成人学習理論の新しい動向

お薦めの本

成人学習理論の新しい動向‐脳や身体による学習からグローバリゼーションまで
 S.B.メリアム編著

○学習が起こる様々な場への着目。
 学習=多次元的な現象(認知的活動だけではない)

(・要約
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●1章 意識変容の学習理論
・脳の構造が、学習プロセスを通じて変化する(Janik, 2007, p.12-27)
 http://cmap.edu.fi/servlet/SBReadResourceServlet?rid=1GJM2FK5Y-VV4439-3G2
 これらの知見は、学習の伝統的なモデル(行動主義、認知主義、構成主義に
疑問を投げかけている。
・(メジローから始まる)意識変容の学習理論は
今後も成人学習の研究における成長分野。
 成人教育の主要な教育哲学としてのアンドラゴジーにとって代わると思われる。
●2章 職場における学習:新たな動向と観点
・職場における学習のもっとも重要な問題は主に2つのカテゴリーに分けられる:
 1)学習を通じていかに人々は職場の諸問題を解決するかを明らかにする
 2)いかに特定集団の労働者達の学びを理解するか
・職場における学習を、個人および集団間の関係や力学(ダイナミクス)を
 意味するものと捉える
・1985年以前は、職場における学習はまず第一に「習得」として特徴づけられていた
 (Fenwick,2008)
 http://www.cvik.name/managing_knowledge/managing%20knowledge/understanding%20relations.pdf
・1990年代の初頭「学習組織」の概念は様々な形態で現れ始めたが、
 そのすべてが学習過程における活動的共同体とその反映としての
 個人との関係を検討しようとするものであった。
・文化的‐歴史的活動理論(CHAT)は全てのシステムがその中に
 内包している矛盾に着目。
 学習とはシステムの目標拡張であり、システムの実践の再構成と捉える。
・職場における学習について実践に基礎をおく方向性は、
政治と権力の関係についての問いを回避している。
●3章 スピリチュアリティと成人学習
・スピリチュアルな学習経験。「らせん型学習」
・コース内容の一部として、直接スピリチュアリティを含むことも
 ふさわしい時代になっているのかもしれない。
・私たち自身が成人学習者として、耳を傾け、感動の瞬間に立ち会うことで、
 学生たちを勇気づけられるかもしれない。
●4章 身体を通じた学習
・モウケン村の海洋民は2004年のタイ沖の津波において
 高い生存率が報告された。
 かれらが危険を察知し状況に応じて対応したため。
・身体の学習(somatic learning)とは、目的的な身体を中心とする運動による、
 身体的知覚や感性を直接経験する学習とされる(アレキサンダーテクニック、
 太極拳、ヨガなど)
●5章 脳を用いて心に働きかけること
・脳が学習するにつれて変化(Johnson, 2003)
 
・ズル(Zull, 2002)は、コルブの学習サイクルの段階を、経験、省察、抽象化、
テストと名付け「学習の4つの柱」として、それらを特定化している。
・講義を聴講することやテキストを読むことで、最も利益を得るであろう学習者は
 関連した以前の経験を引き出すことができる人。
・発達的観点からすれば、最も成功した学習環境は、多くの支援と高い課題を
 提供するものである(Daloz,1987)。
 足場かけ(Scaffolding)は、この2つを提供する効果的なストラテジーである。
●6章 成人期のナラティブ学習
・ナラティブ学習は、より大きな構成主義の学習理論の領域の下にあり、
 そこでは学習を「経験からの意味の構築」として理解する。学習=意味付与
・「経験は、成人にとって活き活きとした教科書である」(Lindeman, 1961)という
 主張は、成人教育のモットーを果たした。
・物語を「聴く」「語る」「分かる」
・最初は珍しく思ったことのナラティブを構築することにより、
 それは今やなじみのあるものになり、その文化の部外者にとっても、
 その世界での価値観や生き方がゆっくりと意味をなしていく
・「教えることは再び学ぶこと」相互教育という方略
・書くことにより、何事かへの理解を語ろうとし、一貫性を保とうとする。
・ナラティブ学習の実践「学習日誌」「自伝執筆」「事例研究」
●7章 学ぶことと知ることの非西洋的視点
・学習は「共有的」「生涯にわたり、インフォーマル」「ホリスティック」
・学習が毎日の経験の中に埋め込まれていると仮定しているので、
 日常的な活動への積極的参加や地域社会の儀式や儀礼は学習の道筋と見られる。
 学習は他者の観察や学んでいることの実践を通じて生じる。
●8章 現代の成人学習の課題
・学習とは経験の意味を理解する過程である。
 この考え方は、ポストモダンの考え方の影響を大きく受けている。
●9章 21世紀の成人学習理論
・20世紀においては、成人学習は認知的な過程として、精神が事実や情報を
 すべて知識へと変換し知識が次なる行動の変化として観察される過程として
 理解された。
・脳は初期の情報とのつながりを探そうとする。こうしたつながり=学習。
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投稿者:関根雅泰

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