「サーベイフィードバックの古典を読む」勉強会(3)

企業内教育担当者向け

2020年4月28日(火)10時30分~12時30分、Zoomで「サーベイフィードバックの古典を読む」勉強会(3)を行いました。(後半2回の内の1回目)
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中原研OB(同)あまね舎の斉藤さんとの共同企画です。(斉藤さん、いつもありがとうございます!)

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・文献の要約(発表者のレジュメから)
– 参加者の意見
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Bowers, D. G. (1973) OD techniques and their results in 23 organizations: The Michigan ICL study. Journal of Applied Behavioral Science, 9(1), 21–43. https://doi.org/10.1177/002188637300900103
中原先生
・よく引用される論文。
・リッカートの共同研究者。「科学的知識の利用」にまつわる研究の代表者。
・4つのOD手法の効果を測定。23の組織、14,000人のデータ。
 ①Survey feedback 対話をしっかりしているもの。
 ②Interpsersonal Process Consultation シャインのプロセスコンサルテーション
 ③Task process consultation タスクに関するコンサルテーション
 ④Laboratory Training(T-group) 
 ⑤Data handbook 対話無しのサーベイフィードバック
 ⑥何もやらなかった群 を比較。
・その組織がどんな風土であるかが、ODの成功に影響する。
・発見事実
 ①サーベイフィードバックは最も大きな効果が得られる
 ②プロセスコンサルテーションも、そこそこ効果が得られる
 ③タスクプロセスコンサルテーションは、効果がないか、効果量は高くない
 ④ラボラトリートレーニング(Tグループ)は殆どない。
 ⑤データハンドバックは、サーベイフィードバックに比べて効果量は高くはない
・サーベイフィードバックを、対話あり無しで行った時の違い
・Tグループでは、重大な心理損傷が起こる危険性もある。
-某社の初期の研修は、臨床家によるTグループであった。
-Tグループは、効くけど、副作用があるかも。
-人に関する情報が、オンラインでは入りづらい。
-Tグループでは、プロセスを見る。それをオンラインでできるのか不安。Zoomでは、パッと顔を一覧できる点は使えるかも。
-必要になる文脈がないと、組織サーベイはしないのでは。例:合併後
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Bowers, D. G. (1976) “Organizational development: Promises,
performances, possibilities”, Organiz- ational Dynamics, 4, 4, 50-62.
高橋さん
・上の著者の3年後の論文。
・ODが、1970年代に盛り上がってきた背景を説明。
・1960年代の不安な時代があったからこそ、ODが盛り上がってきた。
・ODを機能不全にする病:浅い、商業主義、誤った想定
・今後は、より良い診断手続き(信頼性と妥当性)や診断プロセスの自動化が必要。
・コンサルタントの幸福よりも、クライアントの幸福により関心を持つべき。
-近年のODへの熱は、何に由来するのか?それは「時代的流行」なのか?
-アメリカでは、ODの熱は冷めていて、トップダウン型。
-Before、AfterコロナのOD。この変化に対応できないと、ODは地盤沈下する。
-在宅勤務中のメンバーが何をしているか分からない。緊急な仕事が減ったので、「勉強会」を実施しようと考えている。
-「リモートで離れた個人」を取りまとめるODは必要になるのでは。
-ODに、どれだけお金を、企業が投資できるのか不安。
-マネージャーが若手や女性への対応に困っていて、ODが求められたりした。オンラインを使いこなせる30代が、マネジメントスタイルを変えていくのでは。
-評価が成果に移り、プロセスを見ることが減っていくのかも。
参考:高橋さんのブログ記事
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Nadler DA, Cammann CC, Mirvis PH. (1980) Developing a feedback system for work units: A field experiment in structural change. The Journal of Applied Behavioral Sciences, 21,41-57.
Iさん
・サーベイフィードバックの効果と職場環境との関係性についての調査
・職場が良くない状態であればあるほど、組織改善活動の効果を感じやすい。
-上司だけでなく、部下の影響力も強い。
-人に関心がない職場もある。タスクのみを見ようとする。
-大企業で組織がはっきりしている人ほど、タスクを欲しがる。個人事業主やアントレプレナーほど、人のつながりを大事にする。
-看護師の横のつながりは作りづらい。リーダーの力量により、スムーズにチームワークが働くときと、インシデントが起こりまくる日もある。
-マネージャー同士は、マネージャーの苦労を共有したがり、メンバーは「頑張っている点」を共有したがる。
-アフターコロナのODでは、企業業績が大恐慌なみの中、オンラインに対応できないと厳しいのでは。
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Nicolay A. M. Worren, Keith Ruddle, Karl Moore(1999)From Organizational Development to Change Management: The Emergence of a New Profession The Journal of Applied Behavioral Science, vol. 35, 3: pp. 273-286.
Mさん
・OD実践者は、ビジネスを理解していない。
・見えてないところを見える化するのが、チェンジエージェントの役割。
・チェンジマネジメントコンサルタントは、OD理論の理解不足。
-個人を変えるのか、周りの環境を変えるのか、二項対立。両方が必要だけど、どっちからやるかが議論になる。
-ODと言っているときは、個人と組織の両方を視野に入れている。
-「Deep Change」組織と個人、両方を変えないとダメという主張。
-評判管理。組織内の抵抗勢力に、マンツーマンでアタックしていく。
-不満を皆の前で共有するのも、ODの醍醐味の一つ。
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W. Warner Burke(2004)Internal Organization Development Practitioners: Where Do They Belong? The Journal of Applied Behavioral Science, vol.40, 4: pp. 423-431
Kさん
・企業内OD実践者を対象。
・ODが停滞している。理論を活用していない実践が多く、組織上の位置づけが影響し、インパクトを出せてない。
・今後は、HRとODの統合や、戦略策定にODが参画すべき。
-組織内の特定人物に、サーベイを自分事にしてもらうことが大事。
-戦略に、サーベイを組み込んでいくことをやっていた。従業員のエンゲージメントが無いと、戦略が動いていかない。
-ODの独立部門の事例。どういう人をその部門にもっていくか。どう教育するか。
-ODの結果がでるまで、2~3年かかるとしたら、そこまでその部門がもたないと本当のインパクトが出せないかも。
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Richard W. Woodman(2004) The Science of Organizational Change and the Art of Changing Organizations.The Journal of Applied Behavioral Science, vol. 50, 4: pp. 463-477.
・組織変革にまつわるScienceとArtの二重性
・理論は、現実に起こる現象の説明、現実に起こった事象から得られた知識の要約。
・ODを構成する2つの理論:Change process theory(サイエンス)とImplementation theory(アート)
・Dialogic ODと、Diagnostic OD
・「よい理論ほど、実践的なものはない」K.レビン
-理論を実践したという経験があまりない。効果があったのかぼんやりしている。最終的に、白黒ついてない。そのため「またやるのか」としらけるのかも。
-直接受けた人の感覚を、どう表現するのかが難しい。数値には出ないものを、どう周りに示していくかが難しい。
-理論と実践のギャップを感じたことはあまり無い。学術理論をどう使えばよいか分からない。
-エビデンスレベルを高くし、ランダムにこだわると、本来、関わるべき対象に、働きかけられない。
-理論を「軽く持つ」。
-研究は「平均」か「極論」を取るかに分かれるのでは。理論は一つの見方。
-「綺麗な理論にのらないもの」を見落としてほしくない。現場が見えてない研究者だと、取りこぼしがち。「理論だと、ここが上手くいかない」という点を見るのが大事。
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●感想(BORでの意見交換)
-泥臭い現場にいるからこそ、理論を学ぶことが必要かも。
-研究は、その時代の影響や、研究者の価値観に影響を受けている。何が、長く残すべき、共有すべき知見なのか。だからこそ、面倒くさい手続きで研究を続けている。
-今の時代に求められるODを模索したい。
-コロナの影響下では、「リモートで離れた個人」をつなげるようなODがより求められるようになるのかも。遠心力と求心力。離れている個人を信頼して、仕事を任せられるような、そして、離れている個人の不安感、孤独感を軽減できるようなマネジメントスタイルが必要になってくるのかも。
(皆さん、ありがとうございました!)
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参考:
「サーベイフィードバックの古典を読む」勉強会(1)
「サーベイフィードバックの古典を読む」勉強会(2)
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●講師ビジョンの島村さんから頂戴したメール(いつもありがとうございます!)
関根さん こんばんは。ブログ拝見いたしました。
サーベイフィードバック、組織開発は深く理解するのに時間がかかりましたが、理解できていくるとOJTを立体的に見ることができてとても役立ちそうです。
以下、特に気になった部分も記載したいと思います。
(気になった記載)
①サーベイフィードバックは最も大きな効果が得られる
(感想)
サーベイフィードバックによる対話はとても大切だと思います。組織員が、個人のことだけでなく、組織の現状について知ることは自身の中に客観的な視点を持つことになるからです。
一方で、組織の現状について知ることで、そのことをどれだけ自分ごと化できるかも大切です。組織をワークさせるには、一人一人が組織のために考え動く必要があるからです。
そのためには、マネジャーがサーベイフィードバックの時にだけ組織についてのことを部下と話しているだけでは組織はワークしないでしょう。日常から組織についてきちんと部下と話していることが大切です。その意味では、サーベイフィードバックによる対話の前後の日常の部下とのやりとりが大切なのだと思います。
(気になった記載)
-「リモートで離れた個人」を取りまとめるODは必要になるのでは。
(感想)
今現在、離れた個人を組織としてどうワークさせるかという組織開発的視点はとても大事な点だと思います。
しかし、冷静に見ると顔を合わせていても組織をワークさせる難しさがあるのに離れた個人同士の中で組織開発を考えていくのは難易度は高まると感じます。
また、一足飛びにその視点になかなかならないとも思います。今は足元のリモートワークを機能させ、離れた個人を繋ぎ止める、そして、チーム内のつながりを持つ、このレベルを乗り越えるのに四苦八苦している現状だからです。このような足元のステップを経て組織開発フェーズにいくものと思います。
(気になった記載)
-大企業で組織がはっきりしている人ほど、タスクを欲しがる。個人事業主やアントレプレナーほど、人のつながりを大事にする。
(感想)
これは非常に興味深いです。特に若い起業家はよりつながり、コミュニティを大切にされているように感じます。
企業は、同じカルチャーの人の集まりなので、コミュニティがほぼできているような気もします。ですからタスクを欲しがるのも納得です。
一方、個人事業主やアントレプレナーは、まず、つながりが心の安定になるというのもあると思います。また、同じようなコミュニティの中で仕事を循環させるのが仕事もやりやすいし、上手くいくと考えています。ですので、自然とコミュニティやつながりを大切にするのかなと思います。
(参考になった箇所)
コロナの影響下では、「リモートで離れた個人」をつなげるようなODがより求められるようになるのかも。遠心力と求心力。離れている個人を信頼して、仕事を任せられるような、そして、離れている個人の不安感、孤独感を軽減できるようなマネジメントスタイルが必要になってくるのかも。
(感想)
コロナの環境下でのマネジメントでは、個々人の成果がより重視されるようになると思います。これは、個々人で勝手に成果を出せということでないと考えます。離れている個人の不安や孤独を軽減できるようなマネジメントを通じて、個々人に成果を求めていくわけです。このアプローチは容易いものでなく高度なマネジメントになると考えます。
遠隔マネジメントには、それなりの考え方や方法論があるわけで、その教育が今後ますます求められるようになると思います。
今回の組織開発は、私の直接の専門領域ではないためかなり歯応えがあり、学びが大きかったです。
いつもありがとうございます。
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講師ビジョン株式会社
代表取締役 島村 公俊
〒135-0063
東京都江東区有明3-7-26
有明フロンティアビルB棟9階
TEL.03-5530-8069
Mobile.090-6479-6300
Email.shimamura@koushi-vision.co.jp
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投稿者:関根雅泰

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