2011年11月26日(土)明治大学で開催された
経営行動科学学会のシンポジウムを聴講してきました。
私の理解の範囲で、どのような内容だったのかをシェアします。
「新入社員の育成と課題」
2011年11月26日(土)13時~15時
(・講演 ○関根の独り言)
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●鈴木先生
・育成の難しさの背景
-企業環境の先行きの不透明さ
-OJTの重要性と仕事の忙しさ
-若い人が育成されることを待っている
・社会化研究と正統的周辺参加という理論が、
これらの難しさにどう貢献できるのか
・これら2つの理論においては、特定の人材像や必要なスキルが
明確であることが、ある程度前提になっている
・そのようなものが無い中でどのように育成していけばよいのか。
○これは確かにそうだよなー。
ある意味「正解」が無い中で「こうやればいい!」と自信をもって、
指導する側も言い切れないかも。
ただ、正解が無い中で、ほんとうに「適応」でいいのか。
その組織に適応してしまうと、現状打破、破壊や創造が生まれにくくなるかも。
(この辺が組織社会化研究で言う「役割の革新」や「組織個人化」
の問題意識につながってくるのかも)
変革はトップが主導するから、
ボトムは適応しそれを実践すればよいということなのかな。
適応しきって、組織で上にあがった人達が、
過去を否定して、本当に変革できるのか。
右肩下がりの業界で、新人に対して「適応」という概念で本当によいのか。
染まっていない新人、若手、あるいは外部から来た人だから
こそできることもあるのでは。
町おこしでも町を変えられるのは
「よそ者、若者、馬鹿もの」という言葉があるしなー。
・大丸松坂屋様での調査により、2種類のタイプの若手がいることが分かってきた。
-オープンな若手と内にこもる若手
・オープンな若手は「開く行動」(3つの外へ働きかける行動)を取っている
積極的に他者に働きかけ、分からないことは遠慮なく訊く新人
こういう新人は成長感が高い
・内にこもる若手は、自分のことだけやる
何に困っているか分からない 与えられた役割をこなす
・2者の違いは、性格と職場にあった
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●大丸松坂屋 忠津さん
・百貨店業界は右肩下がり
・毎年30名×3年間は、忠津さんの部下になる 3年間のスクール形式
・新人はImmature(未成熟)正面から他人にフィードバックすることを恐れる
私に叱られると泣く新人も多い
・能力は固定的と考える 違いはヤル気 能力×ヤル気=行動、成長
・今後は 能力×学習力×ヤル気 と考えていく
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●尾形先生
・若手がどのような適応状態にあるのか
・適応という概念 Adaptation to Organization
・High Performer 6名と Low Performer 6名へのインタビュー調査から
・「適応」「不適応」状態
・役割過負荷、役割の曖昧さが「不適応」状態につながる
・単調な仕事は適応につながる?
○適応することによるデメリットには何があるのか
不適応者だからこそ、変革者につながる可能性はないのか
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●松本先生
・新人の学ぶ力が必要では
・認知心理学における状況的認知アプローチでは、周囲を学習資源ととらえ
学習者と状況の協調的関係が学習を促進すると考える
・開く行動は、新人が周囲の学習資源を上手く活用しようとする行動
・周辺参加(例:コピーとり)をしながら、色々学ぶ
・学ぶことがはっきりしていない状況の時、
学習者と指導者双方で、相互構成的な成長カリキュラムを作る
一緒になって何を学べばよいか考えていく
・教える側の成長
・LPPを経営学に援用していく
・殻に閉じこもる若手をどう変えるか
-学習目標や理想像の相互構築
-若手を包括する職場環境の構築
-内省支援の重要性
-同期同士の実践共同体の形成
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●質疑応答
・オープンな若手→殻にこもる若手
殻にこもる若手→オープンな若手 に変わったケースは?
→事例はある
・上司のサポートはどうあるべきか?
→フィードバックをきちんとする
上司は仕事面での適応を支援 同僚は文化面での適応を支援
(尾形先生が書いた論文 今後発表される予定)
一番効くフィードバックは同僚からのもの(忠津さん)
○フィードバックはどちらかというポジティブよりネガティブな
フィードバックが中心なのかな
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どうもありがとうございました。
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