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ぐんぐん伸びる新入社員の育て方 〜新入社員の成長を支援するために〜

ぐんぐん伸びる新入社員の育て方 〜新入社員の成長を支援するために〜

1.新入社員が入ってきても・・・

■「できる社員ほど早く辞める」「できない社員ほど長く居座る」

 新入社員育成に携わる仕事をしていて、現場で経営者や管理職から
よく聞くのが、この2つだ。「できる社員ほど早く辞める」「できない社員ほど長く居座る」。

せっかく新入社員が入ってきても、
辞めてしまうか、育たないかのどちらかになる。

一生懸命教え込んで、ある程度戦力になった頃に辞められる。
逆に、なかなか育たずに手ばかりかかる「お荷物社員」ほど辞めない。
経営者や管理職の悩みは尽きない。

 では、何故「できる社員ほど早く辞める」「できない社員ほど長く居座る」という現象
が起きてしまうのか? 

筆者は「成長支援」が、そのキーワードとなるのではないかと考えている。

できる社員から見ていこう。仕事を任せてもらえない、単純作業の繰り返し、教えてくれない先輩社員。「この会社にいても自分は成長できない」と判断したとき、優秀な人材ほど、その会社を離れていく。「3年目社員が辞める会社・辞めない会社」の著者森田英一氏は「“成長実感”というのが、若手の離職を考えるうえでもっとも重要なキーワードとなる」と述べている。

終身雇用が期待できない“会社が守ってくれない時代”に、彼らを守ってくれるのは知識やスキルといった自分自身の才覚だけなのである。だからこそ「自分の価値を高めてくれない、成長させてくれない」職場や会社には、価値を見出さないのである。

愛知経協2007年1月号で、一橋大学大学院商学研究科 守島基博教授は次のように述べている。「働き手の多くは、企業にも“成果”を求める。その企業で働くことの自分にとってのメリットが何か、その結果、どういうキャリア上の成果が手に入れられるのか。こうした点を重視して企業選択が行われる“逆成果主義”が働くことの前提となりつつあるのである。(中略)なかでも新しい心理的契約のもとで重要なのが、成長機会(チャンス、仕事)の提供である。」できる社員が更に成長できる機会を、会社として提供できなければ、彼らは会社を見捨てて離れていくのである。

できない社員の方はこうだ。最近の新入社員を、こう呼ぶ人がいる「シュガー(甘い)社員」と。(産経新聞 2007年3月14日)家庭と学校で過保護に育てられ、自立心に乏しい社員のことだ。彼らは、一言でいえば、甘えている。会社は、自分を育ててくれるもの。自分を守ってくれるもの。そんな意識で入ってくる新入社員もいるのである。過保護教育のツケを、企業が払わされているのだ。そんな彼らに対しては、仕事の厳しさも含め、上手に教えていかないと成長させることができない。こういう自立心のない社員ほど、一度会社のぬるま湯感にひたってしまうと、そこから抜け出そうとしないものだ。できない社員は、採用の問題もあるかもしれないが、育て方・教え方に失敗し成長させることができなかったのである。

 では、新入社員の「成長支援」を行うためには、どうしたらよいのであろうか?

2.新入社員の成長を支援するために

 新入社員の成長を支援するために、必要な視点の一つが、「教える側(経営者・管理職)の姿勢と能力」である。

■教える側がもつべき姿勢

 教える側の「姿勢」として必要なのは、まず「相手に成長してほしいと願う気持ち」だ。新入社員の成長を真摯に願い、それを手助けする。悪い例から見ていこう。ある会社では、昨年入ってきた新入社員が、半年ほどで辞めてしまった。よく話を聞いてみると、新入社員を小間使いや雑用係的に使ってしまっていたらしい。教える側としては、雑務を学ぶのも重要と考えてやらせていた面もあったが、新入社員には伝わらなかったようだ。

 場当たり的、教え方が適当、自分の仕事を優先。そういった教える側の態度を見ていると、新入社員は、こう感じる。「この人は、本気で自分を育てようとしてくれない」と。

 教える側に求められるのは、真摯に新入社員の成長を願い、それを手助けする行動だ。特に大事なのは「仕事を任せる」という姿勢だ。やる気のある新入社員ほど、自分の裁量で仕事を回せることを喜ぶ。新入社員でも、やりがいのある仕事を任せてもらえる。ここが、中小企業の強みでもある。仕事を任せるためには、教える側にある種の能力が求められるが、これについては後述しよう。

教える側の姿勢として必要なのは、もう一つ「自分も成長し続けたいと思う気持ち」だ。教える側の先輩・上司であろうとも、まだまだ勉強の途中、成長の途上である。そういう教える側の姿勢を見て、多くの新入社員はこう感じる。「この人ですら、勉強しているのだから、自分なんかもっと勉強しなくては」と。逆に、成長しようとしない、新しい発想を取り入れようとしない、柔軟性のない先輩・上司に対して、できる社員ほど厳しい評価を下す。「ああいう風にはなりたくない」と。そして彼らは、職場を去っていく。できない社員は、そういう先輩・上司と同じようになっていく。朱に交われば赤くなるのである。教える側も学び成長する姿勢をもつことが、新入社員を育てる際には重要なのである。

■教える側として能力が高い人

教える側として能力が高い人とは、どういう人か? 単純に言えば「理由を説明できる人」である。教える際に次のような言葉がでる人は、要注意である。「とりあえず〓」「なんでもいいから〓」「屁理屈言うな!」もちろん、仕事においては、やってみないと分からないことも多い。だが、多くの新入社員は言葉での説明を求める。「これは、何のためにやるのですか?」「理由を教えてください。」「目的は?」小生意気に聞こえるかもしれないが、彼らのこういう疑問に答えることができる「理由を説明できる人」が、新入社員の成長を支援できる「教える能力が高い人」なのである。


3.教える側にできること

■教える側の能力を高めるために

 では、教える側の能力を高めるために、今すぐできることは何かを見ていこう。

1)「仕事マップ」と「仕事のキモ」

入ってくる新入社員に何を教えるのか?先輩社員がやっている仕事の一部を教えるというケースが多いであろう。営業なら、お客様の一部を任せたり、事務なら、他事務社員の仕事の一部をカバーするようになったりと。ここで大事になるのが、教える側がどのくらい自分の仕事を理解しているのかという点だ。自分がやっている仕事を理解していなければ、人に教えることはできない。しかも、新入社員に対しては、言葉で仕事を説明する必要も増えてくる。同じ職場のメンバーや上司なら、言わなくても分かったことでも、新入社員には一から十まで説明しなくてはならない。だからこそ、教える側は、自分がやっている仕事は何で、新入社員には何を教えるのかを、事前にはっきりさせておいた方がよいのだ。

そこで役立つのが「仕事マップ(地図)」だ。自分がやっている仕事を、一枚の絵にまとめてみる。この仕事マップがあれば、新入社員に教えるのが楽になる。新入社員にしてみれば、自分がこれから覚えていく仕事の全体像が一目で見られるので助かる。教える側も、仕事マップを書くことで頭の整理につながる。仕事マップをきちんと書ける人間は、自分の仕事をきちんと理解している人間である。仕事マップで仕事の全体像が示せれば、新入社員にやらせる仕事が全体にどう関わっているのか、背景や仕事の目的を明確に伝えることができるようになるのだ。

 「仕事マップ」で、仕事の全体像が見えたならば、その上で「仕事のキモ(肝)」を明確にしてみよう。自分の仕事において、大事なキモは何なのか?他の仕事を差し置いても、自分がやるべき仕事は何なのか?それが分かっていれば、枝葉の細かいことではなく、仕事の幹を新入社員に教えられる。ある会社では、営業としての「仕事の本分は、お客様との面談である」という合意のもと、面談時間の確保に全社をあげて取り組んでいる。「仕事のキモ」が明確であれば、新入社員にも大事な点が何かを明確に指導しやすくなる。教える能力が低い人は、「あれも大事。これも大事。」と、優先順位がつけられないのである。

2)「育成プラン」と「育成ゴール」

仕事マップで大まかに教える仕事の全体像が見えたら、今度は「育成プラン(計画)」を立てる。計画といっても、格好良く作る必要は無い。「育成プラン」を立てる目的は、3つだ。「Simulation(頭の準備)」「Check & Act(検証と修正)」「Agreement(新人との合意)」。まずは、「だいたいこんな感じで育てていこう」と、教える側自身の頭の準備のために、大まかな案を考えるのだ。新入社員が入ってきて、バタバタしながら教えている会社は、こういうシミュレーションがなされていない。物事は計画通りには進まないが、計画がなければ、行き当たりばったりになってしまう。育成プランを紙に書いておけば、進捗状況を確認し、必要であれば修正もかけられる。また、こういう育成プランが存在していると、新入社員は安心する。「この会社は、自分を真剣に育ててくれようとしてくれている」と感じるからだ。

育成プランにおいては、いつまでに、どのくらいのレベルまで育てあげていくのか「育成ゴール(目標)」を明確にすることが大切だ。配属3ヶ月後には、新入社員にどういう状態になってほしいのか?半年後には?1年後には? この「育成ゴール」を明確にする作業は、職場の主だったメンバーが総出でかかった方がよいであろう。経営者自身が、管理職や先輩社員と一緒になって作っていくべきものだ。そうすることで、新入社員に何を期待するか、どうやって教えていくかが明確になり、職場での新入社員への接し方も変わってくるからだ。

育成ゴールがない状態で、新入社員を教えようとしてよくあるのが、皆が自分のことは棚にあげてあれこれ言うことだ。自分が入って間もない頃できなかったことを、新入社員には要求する。できなければ「いまどきの若いのは」と文句を言う。新入社員に期待することは大事だが、過度な期待は新入社員をつぶすことにつながりかねない。育成目標を皆で考えることで「いきなりこのレベルはきついよな」「まずは半年目でこの程度はできるようになってもらおう」という共通理解が生まれるのである。

また、育成プランと育成ゴールがあることで、新入社員の成長度合いを把握しやすくなる。新入社員が悩むことの一つは「自分がどのくらい成長しているのか分からない」という点だ。自分が成長している実感が得られないと、仕事へのやりがいがなくなり辞めてしまう場合もある。期限と育成ゴールを決めることで、新入社員に、成長の目安を持たせることができ、成長しているという実感を味あわせることができるのである。

3)「教え上手のPDCA」

 教え方の基本は、相手がPDCAを回せるように教えることだ。教える能力が低い人は、「Do」だけを教えるケースが多い。「あれやっておけ」「これはこうやるの!」と。やる理由や、考え方を教えないから、新入社員も自分で考えることできない。結果として、言われたことだけやる指示待ち型になってしまうのである。

 新入社員の成長を支援するためには、彼らに仕事を任せることが重要である。仕事を任せられるということは、いわば新入社員自身がPDCAを回せる状態になっているということだ。その仕事をどうやって進めればよいかを理解し(Plan)自分なりに行動し(Do)結果を検証し(Check)次に活かせる(Act)。

 そのためには、教え方もPDCAを意識したものにする。まずは、どうやってやるかを本人に考えさせる(Plan)、その上でやらせてみて(Do)結果を評価する(Check)最後に、次に何をするのか(Act)本人に考えさせる。自分で考えさせる「質問型コミュニケーション」を通して、本人がPDCAを回せるよう手助けするのが、教える能力が高い人なのである。

 ただ、仕事を任せる、自分でPDCAを回すといっても、全て一人でやってよいということではない。仕事は組織で進めるものだからこそ、報告・連絡・相談(ホウレンソウ)が必要になる。では、どんなときにホウレンソウをさせるのか?シンプルに言えば、何かをやる前に相談させ、やっている時とやった後に報告・連絡させると考えると楽である。困るのは、相談もなく的外れなやり方でやられてしまったり、ちゃんとやっているのか、やったのかの報告も無かったりする状態だ。新人には、何かをやる前に相談することと、やった後に報告することを、義務付けさせるのだ。

■ぐんぐん伸びる新入社員とは?

 ぐんぐん伸びる新入社員は、「学び上手」である。教える側がいちいち教えなくても、自ら学び成長してくれる。そういう自立・自律型の「学び上手」を育てていくのが、教える側の最終ゴールなのだ。そのためにも、教わる側が「なんでも教えてもらえる」と依存心を抱いたり、受身の姿勢になったりしないように注意して教える必要がある。教える際は、新入社員自身がPDCAを回せるように、考え方ややり方を教える。相手が学ぶことを手助けする。それが、本当の「教え上手」なのだ。

以上、新入社員の成長を支援するために、教える側の姿勢と能力を見直す必要があるということ。そして、教える側の能力を高めるために、今すぐできること3つを紹介した。貴社の新入社員育成の参考になれば幸いである。

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