「創造の方法学」

お薦めの本

「創造の方法学」
  高根正昭

○研究の組立方。私のような初心者がまず読むべき本。
 早く研究を始めたくなる。

(・引用/要約 ○関根の独り言)
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●方法論への道~知的創造とは何か
・組織的な読書を学生に要求するということは、教授にとっても、
 大きな努力を要求することになる。
・その分野における古典と、最新の文献とを含んだ選り抜きの
 文献目録でなければならない。
○今回、中原先生から「Yonda?リスト」をもらっているのは、幸せなことだよな。
・明治以来の日本の学問は、西洋における学問の成果の輸入を、
 主要な仕事としてきた。
・アメリカの学界では、何か新しい知識を既存の知識体系に、
 付け加えなければならない。
・組織的な読書とは、知的生産の基本的な準備に他ならない。
○今、リストの文献を読んでいるのは、まさにこの準備だな。
 近道はない。これが王道。千里の道も一歩から。
 まずは、巨人を知る。
・アメリカでは、模倣ではない独自の意見をもつことが求められる。
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●問題をどうたてるか~原因を考え問題を整理する
・社会学では、どの現象が「原因」で、どれが「結果」であるか、
 実験のように明確に規定できない場合が多い。
・説明(explanation)の方が、記述(description)より、一段と高度な研究。
・「記述」に対して「説明」は、「なぜ」」という疑問を発して、「結果」として
 扱われる現象と、その「原因」となる現象とを、論理的に関係させようとする。
○新入社員の成長(何をもって成長をはかるか)という「結果」と、
 その「原因」としての「ネットワークの密度」
 他にも原因はあるかもしれないが、この関係について、
 まずは見ていきたい。
・研究の課題を「結果」としてとらえるところから出発して、
 その現象を生み出す「原因」にさかのぼり「原因」と
 「結果」との論理的な関係を設定するところに「仮説」 が成立する。
・仮説の複合体を「モデル」という。
 研究上のモデルは、現実の社会関係の特徴を示した模型
・まずは問題を設定する。次にその現象を引き起こす「原因」をかんがえる。
 問題に対する「原因」が明らかになったら「原因」と「結果」との間に、
 論理的な関係を設定する。
○俺の場合は、
 問題:新人が育つ職場と育たない職場の違い
 原因:職場メンバーのネットワーク密度
 関係:ネットワーク密度が薄いと、新人が育たない
 となるのかな。まだまだ考える必要があるで。
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●理論と経験とをつなぐ~具体的証拠を集める
・人間が「頭の中にある映像」を手掛かりに「現実世界」を理解する過程は、
 概念を手掛かりに経験的世界を理解しようとする人間の認識過程と同じ。
・概念がなければ、事実もない。人間の認識の過程は、まことに
 主体的かつ積極的な過程。
○頭の中にある者でしか、現実世界を捉えきれないということ?
 概念を増やすことで、見えるものが増える?
・概念を具体化したのが「指標」
・デュルケムの「自殺」は、社会学の歴史を考える上で重要。
・仮説が経験的データの裏付けを獲得したとき、その背後にあった理論への
 信頼性が高まる
・普遍性の高い理論は、一見相互に何の関係もないように見える
 経験的事実を同一の原理で説明することができる。
・できるだけ多くの経験的事実を説明できるような理論を、
 構築しようとするのである。
○そういう理論を作ることが、研究者の夢なんだろうなー。
・息の長い経験と抽象との往復を繰り返すことによって、
 人間は骨の太い、広い視野を獲得することができるのでは。
○俺は、37歳から抽象的理論の世界に入ったのかも。
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●科学的説明とは何か~イメージから論理へ
・「結果」は「従属変数 dependent variable」
 「原因」は「独立変数 independent variable」
・「因果法則 causal law」に関する二つの原則
 1)原因と結果の間に、時間的な順序がある
  「独立変数」における変化がまず生じて次に「従属変数」における変化が起こる
 2)二つの変数が共変(covariance)の関係にある
・因果関係の存在を確かめるために、もう一つ条件がある。
 それは、他のすべての変数に重大な変化がないという条件。
・実験者は、従属変数に影響を与える可能性をもつ他の変数の値が変化しないよう
 人工的にこれらの変数を統制(control)してやらなければならない。
 あるいは、他の条件が変化しないという仮定(assumption)して
 おかなければならない。
・人工的に変化しよう統制された変数、あるいは変化しないと仮定された変数を
 パラメター parameterと呼ぶ
・実験法が、ふつう使用するのは「実験群 experimental group」と
 「統制群 control group」という二つのできる限り等質な集団を作ること。
・もし二つの集団が「等質」であるならば、両集団における差は、
 独立変数の有無によると結論できる。
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●数量的研究の方法~コンピュータを使う
・理論は、単純でなければならない
・単変量解析 と 多変量解析
・数学的操作の方法を使用して独立変数以外の第三の変数群を統制しようとする。
○この辺はよくわからない
 でも、p110の図で、何となくわかるかな。
・二変量解析の相関関係が消滅したということは、この二つの変数の関係が
 実は偽の関係(spurious relation)であったことを示している。
 マッカーシーの赤狩りのケースで言えば、教育水準という
 もっと重要な変数が、偽の関係(政治的寛容度とマッカーシーへの態度)の
 背後にあった。
・パス解析は、多数の独立変数群が、最終的な従属変数に影響を与える、
 その因果関係の道筋を明らかにする方法である。
・パス係数では、二つの変数が完全な相関関係にあるときはプラス1、
 全く関係ないときはゼロという数値になるように作られている。
・実験的方法は、実験群と統制群を人為的に作って
 第三の変数を統制しようとする。
 数量的方法は、概念的あるいは数学的操作によって、
 第三の変数群を統制して、因果関係の推測を行おうとする。
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●全体像をどうつかむか~質的方法を求めて
・数量的方法と質的方法の対立
 
 質的研究者は、社会を丸ごと全体的につかもうとする。
 量的研究は、断片的解決法と見えた。
・カルヴァン主義に代表されるプロテスタント主義の倫理の発達が、
 合理的に利潤を追求しようとする近代資本主義発達の
 ひとつの重要な要因になったと、M.ヴェーバーは考えた。
・K.マルクスは、経済的要因を社会構造を説明するための要因、
 つまり独立変数と考えた。
 M.ヴェーバーは、宗教的要因が、経済的変化を説明する
 独立変数となり得るという理論を提示した。
・中国やインドでは、プロテスタント倫理に相当するような
 現世における経済活動を、積極的に肯定する宗教倫理がなく、
 従って資本主義も発達しなかったと考えた。
○社会的結合率の低いプロテスタントの方が、自殺が多い。
・日本の前近代社会に、プロテスタントの倫理に見合う
 宗教感が存在していたのではないか。
・パス解析風の因果関係モデルを構築することの利点は、
 数量をしようしない質的研究においては、ともすればあいまいに
 なりがちな主要変数を確定し、因果関係を明確化することにある。
・比較例証法は、因果関係の推論の原理を、質的方法の分野で
 実現するための方法。
・様々な課題に対して
 1)変数を確定し
 2)因果関係を明らかにし
 3)複数の事例を比較する
 という質的方法の原理を適用することができるのでは
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●現場の体験の生かし方~体験から知的創造へ
・H.ブルーマー教授が関心を持っていたのは、直接観察する
 ことができる現実の人間関係だけであった
・現地には問題の所在について、きわめて深い洞察力をもって、
 事態を観察している人間がいるものであると述べた。
 
 このような人間を探し出して信頼関係を作り上げるのが、
 観察者にとってなによりも大切。
・参加観察(participant observation)
 通常外部にはわからない内部事情の自然な観察が可能になる。
・参加観察法で、因果関係の推論を行う
 説明的研究を行うことは困難。
・逸脱事例の参加観察とは、一つの社会において正常な行動を
 している人間が、逸脱行動をしている人々の集団に飛び込んで、
 自分達の行動と逸脱行動を比較すると言う方法。
・M.ミードは、自国文化と他国文化との差から出発して、
 外国の文化を研究するのが、文化人類学であると主張。
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●ジャーナリズムに学ぶ~現実をどう理解するか
・社会学の方法論は、既成の理論や調査の結果を追い回すのではなく、
 自ら行う知的創造のための、基本的な手続きの議論
○この本は、その方法論を分かりやすく教えてくれているよなー。
 しかも著者の体験を時系列でふり返りながら。
 研究者として様々な方法論と出会い、自分のものにしていく過程。
・社会科学もジャーナリズムも、同じ科学の方法を用いて、
 経験の世界を理解する知的努力。
・ジャーナリズムの役割は、現代社会における情報のゲートキーパー。
・ジャーナリストも、科学的研究方法を駆使する経験的世界の研究者
・科学の方法は、抽象的な理論と経験的事実との
 緊張関係から成り立っている
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●方法論の一般理論へ
・日本の大学では、理論と方法の訓練が独立していない。
・日本の大学における教育は、教養主義の色濃いものではないか。
 アメリカの大学は、理論と方法における基本原理の学習を重視している。
・科学的思考法、科学的研究法の根本的原理を学ぶことこそが、
 今日の大学教育の根本的機能なのでは。
○俺が、大学院に入る準備として、
 今こうやって研究の方法論を学んでいるのが、それなのかな。
・「何を知るか」ではなく「いかにして知るか」という基本的方法の
 学習が大学教育の中心的機能とならなければならない。
・高学歴者として生き残る唯一の道は、科学的方法の訓練を
 身につける以外にはない。
・理論構築法で中心を占める原則が
 1)独立変数の先行 2)独立変数と従属変数の共変 
 3)他の変数の統制(パラメーターの確立)
・経験科学における研究過程のモデル(p190)
 理論→(理論の適用)→仮説→観察(経験的研究)→
 経験的一般化→(理論化)→(理論の構築)→理論
 仮説→仮説の検証→仮説の正否に関する判定→理論
・研究の過程とは、この図に従って、無限の循環を繰り返すもの。
○この図、大事だなー。シンプルだけど、奥深い。
 この流れにそってやっていきたい。
・新聞記者のリポートが程度の低いもので終わるならば、それは
 彼が現実を観察するための有効な理論を欠いているから。
 あるいは誤ったイデオロギーのために、現実の観察を誤っているから。
・方法論とは、科学の原理を実現するための文法。
・方法論は、自分自身の文章を書くための必要最低限のルール。
 科学における知的創造とは、自由に抽象と経験の間の循環を行う知的活動。
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投稿者:関根雅泰

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