09年度「OJT指導員研修」アンケート結果分析

2.OJT担当者向け「教え上手になる!」研修

2009年度も複数社様で約1000名を対象に
「OJT指導員研修」を実施させて頂きました。
そこで得られた情報を差しさわりの無い範囲でご紹介します。

(データ分析協力:Learning & Culture Innovation 株式会社*
*弊社と守秘義務契約を結んでいるコンサルティング会社です。)
=================================
1.研修参加者
01.JPG
研修参加者 約1000名の内、
今までに、新人に対する「OJT指導員」をやったことがある「経験者」と
やったことがない、今回初めての「未経験者」が、半々ぐらいでした。
=================================
2.OJT指導「未経験者」が「期待」していること
今年初めて、新入社員へのOJT指導を担当する方々が、新人指導をすることに対して
どんな「期待」を抱いているのかを聞きました。
通常業務があって忙しい中、新人の面倒をみることになりますので、
そんな彼らが期待していること、彼らにとってのメリットとは何なのでしょうか?
02.JPG
03.JPG
彼らのほとんどが「自己のふり返りができる」「ともに成長できる」という
期待をもって、新人指導に取り組もうとしています。
これは東大の中原先生、神戸大の松尾先生が、富士ゼロックス総合教育研究所と
共同で行った「他者とのかかわり」に関する研究結果とも合致しますね。
「後輩を指導することが、本人の内省につながる」
「内省支援が、本人の成長感に寄与する」
(詳細は「リフレクティブマネジャー」光文社新書 ご参照)
OJT指導員は、新人を指導することで、自身の内省(ふり返り)が促され、
それが本人の成長を促す。
大変ですが、OJT指導員になれるということは、本人が更に成長し飛躍する
大きなチャンスなのかもしれませんね。
=================================
3.OJT指導「未経験者」が「不安」に感じていること
成長するチャンスとはいっても、初めて新人を指導するOJT指導員は、
当然「不安」も抱えています。
04.JPG
05.JPG
「忙しい中両立できるか?」「(初めてなので)教え方が分からない」
という不安を、ほとんどの未経験者が抱えています。
新入社員が配属される前か直後に、彼らが抱えるこうした不安を解消する機会を
提供することは大事なことだと思います。
その手段の一つが、集合研修です。
通常業務で忙しい彼・彼女らも、自分の不安が解消される研修であれば、
参加には積極的です。
研修を受けることにより
「不安が解消された」「気持が前向きになった」
という効果が見られるようです。
https://www.learn-well.com/blog/2009/04/ojt_4.html
=================================
4.OJT指導「経験者」が「苦労」したこと
研修参加者の中で、今までに新人へのOJT指導員を担当したことがある「経験者」に
「どんな苦労がありました?」と聞いています。
06.JPG
07.JPG
「新人とのコミュニケーション」「忙しい中での両立」に苦労したと
いう意見が大半です。
これは、08年度「OJT指導員研修」で聞いた時も、同じような意見がでました。
https://www.learn-well.com/blog/2008/08/400ojtojt.html
自分の業務もあって忙しい中、年齢も価値観も違う新入社員と向き合うOJT指導員。
そんな彼らが「工夫」してきたことには、次のようなものがありました。
=================================
5.OJT指導「経験者」が「工夫」してきたこと
08.JPG
09.JPG
指導員は、様々な工夫をしています。
多くは、指導員「個人」レベルでの工夫なのですが、
周囲を巻き込む「職場」レベルでの工夫もあります。
新人指導が上手くいっている職場で見られる「ネットワーク型OJT」
職場全体そして他部署も巻き込んだ新人指導です。
(「ネットワーク型OJT」の詳細については、下記をご参照ください。)
「日経ネットBiz+」
http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/jinji/rensai/sekine2.cfm?i=20090105jh000jh
「関根の講演ムービー」
http://learn-well.com/movie/ojt09movie.html
=================================
7.参加者が研修に「期待」していること
通常業務で忙しい対象者が、集合研修に何を期待しているのでしょうか?
彼・彼女らが「学びたいこと・得たいこと」は何なのか?
10.JPG
11.JPG
12.JPG
13.JPG
「教え方」について学びたいという意見がほとんどです。
経験者は「新入社員のモチベーションの維持・向上のさせ方」に関する意見が
目立ちます。
これは、彼・彼女らの経験の中で、新入社員のモチベーションが下がる場面に
出くわしてきたからということでしょうか。
=================================
8.研修で「学んだこと・気づいたこと」
上記期待を持って研修に挑んだ参加者が、研修に参加したことで「得たこと」
「学んだこと・気づいたこと」は何なのでしょうか?
14.JPG
15.JPG
16.JPG
17.JPG
OJT指導「経験者」の方が、研修に参加して「学んだこと・気づいたこと」は
多いようです。
これは彼・彼女らが、実際の経験を、ふり返り(内省)照らし合わせをしながら
研修に参加しているからだと言えます。
集合研修(Off-JT)の意義の一つは、通常業務を離れて
じっくり考えられる点にあります。
研修内では、彼・彼女らの経験をふり返る機会を意図的に作っています。
そのためかもしれませんね。
=================================
9.研修に「参加して良かった」
研修直後に聞いた結果です。
18.JPG
19.JPG
20.JPG
21.JPG
22.JPG
「経験者」は、「ふり返りができたこと」
「未経験者」は、「不安が解消されたこと」を評価してくれています。
=================================
10.今回の研修は「今後に役立つ」
23.JPG
24.JPG
25.JPG
26.JPG
27.JPG
研修で学ぶ内容が「実践的」で「現場で使える」と感じて頂いているようです。
=================================
11.意見・要望・感想
28.JPG
29.JPG
「経験者」「未経験者」ともに、研修内容には満足頂けたようです。
=================================
これらの結果はつまり、D.カークパトリックの研修効果測定の4段階で言う所の
「レベル1:Reaction 反応」「レベル2:Learning 学習」で
高い評価を頂けたということです。
今後は、
「レベル3:Behavior 行動」「レベル4:Result 結果」
を見ていくことになります。
「結果」は、定量的なものとして一つ「新人の離職率」があると思います。
定性的なものとしては「新人の成長」(これをどう測るかという課題もでてきますが)
があると思います。
これらの「結果」に向けて、指導員の「行動持続」を
支援していく必要性が出てきます。
=================================
一つの仕掛けは「新入社員フォローアップ研修」です。
ここで、指導員の行動の様子を新入社員に確認したり、
指導員に研修内容を思い出させる働きかけができます。
「OJT指導員研修」で多くを学び「よし、現場でやろう!」と思っても、
通常業務に追われ忙しい中ですと、ついついおろそかになり忘れてしまいます。
新入社員が「フォロー研修」に参加することを契機として、
指導員自身にも「指導員研修」で学んだことを思い出してもらうのです。
そのための働きかけの一つとして「新人への手紙」があります。
新入社員には内緒で、指導員に「新人への手紙」を書いてもらうのです。
・新入社員の頑張っている点、ほめてあげたい点
・指導員自身の反省点
・新入社員に今後期待していること
これらを書くことを通して、指導員研修で学んだことを思い出し、かつ
新入社員について改めてじっくり考える時間をとってもらいます。
この手紙を受け取った新入社員の喜び、感動は大きいです。
号泣する子も出てきます。
(ある研修では、泣き過ぎて、過呼吸になった新入社員も出ました。)
「新入社員フォローアップ研修」については、別の記事でご紹介しますね。
(「新入社員フォローアップ研修」参加者の声をまとめました。
やはり「OJTからの手紙」に対する声が多いです。 ↓ )
https://www.learn-well.com/blog/2009/12/post_91.html
=================================
以上、09年度「OJT指導員研修」参加者約1000名の声をご紹介しました。
2010年度も、複数社様で今年に引き続いて「OJT指導員研修」を
実施させて頂く予定です。
2010年度のOJT指導員の声も、差しさわりの無い範囲で
今後ご紹介していきます。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
(研修実施の機会を下さった各社教育担当の皆さま、そして
研修に参加して下さった参加者の方々、ありがとうございました。
最後にデータ分析に協力下さったLCIの内田社長、ありがとうございました。
Learning & Culture Innovation 株式会社 http://www.lci-h.co.jp/   )

投稿者:関根雅泰

コメントフォーム

ページトップに戻る