【木曜日23-15】「ライフサイクル」本(1)

木曜日

【木曜日23-15】「ライフサイクル」本(1)

○「事業承継」「廃業」について調べていた時に出会った本(研究書3冊)

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『ライフサイクルの心理学(上)』D.レビンソン(1978、1992)

・カール・G・ユングこそ、成人期の発達研究の知氏h。
・ユングは、人の発達を、心理学的な内面の動きと、外側からの文化的力の両方の産物として理解しようとした。

・サイクルとディベロップメントは、語源が同じ「kwel」である。

・4つの職業:工場の労働者、企業の管理職、大学の生物学者、小説家
・伝記的面接法。個人史を作成。

・四つの発達期:
 1.児童期と青年期 0~22歳
 2.成人前期 17~45歳
 3.中年期 40~65歳
 4.老年期 60歳以降

・男性のライフサイクル 

・男は生物学的に見て、20歳から40歳までがピークである。
・「限りある命」だと知ることは、「人生半ばの危機」の核心をなしている。

・発達するというのは、相反する二つの生き方を、うまく融和させてひとつにする過程と言える。
・進歩しているということこそ、人間の発達の神髄なのである。

・「人生半ばの過渡期」を初めて表したのは、ユングである。

・老年期の親が、自分の権威を手放そうとしなければ、暴君的支配者になり、中年期の息子や親あるいは自分自身を愛せない未熟な大人になるのがオチである。

○ファミリービジネスの創業社長にありがち。

・「生活構造」の発展段階

・自己と外界の相互浸透 「魚は水の中にあり、水は魚の内にある」アーサー・ミラー

・「生活構造は、成人期には比較的順序正しい段階を経て発達していく」ことを発見。
・成人期の生活構造の発達は「安定期」と「過渡期」が交互に現れて進んで往く。
・各発達段階には、一つの開始年齢がある。この発見に驚いた。

・成人前期と中年期の発達段階 

・「人生半ばの過渡期」の課題は、45歳ごろには終わっていなければならない。

○俺の過渡期は何だったんだろう? 東大大学院修士?(38歳~40歳)2社目の立ち上げ?(44歳)

・「三十歳の過渡期」は、33歳ごろに終わる。

○33歳で、会社を辞めて独立。あそこが過渡期の終わりだったのかも。

・発達の危機は、「過去の島」から「未来の島」へ渡ろうと、ひとりぼっちで洋上にいるようなもの。

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『ライフサイクルの心理学(下)』

・4つの両極性(対立)の解決が、人生半ばの個性化の主要課題である。
 1)若さと老い 2)破壊と創造 3)男らしさと女らしさ 4)愛着と分離

・いかなる行為も、結果として完全に相手のためになるということはあり得ない。
・人のためになることをする力を持つには、何かを傷つける結果となる。
・自分が知らず知らずのうちに破壊的になっているとは、なかなか認めがたいものである。

○これ、年長者として、本当に気を付けないといけないよな~。ある程度、力と影響力を自覚した上で、特に若い人と接しないと。

・権力を自覚して行使する代償として感じる罪の意識と心の痛みに耐えることは、中年期にある者にとってきわめて重要である。

・男らしさの神髄は権力である。
・男らしさに一貫するテーマは、する、つくる、もつである。

・男らしさと女らしさの究極の違いは、創造のしかたにあると思われる。
・女性は、子供の成長を「作り出す」のではない。むしろ子供が成長できるようにするのである。

・誇張された男らしさを守って身動きが取れなくなっている男性は、女性と友人として付き合うことができない。

・対立を克服することで、女性とももっと発達した良き相談相手としての関係を持つことができるようになる。
・自分のもつ女性的な面を伸ばそうとすれば、相手の女性からも学び、もっと平等の関係を築くことができる。

○これを、Kさんは良くやっていたよな~。

・よき相談相手および妻の役割は、青年があまり疑問を抱かずに、あるいは達成することを必要以上に要求せずに、青年に「夢」を持ち続けさせることにある。

・「夢」の圧制を弱めることが「人生半ばの過渡期」の重要な発達課題である。
・自分の抱く幻想に、敢然と立ち向かえるかどうか。

・成功はもはや絶対必要なことではなく、失敗ももはや絶望的なことではない。

・良き相談相手は、全能のピグマリオン役をつとめたいという気になるもの。
・二人の関係を、私利のために利用しようという誘惑にたえず駆られている。

・若い人たちの満ち溢れんばかりの活力が、楽しみや寛容さより、ねたみや恨みを引き起こす。
・若者の「夢」を心から支持し祝福しにくいことを知るだろう。

・父親は、相対立するものを、自分の中で解決すれば、もっと真の配慮と賢明さを持って、子供の欲求に応えることができる。

○この本、ディズニーシーで、150分待ちの行列に並んでいる時、読んだ。この辺、おりまくって、しるしをつけまくっている。

・「中年に入る時期」が、43歳以前あるいは、48歳以降に始まることはまずないと考える。

・ほんとうの男であるには、自分の男性的な面だけでなく、女性的な面も活かすべきだと知った。

・ライフサイクルには、4つの重なりあう発達期が認められ、各発達期は、およそ25年続く。
・各発達段階の開始年齢や終了年齢に、比較的個人差が無い。

・私たちは、成人の発達を「生活構造の発展」とみなす。
・エリクソンは、発達を一連の「自我の発達段階」としてとらえている。
・エリクソンの一番の焦点は、その人の内面に向けられている。

・人類の進化では、ごく最近まで中年期はほとんど体験されていなかった。
・40歳を過ぎての生存の可能性はまずなかった。

・人生半ばに訪れる生物学的な能力の低下は、心理学的な能力を向上させることで補わなければならない。

・よき相談相手とは、よき父親とよき友人を兼ね合わせたような存在。
・若者をおとなの世界に招き入れて歓迎してくれる仲介者的な人物。

○自分もそうあれたらいいな~。特に「地域でのミニ起業」の世界に招き入れる存在に。

・誰かの良き相談相手になることの満足感も苦しさも経験したことが無い中年が多い。
・これは才能の浪費であり、中年、若者にとっても損失であり、建設的な社会変革の障害となる。

○ほんとそうだよな~。

・男性は、同僚、上司、良き相談相手として、女性を必要としている。

・家庭はなによりも成人前期にある者のための制度である。
・中年期の新しい生活条件のもとで、家庭の果たす正しい機能とは何か。

○これって、まさに今後、うちの家庭が向き合う問いなんだろうな~。

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『中年からのアイデンティティ発達の心理学』岡本祐子(1997)

・大人としての生き方を考える時、忘れてはならない重要な問題として、他者の存在に責任を持つということがある。

・現代女性のライフサイクルの木 

・「Life cycleライフサイクル」には、世代の循環、世代性という考え方が含まれている。
・それが「ライフスパン」や「ライフコース」という用語とはっきり異なる点である。

・西洋では、壮年を人生の最盛期と見ており、老年期を体力的にも知力的にもより劣ったものと捉えている。
・東洋では、人間は一生を通じて、成長、成熟をとげていく存在であるという見方が窺われる。

・初期にはフロイトの弟子であり、中年期にさしかかる38歳の年に、フロイトのもとを去ったユングは、ライフサイクル研究の祖と考えられる人物。
・ユングは「人生の段階(1933)」の中で、40歳前後の中年期を「人生の正午」と呼んだ。

・グルドによれば、本当の意味で大人になり得るのは中年期以降のことであり、一連の「変容 Transformation」を経た後である。

・成人期の発達プロセスの中には「転換期」「移行期」「危機期」と呼ばれる急激に心理的変化のおこりやすい時期が存在する。

・4つのアイデンティティ・ステイタス(マーシャ1964)
 1)アイデンティティ達成
 2)モラトリアム
 3)予定アイデンティティ
 4)アイデンティティ拡散

・山本(1989)は、人格の2面性を「関係的自己 Connected-Self」「分離した自己 Separated-Self」の2つの概念で捉え、加齢と共に両者が共に発達していことを明らかにしている。

・個としてのアイデンティティの発達と、関係性に基づくアイデンティティの発達。
・この両者が、等しく重みをもち、両者が統合された状態が、本当に成熟した大人のアイデンティティと言えるのではないだろうか。

・中年期の入り口という時期は、心の発達にとって深い意味を持っている。

・「アイデンティティの獲得⇒アイデンティティの揺らぎ⇒アイデンティティの再達成」という同じテーマが、ライフサイクルにおける発達的危機に繰り返し訪れるという見方もできるのでは。

○メモ:「安定期・過渡期の繰り返し」「解凍、変革、再凍結」「Unlearning、Relearning」

・青年期のアイデンティティ形成のあり方は、後の人生に大きな影響を及ぼしている。
・意思決定が、主体的に、しっかりと納得できる形で行われているかどうか。

・フロイトは、エリクソンの「大人であるということは、どういうことか?」という問いに答えて「Work and Love」と述べた。
・大人として生きることは、他者の存在に責任を持つということであろう。

・世話役割は、アイデンティティの支えになりにくいことも多い。

・自分が夫から人格的によく理解されていると認識できることが、育児期の女性を支えるのである。

・危機対応力や自我の柔軟性、しなやかさこそ、他者への深い関心や関与、世話を通じた獲得されたアイデンティティの成熟性ではないかと考えている。

・介護者による老いと死の受容プロセス

・私達の人生には、何度か同じテーマが繰り返される。

・成人期のアイデンティティのラセン式発達モデル

・「危機⇒再体制化⇒再生」の繰り返しのプロセス

・家族への責任を果たすというもう一つの生き方を取り込んで復活したより統合された自己のあり方。
・不連続な環境の中で、つまり他者からの要請と自らの意志の葛藤の中で、いかに自己を見失わず、育てていくか。

・「年齢不問の自己 Ageless Self」

・知恵とは、身体的な衰弱や知的機能の衰えにも関わらず、統合された経験を維持し、他に伝える努力である。(エリクソン「洞察と責任」1964)

・老年期を迎えた夫婦は、本当に安定した親密な関係を確立しているのであろうか。

・ケアにこそ、人間の喜び、生きがい、さらには不安や苦悩の源泉がある。

・成熟したアイデンティティのヴィジョン 

・私(著者)の恩師の鑪幹八郎先生

○鑪先生の本を読んでから、エリクソンの本に行ってみよう!

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投稿者:関根雅泰

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