「起業家教育」他文献_201010

論文

○起業家教育に関する文献。地域でも使える!面白い!

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我が国の起業家教育の意義と課題-「起業教育」と「起業家学習」のための「地域つながりづくり」-
川名(2014)
・「起業家学習」が可能な環境を意図的に作り出すことが必要なのでは。
・日本で起業家教育が注目されたのは、1990年代に入ってから。
・起業家とは「法人、個人事業、NPOなどの組織形態に関わらず、自ら新しく事業を起こし、起業活動をする人」
・イノベーションの担い手となる起業家像に過度の期待感を持ったがゆえに、そこには、ハイリスクもハイリターンも志向しない「一般の起業家」志望が取り残されたかのよう。
・果敢なベンチャー起業家マインドという方向性こそが、起業家を目指すものに、相当なハードルの高さを感じさせてきたようにも思える。
・必ずしも、右肩上がりの頂点ばかりを目指すものではないだろう。
・起業態度が、日本は極めて低い位置にある要因は、行政機関により起業支援の目指すべき起業家像があまりにも「偉大な存在」として描かれすぎたことにある。
○地域だと「お店を開業する=起業」というイメージが強い。だから、ネット活用型とか、訪問型だと、理解されにくい。
・等身大の起業家、経営者の姿を間近に見ることで、自分にもできるのではないかと考える。
・筆者の仮説としては、高校生の時期に、職業観の形成と共に、起業態度に少しでも変化が起こるような刺激を与えるべきである。
・いざ起業する時に役に立つ地縁、人的ネットワークなどの社会関係資本。
・制度化されたカリキュラムで提供される「起業教育」と、学習者が主体的に学ぶことで育まれる「起業家学習」を区別して考えるべき。
・起業家の学習には、「状況主義」が深く影響するものと考える。外部の状況と本人の関係が変容していくことが、学習。
○中原先生たちの「企業内人材育成入門」からの引用!
・地域の社会関係資本が形成されやすいのが、高校時代。
・開かれた起業家教育の場
○高校が無いときがわ町の場合は、どのタイミングが良いのか? ちょっと考えてみよう。
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/ronbun1411_04.pdf
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起業家教育のスペクトラム-「活動」の支援か「態度」の形成か-
高橋 徳行(武蔵大学経済学部経営学科)2014
・「起業家は、育てられるのか?」
・起業家になるかどうかの4割程度は、遺伝的な要因によって決定される(Nicolaou et al.2008)
・バブソン大学は「起業家になりたい人」を対象に起業家教育を行う。
・起業はプロセスであり、いくつかの段階に分けられる。
・2つの起業家教育
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・日本は、起業態度の条件が同じであれば、G7(カナダ除き)の中では、最もTEAが高い、つまり最も起業活動が活発な国になる(高橋2014)
・我が国では、起業態度の形成を促す起業教育の効果が大きい。
・バブソン大学では、起業段階ごとに発生する問題や課題を、経営学の知識を活用して、解決するプログラム構成。
・遠い存在であった起業の世界を知ること、魅力を感じること、自分でもできるのではないかという自信をもつこと、そして恐怖心を取り払うことによって、起業態度を形成するのである。
・日本の場合、「起業家予備軍」の「起業家」への移行率が高いので、起業家予備軍を作り出すという試みの効果は、非常に大きいものと考えられる。
・起業家教育が目指しているのは、第4の活用型、コンテクスト依存型の知識である。
・日本などPISAの得点が高い国では、起業態度を有する割合が低い。PISAが吸収型の知識の習得度を代表しているとすると、活用型の知識を教えられる機会が少なくなり、起業態度を有する割合も低くなるのでは。
○「起業態度」を有する人達の数を増やすことが、起業家教育の方向性!
http://www.business-creator.org/../../attachment/2014/05/jbcs5_6takahasi.pdf
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起業態度と起業活動の国際比較-日本の女性の起業活動はなぜ低迷しているのか
高橋(2014)
・アントレプレナーシップの独自の研究領域が「誕生」「発生」にかかるものであることを踏まえるならば「起」の方が「企」よりも適しているのではないか。
・先行研究を見ても、高学歴のほうが起業する割合は高くなる。
・日本のTEAが最も低い。
・一般に経済が発展するにつれて、事業機会型TEAが増え、生計確立型TEAが減る。
・日本は、数多く生まれない代わりに、一度生まれた企業は容易には廃業しない。
・起業態度を有するグループを、起業家予備軍と呼ぶ。
・起業活動と、起業態度は、個票レベルにおいても相関関係がある。
・日本の場合、起業態度を有する人から、活動する人への移行割合は高い。
・起業態度に働きかける政策の有効性を示唆する結果。
・日本の女性の起業活動が不活発である理由は、起業態度を有する割合が低いことであり、態度を有するものから活動するものへの移行割合が低いからではない。
・起業態度を有する割合をコントロールした場合、我が国の女性の起業活動は、米国よりも活発になる。
・起業態度「0」の人たちが、起業態度に否定的な態度を持っている割合が極めて高い。
・他の先進国の起業態度「0」のグループは、起業活動に対しての無知を知っている(無知の知)。だから、失敗を脅威に感じる。
・一方、日本の起業態度「0」のグループは、無知であることも知らない(無知の無知)。だから、失敗脅威も感じない。
・一般成人にターゲットを絞って、彼女たちが起業家予備軍に移行するような働きかけが必要。
・起業態度「0」のグループをいかに巻き込んでいくかが重要。
・日本は少産少死型、米国は多産多死型。
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/ronbun1402_03.pdf
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The Influence of Sensation Seeking in the Heritability of Entrepreneurship
N.Nicolaou et al.(2008)
・Who becomes an entrepreneur? 誰が起業家になるのか?
・心理的特性:達成ニーズ、自信過剰、内的統制感、楽観主義、リスクテイク思考が、起業に関係していると言われてきた。
・心理的特性は、遺伝子によって影響されることが実証されてきた。
・本研究では、Sensation seeking 刺激追及という心理的特性を取り上げる。
・刺激追及:新しい経験や変化を求め、新しい環境をより肯定的に受け入れること。
・高い刺激追求者は、低いレベルのMAO(Enzyme monoamine oxidase)モノアミン酸化酵素をもつ。それにより、低い不安感となる。
・刺激追及は、58%の確率で遺伝される。
・870組の一卵性双生児と、857組の二卵性双生児を調査した。
・その結果、起業した人に関して、37~42%は、遺伝で説明できた。
 31~46%は、刺激追及という心理特性により仲介されていた。
・遺伝要因により、ある人々は、他の人々よりも起業家になる可能性が高まる。
・多くの研究者は、個人要因よりも、環境要因に目を向けてきたが(Gartner & Carter )個人の違いも影響することが明らかになった。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1002/sej.37?casa_token=IFQzKBLu8bEAAAAA:l9kfq2pVc7Rp2mpLvfnwrQseXqjgwiuU-5FfvNAiOel4m5-1L-txbIQZF_PKPKMGLIjCjTg0szq8T68
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起業家の成功要因に関する実証分析
松田 尚子・松尾 豊(2013)
・起業を実行する際に必要な社会関係資本と、利益を上げるために必要な社会関係資本は、異なることを明らかにした。
・TEAの先進国平均は、8%、日本は、5.2%。
・起業=将来の財やサービスを発見し、評価・開発すること(Shane & Venkataraman,2000)
・人的資本=起業本人固有の資質(能力、教育、経験)
・社会関係資本=起業家の友人や知り合いとの交際を通じて得られる資源(情報や知識)
・起業の段階にって、必要とする情報や情報源が異なる(Cooper et al.1995)
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・起業前のプラン作成能力と、起業後の利益は関係が無い(Lange et al.2007)
・友人や家族からの励ましや、事業化支援機関による支援は、起業後の存続や利益には役立たない(Honig & Karlsson 2004)
・1501人の起業家からの回答を得た。
・ロジスティック回帰分析の結果。
・管理者としての経験年数は、起業の成功に正の影響。
・MBA資格は、起業の実行や利益に関係が無かった。
・投資家経験は、利益を上げるには負の影響。
・前職の同僚や上司への相談は、利益に貢献しない。
・友人への相談は、起業の実行に負の影響。
・「①友人に起業経験者や経営者がいる」「②家族に起業経験者や経営者がいる」が注目すべき変数。
・①②は、最初の起業機会発見には、正の影響。
・起業の実行に役だったのは、②家族のみ。その後の利益に、②は関係ない。①友人のみが、その後の利益に関係。
・利益を出す期間についても、①友人の場合、短くなる。
・起業前の事業計画書の作成は、起業を実行する段階においては正に有意であったが、その後の成長や期間については、有意な結果は出なかった。
・豊富な情報を得るために、起業家が人脈の広い起業経験者や、前職の同僚、上司を相談相手に選ぶことは合理的な選択である。
・起業家の目的合理的な社会関係資本への働きかけが、起業活動の成否に結び付く可能性を示唆。
・起業の進捗段階に応じて、必要な社会関係資本を築くことで、成功率をあげることができる。
・起業家の社会関係資本について、情報源となる人の数とバラエティーの豊富さが重要。
・起業に必要な知識教育と、起業経験者と学生を知り合いにするというプログラムの提供は、日本の起業率の低さの改善策となる可能性がある。
https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/13j064.pdf
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起業選択と起業後のパフォーマンス
安田武彦(2010)
・プル型起業 Opportunity 
・プッシュ型起業 Necessity
・起業時の起業家の年齢は、起業パフォーマンスにマイナスの影響を有することは、国内外の先行研究で明らかになっている。
・2008年に行った調査(起業志望者702名、起業実現者627名)結果を分析。
・起業後のパフォーマンスは、起業実現年齢が、20歳代の若い起業家の場合、有意の高い一方、40歳代以上は、有意な結果は出ていない。
・容易に起業を選択(実現)した者の起業後のパフォーマンスは劣る傾向がある。
・親が自営業を営んでいた者ほど、起業を選択する。しかし、そのことが起業後のパフォーマンスに影響を与えることは無かった。
・起業を志向してからの期間が長いほど、起業の実現率が高くなる。
・起業年齢の高さ(40歳代以上)は、パフォーマンスの不良(赤字基調)と正の関係にある。
・法人企業としての出発は、マイナスの効果を持つ。
・起業にまでたどり着いた女性起業家の成功の可能性は、それ以外の場合に比べて高い。
・起業直前の経済状況は、起業後のパフォーマンスに影響を与える。
・プッシュ型、逃げの起業である場合、起業後のパフォーマンスは不良。
・起業を容易に実現した者ほど、起業後、黒字基調になりにくい。
・新規開業を数として増やす政策ではなく、事業計画自体への助言、指導が必要では。
https://core.ac.uk/download/pdf/6358307.pdf
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欧米・日本のビジネススクールにおけるアントレプレナーシップ教育プログラム比較 : 専攻(コース)・科目内容・実践活動を中心として
稲田(2018)
・TEA:Total Early-Stage Entrepreneurial Activity 総合起業活動指数
・アントレプレナーシップ教育の代表的な9つの科目は、ファインナンス/資金管理、マーケティング、アイデア形成/機会獲得、ビジネスプラン、成長戦略、組織構成/チームビルディング、ベンチャー創生、中小企業マネジメント、リスク管理
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現代における起業家教育の実現性
寺島 雅隆(2008)
・Entrepreneurの日本語訳を、企業家とするか、起業家とするか。
・起業家という場合、スタートアップという意味合いが包含される。例えば、一坪ショップやネットショップを営む者は、まさに起業家という概念が当てはまる。
・起業家精神とは、与えられた現実に安住することなく、自らの意志によって社会(世界)により多くの利益をもたらそうとする行動を伴った意欲である。
・起業家教育は、起業家精神を持った起業家を育成すること。
・助産的意味合いにおいて、被教育者の内在するものを引き出し育み、帰納法的に依る部分が大きい。
・教えるというよりは、共に学ぶ姿勢こそが大事。
・大学時代からの育成では遅く、幼少期からの準備が必要。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nfcc/33/0/33_KJ00005089955/_article/-char/ja/
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起業家教育を通じたメンター・ネットワークの形成
鈴 木 勝 博(2018)
・組織全体として共有すべきは、探索した知識そのものではなく「誰がどのような知識をもっているのか(Who knows what)」に関する「トランザクティブ・メモリ」である(Wegner 1991、Lewis 2004)
・革新的起業家の思考特性の一つが、まず「誰に相談したらよいか」を考えるような特性である。
・シリコンバレー型の「大きくスケールアップするベンチャー」のみを目指す必要は無く、地域の小規模な雇用を地道に支える「マイクロ・アントレプレナー」の排出を、ミッションに加えてもよいであろう。
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創業の構造変化と新たな動き
―マイクロアントレプレナーの広がり―
藤 井・藤 田(2017)
・マイクロアントレプレナーの登場は「組織がすべて」であった時代の終わりと、新たな時代の到来を予感させる。
・組織に所属して働いては得られない自由やチャレンジは、創業ならではの魅力。
・3つのトレンド:
 1)起業家の多様化(シニア層、女性)
 2)開業費用の小額化
 3)広義のサービス業の増加
・小さな起業家「マイクロアントレプレナー」層の広がり
・プロシューマー(Toffler 1980)、フリーエージェント(Pink 2001)、ミニ起業家=micro-entrepreneur(Gratton 2011)
・マイクロアントレプレナーの増加を後押しする2つの要因
 1.4つのパラダイムシフト
  1)日本型雇用の崩壊
  2)自前主義からの脱却
  3)モノの購入や所有に対する考え方の変化
  4)働き方の変化
 2.整備が進む創業のインフラ:経営資源へのアクセスが容易に
・市場での取引コストがかさむ場合に、それを内部化し、節約するために組織がある(Coase 1988)。
・インターネットが普及し、市場での取引コストが小さくなった。
・組織に属している人も、そうでない人も、起業家のように、自ら仕事をつくりだし、働き、生きていく。
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/ronbun1702_03.pdf
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投稿者:関根雅泰

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