「Unlearning研究会」を開催しました。

東大大学院

2014年12月12日(金)~13日(土)@立教大&東大
「Unlearning研究会」を開催しました。
今回も東大の中原先生、東大大学院M1の田中さん、
そして立教大の舘野先生に企画面でのサポートを頂きました。
ありがとうございました。
「アンラーニング」 以前から興味あるテーマだったので、
今回の研究会は文献を読みこむよい機会となりました。
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(・文献要約 -研究会で出た話 ○関根の独り言)

●中原先生のレジュメから (抜粋)
Unlearning研究会:「適応と獲得の組織論」から「異化と棄却の組織論」へ
本研究会の「おおざっぱな地図」として
「適応と獲得の組織論」
・知識・スキルの獲得と、組織文化への適応=組織社会化を中心とする
 従来の組織論の支配的なパラダイムを「適応と獲得の組織論」とよぶ。
・1970年代以降、社会化概念を取り込みつつ発展し、近年は、
 社会化前段階への概念拡張や、個人のプロアクティブ行動、
 Co-worker / ネットワーキング論などをふくみこみながら発展してきた。
・その主要な関心は、「いかに適応させるか(Adaptation)」
 「いかに獲得させるか(Acquisition)」
・理論的前提は「組織社会化は、組織における卓越性の実現に資する」
 ということであり、さらに踏み込めば、「組織社会化を成し遂げた
 個人こそが、そのキャリアをポジティブにできる」という前提
流動化する社会と組織境界の再編成
・「適応と獲得の組織論」の理論的前提への疑心:
 徹底的な社会化が、組織の卓越性を保障しうるのか? 
 
 組織社会化の完成は、個人のキャリア充実にとって
 常にプラスになるとは限らない
・「ルールが変わるゲーム」のメタファ
「異化と棄却の組織論」
・「適応」よりむしろ「異化」、「獲得」よりむしろ「棄却」
・1)組織学習論の「Unlearning」概念
 組織が中長期にわたり環境適応を果たすために、組織「が」何を把持し、
 メンバー間で何を共有し、何を体制化(institutionalize)していくかを探究
・2)変容学習理論
 しんどい、ネガティブな感情(混乱的ジレンマ)から始まることが多い
 「死ぬかと思った経験」
・3)越境学習論
 越境学習の深層に横たわる主要なニーズのひとつは、「過剰適応」
 「能動的惰性」「文化的無自覚性」に自ら「裂け目」を入れること
・4)学習理論からの視座
 認知心理学的観点からの解釈
 学習とアンラーニングを区別しない
 認知をベースにした学習論では、情動をうまく取り扱えない
 文脈横断論(状況的学習論、活動理論)
 文脈自体の変化をもたらしたのか。
・「異化と棄却の組織論」の社会的ニーズの高まり
  例)中途採用者のアンラーンや能動的惰性(マンネリ感、ソコソコ感)を
    獲得してしまったマネジャーのリーダーシップ開発など

②McGill, M.E., & Slocum, J.W. (1993).
 Unlearning the organization.
 Organizational Dynamics, 22, 2, 6?79.
・4種の組織学習
・1)Knowing 知る組織
 ただ一つの正しいやり方があり、それは知ることができる
 合理性と効率性を重視。適応型、シングルループ型学習。
 例)マクドナルド
・2)Understanding 理解する組織
 
 会社が何に価値を置いているかを理解。組織文化を重視。
 例)シアーズ
・3)Thinking 考える組織
 分析し行動する。問題解決型マネジメント。リアクション重視。
 例)フォリーズデパート
・4)Learning 学習する組織
 全ての経験から学ぶ。学習を促進する雰囲気を作る。変化が学習を促す。
 例)ホームデポ
・Learning organization(LO)は、他の3つとは質的に違う。
・LOになるためには、Unlearning the organizationについてまずは
 考えないといけない。
○ん、どういうこと?いきなり飛ぶ?
・組織がアンラーンするために、カギとなる7つ?
 1)学習する文化
 2)継続的な実験
 3)密接なネットワーク
 4)情報システム
 5)報酬システム
 6)HR実践 (学習できる人を採用する)
 7)リーダーシップ(自身がアンラーニングできているのか)
-KnowingからLOになることが、アンラーニングとこの文献ではとらえている
-Knowing組織の強さもあるのでは(例:公文)
-Thinkingはトップダウン LOは、ボトムアップでは。
-経営者は、まずKnowing組織を作るのでは
-定型化しやすい業態はあるのでは
-McDが、毎回顧客に問いかけてきたらうざい
-LOが合う業態、合わない業態があるのかも
-KnowingとLOを行ったり来たりするのでは
-組織の何を見て、こういうメタファーを使うのか
○確かに、創業時は、生き残れる「Knowing」を探す。
 それだけだと、変化に対応できなくなるので、「LO」に変わる。
 LOで新たな成功パターンを、Knowingできれば
 それで進んでいくというのはありかも。

⑯Klein, J.I. (1989).
 Parenthetic learning in organizations:
 Toward the unlearning of the unlearning model.
 Journal of Management Studies, 26, 3, 291-308.
・アンラーニングは「計画的な変化」にそぐわない理論
・Greiner(1987)が提示した3つに1つに加えて、
 4つのアンラーニングモデルを提示したい。
 1)Extinction 消滅
 2)Replacement 置換
 3)Exorcism 追放
 4)Salvation 救済
・学習モデルは、組織変化を導くのにふさわしい。
 そのようなモデルとして
 「Parenthetic learning 挿入句(角括弧)的学習 model」を提示したい。
○よくわからない
・ヘドバーグがアンラーニングとしたものも、挿入句的学習。
 
 挿入句的学習とは、時代遅れとなった状況とその反応を
 角括弧内に、収容させること。
-人の変化を無視しているのでは
-個人に依拠していて、組織を見ていない?
-内資から外資 従業員のオペレーションはあまり変わってない
-人の入れ替えはするけど、大事なものはおいていけ。わがまま。
-アンラーニングは「なくす」「いらない」ということではない。
-if A B , then C. Aという顧客に[Bという状況なら]の[ ]を
 アンラーンするのが、挿入句的学習
○こう説明されて、なんとなくわかった。
 やっぱり他の方と一緒に理解を深めるのは大事。

⑤de Holan, P.M. & Phillips, N. (2004).
 Remembrance of things past ?
 The dynamics of organizational forgetting.
 Management Science, 50, 11, 1603-1613
・組織学習の2つの立場:
 1)Behavioral 行動 2)Cognitive 認知
・本稿では、学習を、経験を通じて
 組織が保有する知識が増加することと定義。
・Forgettingに対する2つのアプローチ:
 1)Abandonment   2)Cessation
・Organizational forgetting 組織的忘却
 を、自発的か非自発的な組織記憶の消失 と定義
・1995~1999年 キューバのホテルを調査
・「偶発的、計画的」「新しい知識、既存知識」の2軸で
 組織的忘却の4つのモデルを提示。
-ForgettingとUnlearningは何が違うのか?
 →⑪の文献が参考になるかも
-体制化⇔アンラーニング、組織記憶⇔組織忘却
-忘却させようとするマネジャーっているの?
 →定着させないという手をうつマネジャーはいるのでは
-事故を忘れる 他山の石として抽象化して学ぶ
-現場では「アンラーニング」にあてはまる言葉には何が?
 →「成功パターンにこだわるな」
 →ただ、それも抽象化せよという学習では
-組織学習=? どんな言葉が現場ではささるのか?
 →ナレッジ化、形式知化・・・
○現場に刺さる言葉がないということは、
 
 「言葉にしにくいものを、言葉にしようとしている」?
 「そもそも、そういうことが現場に起こってない」? そんなことはないか。
 なんかいい言葉が見つかるといいなー。

①Argote, L. (2005).
 Reflections on two views of managing learning and
 knowledge in organizations.
 Journal of Management Inquiry, 14, 1, 43-48.
・組織学習という概念を混乱させている5つの要因:
 1)定義の合意がない
 2)単純化しすぎ(個人レベルの学習を、組織レベルにあてはめ)
 3)懐疑的な人々と、夢見がちな人々のかい離
 4)同じことを違う言葉で表現
 5)スピリチュアルな探索としてしまっている
・混乱を防ぐための戦術として:
 1)擬人化ではないものを
 2)理論の統合
 3)学際的に
 4)実践者の課題を重視
・Lewin(1951)の言う通り「良い理論に勝る実践はない」
・知識マネジメントの2つのパラダイム:
 1)コンピューター 2)有機的
・Wegner(1986)のTransactive memory Who knows what
-組織学習論の研究者は、ナレッジマネジメントを
 どうとらえているのか

⑧Antonacopoulou, E.P. (2009).
 Impact and scholarship: Unlearning and practising
 to co-create actionable knowledge.
 Management Learning, 40, 421-430.
・研究においては、Rigour 科学的厳密性と、
 Relevance実務的有用性 両方を統合すべき。
・研究者自身が今までのやり方をアンラーニングする必要がある
・実践家と共に質問を考える。
-問いと問いの持ち方が変わる、ことがアンラーニング。
-問いを立て直すのというのは実践的
-情報処理的なパラダイムと違い、
 一緒に作っていくというパラダイム
-詳しく記述することで、見落としていたものに気づけるのかも。
 →暗黙知を可視化するためにも、詳しい記述が必要では。

④Buchen, I.H. (1999).
 Creating the future: innovation and the unlearning organization.
 
 Foresight, 1, 2, 117-23.
・イノベーション業界における3つの時期:
 1)De Bono (○6色ハットのことかな)個人に着目
 2)Colvin 環境に着目 金銭誘因が創造性を刺激
 3)Senge 学習する組織
・未来に向けて:
 1)知的、創造的資本の重要性向上
 2)組織の変革
 3)何に変わる?
 4)チームを使うことが増えてきた
 5)ワークショップを通じて思考と創造を合わせる
・学習する組織は、アンラーニングする組織となるべきと提言したい。
○またいきなり感。何で? 
-誰向けに書かれたものか。実務家にはしっくりくるが。
-アンラーニングは、教育学ではどのような扱いを?
 →あまり扱われていないのでは。
   アンラーニングも、ラーニングの一部と捉える?
-アンラーニングを、日本語でどう訳す?
 →ワークショップでは「学びほぐし」
   組織学習では「学習棄却」
-環境適応とイノベーションでは、アンラーニングといっても
 ずいぶん違うのでは
-中途採用の転職で、日本ではアンラーンが求められる
 アメリカではそれが求められないので、個人のキャリアチェンジで
 アンラーニングがとりあげられていないのでは。

⑮Akgun, A.E., Lynn, G.S., & Byrne, J.C. (2006).
 Antecedents and consequences of unlearning in
 new product development teams.
 Journal of Product Innovation Management, 23, 73?88.
・319のNPD(新製品開発チーム)を調査
・チームの「危機と不安」が、チームの「アンラーニング」に影響
 「環境の激変」が、「危機と不安」「アンラーニング」に影響
・マネジャーは、チームのアンラーニングを促進するために
 1)人工的に危機を作り出し、緊急感を出す
 2)外部者を入れて、グループシンクの危険を打破する
○スッキリしてて読みやすい論文。
-「アンラーニングしないこと・してはいけないこと」の
 明確化が必要では。
-カオスを生み出した人に迎合する。カオスにより炎上する。
-新製品開発プロセスの初期段階でアンラーニングは効果的
 かもしれない。プロセスの各段階で変わってくるかも。
-アンラーニングとあるけど、質問項目を見るとピンとこない。
 社会心理学の文献が参照されていない?
-アンラーニングのネガティブな効用に、
 組織忘却の便益と危険性が参考になるかも。

⑰Rebernik, M. & Sirec, K. (2007).
 Fostering innovation by unlearning tacit knowledge.
 Kybernetes, 36, 3/4, 406-419.
・tacit knowledge 暗黙知をどのようにアンラーンし、
 イノベーションを促すか。
・「我々は、説明できる以上のことを知っている」(Polany,1958,1966)
・学習が起こる3つのレベル:
 1)個人 形式知、暗黙知、メンタルモデル
 2)組織 Inert 不活性知識?、組織記憶、組織文化
 3)環境 社会的・文化的・経済的・政治的文脈
・暗黙知の4種類:
 1)一言ではいえない技術?
 2)メンタルモデル
 3)問題へのアプローチの仕方
 4)組織ルーチン
・「Learning by doing」やることで学ぶ
・これまでの知識を得る為に多大な投資をしてきていれば、
 アンラーンしたいとは思わない。
・暗黙知は、観察も測定もできない。
-暗黙知の可視化を誰が行うのか?
 →第三者が多いのでは。
 →SECIでは、対話で形式知を暗黙知にすると考える
 →自分で気づくのは難しい
-「アンラーンをさせたい人がいる」
 →昔の因習をわすれさせたい。
 →従業員の感情的コミットメントが必要では。
-アンラーニングは、視座が上がる。概念的にポジティブ。
-納得感。腹おち感が重要では。

⑬Becker, K. (2010).
 Facilitating unlearning during implementation of new technology.
 Journal of Organizational Change Management, 23, 3, 251-268.
・本稿では、個人レベルに焦点をあて、アンラーニングを促す要素を
 検討する。
・アンラーニングを抑制するものとして、組織の防御的ルーチンがある
・アンラーニングに関してこれまでは質的研究が中心であった。
・オーストラリア企業1社 189名が回答した調査結果。
・アンラーニングを促進する要素7つが明らかになった。
 1)肯定的な見通し
 2)感情と期待
 3)肯定的な経験と非公式な支援
 4)変化する必要性の理解
 5)新しいやり方の評価(前のより簡単か難しいか)
 
 6)組織変化の歴史
 7)組織支援と研修

⑦Wong, P.S.P., Cheung, S.O., Yiu, R.L.Y., & Hardie, M. (2012).
 The unlearning dimension of organizational learning in
 construction projects.
 International Journal of Project Management, 30, 94-104
・組織学習の実践を
 1)シングルループ学習SLL 2)ダブルループ学習DLL とする
・アンラーニングの実践を
 1)信念の変化 2)ルーチンの変化 とする
・組織の成功を
 1)ビジネスの成功 2)顧客要求との合致 とする
・香港の対象コンサルタント、コントラクター 計95名の調査結果
・アンラーニングの実践とDLLには顕著な関係が見られた。
・アンラーニングは、DLL実践を成功させるための前提条件。
-業界のピラミッド構造が強固な建設業界で、
 DLLが起こったのは興味深い。
-SLL(取り組み方の改善)と、
 DLL(目的、ゴール、取り組み方の抜本的な見直し)の使い分けを行っているか?
 →NPO、学生、代替わり時の選挙が、DLLの機会かも。
 →外部が評価、認定することで、アンラーンの機会を与える。
-結婚は、アンラーニングの機会。

⑥Easterby-Smith, M., Antonacopoulou, E., Simm, D.,
 & Lyles, M. (2004).
 Constructing contributions to organizational learning:
 Argyris and the next generation.
 Management Learning, 35, 4, 371-380
・アージリスの貢献
 1)シングルとダブルループ学習
 2)使える理論
 3)アンラーニング
 4)学習する組織
 5)社会-文化的視点
 6)境界を越える学習
 7)知識、学習、競争優位の関連性

⑭Cook, S.D.N. & Yanow, D. (1993).
 Culture and organizational learning.
 Journal of Management Inquiry, 2, 4, 373-390
・組織学習の2つのアプローチ:
 1)認知的 2)文化的
・本稿では、認知的を補完するものとして文化的アプローチを取り上げる
・認知的視座の2つのアプローチ:
 1)個人の学習が組織に影響
 2)個人学習のモデルを組織に適用
・組織学習は、集団で行われ、かつ認知的活動のみではない。
・フルート工房の事例
・組織アイデンティティを変化させずに、変化することはできるのか。
-組織のCEOを見て、擬人化しているのでは。
-1990年代は、文化心理学が出て、情報処理的な
 認知アプローチの見直しが起こった。
-アンラーニングが起こった時、人々の言葉が変わる可能性
-文化的透明になれば、説明は不要になる
-個人の認知が変わったから、組織が変わったというよりも、
 組織の文化が変わったから、組織が変わったという事例。
-この文献では、学習を扱っているが、アンラーニングは扱ってない。
-文化の上の軽い部分をアンラーニングするというのと、
 もっと深い文化の部分をアンラーニングするという2レベルがあるのでは。

⑲Becker, K. (2005).
 Individual and organizational unlearning:
 Directions for future search.
 International Journal of Organizational Behaviour, 9, 7, 659-670.
・アンラーニングの定義:
  個人と組織が新しい情報と行動を蓄積するために、以前の学習(前提
  とメンタル枠組みを含む)を手放すプロセスである
・個人レベル:形式知、暗黙知、準拠枠
 組織レベル:Inertia惰性的知識、組織記憶、組織文化(Windeknecht & Delahaye,2004)
・Knowls & Saxberg(1988)は、既存知識に多大な投資をした人は、
 アンラーニングしたがらない。
-松尾先生が個人のアンラーニング研究を行っている。
 上の階層に上がった時、何をアンラーニングしてはいけないのか。
-アンラーニングのタイミングがありそう
-組織の中心的人物が変化すると、組織もそれに影響を受ける
-組織が変わっても、個人が変われないときもある。
 そういう個人は組織をやめてしまう
-Figure1を使って、仮説を立てて思考実験をしてもよいのでは
-2008年のBeckerでは、Awarenessを取り上げている
-アンラーニングは、色々なレベルがありそう。
 浅い、深い、 軽い、重い、

⑫Akgun, A.E., Byrne, J.C., Lynn, G.S., & Keskin, H. (2007).
 Organizational unlearning as changes in beliefs and routines
 in organizations.
 Journal of Organizational Change Management, 20, 6, 794-812.
・本稿は、組織記憶と変化の研究から、アンラーニングの概念に光を当てる。
・個人レベルでは、言語学習心理学や認知科学で
 アンラーニングが扱われている。
 アンラーニングは、信念構造の変化や記憶の消失として。
・陳述記憶:Know what 手続記憶:Know how
・アンラーニングは、陳述記憶(信念)と手続記憶(ルーチン)
 の変化といえる。
・アンラーニングプロセスの4種類:
 1)Reinventive 改革的
 2)Fomative 形成的
 3)Adjustive 適合的
 4)Operative 作業的
・アンラーニングは、陳述と手続記憶の除去
・組織が、信念とルーチンを変えるということは、ダブルループ学習が
 起こったといえる。
・組織のアンラーニングは、量子的飛躍を遂げる為に必要。

③Nystrom, P.C. & Starbuck, W.H. (1984).
 To avoid organizational crises, unlearn.
 Organizational Dynamics, Spring, 53-65.
○関根がレジュメ担当。
レジュメ(PDF)を開く
-ネットワークを外部に広げることで、組織の特徴、求心力?が
 薄まることもあるのでは。
 →価値観の似ている相手と組むことで、逆に強化されるかも
 →合わない人とは続かない
-価値観の合う人のみ組織に入ってもらう
 細かいやり方はその人達に任せる
-トップに規範があると(例:限られた任期、法律に縛られる)
 下は当事者意識はもてないかも

⑱Hutzschenreuter, T., Kleindienst, I., & Greger, C. (2012).
 How new leaders affect strategic change following
  a succession event: A critical review of the literature.
 Leadership Quarterly, 23, 729-755.
・CEOが変わることで、組織の戦略にどのような影響がでるのか。
・Why、What、How、Whenの観点から34の文献をレビュー。
○これだけちょっと毛色が違う文献。
-CEOのライフサイクル
 →外部環境に合わせて、経営のスタイルを変える
 →組織規模に合わせて
-権力とアンラーニングの関係
-正しい方向性を示さなければならないが、
 アンラーニングも必要
 →下手すると「ブレてる」と言われる
-経営者には芯が必要。
-上に立つほど言ってもらえなくなる。
-CEOが変わるとき、社員はどう受け取るか。
 それを研究してもよいのでは。
-CEOだけではなく、ミドルの影響も大きい。
-人を変えることで、アンラーンさせるというのは、
 人を変えられる社会という前提。
 それができない場合は、人に変わってもらうしかない。
-以前の良さを思い出そうとするアンラーン?
-「患者様」という顧客意識が行き過ぎると、感情疲労となる。
-アンラーンには、色々なパターンがあるので、研究しづらい。
○経営者のアンラーニングはいかに進むのか。
 出来事に出会う、本、他の人との話 を通じて、
 じっくり考えることを通してなのかな。
 

●研究会ではとりあげなかった文献
⑩Tsang, E.W.K. & Zahra, S.A. (2008).
 Organizational unlearning.
 Human Relations, 61, 10: 1435-1462.
・これまでの研究では、アンラーニングの定義が不明確であった。
・本稿では、34の定義を検討し、Routine-oriented approachに基づき
 下記の通り定義した。
 アンラーニングとは、新しいルーチンの道を作るために
 古いルーチンを捨てること。
・上記定義は4つの特徴をもつ:
 1)意図的 (Forgettingは非意図的)
 2)価値判断は行わない(善し悪しではない)
 3)単独のイベントとなりうる(学習の前、学習と同時とは限らない)
 4)認知と行動 双方の次元を含む
・2種類のルーチン(Feldman & Pentland, 2003)
 1)Ostensive 理論的ルーチン
 2)Performative 実践的ルーチン
・組織が、理論的ルーチンを変えない限り、アンラーニングが起こったとは
 いえない。
・組織記憶(Walsh & Ungson, 1991)をためておく2種類のビン:
 1)人間 2)人工物
・アンラーニングの難しい点は、人間というビンの中に入っている
 内容を消すこと
・Tsang(2008)は、古い組織のほうが、既存ルーチンをあきらめきれない
 傾向があることを明らかにした。
・Weick & Quinn(1999)は、変化には2種類あるとした:
 1)Continuous 継続的 2)Episodic 一時的?
・危機は、一時的変化のきっかけとなる(Nystrom & Starbuck, 1984)
 経営陣の刷新は、人間というビンに入った記憶を消す一つの方法。
 しかし、そのようなやり方は恐怖と心配を引き起こす可能性もある
 (Klein, 1989)
・将来の研究の方向性:
 1)概念の整理 ラーニングとアンラーニングは違うコンセプト
 2)アンラーニングのプロセスの明確化
 3)アンラーニングの障害と促進
 4)組織の文脈
・Easterby-Smith et al.(2004)は、アンラーニングをAgyris & Schon(1978)
の7つの貢献の一つとした。

⑪Easterby-Smith, M. & Lyles, M.A. (2011).
 In praise of organizational forgetting.
 Journal of Management Inquiry, 20, 3, 311-316.
・Organizational forgettingは、新しいイノベーション、組織ルーチンと
 意思決定の刷新につながると、本稿では考える。
・アンラーニングは、不必要な知識を捨て去る試み
 フォーゲッティングは、計画的、意図的とは限らない知識の消失
・本稿では3つの視点を取り上げる:
 1)認知的 2)行動的 3)社会的
・Forgettingの便益と危険性 
・Forgettingを促すために
 1)変容的学習 2)組織開発 3)ジョブローテーション

⑨Tsang, E.W.K. (2008).
 Transferring knowledge to acquisition joint ventures:
 An organizational unlearning perspective.
 Management Learning, 39, 5-20.
・組織アンラーニングは、知識転移を説明するのに使いやすい概念である。
・Greenfield(更地)とAcquisition(既存)Joint venturesの場合、
 Acquisitionのほうが、組織アンラーニングのプロセスを余分に経る
 必要がある。
・本稿は、Levin & March(1988)のルーチンベースを採用する。
・知識転移に失敗する理由の一つは、古いルーチンが障害になること。
・Szulanski(1996,2000)は、知識転移の4ステップを提示:
 1)Initiation
 2)Implementation
 3)Ramp-up
 4)Integration
・中国と外国の間で行われた8つのジョイントベンチャーを2期に分けて調査。
 マネジャーへのインタビュー。
・知識転移のStickiness 粘着性を理解する際、組織アンラーニングは
 役立つ。
・組織学習と、組織アンラーニングは違うプロセス。

◎Hedberg, B. (1981).
 How organizations learn and unlearn.
 In P.C. Nystrom and W.H. Starbuck (eds.),
 Handbook of organizational design, Vol. 1.
 New York: Oxford University Press.
○ヘドバーグの有名な文献。ついに読めた!
・アンラーニングとは、廃れて、誤り導くような知識を捨て去ること。
 このアンラーニングが、新しい知識を追加することと同じぐらい重要。
・「学習」という概念にはたくさんの解釈がある。
 
 1)学習とは、知識を蓄積し、維持し、再構築するものである
 2)人を奴隷化する学習と、人を自由にする学習(Illich、Freire)
 3)環境を変化させる学習
 4)適応と操作的行動の結果としての学習
 
・組織論の研究者は、組織を生き物として扱うことに抵抗感がある。
・組織は脳は持っていないが、認知システムと記憶を持っている。
・組織は、個人の学習に影響を及ぼす。
 メンバーが去っても、過去の学習のおりは組織に残る。
・個人は役者であり、組織は舞台である。
○これ分かりやすいなー。
・組織学習では、認知システムにおける刺激―反応(SR)パラダイムに
 基づく理論がほとんどである。
・組織は、彼らのリーダーが変わった時に、新しい世界観を適用することが
 ある(Clark,1972他)
・組織と環境の関係の中で、古い反応は消されたり、置き換えられたり
 する必要がある。
 このようなアンラーニングは難しく、時間がかかる。
 
 環境変化は不確実性をもたらすため、組織はこれまでの成功した行動に
 頼ろうとする傾向があるからだ。
・外部環境は、変化がなさ過ぎても、ありすぎても学習しにくい。
 その中間ぐらいが学習には適している。
・学習を引き起こすきっかけ:
 1)問題 2)機会 3)人々
・重要な意思決定者が組織を去ることが、戦略の再転換の前に起こっている
 (Sarason, 1972)
・アンラーニングと学習のきっかけは、
 相互に関係したり重なっていたりする
・組織が過去を捨て去りアンラーンするために、人々を外すことは
 重要なやり方。
○このあたりは、俺の担当レジュメと同じことを言っているな~。
 1970年代~80年代という時代背景もあるのかな。
・組織は、彼らのメンバーを通して学習し、アンラーニングする。
 人間のマインドのアンラーニングは煩わしく、時間がかかるプロセス。
・組織のアンラーニングと個人のアンラーニングがどのように異なるのか
 はほとんどわかってない。
・組織のアンラーニングは、問題が引き金になることが多い。
・学習、アンラーニング、再学習は同じように発達すべき。
○アンラーニングの訳:学習棄却、学びほぐし
 今回は「Unlearning=アンラーニング」と書いてきた。
 適切な訳がまだ見つからない。

○今回の研究会を通じて、自分なりに考えたことをまとめてみます。
1.定義
 「アンラーニング」の定義として、一番ピンと来たのは、
  信念とルーチンの変化(Akgun et al. 2007)
  新しいルーチンの為に、古いルーチンを捨て去る(Tsang & Zahra, 2008)
 という「ルーチン」を土台とした考え方でした。
 自身に「しみついた」考え方(信念)とやり方(ルーチン)を、
 捨て去るというよりも、いったん脇に置く、みたいな感じが
 現実的なアンラーニングかなと思いました。
2.方法
 アンラーニングを促すためには、
  組織全体:トップの入れ替え(Nystrom & Starbuck,1984)
         ジョブローテーション(Easterby-Smith & Lyles, 2011)
  チーム:環境変化の自覚、危機意識の醸成(Akgun et al. 2006)
  個人:肯定的な見通し、感情と期待等、7つの要素(Becker,2010)
      感情を含みこんだリフレクション(中原先生)
 が有効なのかなと思いました。
3.対象
 こういう研究会に参加している私たちは、参加者のKさん曰く
 他者を「アンラーニングさせたい」人達かもしれません。
 では、私たちが「アンラーニングしてほしい」と願う人達は
 どういう人たちなのでしょうか。
 
 おそらく、新しい変化を拒み、古い考え方(信念)ややり方(ルーチン)に
 こだわる人達と言えるでしょう。
 そういう方々に対してできそうなこととしては、
 危機意識の醸成→否定的感情の理解→本人の内省支援→肯定的見通し
 といった流れがありそうかなーと思いました。
 ただ、他者にアンラーンを促すなどと偉そうなことを言うならば、
 自分自身がそれをできてないと駄目ですね。自戒したいと思います。
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今回も参加者に恵まれ、楽しく学びの多い研究会となりました。
皆さん、ありがとうございました!
(そして金土2日間、快く送り出してくれた家族に感謝します。)
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●他の方のブログ:
 中原先生
  http://www.nakahara-lab.net/blog/2014/12/post_2319.html
 菊池さん
  http://dkikuchi.net/%e5%ad%a6%e7%bf%92%e3%83%bb%e6%88%90%e9%95%b7%e7%90%86%e8%ab%96/unlearning%ef%bc%88%e3%82%a2%e3%83%b3%e3%83%a9%e3%83%bc%e3%83%8b%e3%83%b3%e3%82%b0%ef%bc%89%e7%a0%94%e7%a9%b6%e4%bc%9a%e3%81%ab%e5%8f%82%e5%8a%a0%e3%81%97%e3%81%a6%e3%81%8d%e3%81%be%e3%81%97%e3%81%9f/
 

投稿者:関根雅泰

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