今年で3回目の実施となる「新入社員フォローアップ研修」

6.フォローアップ研修に関して

あるメーカーさんで、今回で3回目となる
「新入社員フォローアップ研修」を実施させて頂きました。
この会社さんの研修のユニークな点は、
1日目の午後に、内定者が、研修に参加する点と、
2日目の午前中に、先輩社員との座談会がある点です。

●研修スケジュール
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【1日目】  午前11時30分~午後5時 
1.イントロダクション(導入) ・研修への期待
2.半年間の振り返り 
 ・事前課題の共有
 ・「困っていること」「難しいと感じていること」共有
 ・グループ模造紙作成(2日目に先輩が見る為に)
 ・新入社員全般の傾向
 
(内定者参加)
3.新入社員プレゼンテーション大会!
 ・「サンドイッチ・フォーマット」復習
 ・プレゼンテーションスキル
 ・自分の仕事を第三者にわかりやすく説明する
 ・内定者による質問タイム
◎振り返り
懇親会 (内定者も共に 17時~19時)
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【2日目】午前8時30分~午後5時
4.先輩社員と語ろう!
 ・自身の課題の明確化(1日目を振り返って)
 ・先輩社員による仕事内容の説明
 ・先輩との座談会
5.ビジネスの基本再確認
 ・「3つの質問」と「チェックシート」
 ・体験ゲーム「MTa KIT」の実施とふり返り
 ・コミュニケーションのとり方
 ・PDCAの回し方
 
6.目標の再設定
 ・08年4月に向けて目標の再設定 
 ・決意表明
7.クロージング(結び) ・振り返り
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まずは、参加者に今回の研修への期待をあげてもらいました。
●研修への期待
・半年間を振り返り、自分に足りなかったことを見つけだす
・内定者と会うことにより新鮮さを味わい、今後の糧にする
・プレゼンの資料作成から、発表までの効率よいやり方を学びたい
・他の人が職場でどのような学び方をしているかを知り、自分の学びスキルを高めたい
・自分の意思を正確に人に伝える方法を学びたい
・モチベーションの維持の仕方を学びたい
・上司との上手いコミュニケーションのとり方を学びたい
・職場で教えてもらったことを上手に整理する方法を学びたい
・ビジネスの基本を再確認したい
・目標の設定とそれに向けての具体的取り組み方法を学びたい
・今の時期での仕事の学び方を学びたい(導入研修時とは違う)
次に、事前課題を共有した上で、
今「困っていること」「悩んでいること」をあげてもらいました。
・上司とのやりとり
 (上司に上手く伝わらない。上司の言っていることがよくわからない)
・仕事の効率
・技術的なこと(加工など)
・上司とのコミュニケーションが難しい
・仕事中での自己判断が難しい
 (経験が少ないため?)上司に聞いていいの?
・会議に参加しても、ついていくだけで精一杯。発言できない。
・電話応対
・上司に対しての伝え方
・複数の仕事を同時にするときのスケジュール管理
・報告すべきこととそうでないことの判断(逐一伝える必要がある?)
・長時間のPC作業による疲れ目
・世代が違う人との話題
・立ち仕事の辛さ
・朝、気持ちよく起きる方法
・プレッシャーによるストレス
・仕事に対する能力不足
・自分自身のあり方(目標と現実のギャップ)
これらの内容は、各グループで、模造紙に書き出し、
2日目の先輩座談会で使えるよう壁に張り出しました。
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午後3時、いよいよ内定者が見学に来ます。
去年もこのやり方で実施し、好評だったので、今年も実施することになりました。
20名ほどの内定者が、ズラッと、後方の椅子に座ります。
新入社員が緊張してくる様子が伝わってきます。
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内定者が来る頃から、こちらも新入社員のことを意識して
「先輩の皆さん」という呼び方に変えます。
新入社員が、来年には彼らの先輩になることを自覚させるためです。
内定者が来てからは、新入社員によるプレゼンテーションが中心となります。
まずは、プレゼンテーションの基本を教えた上で、3回ほど、プレゼンをしてもらいます。
1回目のプレゼンは、「私の夢」というテーマ。
2回目のプレゼンは、「私の仕事」というテーマ。
2回目から、内定者が新入社員のグループに入り、プレゼンを一緒に聴きます。
DSCN15880001.JPG
新入社員のプレゼンを聞いたうえで、
内定者には、新入社員に対する質問を考えてもらいます。
これらの質問に対し、新入社員がプレゼンで答えるのが、3回目のテーマです。
●内定者から出た質問
・仕事をはじめて夢や目標はどう変わってきたか
・内定者研修をどうこなしたか
・学生時代にやっておけばよかったこと
・文系出身が理系の仕事をするために、必要なことは
・学生と社会人の最大の違いは何か
・ストレス解消のための休日の過ごし方
・仕事をどのように楽しんでいますか
・ミスが起こったときの対応は
・やっていて楽しい仕事は何か
・ソフトの使い方をどう学んだのか
・職場の方とのコミュニケーションのとり方で気をつけている点は何か
これらの質問から、自分が担当する質問を一つ選んで、
新入社員がプレゼンで答えていきます。
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新入社員が真剣な表情で、プレゼンをしている様子が印象的でした。
内定者も、自分が知りたいことを、すぐ上の先輩が答えてくれることが
嬉しいようです。目を輝かせてプレゼンを聞いています。
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17時に研修終了後、内定者も交えての懇親会が実施されました。
内定者一人一人に、自己紹介をしてもらいます。
その中で、「何故、この会社を選んだのか?」という志望理由を話してもらいました。
・独自の技術
・人を育てるという社風
・雰囲気のよさ
・暖かさ
・自身が成長できそう
採用担当、会社説明会、先輩社員の様子などから、
学生は、その会社の雰囲気を感じ取ろうとするようです。
「暖かい雰囲気」
「自分を成長させてくれそう」
といった所が、キーワードのように感じられました。
新入社員にとっても、入社を決めた頃の初心を思い出すようで、
新鮮な気持ちになれるようです。
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2日目は、午前中に先輩社員を呼んで「座談会」を実施します。
長野や名古屋といった遠方から参加してくれた先輩社員もいます。
先輩社員は、5名。H17年度入社の3年目社員です。
実は、今年3回目のフォローアップ研修ということは、
彼ら3年目社員が新入社員だった頃に、私は出会っています。
4月の導入研修と、10月のフォローアップ研修。
なんとなく面影が残っていますが、やはり顔つきが違います。
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まずは、新入社員から、先輩社員への質問を列挙させました。
●新入社員から先輩社員への質問
・上司とのコミュニケーションのとり方(話題など)
・入社して半年経ったときと1年経ったときで変化したと思えること
・判断基準の決定方法
・世代の違う人とのコミュニケーション
・上司の車に乗ったときの会話
・モチベーション維持の方法
・効率のよい仕事をするには
・上司への対応(上司が求めている報告の形と違い、理不尽な態度をとられたとき)
・年が離れた人との仕事以外の話題
・仕事の効率を上げるためにどうしているか
・どこまで笑顔でいればよいのか
・ミーティングでの発言について(緊張緩和の方法)
・開発でのヒントの得方
・仕事をしていて嫌なこと(失敗)があったときにどうしているか
・効率よく仕事をするために工夫していること
・活き活きした表情、態度をするために気をつけていること
これらを、私のほうで一旦整理します。
1.コミュニケーション(会話)
・上司、年上の方
・職場、ミーティング、車中(仕事以外の話)
・態度、表情
2.オペレーション(仕事)
・効率化(スピード、複数の仕事、正確さ)
・判断基準(決定、報告)
・開発のヒント(発想を広げる)
3.モチベーション(意欲)
・嫌なこと、理不尽なことがあったときどうしているか
・維持、向上の仕方
新入社員からの質問を、上記のように、大きくは3つの項目に分けて、
先輩社員との座談会に入っていきました。
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先輩社員を、囲んで、車座になって話を聴きます。
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時折は、5人人グループとなって、1人の先輩を取り囲んで、質問をします。
全員の前では聞きづらくても、少人数だと聞けることもあるようです。
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先輩から出てきたアドバイスです。
1.コミュニケーション(会話)に関する先輩からのアドバイス
【年上の方との接し方】
・上司先輩がどういうことに興味もっているか情報収集、共通の趣味
・車中の話題(世間話、趣味、スポーツ)普段接する中で得た情報中心に話す
・雑談のねたを普段から仕入れておく(ニュース、新聞、インターネット)
・一番話しやすいのは仕事ネタ→そこから会話を広げる
・上司だからといって物怖じしないこと→自分から話かける
・真面目な話のとき、笑うのも変→自然体で付き合うのがよい
・相手から話しかけるのを待つのではなく、自分からも話しかける
【ミーティング】
・ミーティングの前に事前に自分の中で整理しておく
・自分が発言することにより、あとあと自分がやりやすいようになる
・その場で最初は話せなくても、メモを取って、後から聞く方法でもよいのでは
・勇気を出して分からないことを質問してみる(基本的なことは年々聞けなくなる)
・自信がないから発言ができない→間違っていても発言する
・事前に知識を仕入れておくことが必要
・提案できなくても、質問をしてみる
【知識を増やすための工夫】
・分かっている先輩に、読むべき本などの情報をもらう(勉強の仕方を聞く)
・自分が気になったことをメモをとり、その都度質問してみる
・同じことを二度聞かないようにメモをとる
・自分で勝手な理解をしないように、先輩に聞くのが早い
・仕事の中で分からないことを明確化させ、先輩に尋ねる
・上司のやっていることを見て盗む
・営業→同行が終わったときの振り返りを通じて
【上司に分からないことを聞きに行くタイミング】
・聞く内容が緊急性があるかどうかによるが忙しそうにしているときは外す
・自分の仕事が急ぎなのか、急ぎでないのか分からなかったので、
 分からなかったらすぐに聞いた(上司が忙しそうだったら、先輩に聞く)
・空気を読むことが大事だが、今は空気を読めなくてもよいとき。今しかいけない
・あまりにもその場が忙しそうだったら、アポイントをとる
・メールやメモを送っておく
2.オペレーション(仕事)に関して先輩からのアドバイス
【判断基準】
・緊急性
・経験から照らし合わせた判断
・お客様を第一に考える
・半年では判断する材料が少ない
→経験、知識が必要なので勝手に判断しないことが大事→上司に確認する
→それを経験則にする
・営業の方からの依頼に対しては、急ぎなのかどうかを確認している
 →急ぎが重なった時は上司に確認する
・自分の中での判断基準(新規顧客は大事にしたいという気持ちがある)
・先にきたものから
・急ぎが重なるときは、上司に一度全部報告し、相談する
【効率化】
・最初から早くはできない。経験することが大事。
・TO DOリストを毎日作成し、優先順位をつける
・人を巻き込む仕事(工場へ依頼)は先にやる
・情報を整理して、早く引き出せるようにしておく
・仕事の早い人のやり方を手本に学ぶ。仕事の遅い人のやり方は反面教師とする
・無駄な時間は作らない→悩んだときはリフレッシュ(散歩)
【開発のヒント】
・色々なことに視野を広げアンテナを張る
・ものの見方を正面だけではなく、違う面から見てみる
・様々なことに興味を持って、何故こうなっているのか?考える
・周囲に興味を持つ→違う職場の仕事のやり方を見る
3.モチベーション(意欲)向上に関する先輩からのアドバイス
【嫌なこと、理不尽なことがあったときの対応】
・こちらからの対応にも気をつける
・慣れることも大切
・言い方がキツイ人もいるが、そのまま言葉を受け止めるのではなく、何をいわれているのか 
 ポイントだけを受け止める
・我慢も大事
・嫌なことが起こった時は自分のミスによるものが多いので、自分の行動を反省する
・感情の矛先を別のものに向ける
【モチベーションの保ち方】
・知識を高めることが大事
・息を抜くポイントを持つ
・リフレッシュ
・大きな物件を獲得したときの喜びを忘れない→手間がかかる仕事ほど達成感
・失敗したときにモチベーションが下がるので、失敗を忘れる
・初心に帰って目的を再認識する
・目標をもつ(自分がなりたいイメージ)
【半年目の新入社員へのメッセージ】
・半年はまだ勉強段階。今のうちしか聞けないこと、基礎的部分を聞いておく
・半年で認められるのは難しい。一人前になるために必要なのは知識と経験とやる気。
 一人前になるには道のりが長い
・基本として、上司は部下をつぶそうとはしていない。(その人のため)
・新人のうちは失敗してもよい。今のうちに失敗をしておく
・部署が違っても、何年経っても同期を大切に。全員で集まるのはそれほどなくなる。
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当たり前ですが、3年目となると、発言もしっかりしてきますね。
入社した頃を少し知っているので、感慨もひとしおです。
彼らの成長をずっと見守っている教育担当者の方も、
「本当に、成長しましたよね。すごく嬉しいです」
とおっしゃっていました。
今回の3年目社員は、研修に送り出される前に、上司から
次のようなことを言われてきたそうです。
「お前は、選ばれたんだぞ。」
こう言われると、彼ら自身のモチベーションも高まるでしょうね。
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2日目の午後は、研修ゲーム「MTa KIT」を通して
ビジネスの基本(コミュニケーションのとり方、PDCAの回し方、等)
を確認しました。
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ゲームの途中(設計段階終了時)で、ここまでのふり返りを行った後、
制作段階に入っていきます。
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●ゲームを終了時の参加者からのコメント
・役割を与えられた人と与えられていない人がいた
・熱中しすぎて、意見に耳を傾けてくれなかった
・指示をする人とされる人が分かれていたほうがスムーズに仕事が進む
・指示がなくても自分から動くことが大事→受身で仕事はしない
・時間に追われ、周りが見えなくなった
・共同作業は人間ならではのもの。猿にはできない
・協力して目的意識を持つことが大事
・設計した段階で、加工組立手順を合意が必要
・時間内での作業を進めるのは大変
・自分が分かりやすいからといって、相手にわかりやすいとは限らない
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ここで一旦休憩を挟み、最後のパート、
半年後に向けての目標設定に入ります。
07年4月の導入研修時に立ててもらった目標を再確認してもらった後、
こんなことを伝えました。
「皆さんが、4月に立てた目標に向けて、半年間一生懸命がんばってきたと思います。
 その頑張りも、決して一人きりではなく、一緒になって考え苦しんでくれた
 先輩、上司が、皆さんの身近にはいます。
 実は、今回の研修にあたり、お忙しい先輩、上司の方にお願いして、
 皆さんへの手紙を書いてもらいました。」
参加者からは「えー!」という驚きの声が上がりました。
しっかりと封をされた「上司からの手紙」を参加者に配りました。
皆、食い入るように手紙を読んでいます。
手紙には、
・○○さんの長所
・○○さんの課題
・○○さんへの期待 が書かれています。
前の方の席の子が一人、指で目をぬぐっていました。
「こんなに自分のことを考えてくれていたんだ」
「こんなに見ていてくれたんだ」
という感動のようです。
上司からの手紙を通して、自分への期待を再認識した後、
自身の半年後の目標を立てます。
皆、カリカリと真剣になって、目標と行動計画を考えています。
上司からの期待に何とか応えたい!という気持ちになるのでしょうね。
最後は、1日目に学んだプレゼンテーションスキルを使って発表し、
研修は終了です。
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研修が終って、家に帰りつくと、研修企画者の方から
メールが届いていました。
●研修企画者の方からのメール
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○M様
Sent: Friday, October 26, 2007 10:05 PM
Subject: フォローアップ研修お礼
関根様
こんばんは。Mです。
フォローアップ研修では大変すばらしいインストラクションを有難うございました。
お礼もきちんと申し上げられず、申し訳ございませんでした。
研修中にPCに打ち込んだ資料をお送りします。
体裁が整っておりませんが、ご活用下さい。
今回の研修は、とてもよかったと、満足感を覚えています。
内定者と先輩社員の活用はやはり効果的だと思えます。
ゲームを見ていて思ったのですが、組織行動をすることって本当に難しいですよね。
私はどちらかというと、組織行動が苦手です。
でも、今の立場では部下を活かさなければいけないというのは強く感じています。
今日は、新人がゲームを真剣にやる姿を見て、最大の成果を出すために、自分が今
何をすべきかを考えさせられました。
本当に2日間有難うございました。
今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。
===
(Mさん、どうもありがとうございました!)

投稿者:関根雅泰

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