「社会化の心理学ハンドブック~人間形成と社会と文化」

お薦めの本

「社会化の心理学ハンドブック~人間形成と社会と文化」
  斎藤 耕二 (著), 菊池 章夫 (著)

○心理学における「社会化」の概念がつかめる。
 「組織社会化」に関する記述は少ないかも。

・初版1990年
(・引用/要約 ○関根の独り言)
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●まえがき
・社会化の概念を心理学の研究の中に上手く位置づけることが本書の目的。
・社会化研究の動向をまとめることも狙い。
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●1章 社会化の問題
・子供がその社会の一人前のメンバーに育っていくプロセスを
 社会化(socialization)ととらえる。
・社会化とは、大人になる為の訓練(training)のプロセス。
・子供は受け身一方ではなく、大人と相互に影響を与えあっている相互作用の
 プロセスであって、社会化は社会的学習(social learning)と捉えられる。
・社会化の2つの定義
 1)社会がどのようにして個人をそのメンバーに作り上げていくか
 2)個人がどのようにしてその社会を支えるメンバーになっていくか
○俺が関心のある「新入社員への現場OJT」にあてはめて考えてみると
 1)職場メンバー、会社側の視点
 2)新入社員の視点
 ということかな。
・1)は、文化的伝達(cultural transmission) 文化人類学や社会学
 2)は、個人的学習(individual learning) 心理学
 社会化の概念は、学際的。
・社会心理学の立場からすれば、社会とは現実あるいは仮想の他者が存在する
 ということから始まる。この他者の存在によって我々が何らかの影響を受ける
 場合に、それを社会的影響(social influence)と呼ぶ。
 社会化の概念も、おそらくはこのことに出発点をもっているのであって、
 他者の存在とのかかわりで、我々一人ひとりの発達的変化を理解しようとした
 のが始まりである。
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●2章 発達課題と社会化
・「しつけ」という言葉は本来幅広い意味をもっていた。
・しつけは、未成熟な子供を一人前に作り上げていく社会化の一部。
○俺と奥さんが、家で子供たちにしようとしていること。
 やっぱり人様の前で恥ずかしくないようにしたいと考える。
・課題達成に必要な身体的成長が伴い、子供自身のレディネスもできて、 
 社会からの要請と一致し、ある発達課題を達成するのに最適な時が、発達の
 過程には存在しているとして、この時期をハヴィガーストは「発達課題の
 教育期(teachable moment)」と名付けた。
 この教育期という考えの背景には、発達における臨界期という概念が存在している。
○これが早期教育を促している考え方なのかな。
 何歳までに、英語をやらないと手遅れになるとか。
 うちはやってないけど。
・その後の研究が進むにつれて、特定の時期と経験や学習の間の結びつきが
 それほど強固なものではなく、後になってからの回復、復帰が完全に不可能な
 わけではないことが明らかになっている。
・発達を規定しているのが「遺伝なのか、環境なのか」「成熟なのか、経験なのか」
 という議論が古くから繰り返されている。
・発達課題の理論は、発達段階説を前提とし、2つのタイプに分類できる。
 
 1)発達段階において学習すべき内容を示す理論 ハヴィガースト
 2)発達段階において形成、獲得すべき心理的特質に関する理論 エリクソン
・ハヴィガーストは、身体的成熟、社会の文化的圧力、個人の価値と願望の3つが、
 発達課題の源泉となる要因であるとした。
・社会化の概念は、しばしば個性化(individualization)と対比されることが多い。
○これはあるだろうなー。組織の色に染まりすぎると、
 とがった個性が出づらくなる。
・エリクソンの「心理-社会的発達(psychosocial development)」理論
 それまでの「心理-性的発達(psyco-sexual development)」の段階にかえて、
 自我の特質の変化に注目して、生涯を8段階に区分している。
 
 成長するものはすべて「予定表」をもっている。
・エリクソンの理論の中核となっているのは、各発達段階での発達によって獲得
 される自我の性質であり、課題と呼ばれているのは、それぞれの発達段階で出会う
 避けることのできない葛藤の解決や危機の克服のことである。
・社会変化が急速化している現代において、次の社会の担い手となり、これまでと
 異なった環境のもとで生活することが予想される子供や青年に、現在の社会的
 要請に基づいた課題の達成を求めるのが妥当なのかという疑問が生じてくる。
○これはあるよなー。
 答えをもっていない。こうすればいいというのが分からない中、
 自分たちの枠にはめてっていいのか。 
 はめたがために、自分たち以上の発想や行動が出てこない可能性もある。
 かといって、自由奔放に任せていたら、周囲に受け入れてもらいにくい。
 
 だからこそ、どこでも通用しそうな「社会人基礎力」のような考え方も
 生まれてくるんだろうな。
 本田先生は、そうではなく専門性が身を守る鎧となると言っているが。
 どちらもそうだよなーと思える。
 大人が自信をもって社会化できない状況は、子供たちにとっても
 きついのでは。
 でも自由と可能性も広がる、若者にチャンスがあるともいえるか。
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●3章 言語的社会化
・言語習得への社会化と言語を通しての社会化の側面にわけて考える。
・ピアジェとヴィゴッキーの論争
・ピアジェが社会化というときは、協調が可能になる脱中心化が可能になった
 状態をさしている。
・ブルーナーは、母親との相互遊びの役割を強調する。
・言語の習得過程は、受動的な模倣ではなく、子供の能動的構造化によるものである。
・日本の母親は、子供の反応を引き出し理解を積み上げて行くというより、
 自ら課題の目標行動、正解を教え込もうとするような、とにかく正反応させて
 しまおうとする傾向が顕著。
・子供の知的発達にプラスに関係する母親の教授スタイルは、間接誘導式。
・アメリカの母親の言語活動は説明的、客観的であり、
 日本の母親は情緒的、文脈的。
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●4章 認知的社会化
・認知的社会化の研究の出発点の一つは、ピアジェの自己中心性という概念にある。
・ミードの役割取得という概念。
・ピアジェは、年少児は自己中心性を持つとし、そのため空間的にも他者の視点を
 理解できないし、対人的にも人の考えや気持ちを理解できないと考えた。
○こう言われると得心がいく。
 次女(もうすぐ4歳)が手ごわい。自分のわがままを通そうとする。我慢がない。
 それは彼女の自己中心性からくると思えば、納得できるかな。
 (でも、目の前でおお泣きされて駄々をこねられると、嫌になる。)
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●5章 性的社会化
・子供は親をはじめとする文化の担い手によって、社会が期待する行動の型を
 身につけていく。性役割(sex role)もその一つ。
・乳幼児期に見られる性差は、親と子の相互作用を媒介にして成立する。
・養育態度を比較すると子供に対する性の型付けへの関心は母親より父親の方が高い
・親をはじめとする周囲からの期待や圧力が、子供に性に適切とされる役割を選択
 させ、不適切とされる役割を回避させるのだが、それは同時に子供のもつ行動の
 幅を狭めて行くということでもあるだろう。
○長女もなんとなく女の子向けおもちゃとか洋服とかが好きだった。
 特に「女の子らしく」育てたつもりはないけど、やっぱり女の子らしくなっていく。
 親の影響もあるだろうけど、友達の影響も強いのでは。
 保育園のときはそんなに男女の違いを感じていなかったようだけど、
 小学校に入ってから、急に「女の子」であることを意識しているようだ。
 もうすぐお風呂も一緒に入ってくれなくなるかも。
 今8カ月の長男もなんとなく男の子っぽくなっていくのかな。
 
・思春期(中2ぐらい)の男子では、自分が男であることを積極的に呈示していく
 のに対し、女子では逆に自分が女であることを消極的にしか受容できない。
・大部分の社会が、女性より男性中心に形成されており、男性役割にはよい高い
 威信と価値が与えられている。
○女性にとっては生きづらい社会なのかな。
 年配の女性たち(50代以上)を見ているとそうでもなさそうだけど。
 男の方が窮屈そう。
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●6章 社会的スキルの習得
・社会的スキルの欠如(デートの可能性の有無の判断、会話の運び方等)が、
 異性関係に困難さを感じさせる大きな原因となっている。
・青年期は様々な社会的スキルの中から有効なものを学びとっていく「ためし」
 の時期といえよう。
・社会的スキルのトレーニング技法として、もっともよく用いられるのは、
 役割演技法である。
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●7章 道徳的社会化
・道徳とは、社会規範であり、客観的に存在するもの。
・道徳的社会化の概念が、道徳を外から教え込むものではなく、自主的、能動的に
 身につけていく発達過程であると主張されるようになったことから心理学的研究が
 なされ始めた。
・コールバーグの理論が、罰、規則等の問題に関する道徳的判断を中心として
 構築されたものであり、禁止に方向づけられた側面しか扱っていないと批判し、
 アイゼンバーグは思いやりとか愛他性といったポジティブな道徳的判断の研究が
 必要であると主張した。
・道徳性の核は、自己および他者への尊敬である。
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●8章 政治的社会化
・社会化の担い手とのダイナミックな相互作用を通して、個人が自らの政治志向を
 形成していく過程である。
・政治的社会化の基本的な考え方として、初頭、構造化原則(早期の学習が後の態度、
 行動を形作る性質)の代りに、個人の政治志向は生涯を通じて融通性があるとする
 「生涯開放モデル」のもとでの研究が増えている。
・政治的社会化研究の反省点の一つが、個人の主体性と能動性の存在をあまり
 顧みなかったことにあるとすれば、個人内部の認知的な要因を重視する傾向は
 従来の研究において欠けていた点を補うのにもっとも適した理論的背景を提供した
 といえよう。
○先行研究の欠点を把握し、その部分をカバーする概念を提示する。
 そうできたらいいなー。
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●9章 職業的社会化
・社会化とは、一般的に集団の成員がその集団の価値を内面化していく過程を
 指している。
・職業的社会化(occupational socialization)とは「職業に従事する上で必要
 とされる知識や技術を取得し、それぞれの地位に伴う役割を遂行するために
 制度化された行動様式や価値を内面化する過程である」(高橋1980)
・「職業への社会化(就職に至るまで)」と「職業による社会化(就職してから)」
 にわける(橋本1979)
○俺の興味は後者だな。
・社会化の過程は、時に組織の一員となるための通過儀礼を伴った激しい移行期を
 もつことになる。
・職業をめぐる社会的規範は、社会変化に伴って変化してきている。
○産業社会、情報社会、次の社会での社会的規範は何か?
・父親の職業への継承志向性は高い。
○うちの子たちはどうなのかな。
 
 自営業で研修講師という仕事をIC的に行っている父の姿を見て。
 長女が2歳のときに会社をやめているから、
 スーツで毎日通勤していたサラリーマン時代の姿は見ていない。
 今もジャージのひげ面でパソコンに向かっている。
・日本の場合は、専門的な教育を受けているはずの大学生に対しても、企業は
 職業的な能力や知識を身につけていることをあまり期待していない。
・父母の学歴の高い子は、小さい時から自分の将来の進路を決め、その実現に
 向けて親子ともども努力している。
・「学校から仕事の世界への移行」に際して、自分が上手くやれるかという問い
 には、自分が属することになる集団や職場での社会関係に注目せずには
 答えが得られない。
・組織的社会化(organizational socialization)とは「学生から組織人へと
 いうような移行過程を通じて、諸個人が職務遂行におけるある一定の
 モチベーションと行動のパターンを学習する過程である」(若林1981)
・シェインは、この新しい動機づけと行動パターンが学習されるプロセスを
 「氷解」「変容」「再氷結」とに分けている。
・これからは、一つの組織を選んでその組織内キャリアを形成していく人は、
 むしろ減っていくと考えられる。
○そうは言っても大多数は1社にしがみつこうとするのでは。
 安定を自ら脱するのは難しい。
 
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●10章 ライフスタイルと社会化
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●11章 乳児の社会関係
・乳児期の社会化のエージェントとして唯一母親にのみ焦点があてられ
 研究されてきた。
・現実に乳児をとりまく人々すべてを考慮に入れた社会化の理論がようやく
 台頭してきた。
 
 社会的ネットワークのモデルはその一つである。
○俺が新人へのOJTで見たいのはこの観点かも。
 「上司と部下」の2者間関係だけでなく、周囲の人々の関わり方も見たい。
・新生児は無秩序かつ無力で受身的な存在ではなく、秩序をもち刺激に対し
 積極的に反応し、有能な存在であることが分かってきた。
・生後9カ月を過ぎる頃になると「乳児-対象-人」という三項関係に基づいた
 行動が成立してくる。
○今、長男は8カ月。
 母親はおっぱいをくれる人。父親は抱っこしてくれる人。
 お姉ちゃん達は、笑わそうとしてくれる人。と何となく区別しているように思う。
 上機嫌でいても俺の姿が視界に入ると「抱っこしてよー」という感じで泣きだす。
 抱っこすると泣きやむ。
・夫婦関係が、乳児-親関係に及ぼす間接的影響
 夫から妻への感情的支持の程度が、妊娠、出産、産後を含めた妻の母性的役割
 に対する適応の容易さに関係していることが実証されている。
・きょうだい間で最も多いタイプは、年上の子が攻撃的ないし敵意的行動を向ける
 のに対し、年下の子のほうは親密にふるまうタイプ。
○これはうちの長女-次女間にもあてはまる。
・乳児期の社会関係を、個々の関係に別個に取り扱うのではなく、家族組織や
 集団保育場面での人間関係等の社会的ネットワークの枠組みの中で研究することが
 現在求められている。
○これは俺がやりたい新人へのOJTにも当てはまるかも。
 上司-新人、先輩(OJT担当)-新人、という個別の関係ではなく、
 職場全体、他部署との関わりといったネットワークの観点で見て行きたい。
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●12章 幼児の社会性
・4歳になったばかり。
 母親が退室し、子供たちだけになると相互交渉がはじまるのである。
○次女が、まさに今日(1月6日)4歳の誕生日。
 保育園の様子を見ていても、親が出た後、教室の中で、友達や先生との
 やりとりが発生している。親がいると見せない顔。
・4歳児にとっては母子分離ができるということは重要な社会性。
・友だちというのが、自分に満足をもたらす存在という自己中心的なものから、
 次第に互いに理解し合い相互に満足し合える存在というように認知が変化していく
○長女(6歳)は、この友だち作りの最初の段階にいるのかも。
・初めから良質な母子関係を経験でき、しかも仲間関係を経験する機会も数多く
 もっている幼児が、自らの対人関係能力を高めていく上で極めて有利な状況にある。
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●13章 児童期の問題
・情緒の発達に関して、幼児期の爆発的で一過性の情緒表出が、児童期になると
 コントロールされたより穏やかな表現へと変化する。
○これは、今感情が爆発的な次女と落ち着いてきた長女をみて納得。
・幼児期までは親が子供の社会化の主要なエージェントであるが、児童期になると
 学校の教師と仲間が重要な役割を果たす。
○小1になってから、長女は「学校の先生に言われたこと」や「友だちとのやりとり」
 を重視するようになったと思う。徐々にやっぱり親から離れて行くものか。
・小学生の男子の付き合い方は幅が広く、女子は数少ない特定の友人との親密な
 付き合い方をするのが特徴。
○これはあるんだろうなー。長女は小1の2学期から親しい女友達ができた。
 その子の名前ばかりが良く出てくる。
・女子の交友関係は排他的、独占的である。
○こういうことで娘たちは悩むんだろうなー。
・子供は遊びの中で自己主張をしたり、喧嘩をしたり、協力したりしながら
 社会性を身につけていく。
○これはあるよなー。姉妹で遊んでいる様子を見てもそう思うし、近所の子たちと
 遊んでいる姿を見ても感じる。
・遊び友達や遊び時間が多い子供の方が社会性が高い。
○これはどんな遊びかにもよるのかも。
 やっぱりDSに向き合っているばかりだとなー。
・自己主張の強い時期から、相手の事情も理解してある程度譲ることができる
 時期への変化は、小学校中学年の頃起こると言われている。
・小学校の高学年になると、学校の成績が良いことが自信と結び付く。
・小学校の高学年では、低学年で存在していた漠然とした自己受容的な態度が
 変化して、自己否定的な構えが強くなってくる。
○これはあるんだろうなー。でもなんでだろう。
 少しずつ自信をなくしていくのかな。
・児童期は、身体的、知的情緒的発達に伴って経験や行動の幅が広くなり、幼児期に
 比べると人格的にも奥行きが出てくる。
○これは楽しみだよねー。どんな人になっていくのか。
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●14章 青年期の課題
・発達課題とは、ハヴィガーストが初めて使った概念で、人間が各発達段階で
 果たすべき課題のことである。
・エリクソンは、ライフサイクルの観点に立って、自我発達の理論を提唱した。
 彼は自我の発達にともなって人生の各時期に直面する心理的危機を
 「エピジェネティックチャート」として表現している。
・青年期に関わる心理学的研究は、ごく少数しかない。
○企業に入った従業員の心理学的研究も少ないのかも。誰かが書いていたような。
・ユングは人生の前半の課題は、ペルソナの獲得であると述べている。これを
 成し遂げることができれば、青年は自分が他者や社会にとって十分に信頼される
 にたる有用な価値ある人間であることを感じ取ることができるのだと。
・ペルソナの獲得が人生の全てであると考えると、他者を基準として自分の
 存在価値を測ることになる。
・青年期における社会化のまとめとして問われるのは、社会の中で生きて行く
 自分自身の人生の課題を発見することである。
・「社会化そのものがもつ青年期の意味」についての研究がおこなわれることも
 望まれる。こうした研究は、個人的な内的体験を扱うことになる。そのためには
 量的だけでなく、質的研究が必要になる。
○この辺りは自分の研究のヒントにもなるかも。
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●15章 成人期社会化の問題
・成人期の発達を中心にライフサイクル論を展開したレヴィンソンらの研究は
 影響力が大きい。
 生活構造という観点から見ると段階性が存在し、しかも各段階が一定の順序で
 規則的に展開していくことが見出せると主張した。
・人生半ばの危機 midlife crisis
・ジェイキーズは、35歳前後に心理的危機が訪れると主張。
 その危機の契機となるのは、死は不可避のものであり、自分は既に人生の
 折り返し地点に達してしまった自覚であるとした。
○俺も33歳の時にきたなー。父が59歳で亡くなった時。
 自分が60歳で死ぬとしたら、という考えが初めて生まれた。
 それが独立のきっかけともなった。
・社会化は成人期前はもちろんのこと、成人期、老年期も含め、生涯にわたって
 継続するものとなっている。
・青年期に確立したアイデンティティーへの固執は不適応の原因ともなりかねない。
 アイデンティティーの形成、再形成は、生涯にわたる課題となっていると言える。
・成人期の社会化において問題になるのは、成人は既に相応の社会化を経験しており
 比較的安定した価値志向や行動パターンを形成しているという点である。
 したがって、新たに習得が求められる価値志向等と既有のそれらとの間に
 相克が生じる可能性がある。
○今まさに大学院に入る俺がこの状況かも。Unlearnが求められている。
 ビジネスパーソンとして、研修講師として10年、今度は研究者の一員に
 なることを目指す。
・ヴェイラントは、職業上のキャリアで成功することができなかった人物の特徴の
 一つとして、2~30代に適切なメントルを確保できなかったという点を指摘。
・個人のキャリア発達においてメントル的存在の果たす役割は極めて大きい。
・人材選択、配置システム、教育研修、評価システムの整備のみでなく、管理職の
 立場にある者や年長者が日常の対面的な人間関係の中で若い成人のキャリア発達を
 促すようなシステムを作ることが企業等の組織体に求められているのかもしれない。
○俺には、こちらが勝手に思っているだけだが、メンターはいる。
 俺が誰かのメンターになれるか。なりたい想いはある。
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●16章 老年期の社会化
・65歳以上を老年期と考える。
・全ての個人に知能の低下が生じるのは、80歳を過ぎてから。
・動作性知能に比べて、言語性知能は、老年期に至っても上昇する可能性すら
 あるという。
 言語性の課題によって測定される結晶性知能は、その名の通り経験の結晶であり
 条件が最適であれば、生涯にわたって発達の可能性がある。
・老年期の人格の特徴として
 1)円熟型 調和的で円熟した人格に向かう
 2)老化型 頑固、保守的、我がまま、嫉妬、短気、依存的、
○円熟型に向かいたいねー。
・健康、経済、生活状態の他に、各発達段階において、いかにその発達課題を
 克服してきたかが、老年期の人格を規定する重要な要因である。
・代表的な老化の理論として
 1)活動理論 2)離脱理論 がある。
 どちらも社会の要求と個人の要求が一致することが幸福な老いにつながるとする。
・老年期の研究では、衰退の事実ばかりが集められてきたが、老年期は子供のような
 年齢にかえっていく段階から、すばらしい創造力を発揮する段階までのあらゆる
 可能性を含んでいるとも考えられる。
・遺伝的継承があっても社会がなければ行動は発現しない。人間は社会的な存在
 であり、人間行動を全て社会行動とみなすことも可能。
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●17章 家族心理学の課題
・家族をめぐる諸学の関心は2つにわかれる。
 構造を明らかにすることと、問題を解決すること。
・地域共同体を培養基とする伝統的な家族に比べて、核家族はユートピアであると
 されていた。
・家族問題で警戒を要するのは「犯人探し」である。「母源病」がそのいい例。
・家族心理学の重要課題の一つは、社会教育のレベルで正しい家族観を広める
 ことにある。具体的には、父親教育に力を入れることになるだろう。
・家族を「相互作用する諸部分の複合体」つまり「システム」と捉える考え方が
 家族療法を飛躍的に進歩させた。
 一般システム理論 1950年代ドイツの理論生物学者フォン・ベルタランフィ
・色々な連合(サブシステム)があっても、基盤に夫妻連合が根をおろして揺るがず
 しかも他の連合に対して柔軟に応ずる姿勢があれば万全である。
○うちは、どうかなー。
・サブシステムが病むのは一つのメッセージ。その時全体システムは緊張せざるを
 得ない。ことに中核的な存在である夫妻連合は結束を強めないわけにはいかなくなる
○確かに長男が7カ月で入院した時、夫婦間の絆は強くなったかも。
 1人だったら耐えきれなかった。二人いて良かったと思えた。
・システムはどこを押しても変化を生じ波及していくものであるから、どこに
 働きかけてもよい。小さな変化が次第に全体に大きな変化を引き起こしていく。
○これは、新人が職場に加わることが、職場全体の変化を促すことの説明に
 もしかしたらつながるかも。
 システム理論、ネットワーク論は、俺が学ぶべき領域かも。
・原因のつきとめよりも、結果をイメージし、どのような結果をもたらしたいのか
 を考える。
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●18章 友人関係の機能
・他者の感情を読み取る能力は、他者の立場にたって物事を見る能力の発達と
 密接に結びついている。
・幼児期における仲間との接触が、自分とは異なる他者の存在を気づかせる機会を
 提供し、この機会が役割取得能力の発達を促す。
・児童期の友人関係は、次の3つに沿って発達するものと考えられる。
 
 第一段階 小学校低学年 自己中心性が強く、友人からの援助を一方的に求める
      喧嘩になることが多い 席が隣あっているなど偶然的要因 長続きしない
 
 第二段階 中学年 協力して活動 親密な友人関係 男女の差が明確になる
 第三段階 高学年 人格を重視 尊敬できる、共感できる相手を友人に
      喧嘩すると仲直りが難しい 関係は長続き 友人とは親密 他者を排除
○これはうなづけるなー。なんとなくそんな流れになりそう。
・学級内で人気のある子は、心理的に安定している。
・青年期においても母親との情緒的つながりは弱まらないが、父親の影響力は
 進路の決定などの限られた問題だけに現れており、影響は間接的。
○ちょっとさびしい。自営業で家にいることが多くてもそうなのかな。
・他人と付き合うためには、家族とは異なる付き合い方の技術(社会的スキル)が
 必要となる。身内でない相手への伝え方など。
・友人は、同質的な家族や対等の立場にない教師と異なり、青年にとって新しい
 世界を示す手本、発達的なモデルになりやすい。
○だから、友人の影響力は大きい。特に親元を離れた直後など。
・小学校高学年には、ギャング現象の衰退という時代的変化が起こっている。
○これはケータイが普及した今はもっと変わってきているのかも。
・最近の青少年の友人関係が、相手と一線を画す個人主義型に変化し、友人関係に
 深入りしない傾向があるという。
・最近のいじめでは親友がいじめ相手に急変してしまう。
○これは怖いなー。友人というサブシステムよりも、クラス全体をシステムと
 とらえた方がいいのかもしれない。
・他の学問領域の知見にも目を配るべき。アメリカの心理学の成果だけでなく、
 世論調査や教育社会学にも知見は多い。
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●19章 学校での社会化
・学校は、将来子供が所属すると予想される集団または社会の規範や行動様式を
 前もって学習する「予期的社会化(anticipatory socialization)」の場と言える。
・学級は何かを作りだすというよりも「成長する」「修行する」といった集団の
 成員自身の変化を生み出すために組織されたもので、心理療法や修行のための 
 集団と似ている点がある。
・制度的には、教師の大きな影響の下に、学級の中で子供たちの社会化が進んでいく。
・教師という制度的な裏付けだけでは、社会化の担い手としては不十分であり、
 教師が1人1人の児童に対して「人間的配慮」をしなければ、社会化の機能を
 効果的に果たすことはできない。
・三隅らによる教師のリーダーシップ研究(1977)PM機能
・知的業績が重視されている現在、学校での成績が悪いと、教師や友人から軽く
 扱われ、親や教師から叱られる機会が多くなりがちである。このため好ましい
 自己像を持てず卑屈になり、将来の展望や希望を持たず、投げやりの生活を
 送りがちとなる子供も出てくる。
・「学校こそ少なからぬ子供の心を深く傷つけ、自信とプライドを奪い、無力感と
 非効力感の泥沼に沈みこむ社会的装置にほかならない」(梶田1985)
○恐ろしいなー。確かにそういう面もあるのかも。
・学校は子供を選別し、社会の役割構造の中に彼らを配分する機能も果たしている。
・学校は学習の全ての機会を提供することはできない。生涯学習。
・学校の機能は子供たちが生涯、学習していけるように子供たちを助けることである。
 単なる知識ではなく「学び方を学ぶ」「自分で学ぶ」態度や方法を教えることにある。
 学習することを尊重し、学習の仕方を学習しなければならない。
○これって大事だよなー。企業の中での仕事の学び方もそうだし。
 うちの子供たちにも「学ぶ楽しさ」とか「学び方」とかを知ってほしい。
 そのためには、親自身が楽しんでいる姿を示すのが一つかも。
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●20章 社会化と地域社会
・地域社会は、個人と全体社会をつなぐ中間集団としての位置を担う。
・主婦がユタ(巫女)になるまでの過程を社会化という枠組みに位置づけてみる。
・「社会化される存在」から「社会化する存在」への移行は、文化の新たな担い手
 になることに他ならない。
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●21章 非行への社会化
・非行が犯罪と大きく異なるのは、法的に逸脱した行為を心身の発達と関連づけて
 保護的に考えようとするところにある。
・非行は社会化と密接に関係している。
○「ハマータウンの野郎ども」? あとで読んでみよう。
・非行をより効率的に行うためには、より良く社会化されている点が前提になって
 いる点に、非行と社会化の関わりの複雑さがある。
・非行深度を、アマチュア的段階とプロ的段階とに大別(阿部1968)
・家庭の機能
 1)社会のルールを身につけるべき場所
 2)愛情を基盤とした親子の情緒的な結びつきの場
・非行をはじめとする逸脱行動が思春期に集中して生起するのは、心身の発達
 が急速に起こるこの時期が、エリクソンのいう人生の危機の時期だからである。
・集団になると非行が誘発されやすいのは、所属感情が強まるにつれて、
 集団への同一化が生じ、その集団に所属し続けようとする限り、他の少年と
 行動を共にすることが要請されるから。
・不良仲間が非行の手本を見せたり、皆と同じようにシンナーを吸ったり、学校を
 さぼることで集団への帰属意識が高められる。
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●22章 拡大する情報環境と社会化
・バンデューラは、子供が社会的行動を発達させるのは、その多くが観察を通して
 学習するからであるとし、他人が暴力をふるっている様子を観察することによって
 攻撃的行動が学習され、暴力行為が促進されることを実験的に示した。
・子供の発達、社会化にとって、長時間のテレビ視聴は、生活構造での変化を
 与えるばかりでなく、テレビが行動のモデルを提供していること、現実の認知、
 人間観、社会観といった心理的、精神的な面にも大きな影響がある。
・テレビというメディアは、環境を把握する能力を飛躍的に拡大させた。
・マスメディアの流す情報は、強力で直接的な影響を与えるものではないことを
 ラザースフェルドらは示した。「コミュニケーションの2段階の流れ」
 「情報の流れ」と「影響の流れ」を区別する。影響の流れはパーソナル
 コミュニケーションを通して流れる。
 この「影響の流れ」は社会化ということである。
・テレビの受動性に対するコンピューターの能動性。
 コンピューターの持つ能動性が、子供の遊びの世界にも変化を与えつつある。
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●23章 社会変動と社会化
・社会化、教育、しつけという概念の関係
・子供は全体社会のエージェントによって、他律的に社会化される。
 社会化される者の個人的要因よりも、社会規範やエージェントなどの
 環境要因のウェイトが大きい。
・親の態度と子供の認知のズレは、子供の年齢が高くなるにつれて縮まっていき
 ズレの最も大きいのは父と息子の間で、最小なのは母と娘の間であった。
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●24章 社会化の民俗学
・社会化は、個人と社会をつなぐキー概念であり、同時に心理学と社会学、
 人類学など他の行動科学とを結ぶキー概念ともなっている。
・民俗学におけるライフサイクルでは、死後の死霊、祖霊の時期までも収める。
・間引き堕胎の多かった時代でも、帯祝い(5カ月)を済ませた新生児は、
 育て上げることを原則としていた。共同飲食の機会は、村社会の一員として
 生存権を公認することでもあった。
・双生児を嫌うことが多い一方で、西南日本から台湾では、これを喜ぶ土地も
 少なくない。
・障害児も間引きの対象となる一方で、これを「福子」として大切にし、家も
 繁栄するという伝承も広く全国に分布している。
・しつけは、生業技能を体得し社会人として立つ態度を自得させて、一人前に
 仕上げる過程を意味した。生活者として何か理想に近い一定の型に形成していくこと
・しつけの手法は、直接叱責するよりも、人に笑われぬよう、人前で恥ずかしくない
 ようにと自覚を促すことが多く、ことわざ、なぞ、昔話などの口承文芸が多用された
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●25章 異文化体験の問題
・異文化との接触が日常的な体験になりつつある時代、社会化を一つの社会内だけ
 の現象としてとらえることが難しくなる。
○この辺は、Sさんの研究とも関連が出てくるのかも。
 日本企業に新卒で採用された留学生の職場適応。
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●26章 生涯教育の課題
・発達 developとは「包み込まれていたものを解き放つ」という意味がある。
 顕在化されていなかったものを表に明らかにする。
・大学の「リカレント教育機能」社会への解放が求められる。
・社会化とは「個人がその社会のメンバーとなるための知識、技能、傾性などを
 習得していく過程」と定義(ブリム&ウィーラー1966)
・社会化とは「個人が他の人々との間の相互影響を通じて、社会化に重要な行動や
 経験についてその個人特有の型を発達させていく過程全体を示す」(ジグラー&
 チャイルド?1969)といった定義は、個人の側に着目したもの。
・社会化とは、社会と個人の2つの水準でなされる過程であり、換言すれば
 「文化的伝達」と「個人的学習」ということになる。
○社会化しようとする職場側(OJT担当者)の視点と
 社会化される側、そして職場に逆に影響も与える側である新人の視点
 この二つの視点を研究の中に盛り込みたいな。
 「社会化」以外に、俺の研究のキーワードとなる概念には何があるのか。
 今後の俺の課題。
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投稿者:関根雅泰

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