【木曜日22-47】起業本「神話と現実」

木曜日

○起業は、「スタートアップ」と「自営業」で、大きく違う。

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『Yコンビネーター:シリコンバレー 最強のスタートアップ養成スクール』R.ストロス著、滑川・高橋訳(2013)

・スタートアップの創業者になるのに最適な時期は、20代の半ばだ。

・マウンテンビューの近くに住んでほしい。
・グレアムは、週に1度、創業者たちを生身で一か所に集める機会を作ることが重要だと考えていた。

・YCは色々な面で、大学院に似ている。

・多くの創業者が集中する場所。
・手本に欠けていることが問題。

・スケールできるビジネスでなければ、スタートアップではない。

・忙しく、間違ったことをして過ごす人間が多い。

・デモデーという締め切りがあるから、スタートアップは必死になる。
・成功するスタートアップは、ひたすらコードを書き、顧客と話す。

・会社を経営するために、必要なことを、必要な時に学ぶ。それはスタートアップ人生の魅力の一つだ。

・オフィスアワー:スタートアップ1社が、YCパートナー1名と会う
 グループオフィスアワー:YCパートナー2名が、スタートアップ6社と会う
 変曲点ミーティング:スタートアップ1社に対して、YCパートナー全員が会う

・誰かと一緒に起業する。負担を分担するためには二人必要。

・グレアムがきつく当たるのは、指摘した問題を解決できると見込んだ相手に対してだけだ。

・YC卒業後に往々にして落ち込む鬱状態を和らげる配慮としての早めの同窓会。

・火曜日の夕食会に、実際に全員が集まるという点にYCの本質がある。

・スタートアップは、特定のハブ地域に集まる強い傾向がある。

・成功の手本を目の当たりにすることこそ、創業への熱意を高めるもっとも効果的な手段だ。

○YCコンビネーターがやっていることの一部は、比企起業大学でも取り入れられそう。

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『起業という幻想~アメリカンドリームの現実』S.A.シェーン著 谷口、中野、柴山訳(2017)

○この本も、中原研博士課程の新村さんに紹介された。良著。

・我々は、起業にまつわる神話にとり憑かれている。

・起業家と言う言葉は「新たにビジネスを始めた人」を意味するものであって、宗教や社会運動、社内ベンチャーを始めた人は含まない。

・典型的なアメリカの起業家は、カレッジを中退した40歳代の既婚白人男性である。

・もしすべての人が起業家であるなら、雇い入れることのできる人(従業員)がいなくなってしまう。
・高い成長率を誇る企業を擁する場所では、新たなビジネスの開業率はそれほど高くない。

・失業率が高い場所で、失業率が上昇しつつある期間には、自分でビジネスを始める傾向にある。

・新たなビジネスの殆どは、ありきたりなサービス業の分野で創業されている。

・自分が以前雇用されていた産業でビジネスを始めている。

○私もそう。研修業界で雇用されていて、研修業界で起業した。

・何故ビジネスを始めるのか。ほとんどは単に他人の下で働くことが嫌なだけなのだ。

○身も蓋もない言い方だけど、確かにそうかも。

・学歴が高くなればなるほど、新たにビジネスを始める傾向が高まる。
・博士号まで取ってはいけない。

・創業者は、殆どビジネス拡張の意図を持っていない。

・たいていの起業家は、自らのアイデアを、その業界で働いた経験から得ている。

・会社を始める以外に、大金持ちになる道は、ほとんどない。
・ビジネスを始めることは、階層の上方移動への近道なのだ。

・起業家になるべき理由は、個人の幸福。人は他人のために働くよりも、自分のために働いた方が幸せになれる。独立することで、自分の仕事からいっそうの精神的な報酬を得ているのである。

・自営の半数は、7年以内に、会社勤めに戻る。

○起業メンターのOkさんからも「まずは、3年。次は、8年、生き残りなさい。」と言われたことを思いだす。お陰様で、今18年目まで来ました。

・正しい産業を選ぶことが、成功率を劇的に高める。

○「教育・健康サービス」は、生き残る可能性が高い。

・活動を集中させたビジネスは、そうでない場合より、業績がいい。

○まさに、弱者の戦略ランチェスター。

・いい起業家になるためには、いくつかの単純なステップがある。
 1)まずは学校に行き
 2)創業する前に、しばらく就業経験を積み
 3)望むらくは、参入しようとする産業で働くのだ。

・女性は、男性に比べ、お金を稼ぐためにビジネスを起業しようとはしない。
・女性は、柔軟なスケジュールを手にいれたくて、起業家になる。
・起業が、仕事と子育てを同時に行う機会を与えてくれるのだ。

○比企起業大学メンバーの女性の起業理由にも、これは確かにある。

・新しい企業は、その年の新たな雇用のおよそ7%を産み出すに過ぎない。
・社齢10年以上の会社は、アメリカの雇用の60%を産み出す。

・平均的な既存の企業は、平均的な新しい企業よりも生産的。

・きわめて高い潜在可能性を有するわずかな会社の設立が、起業家精神に富んだ経済から得られる成長、雇用、富の創造のほとんどを産み出しているのである。

○著者としては「普通の起業家(=自営業者)」を産み出すことに政策投資をするよりも、既存企業を支援した方が良い。あるいは、大化けするスタートアップに投資すべきという考えのよう。

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●解題「非英雄的起業論」柴山桂太氏

・無理に起業率をあげようとする政策は、かえって生産性の低い起業を乱立させる結果になると警告。

・事業は自分の代で終わるかもしれないが、経験はかたちを変えて、下の世代に受け継がれるはずだし、その思いが仕事を続けるモチベーションになっている。

・資本主義の発展には「英雄」的な起業家は必要。しかし、地域社会の安定にとってはどうか。

・「非英雄」的な普通の起業家。

○この論に共感。

 「非英雄的 普通の起業家(=自営業者)」を、私は「ミニ起業家 micro-entrepreneur」(『ワークシフト』R.グラットン2012)と呼んでいる。

 そういうミニ起業家は、雇用は増やせないし、経済成長を促せない。

 なぜなら「小さく始めて、大きくせずに、長く続ける」ことを重視し、一人でこじんまりと「分度(=生活費+α)」を稼ぐことを目標に事業を経営するからだ。

 しかし、ミニ起業家は、自分で時間をコントロールし、子供がいれば育児と仕事のバランスを取り、分度を稼げれば「余剰を推譲」する(例:後輩のミニ起業家に仕事を発注)。

 ミニ起業家は、他人(雇用者)のためでなく、自分のため(そして顧客のため)に仕事をする。

 だから「仕事いやだ~」「会社に行きたくな~い」といった発言が出ない。子供がいるなら、そんなミニ起業家である親の姿を見ることになるだろう。それはきっと子供達にとって良い影響を与えるはずだ。

 そんなミニ起業家が、地域(比企郡)に増えることは、雇用増、経済成長とは違う「教育効果」を産み出すはず。

 私はそう考えています。だから、地域でミニ起業家を増やす「比企起業大学・大学院」を、仲間と共に運営しているのです。

・・・と、改めて考えるきっかけを頂きました。良著に感謝です。

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投稿者:関根雅泰

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