ある企業さんで、内定者教育のお手伝いをしています。
 08年4月入社予定者のうち、営業志望の学生さんに
 私が営業で訪問する際に、同行してもらっているのです。
 
 目的は、2つです。
 ・営業という仕事の理解
 ・社会人としてのマナーの理解
 業界は違っても、実際に営業する様子を、すぐ隣で見ることによって、
 営業という仕事を肌で感じる機会になればという想いで行っています。
 私自身は、「営業に役立つコミュニケーションのポイント」という本で、
 ・問題解決型営業
 ・お客様との信頼構築
 ・話すことより聞く大切さ
 を訴えています。
 それらのことが「言行一致」でしっかりできているのか、
 自分自身を試す場にもなります。
 
 ある学生さんとは、次のようなスケジュールで、同行訪問指導を行いました。
 12:00 駅前で待ち合わせ 一緒に昼食
 13:00 徒歩で移動
 13:30 1社目訪問
 15:00 移動
 16:00 2社目訪問
 17:00 近くの喫茶店で振り返りミーティング
 18:00 終了
 営業訪問そのものだけでなく、
 ・食事のとり方
 ・電車での移動時の留意点
 ・客先まで歩いて行く際の会話 なども見ることができるよう
 スケジュールを組みます。
 
 終了後に、レポートを書いてもらいました。
 内容と構成は、本人に任せます。
 指示がない中、どんな書き方をするかが見たかったからです。
 ある学生さんの終了後レポートです。
 (本人と教育担当者の許可を得て、掲載します。)
 ===
 「営業体験を通して学んだこと」   
 関根先生の営業活動にご一緒させていただき、
 非常に貴重な体験をすることができました。
 入社前にこのような経験ができたことは自分にとって
 大きな意味を持つものになったと感じております。
 お忙しい中予定を組んでくださった関根先生、
 そして●●さん。本当にありがとうございました。
 このレポートでは、●●様と●●様へ関根先生と同行させていただいた体験を
 通して私が感じたことを、以下の3点に絞って書きたいと思います。
 まず、(1)営業という仕事に対する自分の見方がどのように変わったのかという点。
 それから、(2)営業の仕事において大切だと感じた点。
 最後に、(3)社会人として大切だと感じた点、です。
 拙い文章で読みにくい箇所もあるとは思いますが、
 精一杯丁寧に書きますのでどうぞよろしくお願いします。
 まず、(1)営業という仕事に対する自分の見方がどのように変わったか、
 という点について書きたいと思います。
 結論としては、営業=モノ(商品)を売る仕事から、
 営業=自分(信頼)を売る仕事なのだと強く感じるようになりました。
 というのは、関根先生は相手方とのやりとりの中で、ほとんどの時間を
 商品(先生の場合は研修)の話ではなく相手方の不満や不安、あるいは
 満足している点を聞くことに費やしていらしたからです。
 会社としての最大の目的である「商品を売ること」は、
 「信頼を得ること」があって初めて達成されるものだと気付きました。
 商品の種類こそ違いますが、当社の○○も同じく、
 営業とお客様との信頼関係なくしては価値を下げてしまうでしょう。
 営業という仕事とはまさに、会社と商品をそのまま映しているものだと感じ、
 責任と貢献度の大きさを実感しました。
 次に、(2)営業の仕事において大切だと感じた点について、
 お客様に会う前、実際に会っている時、会った後の3つの時間に
 区切って書きたいと思います。
 最初にお客様に会う前ですが、特に大切なのは事前準備だと感じました。
 私が特に驚いたことは、関根先生が後から見せてくださったノートには
 お客様との話の流れが前もって書かれていたことです。
 先生は、目的とゴールをしっかりと決めておくことが大事だと
 強くおっしゃいました。目的とゴールがあれば、たとえ話がずれても
 すぐに軌道修正して本題に戻ることができるから、というお言葉を聞き、
 営業中の先生の落ち着いた話運びにも納得しました。
 私には最も足りない部分だと感じ、これから心がけて何事にも
 事前に準備をできるようになろうと思いました。
 次に、実際にお客様と会っている時は、相手方が気持ちよく話せる雰囲気を
 いかに出すかという点が大切だと感じました。
 特に、相手方の話を引き出すためには営業は聞き上手でいるべきだ
 ということだと感じました。
 営業で言う聞き上手とは、相手の意見に対して
 肯定の意思を示す(なるほど、そうですね、それは大変ですね)こと、
 途中で自分の意見を挟まずしっかりと真意を聞きだすこと、
 また相手の言葉を繰り返し別の言葉で言い換えるなどして、
 こちらが聞き出そうとしている情報に近い話題へと導いていくこと、
 ができる人のことだと思いました。
 この「聞く」という点について先生が私にお話になったことが印象的でした。
 それは、一社目の●●様に伺った後に私が、
 「営業は話す仕事だと思っていたが、先生はひたすら聞いていらっしゃった。
 営業に対するイメージがガラリと変わりました。」というような内容のことを言った時に、
 「まさにそれが今日伝えたかったこと。
 営業というのは聞くことが大事だよ」とおっしゃった事です。
 営業では話すことよりも聞くことが重要だと知ることができたのは、
 私にとっては大きな発見でした。
 最後に、お客様に会った後ですが、ここで一番重要なことは
 実際に会って話をして当初の目的を達成できたか、
 そしてゴールに行き着いたかどうかをしっかりと分析することだと感じました。
 この段階でしっかりとした分析ができなければ、
 次回にさらなる話の進展を期待することはできないと思います。
 もし当初の目的が達成できなければ、先輩の意見を聞くなどして
 修正して次に活かすこと、または次からの事前準備をさらに
 完璧にするなどして対処していくことが大事なのだと思いました。
 最後に(3)社会人として大切だと感じた点について述べたいと思います。
 私が営業体験を通じて感じた、社会人にとって一番大事なこととは、
 いかに冷静に自分の置かれている状況を分析するかという点です。
 自分が今やらなければいけないことは何か。自分に足りないものは何か。
 失敗した原因は何か。失敗しないためには次はどうすればいいか。
 そういったことを一つ一つしっかりと自分で考え、あるいは
 周りの意見を聞き、答えを出していくこと。その地道な積み重ねが
 確実に自分の力になっていくと思いました。
 そして、私が社会人になるに当たって痛感するのは
 まさにこの点が未熟であるということです。
 これまで私は考えることを敬遠しがちでした。
 この自分の弱点を早く克服するために今からできることは
 やらなければいけないと強く感じました。
 以上が、私が営業体験を通じて感じた点をまとめたものです。
 体験を通じて得た全てを文章にまとめられたとは思えません。
 この経験で得たことを、自分の中で整理して社会人になるに向けて
 準備していきたいと感じております。
 入社前に社会というものを知る、本当に貴重な経験になりました。
 本当にお世話になりました。
 以上
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 「営業にとって大切なこと」
 今はまだ学生である自分が実際に二社の企業に訪問し生の営業現場を拝見できたことは、
 その全てが刺激的であり、とても貴重な経験となりました。
 ここでは関根先生に同行させていただいた営業体験で学んだ営業活動において大切なことを、
 営業職を志す者として来年の入社後、この体験が生かせるように自分なりに今だからこそ
 感じることの出来た学生と社会人の違いを交えて書きたいと思います。
 ①事前に準備する大切さを学ぶ
 相手先へ訪問するにあたり失礼のないよう、営業活動では相手先の会社概要や
 扱っている商品などを前もって把握しておくことが大前提にあるということ学びました。
 今の私は、毎日何かに責任を持って事前に準備をするということがないので、
 入社後はまずこの作業をしっかり出来るようにならなければいけないと強く思いました。
 また自分がお客様に紹介する商品を他社も扱っている場合はそれも調べておくことが
 強みと弱みの分析に繋がり、質問があった場合、より内容の濃い回答が出来ると感じました。
 それと訪問前に先生は必ず目的とゴールを決めてからお客様と会うようにされていました。
 訪問前に目的を自分の中できちんと決めておくことで話がそれたとしても対処できるということでした。
 ここでは、事前準備と目的を持って訪問し、そして設定したゴールへと結び付けて行くことを
 目標に対話していくことが大切だと学びました。
 ②聞くことの大切さを学ぶ
 今回の営業体験で強く印象に残っているのは、先生が相手先の話を聞いている姿です。
 相手先が話を始めると先生はメモを取りながら、大きく頷き、時に相づちを打ち、聞くということに
 集中されていました。
 営業は相手方に商品を説明することを優先するという印象を持っていた私にとって、
 先生がまず話を聞くということに力を注がれていたことはとても驚きでした。
 先生のような聞き上手になることが信頼される営業マンになる第一歩だと感じました。
 ここでは、普段私がしている会話とビジネスの場においての会話は別物であると痛感しました。
 絶対的に違うと感じたのは相手に対する配慮です。普段、私が友達との間でしている会話とは
 異なり、仕事を軸にして展開するお客様との会話であるので相手が気持ちよく話せるように
 心がけなければなりません。
 今後はどんな親しい友達であっても相手の目を見て、相手の話をきちんと最後まで聞くよう、
 まずは普段の自分から改善していこうと思いました。
 ③まとめることの大切さを学ぶ
 話を聞いた後、二社とも共通して先生がされていたことは今までの話をまとめる作業でした。
 相手先の話の中からでた現在の状況から問題点を要約することで、お客様が望んでいる
 改善点を見付けだす作業をされていました。
 すらすらっと話をまとめる先生を横で見ていると簡単そうにも思えるのですが、実際に、
 お客様を前にした限られた時間の中だとすれば営業にとってここはとても難しく、
 技術のいる場面であると感じました。
 この重要なまとめをこなすには、やはり事前準備としっかり聞くということをきちんと
 出来ていないと駄目だと思いました。
 相手先が何に困っていて何を求めているのかを会話の中から導き出し、まとめ、問題解決へ
 繋がる提案をしていくという営業にとって大切である作業を、実際に営業の現場でなさっている
 先生の姿を間近で拝見できたことで、とても理解しやすかったです。
 ④振り返りの大切さを学ぶ
  先生は訪問後に必ずメモを見ながら振り返りの作業をされていました。一日に複数のお客様を
 訪問する営業にとって、この相手先とはどこまで話が進んだか目的とゴールは達成されたかなどを
 訪問後は振り返り、メモと頭の中を整理することが大切だと感じました。
 それが次回までの準備や提案に繋がると学びました。また、もし失敗しても次にしないようにする
 為にも振り返ることは大切だと感じました。
 ここで最も印象に残っているのは、私には完璧に思えましたが先生が二社目の訪問後に
 「あの時はもっとこうしたほうが良かったのではないか」とご自身の営業に対して自問自答されて
 いたことです。
 営業のプロである先生であっても100%伝えきれない時があることを知り、営業という仕事の
 奥深さを感じました。また、そこにやりがいや面白さがあると思いました。
 以上が関根先生と営業現場に同行させていただき私が学べたことです。
 この営業体験では本当に多くのことを学習することが出来ました。私にとっては名刺の交換ですら
 勉強で、関根先生には食事の際のマナーや一日を通しての私の行動などについても
 ご指導いただきました。
 社会人になる前であるこの時期に、実際に、企業に訪問し営業現場を拝見したことで
 雰囲気を感じ取れ、営業の基本姿勢も学び取ることが出来ました。
 最後の帰り際に先生と交わした握手が力強くて、自分も慌てて力を入れたことを
 今でも覚えています。この経験を生かせるように来年から頑張ります。
 学生と社会人との違いは、というか今の私と社会人との大きな違いは責任のなかに身を置き、
 毎日を生きているかという点に尽きると思います。
 最後になりましたが、お忙しい中日程を組んで頂き、貴重な営業現場に同行させていただいた
 関根先生、そして企画して下さった●●さん。ありがとうございました。
 ===
 (どうもありがとうございました!)
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