう「営業コーチング」研修、職場で活用できるよう「eメールでのフォローアップ」などといったお手伝いをしています。
また、ある会社では、競合他社に比べて少ない営業担当者でエリア内の販売店を担当しなければなりませんでした。ただ今までは営業の「カンとフィーリング」で訪問すべき販売店を決めていた。数字がそこそこあがっているから良いが、もっとシステマチックに訪問すべき販売店に力を注がせたい、といったトップの問題意識がありました。
そこで、訪問すべき販売店の見極め、訪問するための営業の時間・労力といった資源配分、いつ訪問すべきか販売推進策の策定、など、成果を出すための量の管理手法を研修で学び、現場で実践させる為のマネージャートレーニングを行う、というお手伝いをしています。
2.システム(仕組み)
システム(仕組み)への組み込みという点では、営業が普段使用する会社内のシステムと研修内容がリンクしていることが重要です。ではどんなシステムを研修内容と連動させるべきか?まず営業が普段使用する社内のシステムの一つとして「帳票類」があります。
仕事を上手く回す為の仕組みの一つである帳票類。(特に現在は、これらの帳票類を社内LANで活用するグループウェアと呼ばれるコンピューターソフトが数多くあります。)その中でも、「営業日報」や「面談記録」など、営業に関する帳票類を、単に「どこそこへ行って何をして、交通費をいくらぐらい使ったか」などの管理ツールとして使うのではなく、研修内容を意識させ「面談の質の向上」を図るツールとして使用することが出来ます。
「質の高い面談」をするためには「訪問目的」を明確にし、その為の準備をすることが必要です。そして営業が実際に面談したら、その振り返りをすることが必要になります。つまりPDCAサイクルのCheckにあたる部分です。これをしないと、目的を持った訪問や、次回面談へのスムーズな流れができなくなります。
どんな準備をしたのか?(Plan)実際の面談の様子はどうだったのか?(Do)目的が達成されたのか?(Check)次に何をするのか?(Action)というPDCAサイクルを回すことが「質の高い面談」を実現するためには不可欠です。
もちろん、営業はこういう帳票類(特に「面談記録」)への記録や入力を嫌がります。「面談内容はメモにとってあるから大丈夫」「頭の中に入っているから十分」「これ以上仕事を増やすな」などといった具合に。
ただ、この「面談記録」は業務命令で「やれ!」と命じても良い程、やらせる必要があります。
何故かと言いますと、まず記録に残しておかないと、お客さんと会って自分が何を話したのか?何を聞き出したのか?忘れてしまうからです。記録に残しておかないと、面談がぶつ切りになり、問題解決に至る一連の流れ(営業活動のプロセス)がスムーズに進まなくなります。毎回会うたびに同じような話や世間話ばかりで、本題に入れない。お客さんも忙しい時間を割いてまで会う価値を感じなくなってきます。
また面談記録を書くことによって、自分の面談内容を冷静に振り替えることが出来、何故上手くいったのか?あるいは上手くいかなかったのか?を「考える」ことが出来ます。第五号でもご紹介しましたが、今の営業には「考える」ことが求められています。
社内の情報共有の観点からも、面談履歴が残っていると、仮に引き継ぎが発生しても、顧客情報がきちんと伝わります。今までは、担当者さえ分かっていれば良かったかもしれない顧客情報。今そしてこれからは、組織として顧客情報を管理し、売上に結びつけていく必要があります。その為にも、それぞれの顧客とどんな「情報のやりとり」をしたのかを、記録に残すことが重要です。
最後に、面談記録を分かりやすく書く訓練により、営業自身の能力向上につながります。面談記録を分かりやすく書ける営業は、お客さんにも分かりやすく説明できる営業です。
つまり、「面談記録」とは、上司への報告の為や、本社の管理ツールというよりも、営業担当者本人のため、「面談の質」を高めるためのものなのです。
この「面談記録」の中で使われる言葉を研修内容と同じものにすることにより、普段の業務と研修内容がつながってきます。例えば、今回の訪問目的は「問題合意」である。面談中はこんな情報が収集できた。次回面談は「解決提案」である、など。営業が普段入力しなければならない「面談記録」を研修内容とリンクさせることにより、研修内容を会社のシステム(仕組み)に組み込むことが出来ます。
研修内容とリンクした面談記録の例として「面談PDCAシート」があります。(詳細は添付資料をご覧下さい)
その他の帳票類、例えば実際に訪問する顧客のリスト「訪問計画」なども、「量の管理」研修で学んだものを使用すると、研修が研修で終わらず、効果的です。研修で取り上げた「面談すべき顧客」のリストアップ、その優先順位付け、いつ訪問すべきかの計画などを実際の業務でも使用させるということです。
また、売上結果、見込み数字の入力も営業研修の内容と連動させます。「質の管理」研修で学んだ「営業プロセス」に基づき、「今この顧客との関係は問題の共有の段階である。次回提案の説明をし、何月頃これだけの数字が見込める」など。普段の営業活動で使う帳票類を営業研修とリンクさせ、会社のシステムの中に組み込んでいきます。
(研修とシステム、帳票類等の関連全体像は添付資料をご参照下さい)
3.営業マネージャー
現場の長である営業マネージャーによる指導に関しては、重要な部分ですので、次号以降の「営業マネージャーによる指導」で深く見ていきます。今まで色々な会社で営業研修を企画、担当してきましたが、研修内容の定着化、そして成果につながる営業教育の鍵を握るのは、営業マネージャーだと思います。
以上、研修内容を日常業務と連動させるには、研修が営業戦略実現の為の手段であるという位置づけと、営業が普段使用する会社内の仕組みに研修内容が反映されていること。そしてそれらをまとめる営業マネージャーによる指導が重要である、ということです。
ところで、皆さんの会社では、営業研修が営業戦略実現の為の手段として行われていますか?単に研修の為の研修に終わってはいませんか?
研修内容と日常業務がリンクしていますか?

投稿者:関根雅泰

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