2010年度冬学期 「研究法I」3

授業

2010年10月20日(水)14時45分~16時15分
●3回目「研究の評価基準:内的妥当性と外的妥当性」
 (因果推論の厳密さと研究対象の代表性との二律背反について)

【事前課題】
 「Factors Relevant to the Validity of Experiments in Social Settings」
 「実験とデータ解析の進め方」
【講義内容】(・先生の講義/他者の発言 ○関根の独り言)
・今日の授業のポイントは、内的妥当性 Internal Validity と
             外的妥当性 External Validity
○こうやってその日の授業の学習ポイント(学ぶべき重要点)を
 明示してくれるのはありがたいな。それだけしっかり授業内容を
 事前に考えてきてくれているのだろう。
・(事前課題論文を読んできていない学生に対して)
 英語文献数十ページは読んで当然。読んでから議論に参加するのと、
 読まずに参加するのは大きく違う。読んでくるように。
 こちらも読むべき文献を選んでいる。
○これはそうだろうなー。
 中原先生の言葉を借りれば、教員も「用意」(準備)しているのだから、
 受ける我々学生も「卒意」で、その場をよくしようと努力すべき。
 自分も研修講師をやっていて思うけど、参加者によって講師も
 いい意味でのせられる。
 やる気があり、講師から貪欲に引き出そうとする参加者であると、
 こちらも燃える。通常よりも力が入り、予測しづらくなるけど、
 結果的に双方によい学びの場になるような気がする。
 僭越な言い方だけど、教員を輝かせ、授業という場を双方に
 とって深い学びの場にするのは学生の力なのかも。
 教員だけが努力しても足りない。
 少なくとも俺は、自分が参加する授業は、自分のために、
 よい場にしたい。多少空回りしても、前のめりになっても、
 事前課題はやるし、授業内では発言、質問をする。
・ここで言う妥当性は、測定/Measurementにおける妥当性ではない。
 内的妥当性は、因果推論(実験/データ内部)の確かさ
 外的妥当性は、一般化可能性 をさす
・この2つを知っていると、色々な調査、研究方法を比べるときの参考になる。
・これらは二律背反の関係。どちらかを取ると、どちらかがとれない。
・調査、研究方法には大きく二つある。「実験」と「標本調査」
 他には「参与観察(質的研究)」と「事例研究」がある。
・実験は、内的妥当性は高いが、外的妥当性が低い。
 標本調査は、外的妥当性は高いが、内的妥当性が低い。
 この2つは、仮説検証型。
・参与観察は、内的、外的ともに低いが、強みがある。
 面白いアイデアが生まれる、常識を打ち崩す可能性がある。
 観察やインタビューをすることで「あ、そうなんだ」と気付かされる。
 論文とする際には突っ込まれるタイプなので、ガードは必要。
○コントロール(統制)できればできるほど、内的妥当性が高い(実験)
 それができない環境が「世の中」であり、俺が研究対象と
 している職場での新人育成なのかも。
 であるなら、ビジネス的には「外的妥当性=一般化可能性」を
 重視した方がよいのかも。
 (アカデミックに認められるには、内的妥当性も視野に
  入れる必要はあるだろうが)
・有意抽出した理由をきちんと論文では説明する。
 実際、自分とコネのある企業等で調査を実施することになるので、
 無作為抽出は難しい。
 ランダムサンプリング(無作為抽出)でなくても、
 一般化可能性は主張できる。
・キーワードは、
 Randomization(無作為化)Radom Assignment(無作為割り当て)→内的妥当性
 
 Random Sampling(無作為抽出)→外的妥当性
・事前課題のD.Campbellの論文は、実験といっても全てが内的妥当性が
 高いわけではない。Design6が望ましいと言っている。
・全てを金科玉条のように考える必要はないが、これらの知識を基に
 自分の研究の位置づけ、デザインを考えること。
○俺は、外的妥当性の追求で、Design6かな。
・Design1   X O  は、実験に値しない 
・Design2 O X O   の場合、
  外で何か起こったらどうなるのという問題がある
  History、Maturation(被験者の発達)、Testing(実験そのものの影響)
  Instrument Decay(測定者の疲労)、Regression(偏り)
・従属変数に着目してサンプリングをしてはいけない。
  例)成績の高い群だけを調査対象とする
 X(独立変数)→ Y(従属変数) 
  Yがばらついているのは何故かを明らかにするのが研究。
・成功、失敗の両方を比較しないと、成功の理由はつかめない
○OJT指導員の研究においても、新人育成が上手くいったケースと、
 上手くいかなかったケースの両方を調査すべき。そうしないと、
 成功の理由は分からない。
・Design3は、Selectionが偏る問題
  X  O1
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     O2
・Design4と6の違いが分かりにくいはず。
  4の方が良く見える可能性あり。
・Design4  O1 X O2
       O3   O4   プレテストとポストテスト
 プレテストを行うことで、被験者が影響される可能性
・Desing6  A X O2
       A   O4
 実験では、6の方が良い。
 A は、Assignment Random Assignment を行うことで、
 X 以外は同質の集団であると主張。
・100名のうち、ランダムアサインメントをした50名だけに対して、
 研修を行うの良くない。
 
 ホーソン効果(選ばれたことによる意欲向上)が発生し、
 Xの効果とだけは言えなくなる。
 
 もしやるのなら、集団Aに対しては、通常の研修。
 集団Bに対しては、通常+αの研修。
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ありがとうございました!

投稿者:関根雅泰

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